非常に珍しい墓が発見されたのは、ロシアの人里離れたタゾフスキー半島を流れる川の土手の高台である。これまで9つの墓が見つかっているが、発掘されたのはまだ2つのみだ。
1年前の調査では、白いブロンズに十字の象嵌があしらえられた埋葬用のガウンを着た13、14歳と思われる少年が発見された。まだ調査が進んでいない他の墓も子供のものだと推測されている。
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その最新の調査となる今年の夏に発掘された墓からは、3〜7歳の子供の亡骸が発見された。15世紀後半から16世紀前半のもので、来世での食事であろう鹿肉のローストも添えられていた。
墓地は質素なものだ。「金持ちの子供の墓はありません。だからこそ、夏の発見は意外でした」と露チュメニ州立大学のアレクサンドル・トカチェフ博士は話す。新たに発見された幼い”王子”は、上流階級であることを示す装飾入りの頭飾りを身につけていたのである。
「おそらく3、4歳くらいの子供だと思われますが、一番歳をとっていたとしても7歳まででしょう。遺体の下には樺の樹皮が敷いてあり、ベルトには2本の鉄製ナイフがありました。また足元からは鏃と鹿の骨が発見されています。頭飾りには青銅の装飾が縫い込まれていました」
この年頃の子供の埋葬としては類を見ないほどに豪華なものである。頭飾りは2層になっており、外側がウールの布で縁取られた毛皮だった。さらに装飾とリングも縫い込まれていた。
墓所があったのは、川の土手の最も高いところだ。深さは浅く、最も深いところでも15センチ程度である。墓の盛り土からは火の跡と、骨の上で調理された鹿肉も発見された。おそらく来世での食事であろう。
墓と墓との距離は100メートルほどだが、中には数キロ離れているものもある。トカチェフ博士によると、遺体は「社会的地位の高い一族だが、社会の仲間入りをする儀式を受ける前に死んだ」もので、それゆえに共同墓地ではなく個別に埋葬されていたと考えられるという。
この場所は、当時は先住民族Sikhirtya人のものであった。彼らがこの地にやってきたのは2,800年ほど前のことだが、17世紀中頃にネネツ族と同化している。ネネツ族はこの地を「天に召された者たちの道」と呼ぶ。
via:siberiantimes/ translated by hiroching / edited by parumo
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