『華氏451度』――レイ・ブラッドベリの小説だ。1953年に書かれたこのSFは、「ありとあらゆる『本』が焚書処分にされる」というディストピアを舞台としている。
華氏451度を摂氏に換算すると約233度である。かなり高温でもし紙素材の本なら燃えてしまい、二度と読むことはできなくなるだろう
ところが、だ。「火をつけると燃えてしまう」どころか、「火をつけることで読めるようになる」本が発売されることになった。
その本とはもちろん、ブラッドベリの『華氏451度』である。
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新しい『華氏451度』を出版するのは、"Super Terrain" というデザイナーグループだ。フランスのナントに拠点を置き、ヨーロッパ全域で活動している。2014年に創設され、作品の展示やオンライン販売、また、若手のデザイナーや学生に向けたワークショップなども手がけている。
スクリーン印刷によって製作されるこの本は、黒く塗りつぶされ、文字を読み取ることはできなくなっている。しかし、表面を覆う「感熱」インクは、室温では黒いのだが、熱を受けると色が消えるのだ。「消せるボールペン」、フリクションシリーズのインクと同じようなものであろうか。
image credit: SuperTerrain/Instagram
image credit: SuperTerrain/Instagram
Reddit民もさっそく反応している。
Engi-near:
ディストピア的解決法:華氏451度のオーブンで10分間焼く。
Stuck_In_the_Matrix:
読んだら燃やせ。
LukewarmVinegar:
訂正:「読む前に」
InitiallyAnAsshole:
訂正:「読みながら」
pork_steaks:
ちょっと待ってて、本をまたチンして来なきゃ。
bumjiggy:
未読の部分は冷蔵庫に入れるんだ、ネタバレで台無しになるのを防ぐために。
Iced_VanillaLatte:
何かを台無しにされたくないときには本を冷蔵庫に突っ込むことにしてるよ。
sanosukesegara:
本の中で怖いことや嫌なことが起こったら冷蔵庫に入れちゃう。
descriptivetext:
トリビア――この本の初版時には、石綿で装丁された限定版も200冊発行されたんだ。
raphyr:
「ライターの10個入りパックをください」
「そんなにたくさんタバコを吸うんですか?」
「いえ、本を読むんです」
nimo01:
すばらしい販売戦略だ。クールだからじゃなくて、今読んでるのは3冊目だから。2冊燃やしちゃったんだ。
afacefullobullet:
むしろイライラしそう。
この本は現在製作中で、2018年中にはオンラインショップに出せるだろうとのことだ。国外にも発送してくれるようだけれど、指をやけどしないように注意して読んでね。
裏側からライターで炙っている
image credit: SuperTerrain/Instagram
via: Laughing Squid / COLOSSAL / Super Terrain / reddit など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
欲しいけど英語読めないw
3. 匿名処理班
紙媒体でしか出来ない方法だしイイと思う。作りも面白いし
電子書籍との差別化を図れるからどんどんこういう本出して欲しいな(泡坂妻夫の生者と死者みたいなのとか)
もちろん電子書籍やVRでしか出来ないギミックも発展してほしいが
でも、紙の本が好きなんだよなー
4. 匿名処理班
何だ消えるのか。
冷えると戻るほうがいいなー。
だって色が消えたらただの本だろ。
ドライヤー片手に読むほうが面白い、ゆっくり読むと黒くなるんだ。
5. 匿名処理班
ドライヤーの温風じゃだめなのかな?
6. 匿名処理班
石綿装丁とかいうのが気になって仕方ない
7. 匿名処理班
面白い発想。
読書は大好きだがさすがにこれはめんどくさい(笑
ライターより蝋燭であぶった方が楽かなあ?
8. 匿名処理班
炙り出しよりひでぇ
熱しなくても見えてるじゃん
9. 匿名処理班
指熱そう
10. 匿名処理班
アイロンでいいのかな?
11.
12. 匿名処理班
これミステリで使えないかな
所々黒くなってる部分があって、最初は黒の部分を無視して読む
読み終えたら炙って全部読むと別の楽しみ方が出来るように
13. 匿名処理班
熱したオーブンの中で読めば良いんじゃないかね?
14. 匿名処理班
最後のページでやり過ぎて炎上してしまい
もう一冊購入しまうバッドエンドが想像できそう
15. 匿名処理班
ヨハネちゃんが喜びそうズラ…
16. 匿名処理班
紙幣の詐欺でこんなの無かった?
17. 匿名処理班
これ、温度が下がったらまた文字が消えるということなんでしょうか。
本としては読みづらいーーー。
こたつのなかに顔つっこみながらとかだと読める?
でもその程度の温度じゃだめかな...。
宝の地図とか、読まれたくない日記とか、普段は頻繁に
まんべんなく読まないでもいいアイテムに使ってほしいかも。
18. 匿名処理班
棺桶に入れよう
19. 匿名処理班
アイロンじゃダメ?
20. 匿名処理班
実際読むとなると面倒さが先立ちそうだけれど、かなりロマンある試みだね! ワクワクするよ。
21. 匿名処理班
ただ、やけどしそうだなぁとしか思わない
22. 匿名処理班
アイロン当てればいいんじゃないの
23. 匿名処理班
あぶり出しかと思ったらあぶり消しだった
24. 匿名処理班
紙なんだから火は危なくない?
25. 匿名処理班
すごいなー 映画で出て来たら「CG?!」と思ってしまいそうなのが、実際にできるのか!
26. 匿名処理班
推理小説にこれいいね、うっかりさんが結末読んじゃうなんて事態は避けられるw
27. 匿名処理班
火事になりそう…
心配しすぎ??
28. 匿名処理班
※8
すかしても見えなくするのってすごく難しいみたいよ
「おしまいの日」って本でやってるけど、出版社さんがずいぶん苦労されたとか
29. 匿名処理班
こういう没入感高めるアイデア大好き
自分自身が焚書こっそり読んでる気分に浸れそう