【プリンセス・プリンシパル】プリンセス「ちせさん…お願い」 ちせ「…」
初めて出来た親友と離れ離れになったあの日のこと。
それから一人で過ごしてきた10年という歳月。
本当の自分を知られたら命はないーーそんな毎日のこと。
プリンセス「……」
シャーロットと再会してから、めっきりみることも無くなっていたんだけど。
シャーロットと再会してからの毎日は、これまでの10年とは比べ物にならないくらい楽しくて、輝いていて…毎日が夢のようで。
だからこそ、今日の夢は格別に嫌なものだった。
「本当はシャーロットと再会したことが夢で、あの悪夢こそが現実なのでは?」…そんなことを考え出すともう止まらない。
手足の先が冷たい。頭がクラクラする…
そう呼ぶが、返事はない。ドロシー、ベアトリスとその人…シャーロットは、機密文書奪取の命についている。
まだ帰ってきていないようだ。
こんな時、隣にいてくれたら。
そう思ったことに気づいてブンブンと頭を振った。いけない、私…本当に弱くなったわね。
ベアトやシャーロットのいない朝がこんなに味気なかったなんて。
支度を済ませ、食堂へ向かう。
リリ「御機嫌ようプリンセス。…いつもの侍女はご一緒でなくて?」
プリンセス「おはよう、リリさん。えぇ、都合で今日は休んでいるの」
たわいの無い会話、それさえ苦痛だった。今すぐにでもシャーロットに会いたい。それが叶わないなら布団の中で眠っていたい…。
長い、とても長い…今までの10年を追体験しているとさえ思える1日を過ごし終え、博物クラブの部室へ向かう。
そこに居たのは。
ちせ「おはよう、プリンセス。…どうした、何かあったか?」
プリンセス「……」
東洋から来た、小さな友人だった。
ちせ「む…そうじゃったな」
ちせ「……」
プリンセス「…」
正直、ありがたいの一言に尽きる。今や彼女にとってチーム白鳩(命名はプリンセスその人である)は何事にも変えがたい存在だった。
それじゃあ、ちせさんをシャーロットの代わりにしているみたい。…今朝からずっと、シャーロットのことばかりね私。
口には出さず。この良き友人と時間を過ごしてしまおうーーと思っていた。
プリンセス「ちせさんの刀は最終手段ですからね。隠密だけで済むなら、その方が良いのですよ」
ちせ「そんなものかの。………」
ところで彼女…ちせという少女は勘が鋭い。
いや、人の気配を読む術に秀でているというべきか。
前に一度、『無理をしているように見える』と言われた時、あの時は焦った…。
そんなことを、思っていると。
ちせ「…のう、プリンセスよ」
ちせ「お主、何かあったか?」
気が緩んでいたか。落ち込んだ気分を悟られるとは。外交の席でなくてよかった、とりあえず誤魔化してーー
ちせ「…お主、気づいておらんだろうが……たまにそのような顔をすることがある」
…ゆっくりと、笑顔を作り。
プリンセス「…あら? 私、そんなにひどい顔をしていましたか?」クス
数多の要人と接する中で身につけた、この笑顔。隠し通せる自信があった。…が。
…これは参った。もう隠し通せそうにない。
そう思うと、途端に。
心の隅に追いやって来た感情がーー自分でも気づくことのなかった10年間の感情がーー堰を切ったように溢れ出した。
プリンセス「その夢の中で私はスリの少女でした。…それが、悪い悪魔に囁かれて。私はお姫様になっていたんです」
プリンセス「私が…私が奪ってしまった。本当のお姫様の地位も、夢も…空っぽの私をお姫様に据えて」
そして悪魔は消え。
悪夢は覚めず。
10年の月日を経て未だ色褪せぬあの日のことは。
違わぬ誓いと決意と共に、深く胸に刻まれた。
滑り出した言葉は止まらぬまま。
プリンセス「……」ポロポロ
ちせ「……」
初めは、自分が泣いていると気づくのにさえ時間がかかった。
流れ出した涙は、なかなかとまってくれなかった。
目の前にいる友人が自分を抱きしめたのだとーー気づく前に、穏やかな声が聞こえた。
ちせ「…プリンセスの立場や、お主が過ごして来た10年という日々のこと……正直、私にはよくわからん」
ちせ「それでも、言葉をかけることが許されるなら……」
ちせ「…大丈夫。お主の守ろうとしたものは、ちゃんとそこにある」
ちせ「アンジェが言っておったよ。プリンセスは本当にすごいと。お主が女王になれば、きっとこの国が変わると…そして、あの壁さえ」
プリンセス「………アンジェが…」
ーーこの感情はなんだろうか?
ちせ「…急に抱き寄せて、すまなかったな。忘れてくれ」パッ
プリンセス「…ぁ……」
考えるよりも前に体が動いた。
離れかけたちせの小さな身体を引き寄せ、片手で胸元のリボンを解くと。
プリンセス「…行かないでちせさん。私…すごく寒いの」ギュ
ちせ「……っ!?」
忌々しくもまた思う。この瞬間が悪夢であれば、と…。
はだけた胸元から目をそらすちせ。その顔に手を添えて、そっと囁いた。
プリンセス「今…今、この一時だけでもいいんです! ちせさん……どうか…」
縋るようなプリンセスの目に射止められ、顔が動かせないちせ。そしてーー
ちせ「……っ!」
ちせの体を抱いたまま、誘うように床に倒れると。
二人はそのままーー
アンジェ「当たり前じゃない」
ベアト「つ、続きは!? 続き書いてないんですか!?」
アンジェ「未成年に読ませるものではないわ」
ベアト「そ、そんなぁ……」
アンジェ「それとも何かしら? この先に興味でもあるの、ベアト?」ニヤ
ベアト「そっ……そんなこと………///」カ-ッ
アンジェ「意外ね。 あなた、純愛系が好みかと思っていたけれど」
ベアト「それはっ…あ、アンジェさんがこんなのばかり書くからぁ!」///
アンジェ「さて、どうかしら?」クス
ベアト「もうー! アンジェさーん!!」
ちせの口調ごめんなさい、精進します
元スレ
プリンセス「ちせさん…お願い」 ちせ「…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1507032697/
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コメント一覧
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- 2017年10月03日 23:12
- プリンセスにバレてアンジェがお仕置き(意味深)される後日談がないみたいだけど?????
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- 2017年10月03日 23:13
- もっとください
-
- 2017年10月03日 23:53
- もっともっとください
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