8月末にVR事業を売却検討していると噂が出ていたHTC。その際、VR事業だけではなくスマートフォン事業を含む会社全体の売却も検討していると伝えられていましたが、今度はスマートフォン事業をGoogleに売却するとの話しが出てきました。
HTC、VRヘッドセットVIVEを含むVR事業の売却を検討か(Bloomberg報道)
台湾メディアの工商時報によると、HTCとGoogleの協議は最終段階に入っているとのこと。ただ、Googleは買収するのか、戦略的パートナーとしてHTCの開発部門に投資するのかは結論が出ておらず、買収を含めすべての結論は年末までに明らかになるとしています。
なお、会社全体の売却ではなく、対象はスマートフォン事業のみ。以前噂に出ていたVR事業は含まれていません。
過去13年で最悪の業績
HTCは5月にフラッグシップとなるU11を発表しています。握って操作するEdge Senseやカメラ性能などで高評価を博しており、日本でも発売されています。HTC U11発表、握って操作する新フラッグシップ。Alexa標準搭載、ハイレゾNCヘッドホン同梱
しかし、残念ながら落ち込んでいる業績を回復させるまでには至らなかったようです。HTCが投資家向けに発表している財務情報によると、6月と7月は好調に推移したものの8月は7月から51.56%減少、前年同期比でも54.39%減少しており、DigiTimesによると過去13年間で最悪の業績となったようです。
▲2017年のHTCの月間収益(HTCの公式サイトより)
GoogleとHTCの関係は深く、HTCは最初のNexus端末 Nexus Oneの製造を担当したほか、昨年リリースされたPixel、Pixel XLも担当。10月に発表が噂されるPixel 2もHTC製と言われています。Googleとしては、Pixelの安定供給を図るために手を差し伸べざるを得ない状況なのかもしれません。
Googleの次期スマホPixel 2とXL2は10月5日発表か。SoCは未発表のSnapdragon 836搭載説も
Motorolaのときとは違う?
Googleによるスマートフォンメーカーの買収といえば、Motorolaの買収そしてLenovoへの売却が思い出されます。更新:Google、モトローラ・モビリティを買収へ。総額125億ドル
Google、モトローラ・モビリティをレノボに売却。総額約29億ドル (更新)
この際は、Motorolaが所有する特許などを取得するのが最大の目的、またGoogleが抱えたままにするより、成長しているLenovo傘下になったほうがMotorolaにとっても良いことだとして、Lenovoへの売却が行われていました。GoogleがHTCのスマートフォン事業を買収した場合、Motorolaと同じように数年後に売却となるのか、そのままGoogleの一部門としてスマートフォンを製造するのかは定かではありません。しかし、盛り上がりを見せているAIプラットフォームでは、ソフト、ハードの一貫した開発が重要になっているように思います。このためにもGoogleの一部門として抱えたままにすることも十分に考えられそうです。