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ありがとう、カッシーニ!20年の土星探査ミッションを終えたカッシーニが撮影した美しい写真 : カラパイア

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 土星探査機カッシーニは長い間懸命に働いてくれた。1997年に地球を発ち、7年かけて太陽系を横断2004年に土星へ到着。それから13年に渡り最新の機器でデータを収集し続けた。

 20年に及ぶ長いミッションが終了し、2017年9月15日、カッシーニは土星の大気に突入し燃え尽きていった。本当にありがとう!そしてお疲れ様。

 その間カッシーニは45万枚以上の画像を撮影、635GBの科学データを収集した。それは我々がこれまでに見たこともない土星やその衛星の姿だった。

 ここではカッシーニの業績をたたえ、長年にわたりカッシーニが撮影した、地球のものとはまるで異なる素晴らしき宇宙世界を見ていこう。
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地球が微笑んだ日


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 2013年7月19日撮影。矢印が指す青い点が分かるだろうか? それこそが14.4億キロ離れた場所から眺めた地球の姿だ。

 地球が太陽系外縁部から撮影されたのはこれまでに3度しかない。このときは撮影されることがあらかじめ予測されていたため、その時間空を見上げて微笑むよう呼びかけられてもいた。


夏の土星


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 地球よりはるかに太陽から遠い場所にある土星は、1年が地球の30年分もある。つまり1シーズンも非常に長いということで、7年以上続く。写真は2016年に撮影された至にさしかかろうとしていた土星の姿だ。日光が当たる北半球は夏至、南半球は冬至である。


環とテティス


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星で5番目に大きい衛星テティスは、ほとんどが氷でできている。そのおかげで反射しやすく、明るく輝く。写真は日光ではなく、土星の光で輝くテティスの姿だ。


巨大六角形


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星の北極はかなり独特で、雲が恒久的な六角形パターンを描いている。一辺は13,800キロで地球の直径よりも長い。

 カッシーニが到着した当初、土星北極は冬であり、六角形は影に隠れて見えなかった。しかし徐々にその姿を現し始め、不思議な変化が観察されている。例えば、2012年から2017年にかけては六角形の色が青から金を帯びた黄色に変わった。原因は日光と大気中に含まれた粒子の反応だと考えられている。

関連記事:30年間天文学者を悩ませ続けた「土星の六角形の渦」の謎が解明

エンケラドゥスのジェット


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 2005年に土星の衛星、エンケラドゥスで発見されたジェットは、氷の殻の下に存在する液体の海から吹き出す水蒸気と氷の粒子の間欠泉である。

 カッシーニはこの中を通過し、水素分子を検出した。光には乏しいが、熱水噴出孔がある可能性もあり、地球外生命の存在が期待されている。

関連記事:土星の衛星「エンケラドス」に液体の海の存在が明らかに


玉虫色のタイタン


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 通常は霞がかかった大気に覆われる衛星タイタンだが、赤外線を用いてその表面の詳細なイメージが作成された。画像は玉虫色をしているが、本当の色はもっと茶色とオレンジ寄りだ。


ビューティフル土星


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 地球は土星と太陽との間に挟まれているため、望遠鏡では土星の夜の姿を見ることができない。その姿を見るには宇宙船で裏側に回るほかないのだ。

 この画像は土星とその環が逆側から照らされている姿を捉えたものだ。それまで確認できなかった色の違いが検出され、2006年の観測では新たに2つの環が発見された。


大量の衛星


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 これまで土星の衛星は53個確認されているが、この写真にはうち5個が写っている。左からヤヌス(A環の外)、パンドラ(A環とF環の間)、エンケラドゥス(明るい氷の衛星)、ミマス(一部は隠れている)、レア(前景)。


三連三日月


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星の衛星3つが三日月の状態にある。最も大きいのはタイタンで、霞のような大気のせいでぼやけて見える。また霞が光を反射するために光が三日月を包む範囲が広く見える。2番目のものはレア。対照的にゴツゴツとした氷の表面だ。最も小さいミマスもクレーターだらけの表面のためにゴツゴツして見える。


日食的環状効果


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星の環が2つの衛星を横切ってる印象的な画像。前景にエンケラドゥス、後景にタイタンが太陽に照らされて写る。タイタンの大気のために日光が反射し、日食のような環状の効果が出ている。


薔薇のよう


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星北極を囲む六角形の中心には消えることのない嵐がある。嵐の目は幅2,000キロで、雲は秒速150メートルで吹いている。この合成色の写真は、2012年11月27日に初めて撮影されたものの1枚。雲の赤は低緯度、緑は高緯度を示す。


スポンジ状のヒペリオン


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 カッシーニは2005年に衛星ヒペリオンに接近。奇妙な表面の鮮明な撮影に成功した。まるでスポンジのような表面になった理由は定かではないが、密度が異常なほど低く、穴だらけで、表面の重力は弱いと考えられている。

 このことは、衝突による粒子が近くに残らないということであり、それゆえヒペリオンではクレーターの形状が保存されているようだ。


波打つダフニス


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 環の近傍や間隙を移動し、その重力で環の形を維持する衛星を羊飼い衛星という。カッシーニによって発見された衛星ダフニスもその1つ。A環の42キロの隙間であるキーラーの空隙に軌道を持ち、それゆえに土星との距離は9キロ、上下に17キロ変動する。


土星のオーロラ


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 オーロラは地球以外でも観測される。2010年、カッシーニは土星の南極の赤外線画像を撮影し、これによって土星のオーロラの研究が可能になった。

 土星のオーロラは地球のオーロラの発生メカニズムと同じような仕組み、つまり磁気圏が太陽風の粒子を極に導き、それが大気上層部でプラズマと干渉することで発光する。しかし土星の場合、衛星にも役割があり、それらは土星の磁気圏を移動しながら電磁波を生じさせている。


リングの飛沫


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 土星の環の淵は真っ平らなわけではない。この画像は、B環の淵で最大2.5キロの塔状の構造が影を投げかけているのが分かる。

 なぜこのような形状になるのか完全には判明していないが、小衛星が環の淵を通過することで、飛沫を跳ねさせるような影響を与えているのではと考えられている。

 似たような構造はキーラーの空隙のダフニスの後にも生じている。この現象は15年ごとの分点でしか観測されない。分点では、太陽が土星の環が囲っている赤道を直接照らすため、構造による影が生じ、確認できるようになる。


土星のB環


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image credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

 B環は、半径、明るさ、質量とも最大の環である。厚さは5mから15m、質量は約2.8 × 1019 kg、光学的深さは0.4から2.5と推定されている。B環の密度や明るさは大きな多様性があるが、ほぼ全て説明がついていない。B環の中には、間隙は存在しない。

via:saturn / nasaなど/ translated by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 20:43
  • ID:h6U0pBC20 #

素晴らしい・・・ありがとうカッシーニ。貴女の功績は偉大な資料として残されるでしょう。

2

2. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 20:46
  • ID:ko.nxOmg0 #

うをを…すげい、お疲れ様だ、カッシーニ。
敢えて天王星周回とか海王星周回に専従する探査機出てこないかな。
特に自転軸が公転面に対して98度傾いている以外特にこれといった話題のない天王星に何が隠されているのかが物凄く興味あるんだ。

3

3. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 20:47
  • ID:.egfEQP20 #

お疲れ様です。貴重な映像をありがとう。

4

4. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 21:02
  • ID:SAt5twJo0 #

いやぁ、ひたすら美しいね!
ありがとう。君のおかげだカッシーニ!

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5. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 21:12
  • ID:JOzsuN.z0 #

NASAの中継でカッシーニからの電波が消えた瞬間を見届けました。
カッシーニからの電波の周波数のピークが消えて、しばらく静かだった管制室が印象的でした。
NASAのホームページに大量の画像があるので是非見てほしいです

6

6. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 21:46
  • ID:sE2W6Rxl0 #

BSでやってたカッシーニ特集見たよ。面白かった。
でも、グランドフィナーレと銘打っているのは中二病臭くて恥ずかしかった。

7

7. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 21:59
  • ID:47Dp5v.z0 #

こ、この光が
俺たちの運命を変えて行く光だ!!

8

8. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 22:08
  • ID:Y91JwEw30 #

別れのワイン(カッシーニつながりで)

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9. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 22:08
  • ID:AR7h36wg0 #

カニカーニさんのカーニバーガー食べたくなってきた

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10. 匿名処理班

  • 2017年09月23日 22:18
  • ID:qNMAIN0C0 #

はやぶさや多くの人工衛星もあの世にいるし
今頃は仲間と一緒に一杯やってるかもね

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