魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」
魔王「生憎だが、実は我が先代も密かに食に虜になっていたのだ」
勇者「お前らは血統からそうなのか」
勇者「さっき聞いたぞ」
魔王「食に屈するという評価を撤回させようと思ってな、まずは威厳を出す事にした」
勇者「威厳を出したところで、食に屈したという事実は変わるまい」
魔王「事実は変わらないが、外聞はねじ曲がるかもしれないだろう」
勇者「何と浅はかな魔王だ」
勇者「私は、その一言を言う度にお前の威厳が失われている気がするのだが」
魔王「実は我が魔王軍の兵士達も食を大層気に入ってな」
勇者「なんだ、血統ではなく魔族自体が食狂いなのか」
魔王「特に竜族は現在、ハバネロ一気喰いに熱狂しておる」
勇者「ハバネロ一気喰いを勝手に人間の食の文化にするな」
勇者「別のパターンはないのか」
魔王「ふと思ったのだが」
勇者「なんだ」
魔王「むしろ貴様が合いの手を入れるから、我の威厳は失われていくのではないか」
勇者「いや、最初から威厳なんぞ欠片もないが」
魔王「余計なお世話だ」
魔王「やはり勇者が合いの手を入れぬと我により一層威厳があるように感じるな」
魔王「そうは思わんか、勇者よ」
魔王「…………」
魔王「…………」
魔王「………我が悪かった」
勇者「やめろ、謝るな気持ち悪い」
勇者「知ってる」
魔王「ところで我はカツ丼ブームを経て、ある食べ物に虜になっておる」
勇者「ほう、今度は何だ」
魔王「我の角に似た西洋の菓子でな、『たけのこの里』というらしい」
勇者「やめろ、その話はするな」
勇者「私こそは神に選ばれし者、勇者である」
魔王「真似をするな」
勇者「よくこんなこっぱずかしい言葉を堂々と言えるな」
魔王「愛していた者と別れ、のうのうと勇者稼業を続けている貴様には言われたくないな」
勇者「なぁお前、ところどころで私の失恋話をねじ込んでくるの本当にやめろ」
勇者「ところで魔王」
魔王「なんだ勇者よ」
勇者「何故、お前はうどんを嫌うのだ」
魔王「うどんを食べていた時に見た光景が頭から離れんのだ……言って良いか?」
勇者「何を躊躇っている、とっとと話せ」
魔王「いやそのだな、うどんを食べている時に貴様の様子を水晶で見たら、たまたま貴様が愛する者とまぐわっている最中でな……」
勇者「貴様ァァァァァァ!!」
勇者「…………」
魔王「……まぁそう拗ねるな、我もしっかり克服してうどんを食べるから、貴様も失恋を克服するのだ」
勇者「それで謝った気持ちに少しでもなっているのなら、今すぐ貴様を叩き斬るぞ」
魔王「まぁ、我はその後の失恋を見て大爆笑していた訳だがな」
勇者「魔王、今こそ決着をつける時だ」チャキ
勇者「この食狂い魔王が私より強いという事実に世界の理不尽を感じる」
魔王「最近豚小屋が汚れてきてな」
勇者「本当に魔王城に豚小屋を建設したのか」
魔王「いや、建設するのは時間の無駄だからな、中庭を囲んで豚小屋とした」
勇者「なんだ、つまり次に私が魔王の間に訪問する時には中庭から豚の鳴き声が聞こえるわけか」
魔王「たまに断末魔も聞こえるだろうな」
勇者「何の精神攻撃だ」
勇者「一体何の箱だそれは」
魔王「竜族からの贈り物だ」
勇者「もう嫌な予感しかしないのだが」
魔王「いや、中を開けてみると沢山の肉まんが入っていてな」
勇者「ハバネロじゃないのか」
魔王「先ほど側近に毒味と称して食べさせたところ、予想通り火を吹いて倒れおったわ、はっはっは」
勇者「何を笑っているんだお前は」
魔王「ところで勇者よ、物は相談なのだが」
勇者「何だ、藪から棒に」
魔王「嫌われてしまった部下に謝るにはどのような物を送ればよいのだ?」
勇者「そりゃもう、目の前でさっきの肉まんでも食べれば許してくれるだろう」
魔王「貴様……他人事だと思って……」
勇者「私にとっては他人事だからな」
勇者「おや、いつものアレはどうした」
魔王「……………」カキカキ
勇者「……ん、この紙を見ろということか」
魔王『我こそは魔を統べし王、魔王である』
勇者「ハバネロで喉が死んだとはいえ、これを筆談でするとは恐れ入る……」
勇者「筆談でいくのか』
魔王『今我は話せないからな』
勇者「自業自得だろう」
魔王『目の前で肉まんを5つ食べたら流石に側近も我を許してくれたぞ』
勇者「部下思いなのかそうでないのか分からんな」
勇者「喉の調子が治ったのだな」
魔王「しばらくは地獄を見たがな」
勇者「魔王に地獄と言わしめるとは、ハバネロ恐るべしだな」
魔王「今すぐに火炎呪文で畑ごと焼き払ってやっても良いのだが」
勇者「ハバネロのせいで折角の和平条約を白紙にしようとするな」
勇者「一体何度目だ」
魔王「数えてはおらぬ」
勇者「では聞くが、お前は何故この台詞を言い続けているのか覚えているか?」
魔王「当たり前だろう、貴様との早食い対決で負けたからだ」
勇者「私はそんなことをした覚えはない」
魔王「では、あの時のジャンケンに負けたからか」
勇者「これだけ毎回言っているのに、何故言い始めたのかは忘れたのか」
勇者「何故言い始めたか思い出したか」
魔王「威厳を取り戻す為、であったな」
勇者「やっと思い出したか」
魔王「我は威厳が全く取り戻せた気がしないのだが、その辺はどうなのだ、勇者よ」
勇者「私に聞くな」
勇者「ところで魔王城にはお前以外に側近がいたな」
魔王「そうだな」
勇者「今は何をしているんだ」
魔王「私の代わりに魔王代理として頑張ってもらっている」
勇者「最低だな」
魔王「魔王だからな」
勇者「お前、魔王だからなといえばなんでも解決すると思っていないか?」
勇者「今日の夕食は何にする」
魔王「そうだな……久しぶりにピザはどうだ」
勇者「よし、ならば行きつけのピザ屋を教えてやろう」
魔王「貴様がいうのならば、それは大層美味いのであろうな」
勇者「当たり前だろう、食狂いのお前も満足させられるだろうよ」
魔王「だが、我は味にうるさいぞ」
魔王「何故なら我は世界の食べ物を食べ尽くす、魔王であるからな」
元スレ
魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505634511/
魔王「我こそは魔を統べし王、魔王である」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505634511/
「勇者・魔王」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
今週
先週
先々週
コメント一覧
-
- 2017年09月17日 19:02
- このSSの内容…昨日見た
魔王「食こそ人の生み出した最悪の発明。そうは思わんか、勇者よ」の作者が書いたSSで続編?
でも、魔王が勇者をいちいち貶していくスタイルじゃないから違うかな?
-
- 2017年09月17日 19:12
- あ、続編となります
今度からは続編って書いときます
-
- 2017年09月17日 19:31
- >我の角に似た西洋の菓子でな、『たけのこの里』というらしい
魔王死すべし、慈悲は無い
-
- 2017年09月17日 19:41
- ※3
ありゃ、※2の者だけど前回もコメント欄に書いていたから書き込むだろうとは思っていた、続編なんだね
作者の成りすましでは無いと考えて聞くけど、魔王が勇者を貶していくスタイルは人間側と和平して勇者と仲良くなったから無くなったってことでO.K?
ちな自分はたけのこの里出身の戦士
魔王がたけのこ派でニッコリ
-
- 2017年09月17日 19:53
- ※5
※3の者(作者)です
最初から魔王と勇者は割と仲が良いです。
ですから、勇者は魔王に貶されながらも激怒することは……恋沙汰関連以外はないです。
魔王が勇者を貶していく、という展開はまた作るかもしれません。
-
- 2017年09月17日 20:00
- 作者がコメ欄に出てくるのはどうかと
それともなりすまし?
-
- 2017年09月17日 20:21
- そもそも以前はまとめるときに過去作へのリンクがあったのに手抜きしてるよねぇ
-
- 2017年09月17日 21:03
- まあ、※7に同意
気持ちは分かるけど
ろくでもない輩も少なくはないし、自分の作品のコメント欄は遠くから見ていたほうが吉よ
-
- 2017年09月17日 21:15
- 質問した者だけど、作者さんは丁寧に答えてくれてありがとうね
ただ、他のコメントでも言っているけど、ここエレ速は悪意のある者やマナー違反する者のコメントが多いから作者さんは作者と明かしてコメントを書き込まないほうがいいと思うよ
SSが面白ければコメントは残すし、個人的に応援しているからさ
-
- 2017年09月17日 21:37
- 少なくとも俺はつまらなくて3レス目で音をあげた
スポンサードリンク
デイリーランキング
ウィークリーランキング
マンスリーランキング
新着コメント
掲示板サイト
アンテナサイト
最新記事
LINE読者登録QRコード
スポンサードリンク
シュラスコ行きたい