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音の錯覚。映画の演出に用いられるシェパードトーン(無限音階)とは? : カラパイア

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 無限音階(シェパードトーン)。聞きなれない言葉だが、それ自体はきっと聴いたことがあるはずだ。これは無限に音が上昇(あるいは下降)するように聞こえる音の錯覚だ。

 無限音階は、音の上下をオクターブ離れた音程で挟まれた複数の正弦波で構成される。高音程、中音程、低音程の音はどんどん高くなり、最後まで流れると、また最初に戻るというループ状の構造をしている。

 音の最後に近づくと、高音の音量は下がり、中音の音量はそのまま、低音は音量は上がる。音高が上がり続ける2つの音程が常に聞こえているため、脳はループしていることを無視して、無限に音が上昇しているのだと勘違いする。
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 こうした効果は映画でも使用されており、最近では『ダークナイト』に登場したバットポッドの使用例が有名だろう(4分46秒あたり)。


bat pod

 同作品で効果音を担当したリチャード・キングによると、「クリス(クリストファー・ノーラン監督)のアイデアは、シフトチェンジがなく、なにかどんどん力が湧き出すように音がずっと上がり続けるというものだった。それで無限音階を思いついた」のだそうだ。

 基本となる音は電気自動車レースカーとテスラ車で録音したという。


緊張感を演出


 無限音階は映画やゲームの中で緊張感を演出する際に有効だ。クリストファー・ノーラン監督は最新作の『ダンケルク』でこれを効果的に用いている。

 以下の動画では作曲者であるハンス・ジマーが無限音階を楽曲に組み合わせた手法を紹介している。


The sound illusion that makes Dunkirk so intense

 インタービューで、ノーラン監督は次のように答えている。

 「無限音階という音の錯覚があって、『プレステージ』を撮影したときに作曲家のデビッド・ジュリアンと一緒にいろいろ曲を書いて試してみたんだ。」

 「無限に音が上昇しているように聴こえる錯覚で、床屋のサインポールみたいなものだ。動いていないのに、上に登り続けるように見える。ダンケルクの脚本はそれに基づいている。3つの時間軸を織り合わせて、緊張感がどんどん増すようにした。音楽も同じ数学原理に基づくようにしたかった。それで音楽と効果音と映像が融合して今までにないものを生み出せたよ」

 ノーラン監督は映像の名手だが、無限音階に関しても匠の域に達しているようだ。

via:The Power of Sound: Using the Shepard Tone In Filmmaking/ translated by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 16:43
  • ID:NnYPK2340 #

絶対音感の人が聞いてもそう感じるんだろうか

2

2. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 17:25
  • ID:jOEH36MM0 #

動画でもチラッと紹介されてたけど、P・フロイドの「エコーズ」エンディングでこれを声でやってるんだよね。
相変わらずスゲーこと考えるな・・・って感心したもんだわ。

3

3. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 17:29
  • ID:ZczPb9v30 #

何度観ても面白いダークナイト!

4

4. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 17:32
  • ID:edrG1QTF0 #

YMOのLOOMで知ったな

5

5. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 17:34
  • ID:OVVxtllS0 #

言うほど無限感はなかったな……

6

6. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 17:56
  • ID:zL7Snp9V0 #

ホラー映画には使われていないの?
聴いたら緊張感と恐怖で死ぬとか?

7

7. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 18:18
  • ID:CmWWeLs10 #

マリオ64のアレか!

8

8. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 18:37
  • ID:0E4lfDRo0 #

絶対音感と相対音感両方持ちだけど
無限に上昇している感じはなくて高い音と低い音が流れてて
低い音が段々大きくなって、また最初に戻っての繰り返しでしかなかったかなぁ
あくまで個人の感想なので他の人の意見も聞いてみたい

9

9. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 18:39
  • ID:0E4lfDRo0 #

あと一本目の映画の方は上がり切る前に効果音が切れてるように感じる
二本目の動画だとわかりやすいかも

10

10. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 18:59
  • ID:CJ4Cm7TG0 #

「無限に音が上昇」というのがわからない
ドレミファソラシをひたすら繰り返してどんどん音程が上がっていくならわかるけど

11

11. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 19:07
  • ID:fpAgpm.F0 #

これ勝手に「怖い音楽」ってよんでた。
無限音階って言葉があったんですね。

12

12. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 19:21
  • ID:id2.9CIs0 #

エッシャーには無限に登り続ける階段があったね。

13

13. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 19:21
  • ID:zAfH.fje0 #

無限音痴に見えた

14

14. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 19:33
  • ID:5eibuHCE0 #

あー、床屋さんのグルグル回るサインポールの音版か
ちょっと違うかもしれないが、そういう風に理解しておこう

15

15. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 20:04
  • ID:hoxnR3860 #

※4
そうそう。今の40代から上はそういう人多い。私もそう。

16

16. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 20:16
  • ID:CdJ7CN810 #

動画見ながら、床屋のサインポールみたいなもんかなと思ってたら動画内でも出てきたw

17

17. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 20:54
  • ID:iZZ9YSiX0 #

※4
聞いてみた
なるほど冒頭から使用してるね
そしてよくよく聞いてると記事で説明があったとおり無限に音階が上がってるわけじゃないのがわかる

18

18. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 21:24
  • ID:ECTG06au0 #

この人は何だろ時間に関する事は何でも好きなんだな、ビックリするわ
創る映画はテーマがほとんど時間に関する事ばかりだし
その探求心には驚く

19

19. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 21:39
  • ID:RM.tM8ea0 #

年なので高音は一定レベルまで上がるとよく聞こえなくなる
無限に上がり続ける感覚を得るには若いうちに聞かないと
ダメかもしれない

20

20.

  • 2017年10月12日 21:48
  • ID:dlfLCcbp0 #
21

21. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 21:53
  • ID:RnWRDbyH0 #

LOOMと似たようなタイトルの「来るべき物(空手バカボン)」はRydeenのパロディ。

22

22. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 21:58
  • ID:5ojapME.0 #

無限に続く同じ音に聞こえるよ?

23

23. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 22:48
  • ID:uSRpW.gv0 #

ジェルジ・リゲティのエチュードにシェパード音階から発想を得たような曲があるよな

24

24. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 23:31
  • ID:Oj0khyut0 #

無限音階がどうのこうのというより
映画の音響に対してこんな工夫と手間が掛かっている事に関心
音響だけでこれなのだから他の所の作り込みとか拘りが凄いんだろうな、と
そりゃ映画が売れる訳だし、多分これは向こうのドラマなんかでも同じなんだろうね

25

25. 匿名処理班

  • 2017年10月12日 23:39
  • ID:cR4yxmPS0 #

サインポールの例えが秀逸すぎる
なるほど〜

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