朝鮮半島有事で押し寄せる難民27万人がもたらす影響
2017.07.20 07:00
北朝鮮のミサイル、核に警戒が強まっているが、有事にそれらよりも破壊力を持つかもしれない脅威が、「難民」だ。東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏が警鐘を鳴らす。
◆武装難民が紛れ込む
このうち日本には韓国から約二十二万人、北朝鮮からは約五万人の合計約二十七万人が押し寄せ、九州北部や山陰地方沿岸部から上陸すると見込んでいる。
一義的には警察が対処するものの、警察で対応可能なのは難民約三万五千人にすぎず、これを超える大量難民については自衛隊による対処を想定する。
さらに問題を複雑にするのは難民に混じって武装難民が紛れ込む可能性があるという点だ。日本での不法行為、テロ行為を目的として難民に紛れ込んで潜入する武装難民は、武器や爆発物の使用、人質の獲得などの犯罪行為に走る。
「K半島事態対処計画」に組織名は記載されていないが、「わが国在住の自国民」や「わが国の国内勢力」と呼応して暴動を起こすこともあるとしている。その結果、日本の安全保障に重大な影響を及ぼす恐れがある場合は「治安出動も考慮する」とある。
陸上自衛隊の多くの部隊が難民対処に駆り出されている最中で治安出動が下令されるのである。この段階になると、テロやゲリラの危険も高まっている。
陸上自衛隊の現員は十四万人弱にすぎない。武装難民やテロ、ゲリラに対処するとすれば、当面の危険はない一般難民にまで手がまわらないと考えるのが自然だろう。
【PROFILE】はんだ・しげる/1955年栃木県生まれ。東京新聞論説兼編集委員、獨協大学非常勤講師、法政大学兼任講師。1992年より防衛庁取材を担当。『自衛隊vs.北朝鮮』(新潮新書)、『日本は戦争をするのか』(岩波新書)、『零戦パイロットからの遺言』(講談社刊)ほか著書多数。
http://www.news-postseven.com/archives/20170720_581072.html