Amazon Echo Dot速攻レビュー。スキル試行は最初のスマホ的な楽しさ、日本語周りは意外な弱点が
拡張機能の扱いから見えてくるGoogle Homeとの差とは
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Amazon Echo Dot速攻レビュー。スキル試行は最初のスマホ的な楽しさ、日本語周りは意外な弱点が
去る11月8日に、日本での発表となったAmazonのスマートスピーカーAmazon Echoシリーズ。招待制という若干特殊な形式ながらも15日の発売日を迎え、ついに待望の日本上陸を果たした。
となれば、次に、どうしても気になるのは、やはり実際の使い勝手はどうなのかといったところだろう。今回は最廉価モデルとなる『Amazon Echo Dot』を使い、さっそく日本版Alexa、そしてEcho Dotの使い勝手を試してみた。
設定のミソは「スキル」の導入
音声は日本語より、むしろ英語が混じると違和感が
まずは設定方法から紹介しよう。まずはスマホに専用アプリを入れ、Amazon Echo dotにWi-Fi経由で直接接続し、基本的な通信環境などを設定。その後自宅のWi-Fiに切り替える事で使えるようになる。もちろん、Amazonのアカウントを入力することになる。
次にスマートフォンのアプリで、使いたい音楽サービスを選んだり、スマホにおけるアプリ的な存在となる拡張機能「スキル」をあれこれ入れていく。
スキルに関しては、すでに日本でもさまざまな企業が提供している。
面白いのは資生堂が提供しているスキル。「アレクサ、資生堂で今日の天気を調べて」と話しかけると、天気予報に加えて「肌の乾燥に注意。湿度の低い日は肌から水分が奪われ潤いが不足がちです。ミストタイプの化粧水がおススメです」と、美容アドバイスをくれたりするのだ。
また特筆すべきは、ニュース関連が充実している点。そこで早速いくつかニューススキルを登録したのだが、すべて「アレクサ、今日のニュースは」で呼び出すようになっている。
そこで必要なのが、どのニュースを最初に読むかといった優先度の設定。ここはアプリ上から設定していく必要があるのだ。
▲Alexaの代表的なコマンド例(Amazon発表会より)
気になる日本語の読み上げだが、思ったほど不自然ではなく、なんとか聞けるレベルだ。ただ、日本語はまともなのだが、逆に英語が混じるとちょっと違和感があったりする。
例えばスマートフォンが「スマーーートフォン」とへんなところで伸びていたり、クアルコムのSnapdragonが「スナップドラガン」と、妙に外国人ぶった発音になったりするのだ。
このあたりの日本語の読み上げは、これから改善していくのだろう。
スキルをあれこれ試すのは
1台目のスマホを思い出す楽しさ
アプリ上で「どんなスキルがあるのだろう」とあれこれチェックしてみて、実際にスキルをオンにして話しかけるという作業は、その昔、スマホを買い、一生懸命にアプリを入れて楽しんでいた頃を思い出してしまった。
まさに、スマートスピーカーデビューは、スマートフォンデビューの再来のようで、なんだかワクワクしてくるから不思議だ。
このあたりは、スキルを提供しているAmazon Echoならではの楽しみ方だろう。
というのも、Google Homeも「Actions on Google」という、コンテンツ提供会社がGoogleアシスタント向けにサービスを提供できる仕組みが備わっているのだが、ユーザーはなんの作業もせずに、自由に使うことができるようになっているからだ。
ユーザーの利便性としては、導入作業がいらない、Googleのほうが便利そうに思える。実際、Googleとしても「ユーザーとの自然な会話をするうえで、さまざまな機能を提供していきたい」という考えがあるため、こうした枠組みになっているようだ。
しかし、Amazon Echoのほうは「スキルを探して有効にする」という手間があることで、ユーザーは「どんなスキルがあるのか、どう話しかければいいのか」を意識して使うことができる。
このあたりの使い勝手は、GoogleとAmazonで大きく違うところだ。
将来的には、GoogleとAmazonの
プラットフォームレベルでの闘いに?
このように現状では、GoogleとAmazonの拡張機能は、使い勝手の面で大きく扱いが異なっている。しかし結局のところ、スマートスピーカーにサービスを提供したいと考えるサードパーティ企業は、基本的に両プラットフォームに拡張機能を提供していくことになるだろう。
スマホの世界でも、昨今はiPhoneであろうと、Androidであろうと、使えるアプリにほぼ違いはないという状態になっている。この状態を踏まえて考えると、将来的にはGoogle HomeもAmazon Echoも、コンテンツ提供会社による拡張機能のラインナップには違いがなくなってきそうな気がしているのだ。
そのため将来的には、ユーザーは拡張機能の数種類でスマートスピーカーを選ぶのではなく、「きちんとユーザーが話す日本語を認識し、正確に応えられるか」という日本語処理能力、そしてそれぞれのプラットフォームが提供する「オリジナル機能」の違いが重要になってきそうだ。
さてここで、Amazon EchoとGoogle Homeの、それぞれの現状におけるメリットを考えてみよう。
Amazon Echoであれば、音楽や映像など豊富なコンテンツを抱え、しかも、音楽は4000万曲以上を月額380円で提供しているという強みがある。
今後、Amazon Echoに話しかけて、Amazonプライム・ビデオから見たい映像を探しだし、Fire TV経由でテレビに出力できれば、さらに便利だろう。
もちろん、使うか使わないかは別として、Amazon Echoに欲しいものを話しかければ、翌日には家に届くというショッピングができれば、それはAmazon Echoの大きな差別化につながる。
一方、Googleであれば、検索では一日の長があるし、日本語処理対応においても長い歴史がある。またスケジュールを管理しようと思った場合に、Googleカレンダーという大きく普及したアプリを提供しているのは、大きなアドバンテージだ。
また、テレビはAndroid TV、車はAndroid autoといったように、他のデバイスにおいてもすでにGoogle アシスタントを提供している。こうした強みも大きいだろう。
このように、現在、GoogleとAmazonはスマートスピーカーで戦っているように見えるが、実は、その背後にある「プラットフォーム全体」での勝負になっているように思える。
自社が提供するオリジナルサービスとスマートスピーカーをうまく連携させて利便性を強調し、「生活になくてはならないもの」に進化させ続けられたスマートスピーカーが生き残っていくことになりそうだ。
AmazonとGoogleの戦いは始まったばかりだ。