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「非接触決済の90%はApple Pay」担当役員が明かす最新事情:モバイル決済最前線 - Engadget 日本版

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「非接触決済の90%はApple Pay」担当役員が明かす最新事情:モバイル決済最前線

噂の個人間送金も近々スタートか

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驚きをもって迎えられた2014年9月のApple Payの突然のデビューから、1ヶ月ほど経過した10月20日。iOS 8.1の配信開始とともに同サービスが米国でスタートした。

当時、モバイル端末に決済機能を組み込む「モバイルウォレット」のプロジェクトがことごとく頓挫していた時期でもあり、iPhoneで快進撃を続けるAppleの同分野への参入は、期待と同時に「Appleでも成功するかどうか......」という不安もあり、金融やモバイル業界関係者だけでなく、その多くが成り行きに注目していた。


▲2017年内にApple Payの提供国は20にまで拡大


結果、Apple Payの現状は多くが知るとおりで、当初は米国1ヶ国のみでのローンチだったサービスが、現在では20ヶ国(2017年内の予定)まで提供対象を増やし、日本のローンチに至ってはほぼ国内専用規格となっている「FeliCa」技術にもハードウェアレベルで対応するなど、地域に根ざした展開を進めている。


▲間もなく登場するiPhone XのFace IDを使って店頭決済をする様子


Apple Pay3周年記念ともいえる10月22日(米国時間)、米ネバダ州ラスベガスで開催されていた金融関係者が集まる「Money20/20」カンファレンスにおいて、米AppleでApple Payサービス担当役員であるJennifer Bailey氏が特別基調講演に登壇し、Apple Payの現状とこれからスタートする新サービスについての説明を行った。

実はBailey氏がこうした一般来場者が参加するイベントに登壇してスピーチを行うのは、筆者が知る限り初のケースで、投資銀行が主催する投資家向けの説明会こそ登場したことはあったものの、非常に貴重な機会だと考えている。

▲Money20/20のステージに登壇するApple Pay担当役員のJennifer Bailey氏

拡大し続けるApple Payのエコシステム


Apple Pay登場以前のモバイルウォレットは携帯キャリアのサービスに結びついていることがほとんどで、仮にNFCの非接触通信に対応していても、必ずしも"タップ&ペイ"による決済サービスが利用できるわけではなかった。これは、Googleが端末メーカーとして「Galaxy Nexus」でモバイルウォレット市場参入を試みた際、携帯キャリア連合らの妨害で計画が頓挫した件でもうかがえる。

だが、Apple Pay登場以降に状況は一変する。
LoopPayを買収したSamsungは「Samsung Pay」という端末メーカー独自のGalaxy端末向け決済サービスを打ち出し、GoogleはAndroid端末のほとんどで利用可能な「Android Pay」を発表した。
決済サービスが端末メーカー主導になるメリットとしては、対応する携帯端末さえ持っていればサービスが利用できる点であり、SIMロックフリーであれどの携帯キャリアと契約していても問題なくサービスが利用できる。

このとき重要なのが、決済に利用するクレジットカードやデビットカードを発行する「イシュア」と、決済の窓口となる店舗(加盟店)ら「アクワイアラ」がどれだけ当該のサービスに対応しているかという点にある。
対応するイシュアが多ければ多いほど自身が持つカードでサービスが利用できる確率が高くなり、アクワイアラ網が充実していればしているほど日々の生活で利用できる場面が増えるためだ。


▲Bailey氏が示すApple Payの決済シェアデータ。米国でのものと思われるが、やはりApple Payの効果は大きいといえる


Bayley氏によれば、現在Apple Payは全世界で4000のイシュアに対応し、米国ではローンチ当初わずか3%の店舗でしか利用できなかった非接触決済サービスが、現在では50%に拡大しているとのことで、利用できる場面が急速に拡大しつつある。

実際、米国の各都市をまわっていると、少し前までは大規模な小売チェーンのみで利用できたNFCによる非接触決済が、比較的小規模な個人商店でも利用できる、というケースが増えてきた。ICチップを内蔵したEMVと呼ばれる規格のカード決済が普及し、決済端末がNFC対応となったことによるものだが、このタイミングに乗じたApple Payはその恩恵を最大限に受けている。
同氏はさらに、こうした非接触決済の90%がApple Payで行われている現状に触れ、その存在感を誇示している。

同氏の講演ではその後、Appleイベントではお馴染みのApple Payに対応した店舗の数々の紹介、つまりEMV Contactlessと呼ばれる非接触決済に対応する店舗が次々とスライドとして表示され、「50%」が意味するところをアピールしている。

そして、どちらかといえばAppleにとってより重要なのが「アプリ」「Webブラウザ」という、いわゆる「オンライン決済」でのApple Pay対応であることを示し、対応アプリの数々が紹介されている。


▲Apple Payが利用可能なアプリ群。中国メインのOfoやMoBikeなどが入っているあたりが世相を反映している


対応アプリの中でも、UberやLyftなどの配車サービスはもちろんのこと、中国を中心に世界に広がりつつあるOfoやMoBikeといったサイクルシェアリングサービスといったものは、利用の手軽さと安全性という面でApple Payのメリットを最大限に享受できる。


▲米McDonald'sが最近スタートしたばかりのオンラインオーダーアプリ。これは店舗駐車場での受け取りを可能にする「カーブサイドピックアップ」


また最近ブームとなっているのがUberEatsなどに代表される食料や日用品の配送サービスで、レストラン業態の店舗においても活用が進んでいる。
米McDonald'sは最近になり、事前に注文しておき、店舗に出向いて注文した商品を「カーブサイドピックアップ(店舗駐車場で受け取る)」「店舗内で受け取る」「ドライブスルーで受け取る」のいずれかを選択してピックアップ可能なオーダーアプリを提供して話題になっているが、この支払い方法にApple Payを利用できるようになっている。
ショッピングの利便性を高めるうえで、オンライン決済は重要な位置付けとなりつつある。

Apple Pay CashとiPhone Xの顔認証


さて、このApple PayとiPhoneの最新の話題といえば「Apple Pay Cash」と「iPhone X」だ。「Apple Pay Cash」はiOS 11における新機能ではあるものの、同OSの配信がスタートした現在においてもまだ機能が有効化されていない。Apple Payが米国でスタートしたときと同様に、次のマイナーリリースとなるiOS 11.1の配信を経てサービスが利用可能になる予定だ。


▲iOS 11.1配信とともに利用が可能になるApple Pay Cashと「個人間送金(P2P)」


このApple Pay Cashは「個人間送金(P2P)」とセットの機能であり、相手から送金を受けたタイミングで有効化され、自身のWalletアプリ内にApple Pay Cashのバーチャルカードが作成されて、受け取った金額をプールできるというもの。

プールされた金額は残額としてバーチャルカード内に表示され、Apple Payでの決済のほか、再び個人間送金で相手に送ることが可能だ。
この機能はiMessageと密接に結びついており、フレンドに送金を促したり、あるいはメッセージを添えて送金したりと、チャットの過程で金額をやりとりする仕様になっている。

また、Apple Payに紐付いた銀行口座やカードに対して金額の"キャッシュアウト"もできる。この一連のやりとりで発生する手数料等の詳細はまだ不明なため、今後改めて検証していくが、競合サービスとの兼ね合いから、無料または1から3%程度の手数料が想定されている。


▲WalletアプリのApple Pay Cashカードには、このように送金してきた相手のメッセージと金額が表示される


トピックの2つ目は、11月3日に世界販売が開始される「iPhone X」だ。多くが知るように、iPhone XではTouch IDの指紋認証が廃止され、代わりに顔認証のFace IDが採用されている。Face IDについては後日改めて触れるが、「虹彩認証」の基礎技術と「A11 Bionic」を組み合わせることでより高度な顔認証を実現するものとなっている。


▲iPhone Xではサイドボタンをダブルクリック後、顔認証を経てタッチするという3ステップを踏む必要がある。ただ実際には顔認証は一瞬で終わるため、慣れればそれほど時間はかからないと考えられる


Face IDはロック解除には非常に便利なものの、これまでTouch IDに指を添えて非接触リーダーにかざすだけで決済が済んでいたApple Payにとって、「どうやって決済するのかわからない」という声をよく聞く。本誌でもすでに紹介済みだが、ここで改めて触れておこう。

iPhone Xを使って店舗での決済を行う場合、本体横のサイドスイッチをダブルクリックして顔認証を行い、ロックが解除された段階で非接触リーダーにタッチすることで決済が行われる。顔認証そのものは一瞬で行われるため、端末を目の前に取り出した状態でダブルクリックして、そのままリーダーにかざすだけだと考えてもらえばいい。

ロックが解除されてからリーダーにかざすまでの猶予時間は「Grace Period」と呼ばれており、Appleが公開したドキュメントを参照する限り、15秒の猶予が与えられている。
このあたりも実機が出回った段階で再度検証が必要だが、決済端末によっては処理完了までに30秒から1分程度かかるものもあることから、筆者は猶予時間内に処理が完了するか、トライ&エラーを繰り返す必要があると考えている。


▲Face IDによる決済承認を待つiPhone X。オンライン決済ではほとんど顔認証を意識することはないだろう

一方で、アプリやWebブラウザ、そして上述した個人間送金など、オンライン決済におけるFace IDはシンプルで、決済リクエストが発生したときに顔認証を行うだけだ。
実際に、こうした作業ではほとんどのユーザーは画面に顔を向けて操作しているため、この場合は一瞬で決済処理が終わると考えてもらっていい。


▲Apple Pay Cashと個人間送金サービスを有効にするiOS 11.1の配信タイミングは変わらず「Later this Fall」。だが、ほぼ時間の問題と考える


なお、Apple Pay Cashと個人間送金サービスの提供時期に関しては、Bailey氏が講演した10月後半時点でも「Later this Fall」のままだった。だが筆者は、iPhone Xのリリースを11月3日に控えていることからも、おそらくiOS 11.1の配信はほぼ時間の問題だと考えている。

もう一つ気になるのは、米国外へのApple Pay Cashと個人間送金サービスの拡大時期だが、ある関係者の話を聞く限り、Apple Payほど広域展開に時間がかからない可能性があるという。
通常の店舗決済に比べ、送金サービスはマネーロンダリングの問題も抱えているため、各国での承認が難しいケースもあるが、Apple Payの展開当初に比べればすでにその存在が認知されており、新たに各国でのパートナーを探してサービスを展開するのも比較的容易になっているから、と考えている。