【ガルパン×咲】みほ「麻雀部チームとフリースタイルMCバトル?」【後半】
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【舞台袖 麻雀部側】
爽「……すいません、負けましたー」
由暉子「惜しかったです」
揺杏「そうそう。きわどかったと思うよ」
晴絵「そうだね。勝っててもおかしくなかった」
爽「……ありがとうございます」
ネリー「……ねぇ、獅子原」
爽「ん?何?」
ネリー「あの隠してるやつ、どうして使わなかった?使ってれば勝てたでしょ」
爽「…………まぁ、確かにね。でも相手を妨害するのは卑怯だと思ったから」
ネリー「………ふーん」
菫「……淡、気にするなよ?人それぞれ生き方が違うんだからな」
淡「べ、別に私のはズルじゃないですもん!」
菫「だが相手の思考に影響するではないか」
淡「むぅぅ……テルー!菫先輩がいじめるー!」
菫「やれやれ……」
晴絵「…………」
晴絵(相手への妨害は抜きにしても、獅子原さんならアンジーさんに勝てると思ったんだけど……上手くかわされたみたいだ)
晴絵(……何を話したのかわからないけど、バトル前の会話で、獅子原さんはほんの少し顔を強張らせた。おそらく、挑発か獅子原さんのプライドに関わるような話と思うけど…)
晴絵(その会話によって迷いが生まれたんだろうね。完全には力を発揮出来ていなかった。そのせいで、わずかな差ながら負けてしまった)
晴絵(……バトルの前から勝負は始まってる。アンジーさんは大洗を廃校の危機から守るために奮闘したみたいだし、大人との腹の探り合いで駆け引きは慣れてるみたいだ)
智葉「……次負けたら3人抜きだ。チームとしての成績ではイーブンになるだけだが、これ以上勢いをつけさせるわけにはいくまい」
ネリー「サトハが出ればいいんじゃない?そしたら止められるよ」
智葉「監督が望むならそうするつもりだが」チラ
晴絵「………その提案も悪くないんだけど、今回は別の子に出てもらうよ」
ネリー「へぇ……確実なチャンスを逃すんだ?スポンサーがいたら切られちゃうよ?」
灼「だ、だめっ!」
ネリー「え?」
晴絵「灼?」
灼「ハルちゃんは実業団リーグの時に、親会社の不振で解散という辛い目に遭ってる!もしスポンサーがいたらなんとかなってた!でも現実はダメだった!責めないで!」
晴絵「い、いや、それは……間違ってないけど……うん、でもそうやってかばわれると辛いから、ね?」
灼「私はエバーグリーンを忘れない!タオルとか今でも使ってる!確かに色落ちしやすいのは納得出来ません!でも落ちないよう気を付けてる!」
玄「あ、灼ちゃん。その辺にしておこう?赤土さん困ってるから」グイグイ
灼「いきなりエバーグリーンが解散した時は困ったと思う。その時のハルちゃんの心情は想像するに…」ズルズル..
智葉「………………」
ネリー「………………」
晴絵「……し、仕切り直すね」
ネリー「うん。で、誰を出すの?サトハより強い子なんて…」
晴絵「辻垣内さんよりどうこうじゃなくて、私が思う最善の人選だよ……………和!」
和「!私、ですか?」
晴絵「そ。アンジーさんを止めてきてよ」
和「…………私に務まるかはわかりませんが……精一杯戦います」キリッ!
智葉「……ふっ、絶対に勝てよ?」
和「そのような約束はできませんが、私自身はできるだけがんばるつもりです」
智葉「ならいい」クス
ネリー「……ま、サトハがいいなら文句ないけど」
和「咲さん、行ってきます。あの……エトペンを預ってもらっていいですか?」
咲「うん、もちろん。和ちゃん、応援してるね。頑張って!」
和「はいっ!」
灼「ハルちゃんも頑張って!人生!」
晴絵「う、うん。ありがと」
【ステージ】
和「………………」ザッ
杏「ほへ~、すっごいフリフリだねぇ~。ていうか、おっぱいデカイね♪」
和「………………」
杏「んー……無反応。寂しいねぃ」アッハハ
和「………………」
和『私、バトルに向いてないと思います』
久『あら、どうして?』
和『相手を攻撃とか、あまり好きじゃないんです』
久『またまたぁ。和の場合、そこにいるだけで貧乳の子にショックを与えてるじゃない』
まこ『わりゃあ、何言うとるんじゃ』
和『……そういうことではありません。言葉で相手を責めるのは苦手で……』
久『うん……和は優しいからそう思うのはわかるわ。でも和の頭の回転の早さと声質、そして冷静さはかなりの武器になる。だから参加して欲しいのよね』
和『しかし……』
久『それにね?絶対に相手を攻撃しなきゃいけないわけじゃないわ。相手の言葉を訂正したり、感想を言うようなアンサーの仕方もあるのよ?』
和『……ですが……』
久『……ねぇ、咲。和がフリースタイルで相手をガンガン倒しまくったら可愛いし、もっと好きになるわよね?』
咲『はい、確かに。私はフリースタイルで相手を倒す人を可愛いと思うのでもっと好きになるでしょう』
和『フリースタイルの申し子になります』キリッ
久『決まりっ!』パチン!
まこ(間違いなく事前に仕込んどったな。情報番組の専門家のような口ぶりじゃったし。咲も巻き込まれて可哀想じゃのう。いや、和もじゃが…)
和「………………」
和(始めたきっかけは、部長に乗せられたからだとしても、今では即興で言葉を操るフリースタイルをとても楽しいと感じています…)
和(音に乗せてリズミカルに韻を踏み、そして内容を組み立てながら相手と対話する……麻雀とは違った楽しさがあります)
和(普段と違う言葉遣いをするのも最初は違和感がありましたが、違う自分がいるかのようでワクワクもしますし)
和(相手を攻撃するのが苦手なのは変わりありませんが、無理矢理攻撃しなくてもいい。人によって戦い方が違うのもまたフリースタイル……)
和(!いけません。もう試合が始まるのにボーっと考え事してました。今、この瞬間も咲さんが見ている。であれば、情けない姿は見せられません!全力で戦います!)ギラッ!
杏「!やる気は充分ってわけね」クス
役人「では、先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
杏「後攻にしまーす」
和「………………」
和(アンジーさんは獅子原さん以外にはじゃんけんで全部勝っている……)
和(……偶然極まりないですね)
役人「OK!先攻、麻雀部チーム のNODOCCI(のどっち)!後攻、戦車道チーム アンジー!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=F1GhkoUID9g
2:46
<第20戦 先攻 NODOCCI VS 後攻 アンジー>
和「これが記念すべき 20戦目」
和「NODOCCI の勝利を 知る天命」ワァァァ!
和「3人抜き阻止 して ランキングに載り」ワァァ!
和「祈り のように紡ぐ ライミング命」ワァァァ!
和「爽Pの輝き に負けぬよう 働き」ワァ!
和「負けたならば悲しい 悔しさ 禍々しい」ワァァア!
和「勝利なら僅差 でもいい だから審査員ら」
和「みんな『韻が品があっていいな』と言わせて勝ちます」ワァァァ!
杏「♪ど・ど・ど・どうしたんですか?」ワァァ! ♪DON’T TEST DA MASTER / BUDDHA BRAND
杏「ペンギンを忘れてきたんですか?」ワァァァ!
杏「自分の相棒すらも 置いてきぼり」
杏「その年齢にして早くも 老いてきとりますね」ワァァァ!
杏「品はあるかもね でも品で勝つのかね?」ワアァ!
杏「てか煮込んだら意外と出そう アクとかね」ワァァァ!
杏「ライミングなら うちにもっとすごいの揃っちまってる」
杏「だから 魅力感じないよ NODOCCIさん」ワァァァ
和「ここは戦場 だから 相棒は待機」
和「愛情深いし 安全圏での 対応が大事」ワァァァ!
和「煮込むのはワード そして 1つのパワーを」ワァァ!
和「韻に昇華して浴びせる 魅力のシャワーを」ワァァァ!
和「そうすれば勝つはず バスタブに浸かる芍薬(しゃくやく)」ワァァ!
和「カツカツの脳内から消える 煩悩 108つ(ひゃくやっつ)」ワァァァ!
和「悪態つく より大事 洗練された技術」
和「ディスに囚われない NODOCCI 名言だけ焼き付く」ワァァァ!
杏「焼き付く より遊びたい 野球(やきゅ)つく」ワァァ
杏「芍薬のバスタブに入って 余裕シャクシャク」ワァァァ!
杏「それがアンジー 煩悩まみれだよ」
杏「でも煩悩ゼロになったら人間じゃないよ」ワァァァァ!
杏「ディスらないスタイル いいね 大歓迎」
杏「でもその胸が私ディスってんだよ 許さんぜ?」ワァァァ!
杏「バストはくれてやる だから勝ちをくれ」
杏「ちっぱいの恨み 炎上中に 薪をくべる」ワァァ!
和「炎上中 でも無理 これを献上する のは」ワァァァ!
和「コツを掴もうと 不可能と 返答する」ワァァァ!
和「余裕シャクシャク で 呼吸が深く」ワァァア!
和「リラックス 私もそうなり楽する」ワァァ!
和「立ち遅れ ても勝ちをくれ はダメ」ワァァ
和「常に 足を即 出し踊る 勝ち残る」ワァァァ!
和「人は いつも求める ないものねだり」
和「でも 必死すぎたら 叶わないその願い」ワァァァ!
杏「そんなことなくね? 叶う人いるって」
杏「あ、別に胸デカくなりたいからじゃなくってね?」ワァァ
杏「てか踊るんじゃなくてキミ 踊らされてる」
杏「気付いてない 器の 底が透けてる」ワァァ!
杏「服も透けてるようなもん 体型っちゅうの?」
杏「一目でわかるね ボンキュッボン」ワァァ!
杏「で、ないものねだりは 叶わない?」
杏「ならキミの勝利も 叶わないってことだね~」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
和(……部長と同様、胸のことを言われましたね。やはりお二人は結構似た者同士なのでしょうか?)
杏(色々攻めてみたけど、まったく顔色変えないね……弱点を探そうにもやりにくい)
役人「では判定に入ります!先攻、NODOCCIが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、アンジーが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「まずはNODOCCIにポイントが入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「アンジー」
理事長「NODOCCI」
トシ「NODOCCI」
秋一郎「アンジー」
南浦「NODOCCI」
役人「勝者!麻雀部チーム、NODOCCI~~~~~!!!」
ワァァァァ!
杏「あー……」
杏(延長いけっかなって思ったけど……うーん、いまいち攻めきれなかったか)
和「…………」
和(とりあえず勝てました……一安心……です……///)ポーッ..
杏「ん?なんか顔赤くない?」
和「そう、ですか?でも大丈夫です。いつもこうなりますので」
杏「へー」
杏(勝負熱、ってやつかね?冷静なようで芯は熱い子なのかもね。冷泉ちゃんとちょっと似てるかも)
【舞台袖 麻雀部側】
まこ「お。顔が赤うなっとる」
久「いつものモードが入ったわね」
優希「のどちゃんが赤くなる。相手は死ぬ!」ジョ!
美穂子「死っ!?あの……そんなことをさせるわけには……」アセアセ
華菜「キャプテン!冗談ですよ!大丈夫だし!」
美穂子「死!?や、やっぱりそんなことは……!」
ゆみ「違う。今のは池田さんの口癖だ」
未春「というか華菜ちゃんが紛らわしいよ」
華菜「わ、私が悪いの!?い、いや!キャプテンを戸惑わせるのは罪だ……罪であります!」
ゆみ(口癖を封じられると普通に喋れないのか……?)
穏乃「戦車道チーム強い!アンジーさん強い!そんなのわかってる!」
憧「わ、急になに?」
穏乃「でも和が勝ってくれた!和すごいよ!」
玄「うん。カッコよかったよね」
灼「ハルちゃんもカッコいいってこと、忘れないでほし…」
玄「う、うん」
晴絵「灼、もう私を無理に持ち上げないでいいから。そうでもしないと誰からも褒められないのかなって逆に落ち込むからさ」
【舞台袖 戦車道側】
杏「やーらーれーたー!ごめんねぇ、みんな」
桃「いえ、会長は勝ちました!」
柚子「それは無理あるよ桃ちゃん。せめて『勝ってました』でしょ?」
桃「いや、勝ちったら勝ちだ!」
柚子「もう……」
杏「あのフリフリちゃん、思ったより強かったよ。戦うならそれなりの…」
麻子「問題ない。ねじ伏せる」ザッ
杏「ん?もう冷泉ちゃんが出るって決まったんだ?」
みほ「いえ、監督はまだ何も言っていませんが……」チラ
千代「………………」
麻子「…………監督」
千代「ふふっ、わかったわ。冷泉さん、お願いします」
麻子「!……了解」ザッ!
沙織「頑張って!麻子!」
華「いっぱい踏んでください!」
みほ「い、韻をね?ちゃんと言わないと変にとられちゃうよ」
優花里「あああぁ……!?に、西住殿に変なところを……そんな……///」
そど子「べ、別に冷泉さんに勝ってほしくないわけじゃないんだからねっ!」
カチューシャ「……それにしても、マコーシャったら、ずいぶん気合い入ってるみたいね」
ノンナ「同系統のスタイルでの戦いです。ライミングでのぶつかり合いがしたいのでしょう」
クラーラ「私はカチューシャ様と裸でぶつかり合いたいです(ロシア語)」
カチューシャ「い、今なんて言ったの?」
ノンナ「楽しいな試合になりそうです、と」
カチューシャ「そうなの?クラーラ、日本語で喋りなさいよ!」
クラーラ「はい」
カチューシャ「……『はい』はちゃんと言うのよね……」ハァ..
【ステージ】
和「………………」
麻子「………………」ザッ
役人「では次のバトルを始めたいと思います!先攻後攻じゃんけんをしてください」
ジャンケンポン
麻子「先攻だ」
和「!」
和(麻雀では先制リーチはけん制になりますが、バトルにおいて不利と言われる先攻ですか。意外と血気盛んな方なのですね)
役人「OK!先攻、戦車道チーム REZE!後攻、麻雀部チーム NODOCCI!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=nCL3hufJdkg
2:34
<第21戦 先攻 REZE VS 後攻 NODOCCI>
麻子「先制攻撃 こいつ 全然強敵 じゃない宣言」ワァァ!
麻子「上出来な ライム投擲 どちらが上か 問う敵だ」ワァァァ!
麻子「真っ赤な顔 経験不足 やっぱ若造」ワァァ!
麻子「REZE ライムの女神を 永遠口説く」ワァァ!
麻子「毒々しいディスも続々言い つつ」ワァァ!
麻子「ゾクゾクし ながら 地獄送り」ワァァァ!
麻子「全て奪う 残らない 余命すらも」
麻子「誰が何をしようと 蘇生不可能」ワァァァ!
和「蘇生不可能 のケースなど 打破」ワァ
和「前人未踏 NODOCCIが 先陣切ろう」ワァァァァ!
和「ペース落とさず 前進しよう その結果」
和「賢人思考へ 変身し豹変し頂点にGO」ワァァァァ!
和「ライムの数、質 そこに確執 隠しつつ」ワァァ
和「客室 を沸かす 策士風 埋める 白地図」ワァァァ!
和「攻撃されて 困るの始めだけ」
和「私の負け そんなオカルトありえません」ワァァァァ!
麻子「逆だ逆 その頭脳は 役立たず」ワァアァ!
麻子「お前と私じゃ 互角とは言えません」ワァァァァ!
麻子「書き込まれた白地図 各地区から駆逐」ワァァ!
麻子「確実に 白日に晒す まるで アダム、イヴ」ワァァァ!
麻子「オカルト 科学 どうなるとヤバく なるか」ワァァ
麻子「ここで検証しよう そしてこのまま 決勝行こう」ワァァ!
麻子「韻のレベル数値化したら お前が一番ケツ」
麻子「REZEはライムと 一致団結」ワァァァ!
和「一致団結なんですか 私はとにかく 初志貫徹」
和「REZEさん 退場の お時間です」ワァァァ!
和「急な数値化 お遊戯な 稚拙さ に切ない」ワァァァ!
和「最下位が 倍々アップ で新境地 再開発」ワァァァ!
和「大体まず 急に何故 アダムとイヴ?」
和「なんか凄い風 ですが 絡むノイズ」ワァァァァ!
和「デジタルで満たす デミタスより大きくてリアル」ワァァ!
和「そんな的確 ライム 敵かく乱 する積乱雲」ワァァァァ!
麻子「積乱雲 切り裂く ジェット機 乗り」
麻子「劇団風 より自然な Let It be」ワァァァ!
麻子「デッドヒートに なってきたがZ(ゼット)、E(イー)とT(ティー)」
麻子「T.A.I(てぃーえーあい) 勝つ位置へポジショニング」ワァァァ!
麻子「REZEとNODOCCIの どっちの料理ショー」ワァァァ!
麻子「超理想な ライム量、競う ある意味 相思相愛」ワァァァ!
麻子「判定どうしようか 迷うようなら こっちが頂上だから」ワァァァ!
麻子「好評のオーラ 出てるREZEに上げとこうか」ワァァァァ!
和「好評のオーラ 出てない 状況を網羅」ワァァァ!
和「籠城のような 守備も 飄々と踏破」ワァァァァ!
和「強化して 上り詰める 使命を 今日課してく」ワァァ
和「そのように 五感楽しませる まるで京菓子です」ワァァァ!
和「どうかしてる REZEの強すぎる 自己愛 まず」ワァァ!
和「そこを抑えてからが真の 喜怒哀楽」ワァァァ!
和「人がいます ステージの外 もっと客観視」
和「でなければ 簡単に シャットダウン、死」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァ!
麻子「………………」
麻子(こいつ……やはりかなりデキる)
和「……………///」ポーッ..
和(どうしてでしょうか……?この人に対しては、やたらと攻撃的になってしまいます)
和(バトルが続くと熱っぽくなるとはいえ、ディスは苦手なはずですが……)
和(…………私の中に、ライミングでは負けたくないという気持ちが芽生えているのでしょうか?)
役人「では判定に入ります!先攻、REZEが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、NODOCCIが勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
役人「まずはNODOCCIに1ポイントが入ります」
麻子「っ……!」
和「…………」
役人「続きまして、審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「NODOCCI」
理事長「REZE」
トシ「REZE」
秋一郎「REZE」
南浦「NODOCCI」
役人「3対2でREZE!ということは……延長戦です!」
ワァァァァ!
麻子「…………」ホッ
和「……………」
【舞台袖 戦車道側】
沙織「あ……っぶなかったぁあああ……」
優花里「心臓が止まるかと思いましたぁ!」
みほ「私も……」ハァァ..
そど子「………………」
華「あら。そど子さん、白目になっていますわ」
ペパロニ「器用っすね~」
アンチョビ「緊張しすぎて気絶してるんだよ!芸じゃない!」
オレンジペコ「助かりましたが……審査員の判定の決め手はなんだったのでしょうか?」
千代「NODOCCIさんの『オカルトありえません』に対するアンサーと、あとはワードチョイスが良かったことでしょうね。『絶対』をZETTAIと読んで踏んだり、『白日に晒す』の例えとして『アダムとイヴ』を使ったり。そういうところが良かったわね」
ケイ「ソドコが白目を晒してるのもポイントになったのかな?」
アリサ「なるわけないでしょう」
ナオミ「しかしきわどいな。実力が拮抗してる分、どっちが勝ってもおかしくない」
【ステージ】
役人「延長戦の先攻後攻を決めてください」
麻子「…………」
和「……………」
ジャンケンポン
和「後攻お願いします」
役人「OK!先攻、戦車道チーム REZE!後攻、麻雀部チーム NODOCCI!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=2L_o1VlZwT0
3:34
<第21戦 先攻 REZE VS 後攻 NODOCCI 延長戦>
麻子「延長 謙虚無し 限度振りきり ライム専属」ワァァ!
麻子「めんどくなるよう 全力出すよ それが 面目躍如」ワァァァァ!
麻子「芯が一層 強くなる 死んじゃいそう なほどに」
麻子「みんな印象 変わる 加わる 審査員票」ワァァァ
麻子「先攻 立場ワリィ でもこれ足がかり にして成りあがり」ワァァァ!
麻子「成功先回り 抵抗、断ちワナビー じゃないと証明の上」ワァァ!
麻子「大笑いで手にする王冠 高難度の技を何個も決め」ワァァ!
麻子「冗談 じゃなく 表紙を飾ってみせる 大洗ウォーカー」ワァァァ!
和「その大洗ウォーカー 読まず このまま行こうか」ワァァァ!
和「また私情 入った 果たし状 返り討ち 降らせます 旗は白」ワァァ
和「死んじゃいそう 大げさ REZE株 もう値下げ」ワァァ!
和「でも人気ありそう 教祖のよう だからここで 信者一掃」ワァァァァ!
和「韻が吉報 もたらす アドレナリンを 脳垂らす」ワァァ
和「つまりジョーカー枠 試合支配しハイになる クォーターバック」ワァァァ! ※クォーターバック・・・アメフトの司令塔的なポジション
和「勝算無く 戦うのでは 妙案湧く ことはありえません」ワァァ!
和「等間隔 で訪れる敗北 REZEのお嬢さん泣く」ワァァァ!
麻子「お嬢さんなのは 見た目的にNODOCCI」ワァァ!
麻子「勝算あるが 教団は無い 量産型じゃない ライマーの総本山だ」ワァァァァ!
麻子「韻が吉報 なら 進化しそう REZE ライムマシンが疾走」ワァァァ!
麻子「ハードなライマーがドライなトライは終わりだ と開花し ハートが湧いた」ワァァァ!
麻子「アメフト 知らず適当言うと 評価下げるぞ? まるで鍋奉行」ワァァァ!
麻子「試合支配 するのはREZE 期待に対して 理解しライム」ワァァァ!
麻子「NODOCCI 見てる 違うとこ ポトポトこぼす ティアドロップ」ワァァァ!
麻子「私に涙は似合わない というか負けて 恥はかきたかない」ワァァァ!
和「恥かきたかない のは 涙が汚いから この意見が忌憚ない」ワァァァ!
和「時間内に 至高のライム 詰め込んで REZEを肥満体 にします」ワァァ!
和「内臓脂肪 たっぷりで ガックリして 退場しよう とする姿」ワァ!
和「一体どうしよう?と 毎秒後ろ 振り返る 次は無い」ワァァ!
和「ライマーの座はNODOCCIの元に でも冷静 ほどほどに驚き」ワァ
和「私がいた場所 空いた隙間 には王座から ライム配達します」ワァァァ!
和「改革には 時間いりません 誰もが抱く 悲観視に負けず」ワァァ!
和「期間気にはせず ひたすらライムし 異端児 見分ける」ワァァ
麻子「文脈崩壊 状態 そんな異端児 見分ける」ワァァァ!
麻子「そっと近付いて 膝、ついでに 他のところも 痴漢しニヤける」ワァァアァ!
麻子「嗅ぎ分ける 偽者と本物 根性より本能で落とす どん底」ワァァ!
麻子「肥満体 コレステロール 気にしない 秘めてる 情熱で勝負」ワァァァ!
麻子「玉座ならすぐ取り戻す 隠れ家 で計画練る 革命家」ワァァ!
麻子「極秘の任務や 食事の人数 品物もこだわる 各メーカー」ワァァァ!
麻子「そしてNODOCCI撃破 こいつがどいたらスッ といただく」
麻子「王座 そんなもんだ 問いただす 価値も無いな 遊んどけ トイザらス」ワァァァ!
和「トイザらス より恋焦がす 私は個性の濃い子が好き です」ワァァ
和「このビート 上手に乗りこなす 語彙も豊富に織り込ます」ワァァ!
和「革命家 の策は 楽に撒く計画 確定前に 砕く学生だ」ワァァァァ!
和「悪性は 躊躇なく制圧 REZEの企みレベルは 学芸会」ワァァァ!
和「常に自分を高め 牌の道 のように進みたいオリジン」
和「それがマイノリティ でも気にしない これが等身大の意志」ワァァ!
和「相乗りし てくれる人たちと過ごす人生 すごく新鮮」
和「だから 打ち抜くライムで急所 手にするマイクで優勝」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
麻子「………………」
和「………………//」ポーッ..
麻子(NODOCCI……ボーっとしてるようで相変わらずライムは固い。しかもあれだけの早口なのに聞き取りやすい。滑舌も声の通りもいい、か)
和(……DVDで観た通りの人ですね。ここまでライミングに特化した人とのバトルは楽しいです)ポーッ
役人「延長戦の判定に入ります!それではまず先攻、REZEが勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
役人「……後攻、NODOCCIが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「まずはREZEに1ポイント入ります」
麻子(よし……!)
和「……………」
役人「……審査員のみなさんの判定はどうでしょうか…………お願いします!」
ババン!
亜美「REZE」
理事長「REZE」
トシ「NODOCCI」
秋一郎「NODOCCI」
南浦「REZE」
役人「3対2!勝者!戦車道チーム、REZE~~~~~!!!」
ワァァァァ!
麻子「……よしっ!」グッ!
麻子(あ……喜びのあまりガッツポーズしてしまった……私らしくない)ポリポリ
和「………………」
麻子「……ずいぶん落ち着いているな」
和「……そう見えますか」
麻子「ああ」
和「…………私自身、そうあろうとはしています。ただ……」
和(麻雀は運の要素が強く、最適打を選択してもどうにもならないことがある分、冷静に受け止められるのですが……)
和(フリースタイルバトルは運の要素も多少はあるにせよ、基本は実力勝負。そしてこの延長戦は私が後攻を選んだ上で負けています……つまり、私の全力が通用しなかったということで……)
和(この悔しさは……咲さんと出会った当初に味わったものと同類の……)ググッ..
麻子「あー、すまん。試合後にデリカシーの無いことを言った」
和「え?」
麻子「とりあえず……握手」スッ
和「あ、はい……ありがとうございました」ガシッ
麻子「ん、どうも」
麻子(私もステージで初めて負けた時は悔しかった。私と同じ気持ちかはわからんが、心情を聞くのは野暮だったな)
【舞台袖 戦車道側】
そど子「べ、別に冷泉さんが勝って嬉しいとか、そういう姿を見るのが好きとか言うわけじゃないんだからねっ!」
みほ「あの、誰も何も言ってないですけど……」
沙織「でも麻子が勝ってくれてよかったよ~」
華「ええ。安心しすぎてお腹が空いてきました」
沙織「それは単に華がお腹空いてるだけでしょ」
ペパロニ「腹減ってんすか?ならこの鉄板パスタを食うといいっすよ!」サッ!
華「まあ!ありがとうございます!」
みほ「試合中にジュージュー鳴ってると思ったら…」
沙織「というか舞台袖でパスタ作っちゃダメだよ!」
ペパロニ「そっすよね~。カセットコンロじゃ火力が足りないっす」
沙織「そういう意味じゃなくて!」
華「おかわりお願いします!」
沙織「食べるの早い!」
千代「………………」
千代(かなりきわどい勝負だったわ。どちらが勝ちでもおかしくない試合……まさに紙一重と言えるわね)
【舞台袖 麻雀部側】
和「負けてしまいました。すみませんでした」
久「ううん、上出来よ。勝っててもおかしくない勝負だったわ」
和「しかし…………悔しいです」
咲「和ちゃん……」
爽「悔しい気持ちはよくわかるよ。だからとりあえずさ、そのエートーペンとかいう人形を抱きしめて、負けた悔しさを慰めるといいよ」
和「エトペンです。ベートーベンみたいに言わないでください」
爽「ありゃ、そうだったのか」アハハ
和「でも……そうですね。獅子原さんの言う通りにしてみます……」ギュッ..
咲「の、和ちゃん?その……エトペンをっていうより、私ごと抱きしめてるけど……//」
和「それが……いいんです///」
咲「そ、そっか……」
和・咲「…………///」
優希「………………じょ」
煌「すばらです」
穏乃「うーん……なんかよくわかんないけど……和は頑張った!」
憧「そだね」
灼「ハルちゃんも頑張った」
晴絵「灼、もういいから。で、次の選手だけど、池田さんにお願いするわ」
華菜「にゃっ!?」
美穂子「出番ね、華菜」
華菜「は、はい……うわ、なんか急に緊張してきたし」ドキドキ
貴子「池田ァッ!!」
華菜「ひぃ!?」
貴子「てめぇ、ここに来て日和ってんじゃねぇぞクソ生徒がッ!!学費払えや!」
華菜「こ、コーチ!?いたんですか!?それと学費は払ってます」
貴子「池田ァッ!の出番が来るまで息を潜めて隠れてたんだよダボがァ!」
華菜「な、何故そんなことを……」
未春「実は見えてましたけどね」
美穂子「そうね」クス
貴子「てめぇが気合い入らねぇようならビンタしてやろうと思ってな!右手の準備は出来てっぞ!」
晴絵「ちょ、久保さん。このご時世にそんな……あとで問題になりますって」
貴子「私は今を生きてる!今しか見えねェ!!」
晴絵「バトルマンガの主人公のようなこと言わずに、落ち着いてください」
貴子「……ちっ、わかりました。命拾いしたな池田ァッ!だがその左頬、予約しとくからな!」
華菜「…………ぷっ」
美穂子「華菜?」
華菜「あははは!なんかコーチがいつも通りすぎて、部室にいるみたいだし!」
貴子「ここは部室じゃねェぞ!わかってンのかコラァ!」
華菜「はい、わかってます」
貴子「……だったらいい。というか……マジで勝てよテメェ。もし負けたら口に金平糖含ませて腹パンすっからな」
華菜「は、はい!!」
未春(金平糖が効いてない気がするけど……)
美穂子「頑張ってね、華菜。これ、飲み物よ」
華菜「ありがとうございますキャプテン」
貴子「ぶちのめしてこい!髪の毛むしりとる気合いで行け!」
華菜「ふ、普通に頑張るし」
【ステージ】
麻子「………………」
華菜「………………」
役人「さあ、それでは始めます。先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
華菜「後攻にするし!」
役人「OK!先攻、戦車道チーム REZE!後攻、麻雀部チーム EKda(イーケーダ)黒ねこ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=WRSJrTOylgo
2:18
<第22戦 先攻 REZE VS 後攻 EKda黒ねこ>
麻子「EKda黒ねこ 今日すぐ解雇」
麻子「温室に戻りな 動物愛護」ワァァ!
麻子「少ないよ 黒ねこへの愛情」
麻子「でも大丈夫 最後まで飛ばしとく」ワァァァ!
麻子「2人目の相手 お前じゃ 物足りねー」ワァ!
麻子「NODOCCIクラスの敵 ほど会いてぇ」ワァァ
麻子「パッと見でわかる きっと 単細胞」
麻子「強敵前の繋ぎ ただの 案内所」ワァァ!
華菜「聞いてて普通に 違和感だし」
華菜「ライムだけしか 取り柄無いし」ワァァ!
華菜「だったら私は 真っ直ぐに潰すのみ!」
華菜「舐めるなし 背負う 風越女子!」ワァァァ!
華菜「単細胞でも REZEみたくなんないよ」ワァ!
華菜「散々ライミング で何も残んないもん」ワァァ!
華菜「強敵への案内所? それは間違い」
華菜「実は惨敗への案内所だし!」ワァァァ!
麻子「惨敗 よりも乾杯 合わせるグラス」
麻子「黒ねこはただ 重ねるブラフ」ワァァ!
麻子「風越女子 勝つための祈り」ワァァ!
麻子「それは通用しない 賭けも実り はせず」
麻子「ここで落ちぶれ 時すでに遅し」
麻子「だって足りてないよ 腕に重み」ワァァ
麻子「常に心地 いいライム を届ける」
麻子「だから観客も素直に 驚ける」ワァァ!
華菜「別に客は驚くために来てないし!」ワァァァ!
華菜「熱い戦いが見たいから来てるし!」ワァァ!
華菜「その期待 ちゃんと理解してる?」ワァァ!
華菜「ブラフばっかりなのは REZEの方だし!」ワァァァ!
華菜「爽快なライムよりも 内容重視!」ワァァ!
華菜「思ったこと 言葉にして言うし!」ワァァ!
華菜「風越 勝つために祈りはしないし」
華菜「自分の力で勝つし! この試合に!」ワァァァ!
麻子「内容重視 そんなものは培養済み」ワァ
麻子「懐古趣味 も最新も 最高風味」ワァ
麻子「で味付け きっちりと 話しつける」
麻子「そしてスッキリ 悩みの無い 肌質へ」ワァァ
麻子「またしつけー ヤツの言葉は雰囲気」
麻子「不人気 な教師が 赴任し たよう」ワァ
麻子「漂う さまよう 黒ねこの魂」ワァ
麻子「話にならない 猫だまし のがマシ」ワアァ!
華菜「だから 騙さないって言ってるし!」ワァァ!
華菜「話 単語でしか聞いてないし!」ワァァァァ!
華菜「どこ拾ってライミング出来るかだけ!」ワァァ!
華菜「っていうか 培養されたなら作り物だし!」ワァァァア!
華菜「何も関係ない 突然の 懐古趣味」
華菜「最高風味? 何それどういう意味?」ワァァァ!
華菜「適当すぎ 本当に しょうもない」
華菜「さまよってるのは REZEの方だし!」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
役人「では判定に入ります!先攻、REZEが勝ったと思う人!」
ワァァ!
役人「……後攻、EKda黒ねこが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
華菜(よしっ!)
麻子「っ……」
役人「まずはEKda黒ねこに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「REZE」
理事長「EKda黒ねこ」
トシ「EKda黒ねこ」
秋一郎「EKda黒ねこ」
南浦「EKda黒ねこ」
役人「勝者!麻雀部チーム、EKda黒ねこ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
華菜「にゃーーーーーーー!!!」
麻子「………………っ」
【舞台袖 麻雀部側】
未春「やった!」
星夏「勝ちましたよキャプテン!」
美穂子「ええ。すごいわ、華菜……」ホロリ
貴子「池田てめェ!調子ノんじゃねェぞ!あぁ!?コラァ!」ニヤリ
胡桃「…………」ソワソワ
塞「久保さんの言葉遣いを注意したいんだろうけど、やめておいた方がいいよ?」
豊音「私もそう思うよー。あのひとちょーこわいよー」
洋榎「せやな。そもそも金髪にまともなヤツはおらんしな」
由子「古臭い偏見はクソダサよー」
灼「っ!」ビクン
憧「灼さん、反応しなくても大丈夫。あの人は灼さんの私服がダサいことを指摘してるわけじゃないから」
灼「そ、そんな心配、してない……//」
【舞台袖 戦車道側】
カルパッチョ「REZEさん……」
桃「何ぃ!?冷泉の負けなのか!?納得できん!」
優花里「監督殿。今の試合は……」
千代「……REZEさんのライミングは相変わらず固く決まっていました。けれど、相手に的確なダメージを与えるには至らなかった。対するEKda黒ねこさんは、高いバイブスと終始ブレない姿勢で戦い、さらにアンサーもきちんと返していた……その差でしょうね」
優花里「そう、ですか……」
麻子「…………戻った」
沙織「あ……おかえり麻子」
みほ「麻子さん、お疲れ様」
麻子「ああ。しかし……NODOCCIに勝った勢いで押し切るつもりだったが……どうもやりにくい相手だった」
みほ「とにかくバイブスが高い人だね」
麻子「隙はあるんだが、そこを攻めきれなかった……」
まほ「……彼女が負けるとはな」
エリカ「ここから観てる限りだとそう強い相手とも思えないですけどね。なんか普通に勝てそうな気がします」
まほ「エリカにとっては噛み合うスタイルかもしれないな」
エリカ「負けてなければ私が出たのに……監督は誰を選ぶんでしょうか?」
まほ「似たタイプをぶつけての真っ向勝負か、相手の勢いをすかすタイプにするか、作戦によるな」
エリカ「監督次第というわけですね」
千代「お疲れ様でした、REZEさん。では次は………カチューシャさん、お願いします」
カチューシャ「!とうとうカチューシャの出番が来たのね!まちわびたわ!」
まほ「……どうやら、監督は前者を選んだようだな」
エリカ「ですね」
【ステージ】
華菜「………………」
カチューシャ「ふふん」
華菜(ちっこくて可愛い……けど年上なんだよな)
役人「それでは、先攻後攻を決めるじゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
カチューシャ「先攻に決まってるじゃない!むちなしかいしゃね!」
役人「お、OK!先攻、戦車道チーム カチューシャ!後攻、麻雀部チーム EKda黒ねこ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=VzNxpdaIb0s
2:48
<第23戦 先攻 カチューシャ VS 後攻 EKda黒ねこ>
カチューシャ「あのREZEに勝利 素直に驚き」
カチューシャ「でもこの子、『し』って言いすぎだし!」ワァァァ!
カチューシャ「そんなに好きなら プレゼントあげる」
カチューシャ「圧死 憤死 壊死 瀕死 可哀想だけど 阻止は無し!」ワァァァァ!
カチューシャ「もしもし猫さん 楽勝ムード」
カチューシャ「せめてもの情けに キャットフード」ワァァァ!
カチューシャ「食べたら とっとと あっち行けと 指・示!」
カチューシャ「水入りペットボトルを置いて シッシッ!」ワァァァ!
華菜「猫よけに ペットボトルは迷信だし」
華菜「楽勝じゃないし 空回り丸出し」ワァァ
華菜「あんたの方が よっぽど子猫っぽいし」
華菜「親猫のところに とっととお行き!」ワァァ!
華菜「自分の口癖 把握してるし」
華菜「でも それを誇るのが私だし!」ワァァァ!
華菜「確かに 不利な部分もある 自覚ある」
華菜「ただそれでも貫く自我 それがリアル!!」ワァァァ!
カチューシャ「最後に吠えるにゃんて にゃんとも可愛い」ワァ!
カチューシャ「とは言え それ 結局 エゴにゃんじゃにゃい?」ワァァ
カチューシャ「今のバース にゃがにゃが(長々)屁理屈」
カチューシャ「言ってるだけだにゃ カット! テイク2」ワァァ!
カチューシャ「口癖 誇るんじゃなくて 開き直ってるんでしょ?」ワァァ!
カチューシャ「普通にバトル出来ない言い訳 つまりはブラフ」ワァァ!
カチューシャ「何を言っても叫べばいいと思ってる バカ猫」ワァァ!
カチューシャ「相手にならない だって所詮 Sucker(サッカー)でしょ」ワァアァァ! ※未熟者
華菜「途中で 猫しゃべり やめる方が未熟だし!」ワァ
華菜「偉そうにしてるけど お前 年 いくつだし!」ワァァ!
華菜「というか年齢よりも 見た目に貫録無し!」
華菜「私は風越女子 背負って来てるし!」ワァァ!
華菜「エゴとは正反対 ブラフなんかじゃないし!」
華菜「覚悟決めて戦ってるし! 意志 ハンパじゃないし!」ワァァア!
華菜「あんたなんか絶対 意地でも ぶっ倒すし!」
華菜「そして自分にも勝つし! 獅子奮迅!」ワァァァ!
カチューシャ「私はプラウダの学園艦を背負ってるのよ!」ワァァ!
カチューシャ「規模が違う 二度と間違うんじゃないわよ!」ワァァァ!
カチューシャ「そもそも学校背負って戦うなら 不利になるような」
カチューシャ「口癖 直さない 意味不明!風越より自分が大事なの!?」ワァァァァ!
カチューシャ「相変わらず叫ぶだけな上に 『しーしー』やかましいし!」ワァァ
カチューシャ「奥歯に何か挟まってんの!? 使いなさい つまようじ!」ワァァア!
カチューシャ「まったくもって話にならない 何が獅子奮迅!」
カチューシャ「それこそが空回り 全然出来てない危機管理!」ワァァァ!
華菜「危機管理と獅子奮迅 踏み外してるし!」
華菜「風越 重荷じゃないし 固い意識 で攻めるし!」
華菜「あんたの小さい背中じゃ 学園艦は乗せられないし!」
華菜「つまりEKda黒ねこの勢いは 止められないし!」ワァァ
華菜「逃れられない運命だし ここで決めるだけだし!」
華菜「逆境もくじけないし それが私の武器だし!」ワァ!
華菜「空回り後の 力強さを見せつけるし!」
華菜「カチューシャ 延長戦で必ず沈めるし!!」ワァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
カチューシャ「………………」
華菜「………………」
役人「では判定に入ります!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、EKda黒ねこが勝ったと思う人!」
ワァァ!
役人「まずはカチューシャに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「カチューシャ」
理事長「カチューシャ」
トシ「EKda黒ねこ」
秋一郎「カチューシャ」
南浦「カチューシャ」
役人「勝者!戦車道チーム、カチューシャ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
カチューシャ「ふふん!とうぜんのきけつよ!」
華菜「………………」ガックリ..
華菜(せっかくキャプテンやみんなが応援してくれたのに……くっ!)
華菜「……こんどは」
華菜「今度はこっちがぶちのめしてののしる番だし!」
カチューシャ「受けて立つわ!カチューシャのむてきさにひれふすことになるでしょうね!」
華菜「ふんっ!」
華菜(この悔しさは絶対リベンジで晴らすし!)
【舞台袖 麻雀部側】
美穂子「華菜!」
華菜「……負けちゃいました」
美穂子「でもすっごく頑張ってたわね。私は華菜を誇りに思うわ」ニコリ
華菜「きゃ、キャプテ…」
貴子「池田ァッ!」
華菜「は、はい!」
貴子「てめェ……試合後のアレはなんだ」
華菜「え?試合後……?」
貴子「試合中は仕方ねェ。けどなぁ…………相手の選手は先輩だろうが!タメグチきいてんじゃねェ!」
華菜「す、すみませんでした!」
貴子「だからてめェは殴られる運命なんだよォ!」
華菜「!!」
貴子「地獄の底で寝ぼけな!オラァッ!」ブンッ!
華菜「っ!」
美穂子「コーチ!」
コツン
華菜「…………え?」
貴子「………………」
華菜「コーチ?今の、頭にコツンって軽く当たっただけですけど……」
貴子「……今は全然痛くなくてもよォ……今夜激痛で眠れねェんだよ。そういうテクだ」
華菜「…………」
貴子「……先輩にタメグチは万死に値するが……てめェがクソ頑張ったことはわかってる……風越の名に泥を塗るような真似はしてねェ」
華菜「コーチ……!」
貴子「勘違いするんじゃねェぞ!私はいつだっててめェをビンタするつもりで部室にいるんだ!その気持ちは今日も変わらねェ!少しでも気を抜いたらいくからな!」
華菜「は、はいっ!」
美穂子「華菜……コーチ……よかった……」ホロリ
胡桃(きもちわるい……全然いい話じゃない!)
ネリー「………………」
智葉「どうしたネリー?急に黙り込んで」
ネリー「……あの人、私がサトハにタメグチしたら怒るかもと思って」
智葉「他校に対して手は出さないだろう」
ネリー「でも金髪だし……常識では測れないよ」
由子「金髪へのヘイト反対なのよー」
淡「ほんとだよ!そんなこと言ったら亦野先輩なんてもっと派手な色だよ!」
誠子「淡!?」
菫「しかも短髪だ……名門・白糸台で一番パンクな髪色をしている人間が文化系の部に所属しているのは常識破りだな」
誠子「弘世先輩まで!」
照「2人とも言い過ぎ。趣味である釣りにかけて、沖縄にいるカラフルな魚であるイラブチャーをイメージした色にしてるだけ。むしろキャラクターを立たせようと頑張ってると褒めるべき」
誠子「違いますしフォローになってないです!美容院で『イラブチャーみたいな色にしてください』って言う人がいるわけないでしょう!」
【舞台袖 戦車道側】
ノンナ「…………」ボタボタボタ..
アッサム「ああっ!?ノンナさん!鼻血出ています!大変ですクラーラさん!ノンナさんが…」
クラーラ「落ち着いてください。私も出ています」ボタボタボタ..
アッサム「落ち着けませんよ!それに何故!?」
ノンナ「カチューシャの猫語がキュートすぎて鼻血を誘発しました」ボタボタボタ..
オレンジペコ「せ、説明はいいですから!ティッシュで拭いてください!」サッ
ダージリン「聖グ口リアーナでは鼻血を見ることなんて滅多にないわ。こんな風に言ったら申し訳ないけれど、新鮮でワクワクしてくるわね」
ローズヒップ「わたくしもですわー!血がたぎりますわー!」
ニーナ(…………聖グロの隊長さん、優しそうな人だと思ってたけんど、やっぱ一癖ある人だっただぁ……)
沙織「それにしても、今のバトルのEKda黒ねこさん、麻子の時みたいに勢いはあったし、大きなミスをしたって感じはしなかったんですけど、お客さんの沸き方とか全然違ってたのはどうしてですか?」
千代「カチューシャさんの的確な攻撃が大きいわね。語尾に『し』をつける口癖を指摘したカチューシャさんに対し、『そんな口癖の自分を誇る。自我を貫いている』と返したのは良かったけれど、それに対してカチューシャさんは『口癖 誇るんじゃなくて 開き直ってるんでしょ?』とアンサーしたわ。これによって、今まではフロウに心地よさを生んでいた語尾の『し』が違和感として聴こえるようになっていったんだと思うわ」
沙織「なるほど……」
千代「それにカチューシャさんのバイブスが高まって声を張り上げているけれど、内容があるから『叫んでるだけ』とは返せない。EKda黒ねこさんの『風越女子を背負ってる』もREZEさんの時に使っているからインパクトは弱まっていて、そこをカチューシャさんがアンサーで『学園艦を背負ってる』という言葉で一気に空気を自分のモノにした印象ね」
杏「あとさ、ノンナさんたちが鼻血出した原因にもなった猫語?あの『にゃ』を使ったアンサー。あれも効果的だったよね」
沙織「そうなんですか?」
杏「もちろん。相手が口癖あるところを拾って、『黒ねこ』ってゆーMCネームとかけて猫の鳴き声を語尾に付けるおちょくりだよ。それによって相手のバイブスをいなして自分のペースに持って行った感じだね。しかも途中の『カット! テイク2』の後は普通のスタイルに戻すとことか、構成力があって面白かったしねー」
アンチョビ「だが、その辺りはカチューシャっぽくなかった気がするな。どちらかと言えばアンジーやケイのスタイルに似ていた」
千代「戦車道チームでの練習によって成長したのでしょうね。自分に足りない戦い方を身に付けたのよ」
杏「カチューシャ、からかわれるのが苦手だったもんなぁ。自分にとって嫌な戦法だからこそ印象に残ってて、バトルで活かせたわけか。なるほどなるほど」
みほ「すごいなぁカチューシャさん。最初の時よりずっと成長してる……いいなぁ」
まほ「それはみほも、だろ?」
みほ「お姉ちゃん……」
まほ「みほも前以上に強くなってる。だから自信を持っていい」ナデナデ
みほ「う、うん……///」
エリカ「……っ!」ギリッ
エリカ(私にはわかる!あの子、まほ先輩が近くで聞いてるってわかって自信が無いような言葉を口にした!そういう風に言えば褒めてもらった上に撫でてもらえると思って!ズルい!ズルいわ!)キィーッ!
【舞台袖 麻雀部側】
晴絵「……さて、じゃあカチューシャさんの相手は……鹿倉さんにお願いします」
胡桃「!はい」
塞「ついに出番ね。大丈夫?緊張してない?」
胡桃「平気」
白望「頑張って……」
胡桃「うん、ありがと」
エイスリン「ハンカチモッタ?」
胡桃「バトル中はいらない」
豊音「えーと……あのー……」
胡桃「豊音?」
豊音「うぅー……みんなに言いたいこと言われちゃったよー!」
胡桃「あはは。そういうとこ、豊音らしいね。ありがと、元気出たよ」クス
豊音「えー、でもでも、せっかくだから励ましの言葉を言わないとー……」
胡桃「見守ってくれるだけで充分だよ。じゃあ行ってきます」タタッ
豊音「あっ、いってらっしゃいー!」
塞「胡桃……大丈夫かしら」ハラハラ
エイスリン「シンパイシスギ」
豊音「でもわかるよー。私もちょーきんちょーするよー」
塞「そうよね?私たちが緊張してもしょうがないってわかってるんだけどね」
【ステージ】
カチューシャ「次の相手はあんたなのね!いいわ!かかってきなさい!カチューシャが相手してあげる」
胡桃「………………」
カチューシャ「ちょっと、なんとか言ったらどう?もうせんいそうしつしたのかしら?」
胡桃(めんどくさい!)
役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
胡桃「後攻」
役人「OK!先攻、戦車道チーム カチューシャ!後攻、麻雀部チーム クRUMI!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=gYI-iNPOlJM
3:13
<第24戦 先攻 カチューシャ VS 後攻 クRUMI>
カチューシャ「まずのっけから クRUMIとDJルミがややこしいわ!」ワァァァ!
カチューシャ「それとじゃんけん勝って後攻とかダサいのよアンタ!」ワァァ!
カチューシャ「試合前の会話 ほうきするコミュニケーション なってない」
カチューシャ「どうせ こじつけの ディスに こぎつける だけでしょ?」ワァァァ!
カチューシャ「このステージ あんたにはない 心 落ち着ける場所」ワァァ!
カチューシャ「ここから勝って勝って 麻雀部のなきがら 盛りつける!」ワァァァ!
カチューシャ「そうなれば 審査員の判定こっち お客さん上げる歓声」ワアァア!
カチューシャ「ようするに 勝ち星くれる そういうちゃんとしたオチつける!」ワァァァァ!
胡桃「じゃんけん勝って後攻ダサいって言う方がダサい!」ワァァ
胡桃「さっき楽しそうに先攻とってたから 譲ってあげただけじゃない!」ワァァ!
胡桃「今日は記念日 カチューシャ 会うのも戦うのも初めて」
胡桃「そして私より背の小さい 同学年を見るのも初めて!」ワァァァァ!
胡桃「でもテレビでは見たことある 肩車されてた」
胡桃「背を高く見せようとしてダサかった 土台の子もグルだ」ワァァ
胡桃「今まで 夢に見たセリフが 1つだけある」
胡桃「いい? ちゃんと聞いててよカチューシャ 『このチビ!』」ワァァァ!
カチューシャ「肩車してたのはチームメイト グルも何も味方」ワァァ
カチューシャ「何も知らない ヤツがごちゃごちゃ勘繰る 結果しくじる!」ワァァ!
カチューシャ「今日は思い出作りどころか 敗北の事件に なる記念日」ワァァ
カチューシャ「プレゼントあげる さっきのとカブるけど 憤死か瀕死」ワァァァ!
カチューシャ「出口は同じ 残りのバース 全部 クRUMI割り人形」ワァァ!
カチューシャ「カチューシャ ステージ上 はっちゃけちゃう まるでパリピーポー」ワァァァ!
カチューシャ「あんた おかっぱで 真面目でも小遣い少ない イメージ」
カチューシャ「初めてが好きなら見てなさいよ はじめてのおつかい」ワァァ!
胡桃「チビにノーアンサー コミュニケーション放棄してる!」
胡桃「自分で言ったタブー 自分で体現してる きもちわるい!」ワァァ!
胡桃「真面目でも小遣い少ない 謎 どこ情報?」
胡桃「ネタのストックとっくに期限切れ 日持ち悪い!」ワァァァ!
胡桃「クRUMIより小さいカチューシャじゃ くるみ割りは無理」ワァァ!
胡桃「遠回しに自分でダメージ受けてる マイク持つとこ 紙やすり」ワァァァ!
胡桃「未来予想 お客さん こっちに歓声 勝利祝ってた」
胡桃「カチューシャじゃ登れない 越えさせない 岩手山」ワァァ!
カチューシャ「チビにチビって ちびちび言われて日に日に増す怒り」ワァァァ!
カチューシャ「ギリギリでピチピチの堪忍袋の緒 引きちぎってやるわ!」ワァァァ!
カチューシャ「私じきじき 手を下す 岩手山頂に旗を立てる!」ワァァ!
カチューシャ「悔しがる こいつのおでこに貼ってやるわ 『バカ』のラベル!」ワァァア!
カチューシャ「こんなのと比べられる なんてホント 気持ち悪い!」
カチューシャ「やっぱり変更する プレゼントは この2文字だ『無理』」ワァァァ!
カチューシャ「私を倒すの無理 こいつ認められるの無理」
カチューシャ「無理無理無理無理 次々グチグチ言うけど 無知すぎ!」ワァァァ!
胡桃「バカのラベルって発想が そもそもバカみたい!」ワァァ
胡桃「こんなヤツに連勝は許せない だから 阻みたい!」ワァァァ!
胡桃「体型も言葉にも 幅がない 幼稚な語彙 刺さらない」ワァァ!
胡桃「カチューシャ 私には敵わない あんたの夢は 叶わない」ワァァァ!
胡桃「無知なのはどっち? NODOCCIより私よりこっち」ワァ
胡桃「つむじに貼ってあげる『チビ』ってラベル」ワァァ
胡桃「多分文句言うはず そのクチもラベルで 塞いどこう」ワァァ
胡桃「それでも騒ぐなら 一言怒鳴る うるさいそこ!」ワァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
カチューシャ「………………」
胡桃「………………」
カチューシャ(この子……やるじゃない)
胡桃(簡単にはいかない!強い!)
役人「さあ、それでは判定に入ります!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……次に後攻、クRUMIが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「まずは1ポイント、カチューシャに入ります」
カチューシャ(やった!)グッ
胡桃「…………っ」
役人「残るは審査員のみなさんです。では、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「カチューシャ」
理事長「クRUMI」
トシ「カチューシャ」
秋一郎「カチューシャ」
南浦「クRUMI」
役人「勝者!戦車道チーム、カチューシャ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
カチューシャ「やっ…………ふ、ふん!おもわくどおりだわ!」
胡桃「負けた……」
胡桃(出来は悪くなかったはず…………悔しい!)
【舞台袖 麻雀部側】
豊音「えっ」
塞「胡桃……」
白望「………………」
豊音「えー!?絶対勝ってたよー!ちょーおかしいよー!」
エイスリン「ッ!」カキカキカキ!
エイスリン「コレ!」
塞「……マラドーナの神の手ゴール?」
エイスリン「ゴシン!」
白望「いや、それは無いよ。それにフリースタイルバトルで誤審っていう言葉は正しくないと思う……審査員が持ってる判定基準がそれぞれ違うわけだから、同じ試合でも、誰が見ても勝敗が明らかな試合以外は判定が割れることもあるだろうし」
塞「……確かに」
白望「あとは八百長の可能性だけど……これも無い。熊倉監督がそんなことに関与するのはありえないから」
豊音「……うん、そうだねー……それに相手選手も、大会に関わってる人たちもみんな真剣にやってるんだもんね…………絶対勝ってたとか、おかしいとか、すっごく悪いこと言っちゃったよー……」
エイスリン「…………ゴメンナサイデシタ……」
白望「……ううん……胡桃が負けて悔しいのは私も一緒。みんな同じ気持ちだから…………塞以外は」
塞「私も同じだよ!?」ウォイ!
晴絵「………………」
晴絵(それにしても、前大会でもその兆候は現れてたとはいえ、カチューシャさんは厄介な選手に成長したみたいだね……さて、どうするか)
晴絵(これ以上調子に乗せるわけにもいかない。確実に止めないとね……となると……)
晴絵「……辻垣内さん」
智葉「はい」
晴絵「……辻垣内さんならカチューシャさんを止められる?」
智葉「誰が相手でも止めるつもりです」
晴絵「ふふっ……そうよね。じゃあ、お願いするわ」
智葉「了解しました」ザッ!
晴絵(さすがというか……圧倒的な自信ね。でもそれだけの実力を持っている)
明華「出番ですか。では出立の歌を……」
智葉「遠慮しておく」
ネリー「あんなのに負けないでよ?」
智葉「カチューシャはかなり強い。あんなのなどと呼ぶな」
ネリー「……ま、確かに思ったよりやるけどさ」
ダヴァン「合格祈願系のカップラーメンがあれば食べながら見送ったもノヲ……残念デス」
智葉「本人に食わせないのか……ま、いい。気持ちだけ受け取っておく」
慧宇「私は心配していませんから」
智葉「ああ、それでいい……っと、すまんがメガネと髪ゴムを預っててくれ」
慧宇「はい。普段の格好のまま出るんですね」
智葉「ああ」
ネリー「サラシは私が預かるよ」
智葉「いや、いい。サラシは外さないからな」
ネリー「ちぇー」
ダヴァン「何故悔しそうなんでスカ」
智葉「さて、と。では勝ってくる」ザッ
慧宇・明華・ダヴァン・ネリー「いってらっしゃい」
穏乃「おぉぉ……なんかすごい自信満々でカッコいい!辻垣内さんこそが私の倒すべき相手かも!」
憧「はいはいそうかもね」
玄「サラシ……!?もしかして辻垣内さんって、隠れおもち……!?」ガーン!
宥「玄ちゃん落ち着いて?お姉ちゃんがギュッてしてあげるから」ギュ..
玄「おねえちゃーん……」
灼「なんでサラシしてると取り乱すの……」ハァ..
【ステージ】
カチューシャ「む」
智葉「」ザッ
カチューシャ「今度はあんたが相手なのね!らくしょうそうだわ!」
智葉「そうか」フッ
カチューシャ「!………………」
カチューシャ(……この雰囲気……)
カチューシャ(ふん、強敵ってわけね。だったら油断せずに勝ちに行くだけよ!)ギラリ
役人「先攻後攻を決めるじゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
智葉「後攻」
カチューシャ「また先攻……!」
役人「OK!先攻、戦車道チーム カチューシャ!後攻、麻雀部チーム 凱屠(がいと)!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=inuEzDNqQOc
2:44
<第25戦 先攻 カチューシャ VS 後攻 凱屠>
カチューシャ「見た目 強そうなくせに ビビッて後攻」
カチューシャ「それってどう思う? すでにしてるでしょ 動揺!」ワァァ!
カチューシャ「麻雀の時と違って髪の毛ほどいて不良気取り」
カチューシャ「でも意味ない こいつなんかより私の フロウに酔いなさい」ワァァ!
カチューシャ「じっとこっち見て どっしり構えて余裕って表情ね」
カチューシャ「でもそれ大物ぶって 緊張を誤魔化す作戦のようね」ワァァ
カチューシャ「そんなの通用しない 戦車道チーム優勝したい」ワァ
カチューシャ「だからあんたも次の相手も その次も叩き潰してやるわよ!!」ワァァァ!
智葉「そんなことさせはしない この先は絶対に通せん」
智葉「だから後攻とった 確実に仕留める 後の先」ワァァ!
智葉「学園艦 背負うなら むしろ困難を喜べよ」
智葉「作戦なんか 関係ない ただ一言 そこどけよ」ワァァァ!
智葉「フロウで勝とうが好きにしろ そこは私の土俵じゃない」
智葉「度胸が無い 小者のお前 睨んだだけで 鼓動早い」ワァァァ!
智葉「冷静さを失ったところ切り捨て 命散るさ」
智葉「お前じゃ 私に勝てないんだよ この猪武者」ワァァァァ!
カチューシャ「猪武者の突破力 どっしり構える凱屠 貫く」ワァァ!
カチューシャ「後の先とか言ってても 失敗して つまづく」ワァァ!
カチューシャ「負け認めて フロウを捨てちゃった 諦めた」
カチューシャ「でも納得 ただ喋るようなフロウじゃ 飽きられちゃう」ワァァァ!
カチューシャ「ただ他でも あんたは私に勝てないこと教えたげるわ」
カチューシャ「バイブスも私のが上 あんたのトーンじゃ 盛り下げるわ」ワァァ!
カチューシャ「負けるわけない! こいつ結局子供だまし」
カチューシャ「わかる? 熱いバイブスをぶつけてこその魂!」ワァァ!
智葉「バイブスをクチに出すな 温度が下がる」ワアァ!
智葉「不言実行するもんだ 得とか 損とかじゃなく」ワァァァ!
智葉「適当言うな 私のどこが 子供だましだ?」
智葉「その場しのぎの言葉 虚しいほど木霊(こだま)したな」ワァァァァ!
智葉「声がデカイだけで 内容が薄いことに困惑だ」
智葉「お前が勝ち取れるのは 口リコン枠だけだ」ワァァァァ!
智葉「2勝して 立派に伸びた 天狗の鼻」
智葉「折って終わらす お前は消える 青い臀部(でんぶ)のまま」ワァァァ!
カチューシャ「とっくに消えたもうこはん 家帰りなさい もうご飯」
カチューシャ「口リコン枠なんて知らないわよ わけわかんないわ 状況が」ワァァ
カチューシャ「天狗になんてなってない 全部が自信になってるだけ」ワァァ!
カチューシャ「ズレた感性を恥じなさい あんたはただのクレーマー」ワァァ!
カチューシャ「上から目線 同じ学年なのに何故か 先輩面」
カチューシャ「この怒りは 1000倍くらい にして返してやるわ!」ワァァァ!
カチューシャ「人を小バカにした生意気な あんたは廃棄!」ワァァ
カチューシャ「改心しても遅い ぶちのめす このライミング!」ワァァ!
智葉「ぶちのめされるのは 自分だと 気付こうと」
智葉「しない愚か者 尻目にいただく 紫綬褒章」ワァァァ!
智葉「ラストバースで1000倍返し 延長に期待感」
智葉「勝ち目無いと気付きながら まだ戦場にいたいか?」ワァァァァ!
智葉「目線のことなら 悪いが勘弁してくれ」
智葉「見てくれ的に しゃがんでバトルは 出来ないからな」ワァァァ!
智葉「ここらで始末 お前は 産業廃棄物」
智葉「不安定な 感情が行き来する 雑魚は消えとけ」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
役人「それでは判定に入ります!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「……後攻、凱屠が勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
カチューシャ「っ……!」
役人「まずは凱屠に1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「凱屠」
理事長「凱屠」
トシ「凱屠」
秋一郎「凱屠」
南浦「カチューシャ」
役人「勝者!麻雀部チーム、凱屠~~~~~!!!」
ワァァァァ!
智葉「………………」
智葉(まずは1つ)
カチューシャ(勝って当然みたいな顔がムカつくわ!)
カチューシャ(でも……ムカつくけど……負けを認めるしか……!)ギリッ..
【舞台袖 麻雀部側】
明華「さすがサトハですね」
ネリー「ここで勝ったのは大きいね。お金とか貰えるんじゃないかな?」チラ
晴絵「ははは……それはムリだけど、確かにこの勝利は大きいよ」
久「実際、うちのエース候補だもんね」
和「ライミングの数では負けるつもりはありませんが、一つ一つの破壊力では敵いません」
咲「それでいてちゃんと対話出来てるから……やっぱり強いよね」
優希「敵の時は怖かったけど、味方になったら頼もしいじょ!」
【舞台袖 戦車道側】
ノンナ(カチューシャ……敗れはしましたが、あなたは立派でした。我々プラウダの誇りですよ)
千代「………………」
みほ「あのカチューシャさんをあっさり倒しちゃうなんて……」
麻子「淡々と、だが確実にライミングを決めてきたな」
カルパッチョ「脚韻で字余りも気にせず……それと、韻を踏んだことを際立たせないあっさりとしたフロウですね」
ケイ「そこがクールでカッコいいわよね。ていうか、あの子かなり強くない?」
ナオミ「強いね。今の試合のみのデータだけど、ライミング、アンサー、パンチラインの三拍子が揃ってる」
杏「んー……小山ぁ。うちのチームって残ってるの誰だっけ?」
柚子「えーと、西住まほさん、オレンジペコさん、島田愛里寿さん、西住みほさんの4人ですね」
杏「ありがと。なるほどね……」ウーン..
愛里寿「お母様、どうしますか?」
千代「……ここは正念場ね」
千代「西住さん」
まほ「はい」
みほ「ふぇっ!?」
千代「あ、まほさんの方ね」
みほ「そ、そうですか」ホッ
千代「凱屠さんはあなたに任せます」
まほ「わかりました」
エリカ「ま、まほ先輩!頑張ってください!」
まほ「ああ。ありがとう」ザッ
優花里「……なんだか、最初から呼ばれるとわかっていたような反応でしたねぇ」
沙織「そう?いつもあんな感じでクールだと思うけど」
みほ「ううん、多分優花里さんの言う通りの気がする。凱屠さんとカチューシャさんの試合を観ながら、どう戦うかをシミュレーションしてたんだと思う」
麻子「西住さんの姉はこのチームのエースだ。残ってるメンバー全員に勝っているし、本来なら最後まで残したいはず。それをここで出すということは……」
オレンジペコ「凱屠さんがそれだけ強敵、ということですね」
愛里寿「………………」
カチューシャ「…………」トボトボ
まほ「カチューシャ」
カチューシャ「あっ……マホーシャ……」
まほ「お疲れ様」
カチューシャ「…………うん」
カチューシャ「……あんた」
まほ「?」
カチューシャ「私の分まで頑張るとか、そんな気持ちで戦うんじゃないわよ?」
まほ「…………」
カチューシャ「私は私で戦って負けただけなんだから」
まほ「ふっ、わかっているよ。そんなつもりは無いさ」
カチューシャ「……ならいいけど」
まほ「あ、ただ1ついいか?」
カチューシャ「何よ」
まほ「バトンタッチだけはさせてくれ」
カチューシャ「え?」
まほ「少し気合いをいれたくてな」
カチューシャ「そう。それじゃあ……」スッ
パチン..
まほ「ありがとう。では行ってくる」フフッ
カチューシャ「……いってらっしゃい」
カチューシャ(笑顔……)
カチューシャ(マホーシャのことだから心配いらないと思うけど、あの凱屠ってヤツを少しでも侮ったら、マホーシャでもあっさり負ける可能性あるわよ?大丈夫、よね?)ハラハラ
【ステージ】
まほ「」ザッ
智葉「!」
智葉(西住まほ……これほど早く会えるとは!)
智葉(DVDを観て、お前と戦いたいと思った。そして全力をぶつけ合った上で勝ちたい、とな!)ギラリ
まほ「………………」
まほ(凱屠……こうして目の前に立つとかなりの迫力だ。戦車道、タンカスロンでもこれほどの存在感を持つ者は多くないだろうな……)
まほ(だからこそ思う。その強い相手に勝ちたい、と)ギラリ
役人「両選手が揃いました。では先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
智葉「先攻」
役人「OK!先攻、麻雀部チーム 凱屠!後攻、戦車道チーム 西住まほ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=IAB8jgCyquc
2:55
<第26戦 先攻 凱屠 VS 後攻 西住まほ>
智葉「お前が ラストかと思っていたから 驚いた」
智葉「おめでとう 二度目の敗北 とうとう来たな この時が」ワァァァ!
智葉「後頭部が熱を持つほど頭回転 そして 好勝負」ワァァ!
智葉「相当ドープ 常套句なライムは 吐かないスタイルだ」ワァァァ!
智葉「意外と凱屠がヤバイいと気付く 私の時代到来」ワァァ!
智葉「癪に障るだろうが お前は知らされるんだ 該当外だと」ワァァァ!
智葉「シングル戦 勝てたのは 私がいなかったからだ」ワァァ!
智葉「実際物足りなくて やりがいなかったんじゃないか?」ワァァァ!
まほ「……とうとう来たな? おいやめてくれよ」
まほ「こんな公の場で 生理の話なんてするなよ」ワァァァァ!
まほ「アレを貸してやろうにも 私の手持ちは気合いと」
まほ「覚悟 信念ぐらいしかないんだ 悪いな」ワァァァァ!
まほ「名前 凱屠?なんだそれ? 仮面ライダーか?」ワァァ!
まほ「シャボ待ちのバッタとかけてるのか ご苦労なこった」ワァァァ!
まほ「ダブルミーニングってやつだな あ、いや違うか」
まほ「こいつのスキル バッタもんだから トリプルだったな」ワァァァァァ!
智葉「前々回大会 MIHOが姉 目がけ投げた」
智葉「変化球の 下ネタで負けた なのに何故だ」ワァァ
智葉「生理? くだらない 羽根突きよりもマイクラリーがしたい」
智葉「のらりくらり やるつもりはない こちとら 都会暮らし」ワァァァァ!
智葉「気合い 覚悟 信念 トリプルで斬り落とす」ワァァ!
智葉「吐く言葉 ライムに 意味を通す そして最後に打つ ピリオド」ワァァァ!
智葉「私の押韻は希少品 つまり 量より質だ」
智葉「鈍いヤツは焼き尽くされてから 周りの 焦土に気付く」ワァァァ!
まほ「1人相手に 周りを燃やし尽くす?そうか すごいな」
まほ「だがそれは実際 ライムと小節の無駄遣い」ワァァァァ!
まほ「希少品は少ないから価値があるのに お前は自分で」ワァァ!
まほ「値打ち落としてる一人遊び 私もマイクラリーがしたいのになぁ」ワァァァァ!
まほ「斬り落としたり 焼き尽くしたり物騒だな 都会もん」ワァァ!
まほ「MCネームもそう 表現が いちいち厨二病」ワァァァ!
まほ「疲れるが のらりくらり相手してやろう それと一言」
まほ「ピリオドをキャタピラで乗り越えるのが戦車道なんだよ」ワァァァァ!
智葉「ピリオド 乗り越えた先で振りかぶる 斬鉄剣」
智葉「真っ二つの車体 謝罪はしない 文句は受け付けん」ワァァァ!
智葉「祝砲 驚くほど轟く 仲間は 寿(ことほ)ぐ」ワァ! ※お祝いの言葉を述べる
智葉「ジワジワと血沸き肉躍る 五臓六腑」ワァァァ!
智葉「燃やし尽くすのは無駄ではない お前に対する敬意だよ」
智葉「手づかみ・生肉 ではなくて ナイフ・ステーキだろ?」ワァァァ!
智葉「食材にはふさわしい振る舞いがあるってことだ」
智葉「素材の味を活かすために 塩も振っておこうか」ワァァァ!
まほ「そこまでキ チンとしてくれたら肉の私も本望」ワァァ
まほ「でも食材 振る舞うってことは やっぱりお前 厨房じゃないか」ワァァァァ!
まほ「よくわからんな凱屠 認めはしないよ」
まほ「そんな態度 調味料はいらない 塩対応で塩分は充分」ワァァァ!
まほ「それよりも足りてないのは お前の手だ」
まほ「斬鉄剣・ナイフ・包丁 持てないだろ マイクだけでも置いとけ」ワァァァ!
まほ「もう気付いたはずだろう? レベルが違うことに」ワァァ!
まほ「こいつ 肉に食われてしまう ライムばかり扱う料理人」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァァ!
役人「では判定に入ります!先攻、凱屠が勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
役人「まずは西住まほに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「西住まほ」
理事長「西住まほ」
トシ「西住まほ」
秋一郎「西住まほ」
南浦「西住まほ」
役人「勝者!戦車道チーム、西住まほ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
まほ「」フゥ..
智葉「………………」
智葉(まさかこうまでやられるとはな……)ギリ..
【舞台袖 麻雀部側】
ネリー「サトハがあんなに圧倒されるなんて!」
ダヴァン「信じられませンネ……」
慧宇「それだけ西住まほが強者だということでしょうか?」
晴絵「西住まほが強いのは間違いないけど、辻垣内さんより圧倒的に強い、ということではないと思う。相性で言ったらお互い悪くはないし、今回はたまたまそういう流れで差がついただけで」
憧「先攻後攻でも変わってくるもんね」
晴絵「そうだね。やっぱり西住まほ相手に先攻で勝つのはかなり難しい」
穏乃「でも辻垣内さん、どうしてじゃんけん勝ったのに先攻とったんだろ?」
恭子「そういや、練習中にDVD観てた時、西住まほと戦ってみたい言うてたな」
明華「気合いが入り過ぎて焦ってしまったのでしょうか」
浩子「その可能性は無くはないでしょうけど、そう一概に悪いとは言えませんよ。確かに練習中の辻垣内さんとちょっとちゃう感じでしたけど、今のバトルの方が気合いが乗っててええと思いますけどね」
泉「でも西住まほも前の大会の時と変わってません?生理とかそんなん言うタイプちゃうイメージですもん」
怜「ムッツリなだけちゃうん?」
泉「いやいや、そんなことない思いますけど」
竜華「お互いを強敵と思てるからこそ、普段とちゃう角度からぶつかり合ったって感じするなぁ」
セーラ「それわかるわー」
久「にしても……厄介ね、西住まほは」
まこ「そうじゃのう。辻垣内さんの『とうとう来たな、この時が』のサンプリングに対するアンサーもそうじゃし、『ライムと小節の無駄遣い』で般若のサンプリングを使ったり」
和「食材、素材の話を受けての『キチンとしてくれたら肉の私も本望』という返しはキッチンともかかっていますし……的確なアンサーですね」
ネリー「次に出る人にはニシズミを確実に仕留めてほしいんだけど、誰が出るの?」
晴絵「加治木さんに行ってもらうつもり」
ゆみ「私ですか?」
晴絵「うん。大丈夫?」
ゆみ「はい、問題ありません」
桃子「先輩!私もステージに立つっす。先輩のすぐ横で見守りたいっす!」
佳織「そ、それはいいのかな……?」
睦月「いや、よくないと思うけど……」
智美「確かにモモは気付かれないだろうけどなー」ワハハ
ゆみ「モモはここで観ていてくれ。自分だけセコンドが付くのは相手に悪い」
桃子「……わかったっす」
智美「頼んだぞユミちん」
ゆみ「ああ。では、行ってきます」
晴絵「うん、お願い」
ネリー「……カジキか……ま、妥当かな」
明華「ずいぶん評価していますね」
ネリー「まぁ……アンサー力のあるヤツだし……勝てる可能性はあるからね」
明華「なるほど……確かに彼女も夏の高校生だった時期がありましたし」
ダヴァン「ここにいる全員がその時期ありましタヨ?」
【ステージ】
まほ「…………」
ゆみ「…………」
ゆみ(なるほど……こうして目の前に立つと迫力がある)
ゆみ(だが……麻雀部の代表である以上、退くつもりはない。モモも見ているしな)
役人「それでは、先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
ゆみ「後攻お願いします」
役人「OK!先攻、戦車道チーム 西住まほ!後攻、麻雀部チーム KAJU-MC(カジュエムシー)!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=OBVQme6-B3E
3:10
<第27戦 先攻 西住まほ VS 後攻 KAJU-MC>
まほ「MC付けなきゃ MCと思ってもらえないから付けた」
まほ「KAJU-MC わかりきったことを省かないのは無駄だ」ワァァ!
まほ「余分な脂肪は邪魔 凱屠に切り取ってもらってこい」ワァァァ!
まほ「バラバラになったプライドが油まみれは 醜すぎる」ワァァァァ!
まほ「もっとさっぱりとヘルシーになってくれよ 何故なら」
まほ「わんこそばみたいに おかわりして 全部平らげるから」ワァァァ!
まほ「その目 落ち着いてるな だが余裕ぶると 即 死ぬぞ」ワァァ!
まほ「どこからでも仕留める 13面待ち 国士無双」ワァァァ!
ゆみ「戦車道が国士無双 それもう 本末転倒」ワァァ!
ゆみ「13面待ちでも 通る牌は 山ほどあるよ」ワァァ!
ゆみ「私を 侮るとあっさり やられる 形になる」
ゆみ「わんこそば 完食阻止 KAJU-MC 鼻にくる わさび」ワァァァ!
ゆみ「プライドは壊れないよ 常に形状記憶」ワァァ!
ゆみ「一癖ある キミに迫る 足元すくって勝つ 落とす地獄」ワァァ!
ゆみ「本名そのままの 個人情報 放りだしとく 無防備の子」
ゆみ「堂々としてる様相 でもそれは愚かな方向 向いてるぞ」ワァァァ!
まほ「私が向いている方向に 道を作るために行動」ワァァァァ!
まほ「誰かの後ろ歩くのに慣れた お前とはステージが違う」ワァァァ!
まほ「戦車道 放送されたから そのまま名乗ってるだけ」
まほ「ラップに費やさず MCネーム考える時間がもったいねぇ」ワァァァ!
まほ「わさびが鼻にきても そば食えないほどのダメージなど無い」ワァァ
まほ「むしろ飽きずに 完食出来る もしかして お前味方か?」ワァァァ!
まほ「大したことないヤツだと知れてる 形状記憶?」
まほ「変化を恐れて 進むのをやめちまってる 生ける屍だ お前は」ワァァァ!
ゆみ「たとえプライド ガタガタ崩れても 必ず再生する」
ゆみ「簡単に元通り だから成長はする わからず屋だな」ワァァ
ゆみ「MCネームは 名刺代わり 軽視するな 全員で」
ゆみ「一丸となって 戦うと決まった日に考えた あの時間は無駄じゃない」ワァァァ!
ゆみ「残念だが あんたの味方じゃない 私は長野の代表」ワァ!
ゆみ「内容濃いアンサーで戦って 腹を満腹にさせて倒すさ」ワァァ
ゆみ「奥歯噛みしめて 相当辛いと 思わせて ここから退場」ワァァ!
ゆみ「そういう結末を与える ほうほうの体(てい)で逃亡する状況!」ワァァァ!
まほ「頭韻ばかりのこの子 その頭を踏ん付ける」
まほ「私はスーパーマリオばりのアクション お前 ドン亀 ノコノコだ」ワァァ!
まほ「高校生だけど 高ラ(甲羅)のレベルにも まったく達してない」
まほ「落ち着いてるが 私と実力が拮抗(亀甲)してるつもりか?」ワァァァ!
まほ「信州 長野代表 だから そばの話持ち出したのに」
まほ「一向に触れない 掛け合いにならない 万年愚鈍だな」ワァァァ!
まほ「凱屠の方が会話出来た 何故ならあいつは実力者」ワァァ!
まほ「でもまぁいい 横にタバコがあれば 私の大きさがわかるからな」ワァァァァ!
ゆみ「わんこそば 岩手の名物 長野じゃない 残念」ワァ!
ゆみ「間違い 指摘しない優しさ たまには 敵にも 与えていいか」ワァ!
ゆみ「何を勝ち誇った顔で アクションがスーパーマリオ?」
ゆみ「私がノコノコ それでもいい 亀は長生き 最後生き残る」ワァァァ!
ゆみ「これが会話 すでにしてるじゃないか 毎回 言いきりで好き勝手な」ワァァ!
ゆみ「ことキミが言い放って決め付ける 仕組みに嫌気がさすね」ワァァァ!
ゆみ「そうやってドヤ顔で ほとほと呆れるほど もろもろ煙に巻く」ワァァ!
ゆみ「ケツに火が点いたような ヤニ臭い タバコはそっちだろう」ワァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
まほ「…………」
ゆみ「…………」
役人「では判定に入ります!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、KAJU-MCが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「まずは西住まほに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「西住まほ」
理事長「KAJU-MC」
トシ「西住まほ」
秋一郎「西住まほ」
南浦「西住まほ」
役人「勝者!戦車道チーム、西住まほ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
まほ「」フゥ
ゆみ(力及ばず、か……)
【舞台袖 麻雀部側 付近】
ゆみ「…………」テクテク..
智美「ワハハ。おつかれ、ユミちん」
ゆみ「蒲原……」
智美「惜しかったなぁ~、もう少しだったのに」
ゆみ「励ましてくれるのは嬉しいが、私は敗北に納得しているし受け入れている。だから気を遣わなくてもいい」
智美「そうかー。さすがだなー、ユミちんは」
ゆみ「全力を出した上で負けたんだ。仕方ないさ。それより…」
智美「ん?」
ゆみ「次は蒲原が出るんだよな?」
智美「ワハハ。その通り。だからここですれ違うのだよ」
ゆみ「だよな。ではあとは任せた」
智美「ユミちんもなー。モモがユミちん以上に落ち込んでるから慰めてやってくれ」
ゆみ「負けて帰る私が慰める側なのか……ふふっ、わかったよ」
智美「ワハハ。じゃあ頼んだぞー。行ってきます」ザッ..
ゆみ「ああ、いってらっしゃい」
ゆみ「……………………」
ゆみ(頼むぞ蒲原……)
【ステージ】
智美「………………」ワハハ
まほ「………………」
まほ(笑顔……まったく緊張していないようだな。肝が据わっている)
役人「さあ!先攻後攻を決めるじゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
まほ「……後攻で」
智美「ワハハ」
役人「OK!先攻、麻雀部チーム 蒲(かん) a.k.a BARA!後攻、戦車道チーム 西住まほ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=0I9glinQGys
2:38
<第28戦 先攻 蒲 a.k.a BARA VS 後攻 西住まほ>
智美「とうとう来たな!この時が!」ワァァ!
智美「そう、生理なんだ 袖で聞いててビックリした」ワァァァ!
智美「マイク通して 公にアピールする女子」
智美「そんな新しい道 作るため行動していくよ」ワァァ!
智美「今の試合 そばのくだり 偉そうに言うほどかな~?」
智美「ちゃんと見てる人、意外とホラ そばにいるよ?」ワァァァ!
智美「というか この人 韻踏まないから聴いてて面白くない」
智美「もう胸をひたすら見るしか 楽しみがなーい!」ワァァァァ!
まほ「好きにしろ 見たきゃ見ればいい」
まほ「目を見るのが怖いから おどけてる 可愛いもんだ」ワァァァ!
まほ「ちゃんと見てるからなんだ? 偉そうに言うな」
まほ「半端な傍観者なんざ 邪魔でしかないんだよ」ワァァァァ!
まほ「アンジーの方が 遥かに強くて面白い」ワァァ!
まほ「お前は韻も胸も夢も無い 一体何がある?」ワァァァァ!
まほ「私から楽しませるつもり さらさらない」
まほ「その笑顔 ディスで潰しにきてる 気付け」ワァァァ!
智美「うん、知ってる だってみんなそうだから」ワァァァ!
智美「おっぱいがディスってくる なんか不思議体験~!」ワァァァ!
智美「なんて言いつつ そろそろ目を見よう」
智美「そして耳で楽しもう メロディーを」ワァァ
智美「夢が無いなんて いつどこで誰が言ったの?」
智美「あ!卒業文集がどっかいったの あんたのしわざ?」ワァァァ!
智美「嫌だなぁ もう泥棒なのかなぁ この子」ワァァ!
智美「もしかして その胸も 誰かから奪ったのか?」ワァァ
まほ「それなら 胸見て楽しんでた お前も共犯者」ワァァァ!
まほ「って 2バース目まで 引っ張る話じゃないよな~?」ワァァァァ!
まほ「卒業文集 盗むほど興味持たれてないよ」
まほ「とうとう来たな 部屋 整理する時が」ワァァァァ!
まほ「むしろ 全部捨てろ いらないものだらけだろ」
まほ「お前のラップの内容と同じ 中身も価値も無い」ワァァァ!
まほ「ザコの相手 退屈 お前こそ 時間泥棒」ワァァァ!
まほ「そんなザマで私に勝つのは 夢のまた夢だ」ワァァァァ!
智美「夢のまた夢 なんということでしょう」
智美「1勝で2つも夢を叶えられる ラッキーだね!」ワァァァ!
智美「時間泥棒に負けて あんたは徒労」
智美「ボロボロで 破れた服 色っぽいよ~!」ワァァ!
智美「ラップの内容で言ったら あんたも変わらない」
智美「だって人間だもの。 そんな感じ」
智美「調子がいいから すぐカマすぜ」
智美「レペゼン 信州の鶴賀学園!」ワァァ!
まほ「こいつ 1バース目だけの一発屋」ワァァァ!
まほ「予告だけ面白い クソな映画」ワァァァ!
まほ「不意に食らう 危険性あるラッキーパンチを」
まほ「避けた今 このバース ウイニングラン」ワァァァァ!
まほ「調子いいなら 生理じゃないだろ ペテン師が」
まほ「バトルなら 嘘もありと思ったか? 世間知らず」ワァァァ!
まほ「♪笑ってる けど悲しい目」ワァァァ! ♪Fate / ANARCHY
まほ「最後の悪あがき 小賢しいね」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
智美「………………」
まほ「………………」
役人「では判定に入ります!先攻、蒲 a.k.a BARAが勝ったと思う人!」
ワァァ!
役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「まずは西住まほに1ポイントが入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「西住まほ」
理事長「西住まほ」
トシ「西住まほ」
秋一郎「西住まほ」
南浦「西住まほ」
役人「勝者!戦車道チーム、西住まほ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
智美「………………」
智美(最初はイケるかと思ったけど……そのあとは全っ然上手くいかなくて……あったまくるなー)ワハハ
【舞台袖 戦車道側】
みほ「やった!お姉ちゃんが勝った!」
沙織「3人抜きだよ!すごい!」
エリカ「さすがまほ先輩……///」
千代「劣勢の中でも笑顔を崩さない蒲 a.k.a BARAさんを『笑ってるけど悲しい目』と、ANARCHYのサンプリングで表現し、さらにライミングで締めたのはさすがと言ったところね」
ペパロニ「これで麻雀部チームで残ってるのは1人っすよ!」
華「それに比べ、こちらは……みほさん、愛里寿さん、オレンジペコさんが残っています」
ケイ「ワオ!超有利ね!」
アンチョビ「さすがに1人でその4人を全員倒すのは難しいだろうからな!」
ペパロニ「姐さんの言う通りっすよ!で、麻雀部のラスボスは誰なんすかね?」
沙織「ゆかりん、わかる?」
優花里「いえ、私たちが見学していた時に強いと感じた人たちはすでに出てきてますので予想付かないです……他に目ぼしい人がいた記憶が無くて…」
麻子「手の内を見せないようにしていたんだろうな」
優花里「おそらくは。一体誰が出てくるのでしょうか……」
【ステージ】
役人「さあ、そろそろ次の試合ですが、麻雀部の選手は…………あ、来ました」
まほ「…………む」
ザッ..
咲「」
まほ(宮永咲、か……)
【舞台袖 戦車道側】
オレンジペコ「宮永咲さん……宮永照さんの妹ですよね?」
優花里「はい。でも……意外ですぅ。バトルの練習を見たことがあるのですが、相手をディスれてない上に、まともにラップ出来てない感じだったので……」
沙織「お姉さんも物静かな人っぽいけど意外と強かったし、そういうタイプなのかな?」
優花里「いえ、お姉さんの場合、練習の時点で上手でした。割り切れてると言いますか、いつもの自分とラップする自分を演じ分けている感じで……」
みほ「それが宮永咲さんにはなかったの?」
優花里「はい。練習の時の実力で言いますと、ここまで出てきた麻雀部の人たちの中で一番下だと思います。手の内を隠していたにしても……わざとやっていたようには見えなかったのですが……」
みほ「なるほど。でもここで出てくるということは……」
麻子「何かしら持ってるというわけか。思い出作りに出場させるはずもないしな」
愛里寿「……ここから見てもわかる」
みほ「え?何が?」
愛里寿「宮永咲、すごいオーラが出てる感じ。あの子、かなり強い」
みほ「…………」ゴクリ
【ステージ】
咲「」ゴゴゴゴゴ..
まほ(全国大会はテレビで観た。試合後のインタビューでは大人しい人物というイメージだった…………しかし、こうして目の前に立つと雰囲気が違うな)
まほ(フリースタイルバトルだから気合いが入っているというのもあるだろうが……いや、それ以外にどこか違いが……)
咲「………………」
咲(まさか私がこのステージに立つなんて思わなかった)
咲(それもこれも全部……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
咲「うぅ……やっぱり私、ダメです……全然ディスれません……」
久「無理にディスしなくてもいいんだけど……うーん」
晴絵「………………」
晴絵(相手をディスろうとする度に躊躇してる感じね。自分で自分を抑えつけているみたい……読書好きだから、言葉を色々知ってて、面白い表現なんかもするんだけど……)
晴絵(バトルにあまり乗り気じゃないのかもしれない。相手を攻撃するタイプにも見えないし)
久「あ、そうだ。麻雀の時に靴下を脱いで裸足になるじゃない?あんな感じで気持ちを切り替えるスイッチを作ればいいんじゃないかしら?」
咲「スイッチ……ですか?」
久「ええ、そのスイッチを入れたら攻撃的になれるようにって感じで。そうね…………制服のスカーフなんかどうかしら?」
咲「え?」
久「スカーフを脱いだらスイッチ入るようにするのよ」
咲「そう簡単に言われても……」
久「まぁ、いきなりは無理よね。だから今からスイッチを作りましょう」
咲「……どうやってですか?」
久「まず、スカーフをギュッと握ります。はい、やって」
咲「は、はい」ギュッ
久「そして、嫌なこと、イラッとしたこと、辛かったことなど、怒りや悲しみの感情を浮かべながら思い出すの」
咲「……あの、それってどういう意味が……」
久「いいから。やってみてよ。まずは目を閉じて。ちゃんとその時の場面と感情を思い浮かべながらスカーフをギュッと握るのよ?」
咲「は、はい……」
咲(イラッとしたこと……辛かったこと……うーん……)
咲(そういえば……借りてた本、返却日だから読み終わらせようとしてた時、レディースランチを注文するだけのために京ちゃんに食堂まで連れていかれたの、ちょっとイラッとしたなぁ……)ギュッ
咲(あ、その時に私を京ちゃんの嫁扱いした人、去り際の笑い方が『クックックッ』で、これもちょっとイラッとした)ギュッ
咲(優希ちゃん……初対面で急に背後から『どーん!』って言われてビックリさせられた)ギュッ
咲(優希ちゃんが、和ちゃんは男子にもモテモテ、って言った後、京ちゃんの『誰かさんとは大違いだな!』の一言)ギュッ
咲(麻雀部に初めて行って打った時、半荘3回目で京ちゃんが『咲の麻雀はパッとしませんなー』。優希ちゃんが『点数計算はできるみたいだけどねい』)ギュッ
咲(お年玉を巻き上げられてた時期の家族麻雀)ギュッ!ギュッ!
咲(学校での麻雀で初めて勝った日の夜、家で雀卓にカバーをかけようとしたタイミングで、お父さんが邪魔するように雑誌を放り投げてきた……普通に渡せばいいのに)ギュッ!ギュッ!
咲(家族麻雀で勝ったら怒られるからプラマイゼロにしてたことを京ちゃんが『くだらねー理由』と言ったこと)ギュッ!ギュッ!
咲(和ちゃんと指切りした日の夜、お風呂に入ってた時に気付いた。前に入ったお父さんが窓を開けっぱなしにしたままだったことに。年頃の娘がいるのに考えられないよ!)ギュゥゥゥゥ!
咲(頼んでもないのに衣さんに海の底に連れていかれた)ギュゥゥゥゥ!
咲(夢乃マホちゃんに嶺上開花をされたこと)ギュゥゥゥゥ!
咲(抽選会の日、私を起こさずにみんなだけ準備万端だった……)ギュゥゥゥゥ!
咲(色んな施設のわかりにくい内部構造。何度も迷子にさせられた……)ギュゥゥゥゥ!ギュゥゥゥゥ!
咲(他にも色々……)ギュゥゥゥゥ!ギュゥゥゥゥ!ギュゥゥゥゥ!
久「……どう?」
咲「……の……ぁ……も……に……」ブツブツブツ..
久「も、もういいわよ咲。とりあえず今は考えるのをやめて私の話を聞いて。目は閉じたまま。スカーフも握ったままでね」
咲「はい……」
久「いい?そのスカーフは咲が溜め込んでた負のエネルギーを外に出さないよう邪魔していたの」
咲「………はい……」
久「でも今、負のエネルギーが加わったことでその封印は解けそうになってるわ」
咲「はい……」
久「だからそのスカーフを脱いだら、これまで抑えてた感情や他人への怒り、不満も素直に吐き出せるわ。もう抑えつける物は何も無い。あなたは自由になっていいのよ」
咲「自由……私は……自由……」
久「そう。自分を解放するの。今から3つ数を数えます。ゼロになったらスカーフを脱いで、目を開けるのよ?いい?」
咲「はい……」
久「今まで咲を抑え込んでたスカーフに別れを告げましょう。3……少しずつ怒りがこみ上げてきた。2……弱気な自分もスカーフと共にいなくなるわ。1……さあ、スカーフをもう一度強く握って………………ゼロ!スカーフを脱いで!」
咲「っ!」シュルッ!
久「………………ゆっくりと目を開けて」
咲「………………」パチクリ
久「……どう?テレビでやってたのをマネしてみたんだけど」
咲「なんか…………スッキリしました。自分じゃないみたい……いえ、自分なんですけど、なんか……今までの抑圧されてたモノが消えた感じです。今ならちゃんと戦えそうな気がします」
久「ホント?大成功ね!」
咲「はい」ニコリ
久「それじゃあ早速…」
晴絵「あー、ちょっと待って宮永さん。参加したくなかったらそう言っていいんだからね?ラップが上手くても別に強制参加じゃないからさ」
久「あ、それもそうですね。ごめん、咲。ちょっと強引だったわね」
咲「いえ、私は最初からやる気あります」
久「おろ」
晴絵「そうなの?」
咲「はい。西住さんたち姉妹は、フリースタイルバトルをすることで前より仲良くなったと聞いて……」チラ
照「」
咲「私も……そうなりたいと思ってます。だから参加したいです」
晴絵「そっか。わかった。じゃあ頑張ろうか」
咲「はい!部長、練習相手お願いします!」ニコッ
久「オッケー!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
咲「………………」
咲(あの日、スカーフを脱いだ状態でバトルをした時の興奮、開放感はたまらなかった。次々に言葉が浮かんで、今まで全然戦えなかった自分が嘘のようだった)
咲(でも、見学してる偵察の人に気付かれないように、スカーフをしたまま練習するようになったのは残念だった……自力の底上げにはなったと思うけど)
役人「それでは準備はよろしいでしょうか」
咲「あ、はい」
咲(いけない。今はバトルに集中しないと)
役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
咲「!後攻でお願いします」
役人「OK!先攻、戦車道チーム 西住まほ!後攻、麻雀部チーム Saki!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=-zYheeYiINw&t=5s
3:14
<第29戦 先攻 西住まほ VS 後攻 Saki>
まほ「真面目で大人しそうなヤツが バトルでは変貌」
まほ「そして どぎついディスで ギャップ狙い見え見え」ワァァ
まほ「それは すでにうちの妹 MIHOがやってる」
まほ「味の落ちる 二番煎じを 客に出すんじゃねぇよ」ワァァァ!
まほ「スカーフ脱いでキャラ作り 目立つために必死だな」ワァァ
まほ「でもきっと スカーフしてなかったってだけの印象になる」ワァァァ!
まほ「見てくれで誤魔化そうとする時点で 補欠って感じだよ」
まほ「私の前に立つ資格が無い どけっつってんだよ」ワァァァ!
咲「見てくれだけで邪推するその価値観 看過出来ない」ワァァ!
咲「考えが浅い その感性に 賛成少数 残念賞」ワァァァ!
咲「二番煎じ? 違う あんたの妹が未完成品」ワァァァ!
咲「悲観的 に見ずとも おそらく当たりと 睨んでいる」ワァァァ!
咲「バトル相手をどかす方法 ただ1つ 勝つのみ」
咲「それが凄味 どけと命令するんじゃ 情けない カスゴミ」ワァァァ!
咲「この人 韻踏めるけど踏まない感じを装う ペテン師」
咲「今までのアンサー全部言い訳 それって センスいいわけ?」ワァァァァ!
まほ「踏めるけど踏まない ちゃんと知ってるじゃないか」ワァァ
まほ「知ってて難癖つける こんな輩ばかりか?」ワァァ!
まほ「さっきの試合観てて言ってるなら もう 対象外」
まほ「最後踏んだろうが いくつ踏むとかあるのか? ガイドライン」ワァァァ!
まほ「お前の希望を押し付けるんじゃねぇよ カスゴミ」ワァァ!
まほ「対戦相手にスタイル指定するな これはマイク使った格闘技」ワァァァ!
まほ「と言いつつ こうやって応えてやるのが年上の優しさだ」ワァァ!
まほ「あとは痛くないように 潰してやるから目を閉じてろよ」ワァァァ!
咲「数回だけで 踏んでますアピールなんて 計算しようと」
咲「いい加減もう騙されない そんな霊感商法 みたいな手口」ワァァァ!
咲「こっちは韻踏んだ上でのパンチライン 生産工場」ワァァァ!
咲「ハッタリが通じなくなったら お姉さん逃亡」ワァァァァ!
咲「年上の優しさっていうより なんか姑(しゅうとめ)?」
咲「弾丸シュートめりこませたい あんたぐうの音 も出ない」ワァァァ!
咲「年下に論破されちゃって 併呑のパターン」ワァ!
咲「そうならないよう 頑張りましょう 正論おばさん!」ワァァァァ!
まほ「どこがパンチライン? ハッタリはどっちだよ」
まほ「品質データ偽装してるじゃないか その生産工場」ワァァァァァ!
まほ「お前の姉さんほど 強さを感じないぞ Saki」ワァァ!
まほ「アンサー返さないうちに論破? ぐうの音出しようがねぇなぁ」ワァァァ!
まほ「でもしょうがねぇか まだ1年生 上ばかり見てる」
まほ「よく転ぶらしいが それが原因だ わかっただろ」ワァァ!
まほ「韻を踏むために 『併呑のパターン?』 意味繋がらない」
まほ「韻のために間違った言葉を使うのが敗因だ わかっただろ」ワァァァ!
咲「意味繋がらない?違う 発想を飛ばす ギミックだからさ」ワァァ!
咲「想像力無い人 お断り ごめんなさい でも 事実語らないと」ワァァァ!
咲「確かに私は よく転ぶ でも必ず起き上がる」ワァァ
咲「不注意なだけなのに 変な理由付ける ヤツを嫌がる」ワァァァ!
咲「お姉ちゃんより強くない? 別にかまわない」
咲「お姉ちゃんより弱い私より弱い 西住まほってだけ」ワァァァ!
咲「この先も次々に言葉放つ 勝ち星を得るため」
咲「そしてピリオド乗り越えた戦車をも 飛び越えるだけ」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァ!
まほ「……………」
咲「………………」
役人「では判定に入ります!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「……後攻、Sakiが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「まずはSakiに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「西住まほ」
理事長「Saki」
トシ「西住まほ」
秋一郎「Saki」
南浦「Saki」
役人「勝者!麻雀部チーム、Saki~~~~~!!!」
ワァァァァ!
咲「よし……!」
まほ「………………」
まほ(強いな……みほと戦った時と同様の圧力を感じた……いや、もしかするとそれ以上か?)
【舞台袖 戦車道側】
みほ「お姉ちゃんが……!」
エリカ「まほ先輩……!くっ……!」
杏「んー……こりゃ難敵だねぇ」
柚子「バトルが始まった瞬間に、表情が引き締まって別人みたいになりましたね……」
麻子「バランス型だが、全方位でレベルが高いな」
ミカ「ただ、西住まほさんが後攻だったら勝負はわからなかったと思うけれどね」ポロロン
カチューシャ「そうよ。まだ1戦目で手の内がわからないから勝てただけで、ワンパターンな攻め方しか出来ない相手かもしれないじゃない」
千代「その通りです。確かに今の試合は見事だったけれど、憶することはありません。オレンジペコさん」
オレンジペコ「はい」
千代「お願いします」
オレンジペコ「わかりました」ザッ..
ダージリン「優雅に、そして煌びやかに勝ってくるのよ?」
オレンジペコ「煌びやか……出来るかわかりませんが、頑張ってみます」
ダージリン「いってらっしゃい」ニコリ
オレンジペコ「はい」
【ステージ】
咲「…………」
オレンジペコ「」ザッ
咲(オレンジペコさん……アンサーが特に得意な人……)
オレンジペコ(愛里寿さんの言う通り、こうして対峙するとオーラがあるように感じますね)
オレンジペコ(戦車道の時のダージリン様にも引けをとらないほどの……)
役人「先攻後攻を決めてください」
ジャンケンポン
オレンジペコ「!後攻でお願いします」
役人「OK!先攻、麻雀部チーム Saki!後攻、戦車道チーム オレンジペコ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=zu6RMiPnWhs
2:45
<第30戦 先攻 Saki VS 後攻 オレンジペコ>
咲「上級生から 同じ学年が相手」
咲「気も楽だ タコ殴り 上中下段」ワァァァ!
咲「ダージリンさんのそば 常駐してた」ワァァ!
咲「紅茶係に対し 起こすクーデター」ワァァァ!
咲「つまりは聖グロのグロの意味を グロテスクに」
咲「変える 惨状 圧倒的な ストレスフリー」ワァァァ!
咲「手作りのお菓子 テーブル上 風化」
咲「満場一致で会場中 制する少数派」ワァァァァ!
オレンジペコ「マイク持たせてる場合じゃないよまず」
オレンジペコ「真顔でタコ殴りとか サイコパス」ワァァ!
オレンジペコ「クーデター フランス語で 『国家に対する一撃』」
オレンジペコ「聖グロを 国と認めてくれてありがとう」ワァァァ!
オレンジペコ「さっきの霊感商法 どうこうなんかより」
オレンジペコ「Sakiの凶暴性にみんな 諦観のようだ」ワァァァ!
オレンジペコ「完全に危ない人 だからちゃんと 封じよう」
オレンジペコ「ほどけないよう スカーフを首に かた結びしよう」ワァァァ!
咲「かた結び 一瞬で斬り 作る 英雄伝説を」
咲「それはまるで関羽 青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)」ワァァァァ!
咲「またがる赤兎馬 あるいは汗血場(かんけつば)」
咲「簡潔に言って 酸欠になる前に あっさり完結だ」ワァァァ!
咲「Sakiの凶暴性 コメント無しの方向で」ワァァ!
咲「行動で示す コールドゲーム」ワァァァァ!
咲「『ゴメン』しても 許さず片付ける」
咲「オレンジペコ その辺に寝ろ」ワァァァ!
オレンジペコ「『ゴメンしても』 どんな日本語?」ワァァ!
オレンジペコ「酸欠か産気づいてて 息切れですかぁ!?」ワァァァ!
オレンジペコ「自分の首に巻かれたマフラー切るために」
オレンジペコ「青龍偃月刀 使う武将は 知力1でしょ」ワァァァァ!
オレンジペコ「そもそも英雄伝説 自分で言い出しちゃダメ」ワァァ
オレンジペコ「はた迷惑ですよ 自我強すぎるおバカさんて」ワァァ!
オレンジペコ「誤魔化さず 私はありのまま アナ雪」
オレンジペコ「Sakiとは 桃園で誰も交わしやしない 盃(さかずき)」ワァァァ!
咲「知力1 という 恥辱に死を贈る」ワァァ!
咲「一口に 飲み込む そして 地獄行き」ワァァァ!
咲「盃 交わす気無し Sucker(サッカー)好き じゃない」ワァァァ!
咲「さっさと平らげる さよなら 赤ずきん」ワァァァ!
咲「今さら アナ雪 古すぎて 凍えそう」
咲「死語テスト存在したら問題として ここ出そう」ワァァァ!
咲「こんな人とは どこも行きたくない 桃園にもです」
咲「そう思ってしまう 24/7(トゥエンティフォー・セブン)」ワァァァァァ!
オレンジペコ「そんなこと言われても 何も怖くないわ」ワァァァ!
オレンジペコ「私もあなたとは どこも行きたくないわ」ワァァ!
オレンジペコ「赤ずきん食べられても この過労死しそうな猟師役の」
オレンジペコ「役人さんが狼のお腹 さばいて救出 助かる」ワァァ!
オレンジペコ「24時間ずっと私とどこも行きたくないって考える」
オレンジペコ「…それ、逆に私のこと好きなんじゃない?」ワァァァ!
オレンジペコ「素直になれない ツンデレ女子」
オレンジペコ「ありのままで 進んでってよし」ワァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
咲「………………」
オレンジペコ「………………」
役人「では判定に入ります!先攻、Sakiが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、オレンジペコが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「まずはSakiに1ポイントが入ります」
オレンジペコ「…………っ」
役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「オレンジペコ」
理事長「Saki」
トシ「オレンジペコ」
秋一郎「Saki」
南浦「Saki」
役人「勝者!麻雀部チーム、オレンジペコ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
咲「」フゥ
オレンジペコ(後攻をとったのに……延長にすら持ち込めませんでしたか……)
【舞台袖 麻雀部側】
優希「やったじぇ!咲ちゃんがまた勝ったじょ!」
久「これで残るは2人ね!」
和「咲さん……///」
和(普段と違って攻撃的な口調で罵る咲さんも素敵です///)ポー..
照「あとは島田愛里寿……ばりぼり…………と西住…………ぼりっばりっ…………みほだけだな」モグモグ
菫「照。堅あげポテトを食べながら喋るな。噛み損なうと歯ぐきを痛めるから集中して食べろ……それと」
照「?」パクパク ポロポロ
菫「お前が取り損ねて床に落とし、誤って踏んづけてしまったじゃがりこを福路さんが掃除してくれたところだろう?早速ポロポロとこぼすんじゃない」
美穂子「いえ、私はお掃除が好きですから大丈夫です」ニッコリ
華菜「……なあ文堂」
星夏「は、はい」
華菜「私たちが『あーあ、じゃがりこって踏んじゃうと超粉々になって掃除機とかちり取りじゃないと片付けるの大変なんだよなぁ』とか言って棒立ちで見てるだけだった時、掃除してくれたのは誰だ?」
星夏「キャプテンです!」
華菜「な?キャプテンはお人よしすぎるんだ」
星夏「はい……まったくです」
智葉「いや、後輩が突っ立ってるんじゃない。お前らが動け」
華菜「…………っす」
智葉「『っす』じゃない。謝ったような感じだがそれは何の返事にもなってないからな」
ネリー「もー!サトハうるさい。黙って膝枕やってて。約束でしょ」
智葉「……確かに負けたらしてやると言ったが……まぁいい」
照「………………」モグモグ
照(咲……)
【舞台袖 戦車道側】
みほ「オレンジペコさん……!」
アンチョビ「お、おいおい。先攻でオレンジペコに勝つのはかなり難しいはずだろ?」
カルパッチョ「はい。練習では、後攻時の勝率は高かったです」
桂利奈「そのオレンジペコさんを相手に……さすがラスボス……」ゴクリ
ケイ「うーん……確かにあの子、すっごく強いんだけど……ちょっと違和感があるのよね」
ナオミ「違和感?」
アリサ「どの部分がですか?」
ケイ「むーー……どこって言われても困るのよねー……なんとなくだから」
アリサ「……それは隊長の勘違いでは?」
まほ「そうでもない。戦った時、私も若干違和感を覚えたからな」
アンチョビ「ど、どんなんだ?」
まほ「1バース目の途中から力強さというか、圧力を増したように感じた。しかし……」
アンチョビ「しかし?」
まほ「今のバトルで、わずかだが圧力が弱まったように見えた。ただ、少しして再び増したがな」
アンチョビ「うーむ、つまり……調子に波がある、ということか?」
まほ「細かい部分はわからない。ただ、何かがあるという気はする」
アッサム「何故何かがあると思われるのですか?」
まほ「勘だ」
アッサム「…………なるほど。ダージリンはどう思いますか?」
ダージリン「うふふふ」
アッサム「……またわかってるフリですか」ハァ
ダージリン「違うわ。今のまほさんの言葉で全てのピースが埋まったの」
アッサム「え?」
まほ「どういうことだ?」
ダージリン「宮永咲さん……彼女の麻雀での武器と言えば?」
杏「嶺上開花(リンシャンカイホウ)だね」
ダージリン「そう。そしてその嶺上開花を和了るために必要なのは……」
まほ「!カン(槓)か!」
ダージリン「ええ」ニッコリ
まほ「なるほどな……だから1バース目の頭であれだけ……」
沙織「ちょ、ちょっと!あのー、意味がまだわからないんですけど……」
ダージリン「では説明しましょう。Sakiさんは麻雀の時と同様に、カンをするほど手が進む……つまり有利になっていくの」
沙織「…………え!じゃあ……」
ダージリン「シンプルすぎて拍子抜けだけれど、『カン』の付く言葉……例えば『漢字』や『感動』ね。これらを使うと力を増すのだと思うわ」
まほ「私とのバトルで急に圧力が増したのは、序盤でカンの付く言葉を連呼してパワーアップしたから、というわけだ」
優花里「ど、どういう仕組みでそうなっているのでしょう?」
まほ「彼女にとって、麻雀でカンは大きな武器だ。有効牌を引き入れる以外にも色々と戦いの中で重要な位置にあることは想像に難くない。その強い想いがフリースタイルバトルにも反映されたんだろう」
沙織「そ、そんなことってありえるんですか?」
ケイ「アンジーがじゃんけん強すぎるのと似た感じじゃない?運だけで片付けられないでしょ?理由も説明できない。アンジー以外はね」
桃「た、確かに……」
杏「んー、私はなんとなくやってるだけなんだけどねー。でもそうだね、理屈で説明できないのは同じかも」
アキ「あれ?じゃあ途中で圧力が弱まった、っていうのはどういうことなんですか?」
ダージリン「オレンジペコが『カン』の付く言葉を使ったからよ」
アキ「え?」
ダージリン「おそらく、相手がカンを含む言葉を使うと、Sakiさんの強化された分が失われるのだと思うわ。そのあとで勢いを取り戻したのは、Sakiさんがカンの付く言葉を使ったからね」
まほ「そうか……だから今のバトルの2バース目の頭、Sakiは力が弱まった。オレンジペコさんが1バース目でカンを使ったからだ」
ダージリン「ええ。だから力を強めるため、アンサーとしては効果の薄い『関羽』、『簡潔』、『汗血場』などを使って力を取り戻しにかかった…」
まほ「最初の方は力を強めることを重視したわけか……なるほどな」
ダージリン「まほさん。Sakiさんの力の上限、下限についてはどう思います?」
まほ「そうだな。あくまで予想だが、私とのバトルでは1バース目でパワーアップして以降、ほとんどカンが無かった気がする。上限はある程度決まっているんじゃないだろか」
ダージリン「下限はどうかしら?相手がカンを付ければ、上乗せした力の分は下げられるというのは正しい気がするけれど」
まほ「……こちらがどれだけカンを使おうと、最初よりマイナスにはならない気がするな。それと上限だが、単純に数が多ければいいならもっと連呼して強化するはずだ。やみくもに使って気付かれるのを警戒したとも考えられるが、あらかじめカンの付く言葉を片っ端から暗記すれば数で押し切れるだろうから、上限は決まっていると思う」
ダージリン「ふむ……何故上限を決めたのかしら。上限を無しにしてしまうと、自分の中でバランスを取るために下限もマイナスになるように適用されてしまうから?」
まほ「というよりは麻雀のルールが根底にあるからだろう。『カンをマイナス2回』というルールはないからな」
ダージリン「確かにそうね」
まほ「回数はどうだ?最大何回まで強化出来ると思う?」
ダージリン「……麻雀のルールから考えると、4か5ではないかしら?」
まほ「やはりそうか」
ダージリン「ええ。麻雀では2人以上が4回カンをすると流局になる。ただ四槓子という役満があるから、1人が4回カンした場合は流局にならず、そのあとに誰かがカンした時に流局になる。つまり5回ね」
まほ「……うん、それは納得だ。ということは…」
桂利奈「あいーーー!!!!」
まほ「な、なんだ?急に叫んでどうした?」
桂利奈「全然話についていけません!」
沙織「わ、私も……何がなんだか」
まほ「そうか?では説明を…」
愛里寿「大丈夫」
沙織「え?」
まほ「む?」
愛里寿「Sakiがカンという言葉を言うと強化される。相手が言うと弱体化。強化段階は4から5回。最低は0。バースや試合をまたいで効果は継続する……でしょ?」
まほ「ああ。今の試合は、私とのバトルの勢いそのままだったからな。継続するだろう」
ダージリン「その辺は麻雀のルールと少し齟齬があるわね。もっとも、麻雀には流れがあるとするならば前局の流れを引っ張るという考え方が出来るけれど」
沙織「え、ええと……?」
愛里寿「彼女と戦う場合、バース毎に最大5回、カンが付く言葉を使えばいい……先攻をとって前の試合の強化分を打ち消す必要もある。理解した」
桂利奈「よ、よくわかるね。すごく難しいのに……」
愛里寿「エヴァの設定とかの方が難しい」
桂利奈「そうだけど!」
愛里寿「お母様。私、行っていい?」
千代「ふふ、そのつもりよ」ニコリ
愛里寿「ありがとう」
みほ「えっ?あ、あの!私が最後なんですか?」
千代「信頼しているのよ。私も、みんなもね」
みほ「!…………」
愛里寿「みほさん」スッ
みほ「愛里寿さん……?」
愛里寿「これ、ボコ。預っててもらっていい?」
みほ「う、うん」
愛里寿「じゃあ行ってきます」
みほ「愛里寿さん……頑張って!」
愛里寿「……うん」ニコッ
【ステージ】
愛里寿「………………」ザッ
咲「……………………」
咲(島田愛里寿さん。前回大会のシングル戦では西住まほさんと互角の勝負をしてた。間違いない強敵。そして……)
咲(ヒラヒラのゴス口リ……和ちゃんが好きそう……)
咲「!」ハッ
咲(気を緩めちゃダメだ……引き締めて、全力で……)ギュッ..
役人「先攻後攻をじゃんけんで決めてください」
ジャンケンポン
愛里寿「先攻」
咲「む」
愛里寿「……………」
咲「…………」
役人「OK!先攻、戦車道チーム 愛里寿!後攻、麻雀部チーム Saki!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=OqwvMiti9a0
2:56
<第31戦 先攻 愛里寿 VS 後攻 Saki>
愛里寿「先攻で簡単に完封 時間使わず」
愛里寿「間髪入れず 棺桶に入れる 感覚秀でる」ワァァ!
愛里寿「1から9 オールマイティ 歩く一気通貫(いっきつうかん)」
愛里寿「狼 兼 ライム狂いの ビッチ食う番」ワァァァァ!
愛里寿「清澄の 濁る水のようなディスに食指 動かない」ワァァ!
愛里寿「清くて澄んでる 嘘じゃない? 相手の傷 ひどくえぐってる」ワァァァ!
愛里寿「しかも 追撃とばかり傷口に 塗りたくる塩」
愛里寿「そんなSakiに 愛里寿が与える 悔い悩む死を」ワァァァ!
咲「勘弁してほしいほどの 勧善懲悪」
咲「愛里寿の描く価値観 完全懲罰もの」ワァァ!
咲「一気通貫とか麻雀の トピック用いた」
咲「お勉強済みらしい 偉いね このゴシック口リィタ」ワァァァ!
咲「ホントに冗談 に見えるほど お人形さんっぽいくせに」ワァァ!
咲「牙は鋭い だけど無駄になる 臥薪嘗胆」ワァァァ!
咲「ガキんちょなんか 指の先っちょタンってやれば」ワァァ
咲「ひっくり返って転がる そんな印象だ!」ワァァァ!
愛里寿「倒れない 立ち続ける 永久機関の完成だ」
愛里寿「いかんともしがたい程の 三半規管と安定感」ワァァァ!
愛里寿「難しそうな 四字熟語で 取り繕うの やめなさい」ワァァ!
愛里寿「賢く見せようと必死か その気持ちは ポリ袋へ」ワァァァ!
愛里寿「あんた 見た目は 文学少女 運無く頂上 前に」
愛里寿「脱落 愛里寿が勝つ 韻踏んだ玄人」ワァァァ!
愛里寿「ばりに勝利ふんだくろうと戦う 覚悟」ワァァ!
愛里寿「Sakiは本の虫 でも愛里寿は 本物のMC!」ワァァァァ!
咲「果敢なほどの過干渉 鬱陶しい感情」ワァァ!
咲「韻が何小節も続く 森羅万象 ばりに みんな感動」ワァァァ!
咲「させる Sakiに反し 愛里寿 ゴス口リ着てる」
咲「ワックMC 今すぐ すくいあげる 北斗七星」ワァ!
咲「そう つまり柄杓(ひしゃく) 起こすミラクルな美学」ワァァ!
咲「自覚無いし悪態に足すライム すぐさま 爆砕」ワァァァ!
咲「それでもなお 撃ち続ける弾丸 ずば抜けた連射速度 リロード」
咲「文学少女に 読み解かれる ゴス口リ幼女」ワァァ!
愛里寿「意味不明な文脈 その小説(小節)は不採用」ワァァァ!
愛里寿「ゴス口リ『幼女』じゃない だから 告訴しようと思う」ワァァァァ!
愛里寿「Saki 8小節の前半『カン』ばっかなのはどうして?」
愛里寿「好きなら今からたっぷりあげる それじゃあ行こうか」
愛里寿「カンカン照り、観客、喚起、管轄、管楽器、鑑みる、カンガルー」ワァァァ!
愛里寿「関係、歓喜、緩急、環境、観察眼、この辺で お勘定」ワァァァァ!
愛里寿「それと 最後に言わせてほしい この 一言」
愛里寿「♪ゴス口リ服 着るのもHIPHOP」ワァァァァァ! ♪My life / ZORN
咲「どうしてカンばっか? 好きな言葉 音感 快感だから」
咲「なんだかんだ 第六感 働かせながらも 頑張った」ワァァ!
咲「今 劣勢 でもディス徹底的に 言うし決定的 な差じゃない」ワァァ!
咲「勝機見込みつつ 包み込む 有刺鉄線」ワァァ!
咲「ゆうに接戦 越えて点 を稼ぎまくる オーラス逆転劇」
咲「ボーナス100円でいい とにかく立場 昇格かつ完璧」ワァァァ!
咲「この先も Sakiが 咲き誇り さっきみたいに 勝つらしい」
咲「愛里寿は枯れちゃう 寒椿(かんつばき)」ワァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
愛里寿「………………」
咲「……………………」
役人「では判定に入ります!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、Sakiが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「まずは愛里寿に1ポイント入ります」
愛里寿「…………」
咲「………………」
役人「……それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「愛里寿」
理事長「愛里寿」
トシ「愛里寿」
秋一郎「Saki」
南浦「愛里寿」
役人「勝者!戦車道チーム、愛里寿~~~~~!!!」
ワァァァァ!
愛里寿「………………」ホッ
咲「負け……た……?」
【舞台袖 麻雀部側】
和「咲さん……!」
久「島田愛里寿……完全に咲の特性を見抜いていたわね」
照「そのせいで少し焦ってた。そしてその焦りに加えて、北斗七星のラインでの歓声が少なかったことに動揺して崩れた」
淡「北斗七星のライン?あったっけ?」
菫「あっただろう」
照「『ワックMC 今すぐ すくいあげる 北斗七星』ってところ。北斗七星が柄杓の形をしてるから、それで島田愛里寿をすくいあげるという意味と、北斗七星を道具として使えるくらい自分はすごい、というセルフボースティングだったけど……わかりにくいから伝わらなかった」※セルフボースティング・・・自画自賛、自分の凄さを他者に誇示する
菫「すぐに『つまり柄杓』と言ってはいたが…」
照「そのまま行くか説明するかで後者をとったんだろうね。どちらも正解だろうけど。でも結局愛里寿さんが一枚上手だった」
照「8小節の前半にカンばかりと指摘されたけど、咲はそのアンサーを返す余裕もなく、劣勢を立て直すことしか見えてなかった」
菫「ラストバースでカンの付く言葉をひたすら並べてきたのもプレッシャーになっただろうな」
照「間違いなく。冷静でいられたら互角以上に戦えただろうけど……戦車道で勝負慣れしてるせいか、冷静でいられなくなるような攻め方をしてきた」
淡「ふーん、色々考えてるんだね~」
照「………………」
菫「その、なんだ…………残念だったな」
照「…………うん」
【舞台袖 戦車道側】
沙織「か、勝ったーーーー!!」
優花里「やりましたねぇ!西住殿ぉ!」
みほ「うん」ニコリ
みほ(愛里寿さん、すごい)
ペパロニ「いやぁ~!めでたく優勝出来てよかったすよ~!」
華「これはもう食べ放題ですね」ウフフ
ケイ「パーティーの準備しなきゃ!」
ワイワイガヤガヤ..
みほ「………………」
沙織「あれ?みぽりんどうしたの?せっかく優勝したんだからもっと楽しまないと!」
みほ「え、でも」
沙織「?」
みほ「まだ……終わってないし」
沙織「…………へ?」
ペパロニ「…………ほ?」
ケイ「…………は?」
みほ「麻雀部チームはまだ1人残ってるよ?」
沙織・ペパロニ・ケイ「………………」
華「…………やっぱりですか」
沙織「ちょっと!華ずるい!絶対知らなかったじゃん!食べ放題とか、打ち上げの話してたし!」
華「いえ、わたくしはいつも食べ放題のつもりですから」
ペパロニ「あ、それは私もっす!」
ケイ「えー!?カ口リーとか糖質とかちょっとは考えた方がいいよ~?」
沙織「食べ放題の話で引っ張らなくていいから!ていうかみぽりんも知ってたなら早く教えてよ!」
みほ「ごめんね?でもSakiさんがラスボスっぽいオーラっていうのには同意見だったから」
ダージリン「それとみほさん、1つ忘れてるみたいだから教えてあげるわ。アンチョビさんもSakiさんが最後の1人だと思ってたわよ」
アンチョビ「お、おい!こっそりとしてたのにバラすなぁ!」
ペパロニ「姐さん……後輩3人とケイさんを犠牲にして自分だけ助かろうとか、クソダサくないっすか?」
アンチョビ「う、うるさい!この話はもういいとして!最後は誰なんだろうなァー!?」
ミッコ「完全に勢いで押し切ろうとしてる……」
杏「まぁまぁ。その辺にしといたげよーよ。で、実際誰なんだろね?」
優花里「わかりません……偵察に行った人間として情けない限りですが……」
おりょう「目ぼしい人間は出場済みぜよ」ハァ
エルヴィン「となると……練習に参加してない人物かもしれないな」
カエサル「しかし、そんなヤツいるのか?」
左衛門佐「!わかったぞ!」
エルヴィン「本当か、左衛門佐!?」
左衛門佐「ああ!最後に出てくるのはおそらく……宮永照だ!」
おりょう「は?」
エルヴィン「もう出ただろう」
左衛門佐「違う」
カエサル「?」
左衛門佐「さっき出ていた宮永照は…………影武者だ!」
エルヴィン・カエサル・おりょう「な、なんだってーーーー!!!」ガガーン
千代(しまった!ノリ遅れたわ!)チッ..
アッサム「監督?」
千代「はっ……こほん。なんでもないわ」
みほ「………………」
みほ(影武者は無いとして……でも本当に誰なんだろう……)ウーン
【舞台袖 麻雀部側】
咲「ごめんなさい……負けちゃいました……」
まこ「お疲れじゃ」
久「すごかったわよ!頑張ったわね、咲」ニコリ
和「咲さん……好きです///」
優希「のどちゃん、それは今じゃないじぇ」
咲「愛里寿さんには私のスタイルが完全に見抜かれてました……」
久「ちょっと予想外ね。録音なり文字起こししてみれば多少わかるかもしれないけど、2戦で気付くなんてね」
ゆみ「砲弾飛び交う戦場で磨かれたものだろうな。福路並の洞察力だ」
晴絵「……みんないい?大会もいよいよ大詰め。残るはうちらが1人で戦車道チームが2人…」
晴絵「相手は島田愛里寿、そして間違いなく西住みほ。どちらも強敵」
晴絵「でも、この子ならなんとかしてくれると私は思ってる。バトル前にこんな風にプレッシャーをかけられても……ううん、むしろこのプレッシャーを力に変えてくれると思う」
晴絵「…………じゃあ、あとは頼んだよ」ザッ
やえ「………………」バン!
やえ「……ふっ、仕方がない。私がこの状況をなんとかしてみせよう!」
晴絵「…………いや、小走さんじゃなくてね」
やえ「なっ……なんですって!?」
憧「もったいぶったハルエも悪いよ。しずもそう思うでしょ?」
穏乃「え?私は別に……ラーメン食べたいなって思ってたところだし」
憧「それ今思うこと?まぁ……しずらしくていいけど」
晴絵「じゃあ仕切り直して」コホン
晴絵「……あとは任せたわよ!愛宕洋榎さん!」
洋榎「…………よっしゃ」ニッ
やえ「わ、私の無念を晴らすのよ!」
智葉「油断するなよ?普段のお前の調子を出せるなら何も心配はない」
照「………気を付けて」
菫「我々麻雀部の命運はお前が握っている。頼んだ」
胡桃「絶対勝って!」
久「大トリは任せたわよ?」クス
智美「ワハハ」
ゆみ「強敵が2人残っているが、愛宕さんなら大丈夫だ」
咲「あの……お願いします」
淡「負けたらダメだからね」
爽「『何事も愛をもって行いなさい』……って感じで」※新約聖書 コリントの信徒への手紙 16章14節
憧「ここで応援してますから!」
華菜「私たちの無念を晴らしてほしいし!」
和「よろしくお願いします」
姫子「私が部長んこつば大切に思うように」
哩「愛宕洋榎の力ば信頼しよる」
怜「負けたらジュースおごってもらうで?」
洋榎「…………ふふん」ニヤリ
絹恵「ファイトやで!お姉ちゃん!」
洋榎「おう!全部まとめて面倒みたるわ。ほなな」ザッ!
【ステージ】
愛里寿「………………」
愛里寿(最後の相手は誰なんだろう?)
洋榎「すまんすまん。遅なってもうた」
愛里寿「…………!」
愛里寿(愛宕洋榎……大阪の姫松高校だったっけ)
愛里寿(確か……この人の妹がぬいぐるみを蹴ったんだよね。ということは姉であるこの人もぬいぐるみを蹴る派の人間…)
愛里寿(ボコをみほさんに預けておいて良かった)ホッ
【舞台袖 戦車道側】
みほ「愛宕さんが最後の1人……」
麻子「どんなスタイルなんだ?」
優花里「それが……愛宕さんがバトルしてるところを見たことがないんです」
桃「どういうことだ?練習に参加してなかったのか?」
優花里「いえ、その場にはいたのですが、バトルを見ていることがほとんどでした。あとはサイファーには加わってましたけど、割とダラっとした感じで……あまりデータが無いのです」
おりょう「まったくバトルをしてないわけではないんだが……どうも全力で取り掛かっていないようだった」
エルヴィン「選ばれない、あるいは選手として参加しないから、そういう行動をとったと思っていたが……」
左衛門佐「大トリとして出てくるということは、何か理由があってのことだったのかもしれない」
カエサル「あるいは練習なんていらないと考えるタイプか、だな」
みほ「…………」
みほ(いきなりバトルを練習するんじゃなく、見ることから始めたのは、バトルの全体図……戦うMC2人を客観的に見ることと、周りの人の表情や反応を知るため?)
みほ(バトルに本腰を入れてないように見えたのは、何か試行錯誤しながら戦っていたから?)
みほ(そうでもなければ、強敵揃いの麻雀部チームで最後の1人に選ばれるはずがないよね……)ゴクリ
みほ(愛里寿さんには勝ってほしいけど、いつ出番が来ても大丈夫なように、愛宕さんを研究しよう)ジッ..
【ステージ】
洋榎「……おっしゃ、気合い入れてこか」
愛里寿「………………」
愛里寿(この人もSakiさんみたいに何かしらの特殊なモノを持っているのかな)ジー
洋榎「ん?なんやその目ぇは…………あ、なるほど。うちが他のヤツらみたいな特徴あるんちゃうかって考えてるんやろ?」
愛里寿「!」
洋榎「やっぱ図星か。安心せえ、うちはオーソドックスや。変わった特技もなんも無いで」
愛里寿(……嘘、はついてない感じ)
洋榎「ただ……」
愛里寿(!やっぱり何かある?)
洋榎「シンプルにめっちゃ強いで?」ニヤリ
愛里寿「……………………」
愛里寿(何かしらあるかもしれないと思わせておけば私の集中を乱せて有利なのに、わざわざ自分で明かすなんて……)クスッ
洋榎「お?なんで笑たん?」
愛里寿「いえ、なんでも」
愛里寿(自分が負けたら終わりの状況でこうまで落ち着いていて、正々堂々と戦おうとする姿勢……嫌いじゃない)
愛里寿(当然、負けるつもりはないけど)
洋榎「なんでも言われたら余計気になるやんかー。ま、ええけど」
役人「ではそろそろ始めましょう。先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
洋榎「お、勝った。ほな先攻で」
役人「OK!先攻、麻雀部チーム ヒロエ!後攻、戦車道チーム 愛里寿!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=U1udf8ZfhCk
2:42
<第32戦 先攻 ヒロエ VS 後攻 愛里寿>
洋榎「ゴス口リ服 着るのも HIPHOPなら うちは」
洋榎「♪一点突破 行くでHIP HOPPER」ワァァァ! ♪MR.DYNAMITE / ZEEBRA
洋榎「羨ましいわ 金持ち ええとこ育ち」
洋榎「♪島田流の関係者 大体友達」ワァァァ! ♪Grateful Days / Dragon Ash feat.ZEEBRA
洋榎「うちも2世やけど ニセちゃう 変な扱い大概にせぇや」ワァァ!
洋榎「親に似せる気ない 第一線や 毎日変化」ワァァァ!
洋榎「おちゃらけて 騒動起こす 弥次喜多さんに?」
洋榎「あるいは女版の やしきたかじん」ワァァァ!
愛里寿「♪星の数ほどいる ワックMC 即」ワァァ ♪公開処刑 / キングギドラ feat.BOY-KEN
愛里寿「溶かす ヘドロと化す 灼熱地獄」ワァァァ!
愛里寿「何故か 目指してるらしい やしきたかじん」
愛里寿「そんな人に対して 何したらいい?」ワァァァ!
愛里寿「ラップより歌、毒舌? ならどっかいけ」
愛里寿「麻雀の人すら目指さない もったいねぇ」ワァァァ!
愛里寿「今の一言で ヒロエの脳に走る」
愛里寿「♪雷 稲光 降り注ぐ雷鳴」ワァァァ! ♪イカヅチ / 雷
洋榎「その通り ♪電光石火 かっ飛んできた」ワァァァ! ♪証言 / LAMP EYE
洋榎「♪仲間と常に 魂」ワァァ!
洋榎「♪燃やし 焦がし 笑い」ワァァァ!
洋榎「♪力となってく うちの肥やし」ワァァァァ!
洋榎「おかんも言うはず 『うちの子やし』」ワァァァ!
洋榎「愛宕家は別名 ばくち打ちの小屋に」ワァァ!
洋榎「歌も毒舌もラップで 表現できるで?」
洋榎「発想が貧困 愛里寿を『証言』で斬るで」ワァァァァ!
愛里寿「♪貧困なんて気にしなーい」ワァァァ! ♪貧乏なんて気にしない / KOHH
愛里寿「♪絶対ヒロエに負けなーい」ワァァ
愛里寿「貧乏くさいのはヒロエの方」
愛里寿「ばくち打ち というより マッチ売り」ワァァァ!
愛里寿「2世として よく言われた 七光り」
愛里寿「でもそれが間違い だと証明するから」ワァァ
愛里寿「♪なんて言われてもいい」ワァァァ! ♪WHATEVER / ANARCHY
愛里寿「痛くもかゆくも無いから 斬られてもいい」ワァァア!
洋榎「ならもう一度 斬っとこ~かな~?」
洋榎「麻雀と戦車 クロスオーバー斬」ワァァァ! ♪KROSSOVA’〈斬〉 / S-WORD
洋榎「サンプリング 予言済み KOHHとANARCHY」
洋榎「去年の冬頃 すでに うちのコート穴あき」ワァァァ!
洋榎「そんなヒラヒラ 今 着替え」
洋榎「♪関西から はるばる殺しに来た来た」ワァァァァ! ♪人間発電所 / BUDDHABRAND
洋榎「監督 ♪赤土の晴絵の姉貴 と」ワァァ ♪大怪我 / BUDDHABRAND
洋榎「♪ヒロエの危ない手の動き を見ろ」ワァァァ! ♪Don’t test da master / BUDDHABRAND
愛里寿「疲れそうなほど 危ない手の動き」
愛里寿「酸素足りないなら頑張れ ヘモグロビン」ワァァ!
愛里寿「サンプリング対決 楽しめた 屈託なく」
愛里寿「でも ♪バトルは愛里寿が完全に食った」ワァァァ! ♪来たぜ / K DUB SHINE
愛里寿「大正解に なるよう 改正開始」
愛里寿「頭脳旅行中 高める 需要と供給」ワァァァ!
愛里寿「このバトルのハイライト こう書いとけ」
愛里寿「愛里寿がヒロエを 公開処刑」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
洋榎「さすがやな。やるやん」
愛里寿「…………あなたも」
役人「これより判定に入ります!先攻、ヒロエが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「……後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「まずは愛里寿に1ポイント入ります」
洋榎「む、とられてもうたか」
愛里寿「………………」
役人「……それでは、審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「愛里寿」
理事長「ヒロエ」
トシ「ヒロエ」
秋一郎「ヒロエ」
南浦「愛里寿」
役人「3対2でヒロエ!延長戦に入ります!」
ワァァァァ!
洋榎「あっぶな。ヒヤヒヤしたわ」
愛里寿「…………」
【舞台袖 戦車道側】
みほ「………………」
優花里「延長ですね……手に汗握る戦いとはこのようなことを言うのでしょうねぇ、西住殿」
みほ「………………」
優花里「……西住殿?」
みほ(愛里寿さんの前の大会や、SakiさんとのバトルでZORNをサンプリングしたことから、サンプリング合戦を挑んだヒロエさん)
みほ(ブッダの『赤目のダルマのオジキ』を『赤土の晴絵の姉貴』に変えたりとか、後半の畳みかけるようなサンプリングはストックの可能性もあるけど、雷のサンプリングを『証言』の電光石火に繋げたり、KOHHとANARCHYを『コート穴あき』で返す瞬発力はすごかった。それにフロウも心地いいし、ライムも上手い)
みほ(でも愛里寿さんが3バース目に、ヒロエさんのブッダのサンプリングを、ビーフがあったK DUB SHINEのサンプリングで返すのはかなり鋭い切り返しだったし、今までと変化を付けて『改正開始』、『頭脳旅行』、『公開処刑』と、曲名でライミングしたのは面白い試みだったから、審査員の評価に繋がると思ったけど、むしろ観客票で勝って審査員票で負けた…)
みほ(……ヒロエさんが『証言』のサンプリングで4小節使い、しかも内容が本人とリンクしていて、なおかつそのバースの最後を『証言で斬る』とライミングで決めた……そのインパクトを上回れなかったのかな)
優花里「………………」
沙織「すごい集中力だね、みぽりん。周りの声が全然耳に入ってないみたい」
優花里「はい。そんな西住殿も素敵ですぅ……///」
華「ボコのぬいぐるみを抱えながら真剣な顔をしているのが可愛らしいですね」ウフフ
沙織「確かに」クスッ
みほ(延長戦はどう戦うつもりなんだろう?サンプリング合戦の続きをするのかな?それとも普通に戦う?)ウーン
【ステージ】
役人「延長戦の先攻後攻を決めてください」
ジャンケンポン
洋榎「今度は後攻や。あんたじゃんけん弱いな」
愛里寿「……たまたま」
役人「では行きましょう!延長戦、先攻 愛里寿!後攻 ヒロエ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=Fi1V0e499yc
2:25
<第33戦 先攻 愛里寿 VS 後攻 ヒロエ 延長戦>
愛里寿「今度こそ 懐 深めに入る」
愛里寿「さっきのは前哨戦 つばぜり合い」ワァァ!
愛里寿「栄光の1日 ならないんだ今日も」
愛里寿「未来永劫 着てろ 穴あいたコート」ワァァァ!
愛里寿「華やいだ舞台上 負けて退場」ワァァ!
愛里寿「麻雀部代表 さよならしよう」ワァァァ!
愛里寿「それでこの大会 幕らしいよ」
愛里寿「涙落とすのは 枕にしよう」ワァァァ
洋榎「まずは緊張 なくし楽にしよう」ワァァ
洋榎「まくし立てましょう 上手く仕上げましょう」ワァァァ!
洋榎「様子見は用済み コートの穴から」
洋榎「刃が今 垣間見えた かいな?」ワァァァ!
洋榎「キミの番は 仕舞い ここは 死地となるわ」
洋榎「ちっこい すばしっこい おい 七五三か?」ワァァァ!
洋榎「枕濡らす? 何がおもろいねん!」
洋榎「お前を 泣かして流したるわ 涙ごとトイレ!」ワァァァァ!
愛里寿「そんなんじゃ辛い でも don’t wanna cry」ワァァァ!
愛里寿「真っ暗 な場所から飛び立つ バタフライ」ワァァァ!
愛里寿「超いきり立つ 禍津神(マガツカミ) すら触れられない」
愛里寿「今日キミに勝つ ことでその 領域に立つ」ワァァァ!
愛里寿「現在認識 した潜在意識」
愛里寿「もはや手の付けられない 天才につき」ワァァ
愛里寿「決着付ける 真剣勝負やろう」
愛里寿「結果 愛宕家で独りきり ホームアローン」ワァァァ!
洋榎「何寝ぼけとんねん ワックちゅうかルーザーが」
洋榎「未来変えたろか? バック・トゥ・ザ・フューチャー」ワアァァァ!
洋榎「ホンマは 察してるんやろ? ほんの うっすら」
洋榎「敵ながらあっぱれ 騙し切っとるな 本能すら」ワァァァ!
洋榎「けど逃がさへんで まるで猛禽類」
洋榎「♪ぜってえ なってやるぞキングに」ワァァァ! ♪ヤバスギルスキル・パート3 / ラッパ我リヤ feat.ARK
洋榎「クイーンと兼任 牝馬でダービー勝つ」
洋榎「そんな負けん気 祝杯 みんなでパーティーや!」ワァァァァ!
愛里寿「猛禽類 ってことは もう人類 卒業」ワァァ!
愛里寿「後戻りは出来ない メール 一斉送信済み」ワァァ!
愛里寿「パーティーしても集まるのは フクロウかハゲワシ」
愛里寿「大阪代表の立場だったのに 嘆かわしい」ワァァァ!
愛里寿「牝馬でダービー すでに前例あるし」
愛里寿「知らないなら 差が付く ヒエラルキー」ワァァ!
愛里寿「私が目指すは ♪ビッグなGⅠ(ジーワン)レース」ワァァ! ♪ライムダービー / ラッパ我リヤ feat.ZEEBRA
愛里寿「マイクラシック ラッパ我リヤ ライムダービー」ワァァァ!
洋榎「問1『まるで』の意味を答えよ」ワァァ!
洋榎「家で辞書引いて 身もだえろ アホ!」ワァァァ!
洋榎「ライムダービー出れん 賞金 足りてへん」ワァァ
洋榎「あれ?枕が濡れ……お前泣いてへん!?」ワァァァ!
洋榎「ほならカタキとったる 魂、背負(しょ)ったる」ワァァ!
洋榎「そんで勝つ 残す ディープインパクト!」ワァァァ!
洋榎「品格も人格も輪郭も 関係ない」
洋榎「明確な強さと結果に 飼育員泣くぞ!」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
愛里寿「……………」
洋榎「………………」
役人「では判定に入ります!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「……後攻、ヒロエが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「まずはヒロエに1ポイント入ります」
洋榎「………………」
愛里寿「………………」
役人「次は審査員の判定です!みなさん、お願いします!」
ババン!
亜美「ヒロエ」
理事長「愛里寿」
トシ「ヒロエ」
秋一郎「ヒロエ」
南浦「愛里寿」
役人「勝者!麻雀部チーム、ヒロエ~~~~~!!!」
ワァァァァ!
洋榎「……おし」グッ
愛里寿「………………」
愛里寿(負けた……)
役人「この結果、次の試合は両チームとも最後の一人……17人目同士の対決!正真正銘、最後の戦いとなりました!」
ワァァァァ!
【舞台袖 戦車道側】
沙織「愛里寿ちゃんが負けちゃった!」
華「……勝っていてもおかしくない気がしましたけれど?」
千代「愛里寿の出来は悪くなかったわ。安定したライミングにアンサーも返せていた……でも」
華「でも?」
千代「ヒロエさんのフロウが喋り口調や早口、テンポの上下など、細かい部分で変化を付けていたこと。そしてヒロエさんのラッパ我リヤのサンプリングに対し、愛里寿が競馬の話題を含めたアンサーとして、ラッパ我リヤの『ライムダービー』をサンプリングした…」
千代「これは愛里寿のカウンターが見事に決まった、と思ったところで、ヒロエさんは『ディープインパクト』というワードを使った。これはお見事でした」
沙織「でぃーぷいんぱくと?どういう意味なの?」
杏「ディープインパクトっていう、ダービーを勝った馬がいるんだよ」
沙織「なるほど。競馬繋がりってことですか」
麻子「それだけじゃない。ラッパ我リヤがfeaturingした曲に『Deep Impact』というのがある。島田愛里寿がサンプリングしたラッパ我リヤで再び返しているわけだ」
千代「そしてディープインパクトは『深い衝撃』という意味なのだけど、それもきちんと含まれている内容で筋が通っている…………残念だけれど、この試合では愛里寿を上回っていたわね」
沙織「な、なるほど……難しいことしてたんだ」
華「本当ですね……カ口リーを使いそうです」
千代「……というわけで……みほさん」
みほ「はい」
千代「愛里寿が敗れた今、残っているのは1人。みほさんだけです」
みほ「………………」
千代「私たちの命運は、あなたにかかっています」
みほ「…………はい」
沙織「そ、そんなプレッシャーかかる言い方…」
まほ「みほ」ザッ
みほ「お姉ちゃん……」
まほ「いけるな?」
みほ「うん、ちゃんとみんなの分まで背負うつもり」
沙織「みぽりん……」
みほ「心配してくれてありがとう沙織さん。でも大丈夫」ニッコリ
優花里「西住殿……」
千代(開き直ったわけではなく、きちんと受け止めた上での笑顔…)
千代(背水の陣と自覚させ、緊張感を与えることによる発奮を狙う必要はないみたい。さすがしぽりんの娘…………いえ、みほさんね)クスッ
麻子「西住さんなら勝つだろう。私は寝るから勝ったら起こしてくれ」
沙織「ちょっと麻子!ちゃんと観ようよ!」
麻子「冗談だ。見逃せないだろう、この試合は」
アッサム「普段通り、平常心で頑張ってください」
オレンジペコ「美味しい紅茶を用意して待ってますね」ニコリ
ペパロニ「だったらうちはパスタを作って待ってるっす!」
アンチョビ「対抗しなくていい!みほ!みほなら絶対勝てるぞぉ!」
ナオミ「その顔を見る限り、心配は無用そうだな」フフ
アリサ「まぁ……その……あんまり気負うんじゃないわよ?いつものあんたならなんとかなるから」
エリカ「気負おうがなんだろうが絶対勝ちなさいよ!戦車道だって、私や周りに何を言われても勝ったんだから!」
ケイ「ヒロエは強いわ!だからバトルしたらすっごく楽しいと思う!ミホ、レッツエンジョイ♪」
杏「ほーほー。にひずみひゃんはらはいひょふはいひょふ」モグモグ
カチューシャ「食べながら喋るじゃないわよ!まったく……ミホーシャ、負けたらシベリア送り25ルーブルよ!」
ノンナ「さっきまでどう励ますか悩んでいたのに素直じゃないですね……みほさん、今回のシベリア送り25ルーブルとは、『カチューシャと25回遊びに行こう』という意味です」
カチューシャ「の、ノンナ!バラすんじゃないわよ!」
カルパッチョ「その時は是非アンツィオに遊びに来てほしかったですけど……みほさんは勝ってくれるでしょうから、普通に遊びに来てくださいね」
ミカ「今日という日がどういう日になるかは、このバトルで決まるかもしれない。ただ、あくまでそれを決めるのは人の心さ」ポロロン
桂利奈「わ、私は西住隊長に勝ってほしいです!でもプレッシャーはかけたくないです!え、ええと…………ぱ、パンツァー・フォー!」
みほ「みんな……ありがとうございます」ニコッ
まほ「自分のやりたいように戦えばいい」
みほ「うん。じゃあいってきます」
まほ「ああ。いってらっしゃい」
【ステージ】
洋榎「来たか」ニヤ
みほ「…………」ザッ
役人「さあ、それでは最終戦を始めましょう!」
ワァァァ!
役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
洋榎「先攻や」
みほ「!……」
洋榎「一発で終わらせたるで」
みほ「そうは……させません」
洋榎「へえ……ほなら楽しみにしとくわ」
役人「OK!先攻、麻雀部チーム ヒロエ!後攻、戦車道チーム MIHO!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=wFeXBOVZVXU&t=13s
3:20
<第34戦 先攻 ヒロエ VS 後攻 MIHO>
洋榎「MIHO 片付けたるわ うちが大阪の代表」
洋榎「見たらわかる 聞いたらわかる 感じたらわかる オーラが最強」ワァァァ!
洋榎「ディスは豪華な愛情 8億小節 ずっと このまま快調」ワァァァ!
洋榎「ちゃんとアンサーせえよ? そのクチ閉じてもうたら最後 やから」ワァァァ!
洋榎「姉のカタキ 誰の話 なんでもええ かかってこい」ワァァ
洋榎「大阪人 今日までの会話量 格が違うわ! なんでも返す!」ワァァァ!
洋榎「スタイルは 王道 邪道 どれでもない 別の角度や」ワァァ
洋榎「そんなうちとお前で 作り上げるのが 今大会 ベストバウトじゃ!」ワァァァ!
みほ「大阪代表 相手でもクチは閉じず回る モーターは最速」ワァァァ!
みほ「会話量とラップは別物 話の筋 初っ端迷子」ワァァァ!
みほ「出だしからビッグマウス 姉の世迷言 妹かわいそう」
みほ「どこ行っても姉のネタでいじられて 『死のう』とかなりそう」ワァァァ!
みほ「それが嫌なら バイブス下げるな 避けろ 低体温症」
みほ「このバトル ベストバウトにならないなら ヒロエが停滞の温床」ワァァァ!
みほ「本来なら 仲良く過ごしていたい本性 でも容赦しない」ワァァ!
みほ「ディスで開ける 冥界の門を 扉塞いでとる 閉会の音頭」ワァァァァ!
洋榎「次から次 クチが悪い 妹は平気 ネガティブな 栗原類」ワアァァ!
洋榎「ちゃうから 無理なら無理 言うわ 教えたる 無知なカスに」ワァァァア!
洋榎「お前 今のライムだけやぞ? ちゃんと返せや 芯食うアンサー」
洋榎「冥界?なんやお前ケルベロス? とっととどかす 珍獣ハンター」ワァァァ!
洋榎「容赦せえへんのは当たり前 今頃そんな宣言せんでええねん」ワァァァ!
洋榎「マジ メか 説 明 書全 部読 むタイ プやろ どうせ お前は」ワァァァ!
洋榎「うちは 即決 そんなんばっかして 直感 反射神経」ワァァァ!
洋榎「鍛えた 速度制限、越す 経験則 ついてこれるんか オイ!?」ワァァァァ!
みほ「法定速度 守らないなら ほっとく どうせ急ぐほどじゃない」ワァァァ!
みほ「それに昔から言われてた 『怪しい人についていっちゃいけません』」ワァァァァ!
みほ「説明書 読まないヤツほど 何も内容わかってないよ」ワァァァ!
みほ「挙句の果て 困り 嘆くの何故? ホント世迷言だよ」ワァァァ!
みほ「わかってないから教える 冥界の『中に』いるのが ケルベロス」
みほ「外に出ようとして襲われる 頑張れ逃げろ 走れメロス」ワァァァ!
みほ「容赦しない宣言の理由 関西はクレーマー多そうに 思うから」
みほ「ホント面倒 無視しようかな どうせ 暮れは大掃除」ワァァァァ!
洋榎「もしもダイソンのサイクロンで吸われても 残すマイク痕」ワァァァ!
洋榎「吸引力を利用して パイプ通って排気口から 抜け出す」ワァァ!
洋榎「バッチリ(塵) 誇り(ホコリ)まみれや 微動だに(ダニ) せえへん 勝つのみ(ノミ)」ワァァァ!
洋榎「場内 歓喜(換気)させることを放棄(ホウキ)せず かますプレー(スプレー)」ワァァァァ!
洋榎「こうやって笑点ばりに 上手いことに挑戦」ワァァ!
洋榎「几帳面で真面目なヤツ 起承転結 キチキチで おもんない」
洋榎「枠はみ出す 度量も度胸もしょうもない 同じ土俵立てん」ワァァ!
洋榎「この言葉が置き土産 忘れんな そこのキミやで?」ワァァァ!
みほ「掃除機から脱出 速度も枠も はみ出たがるヤツ」
みほ「正直 同じ土俵 立ちたくない 人生に 真面目じゃなくなる」ワァァァ!
みほ「直感頼りじゃ 行き当たりばったり 進むべき時に」
みほ「道端に立ったり 明らかにハッタリ で 亡骸になったり」ワァァァ!
みほ「少々捻って 起承転結の承承承で 創造しようと」ワァァ!
みほ「想像以上 に不発な状況証拠 貰えない表彰状」ワァァァ!
みほ「回り回って 育ってない クリエイティビティ」
みほ「説明書 全部読んだ私は とっくにね生き字引」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァ!
洋榎「…………やるやんけ」
みほ「………………」
役人「では判定に入ります!先攻、ヒロエが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、MIHOが勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
役人「MIHOが1ポイント獲得です」
みほ「っ……」ゴクリ
洋榎「………………」
役人「……それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「MIHO」
理事長「ヒロエ」
トシ「ヒロエ」
秋一郎「MIHO」
南浦「ヒロエ」
役人「審査員票は3対2でヒロエ!延長戦です!!」
ワァァァァ!
洋榎「ま、そんなとこやろな」
みほ「………………」
みほ(残念だったけど、落ち着こう。ここで気持ちを乱したら一気に負ける。それだけヒロエさんは強い)
役人「では、先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
みほ「!」
みほ(勝った……普通なら後攻をとるところだけど、ペースを作るために……)
みほ「先攻お願いします」
役人「OK!先攻、戦車道チーム MIHO!後攻、麻雀部チーム ヒロエ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=oJSx_HwGrd0&t=7s
2:37
<第34戦 先攻 MIHO VS 後攻 ヒロエ 延長戦>
みほ「これで決める 戦車道チーム 見事にトップ」
みほ「祝福してくれる 水戸ホーリーホック」ワァァ!
みほ「ヒロエは 過大評価だ 帰りな 南大阪」ワァァァ!
みほ「チームメイトも思ってるはず 『見限ろうかな』って」ワァァァ!
みほ「見せつけるスキル ディスと 押韻が過激」
みほ「確実にヒットさせる 行進間射撃」ワァァァァ!
みほ「こいつのディス アホらしい小言にヤジ」
みほ「ソース無しの薄味 たこ焼きお好み焼き」ワァァァァ!
洋榎「ソース(情報源)あれへんなら 決め付けんな」ワァァァ!
洋榎「妄想と予想ばかりで 最後は 自滅でんなぁ」ワァァァ!
洋榎「あとお前、車長 砲手ちゃうなぁ」
洋榎「これはソースあるで? 認めてや社長さん」ワァァァ!
洋榎「ライムばかり盛り込みすぎ ラーメン二郎か?」ワァァ!
洋榎「西住まほの 爪の垢、煎じろ!飲め!」ワァァァ!
洋榎「お好み焼きばりに 板(舞台)の上でジュージュー熱ぅなる」ワァァ!
洋榎「暑苦しい 重々承知 うちは 押韻より気持ち!」ワァァァァ!
みほ「その気持ちを へし折る言霊(ことだま)」
みほ「耳塞ぐ代わりに 咳き込むとこだな」ワァァァ!
みほ「板の上で熱くなっても 最後ひっくり返される」ワァァァ!
みほ「その瞬間が来ると知ってて じっくり耐えられる?」ワァァァァ!
みほ「ラーメンMIHOは大盛り ライム、野菜マシマシ」ワァァ!
みほ「少量を 騙し騙し よりよっぽどマシだし」ワァァァ!
みほ「最後に勝ち残るのは MIHOなんで」
みほ「酒飲みも よく言う『シメはラーメン』」ワァァァ!
洋榎「お前そこは茨城 あんこうマシマシやろ!」ワァァァ!
洋榎「もったいない 発想が 半歩足りないアホ!」ワァァァ!
洋榎「ラーメンMIHO 大盛りでも 高カ口リー そんなのいい」ワァァァ
洋榎「騙し騙し てかアレ もやしもやし やしなもう」ワァァァァ!
洋榎「うちは どうひっくり返されても負けへん」
洋榎「無防備にクチ放り込んだら火傷する お好み焼きやけど」ワァァァ!
洋榎「文句ある? そういう魂をこの身焼き付けてる!」ワァァァ!
洋榎「それが うちの好みや気ぃ付けろや!」ワァァァァ!
みほ「その減らず口 ヘラで叩いてペラペラに」ワァァ
みほ「熱いだけじゃ 夢、描(えが)けない 芽が出ない」ワァァァ!
みほ「あんこうは マシマシ 無理な高級魚」
みほ「まじまじ見れば 納得 うちらのムード」ワァァァ!
みほ「次はどう言うの? 粉もの談義 続ける?」
みほ「ぶっちゃけ 本心では そんなもの関心なし」ワァァァ!
みほ「素直に敗北 認めろここに」ワァァ!
みほ「ついでに言っとく 興味ない ヒロエの好み」ワァァァァ!
洋榎「粉もの談義 お前が言い出したんや」
洋榎「自作自演やん ドゥユーアンダースタン?」ワァァァ!
洋榎「MIHOらのムード あんこう踊りか」ワァァ!
洋榎「♪ア・ア・アン ア・ア・アン 簡単やん」ワァァァァ!
洋榎「うちの夢 芽が出るかは 確かに わからん」
洋榎「けど描けへんってのは見当違い ニワカやな」ワァァ!
洋榎「敗北認めろって 降伏勧告ちゃうんけ?」
洋榎「ギブアップされて優勝 満足なん?ねえ?」ワァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
役人「それでは判定に入ります!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、ヒロエが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「MIHOに1ポイント入ります」
みほ「!」
洋榎「……………」
役人「それでは……審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「MIHO」
理事長「ヒロエ」
トシ「ヒロエ」
秋一郎「ヒロエ」
南浦「MIHO」
役人「3対2で……ヒロエ!再延長です!」
ワァァァァ!
みほ(また延長……)
洋榎「……ふー……」
役人「では再延長に入ります!先攻後攻を決めてください」
ジャンケンポン
洋榎「先攻」
みほ「!」
みほ(あくまで先攻……自分の流れに持って行こうとしてる)
役人「OK!先攻、麻雀部チーム ヒロエ!後攻、戦車道チーム MIHO!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=_z1noQGCV-8&t=26s
3:03
<第34戦 先攻 ヒロエ VS 後攻 MIHO 再延長>
洋榎「また延長かい けどこのまま眠たいこと」
洋榎「言ってられへん 仲間の期待こそパワーや」ワァァァ!
洋榎「うちは このSakiも 腕、み凱屠(がいと)く」ワァァ!
洋榎「ガイドいらん KAJUう(果汁)の甘さもいらん」ワァァ!
洋榎「AWAただしくも ストイックにスキル HERO-Se(披露せえ)」ワァァ!
洋榎「でもお前は ここで果TELU(てる) Toki(時)迎える」ワァァ!
洋榎「全員分 やりたいけど ごめん無理やねん」
洋榎「それでも勝てるけど すでに MIHOエンプティーやで」ワァァ!
みほ「なんか注釈(カチューシャ)無いと わからない系(ケイ)」ワァァ!
みほ「人より自分の身を案じ(アンジー)れば?」ワァァ!
みほ「リングに沈み魔法(西住まほ)のように消えろ 調子乗んな(ノンナ)」ワァァ!
みほ「見限って(ミカ)食べる アンチョビとカルパッチョに カプレーゼ(REZE)」ワァァァ!
みほ「これのどこがエンプティー? むしろ満タン」
みほ「ここから物語 作るし浪漫譚(ろまんたん)」ワァァ!
みほ「『仲間の期待がパワー』には 同意する」
みほ「頑張れるのは みんなが喜ぶ顔 見たいからだ」ワァァァ!
洋榎「おいおいおい 途中のアンチョビ・カルパッチョ卑怯やろ!」ワァァ!
洋榎「ジローラモかて 言うやろな 『イジョウダヨ』て」ワァァ!
洋榎「クRUMIは料理入れにくいし 爽PはPが邪魔やし」ワァァ!
洋榎「お前らもっとやりやすい名前付けてぇや もうホンマに!」ワァァ!
洋榎「こんなんじゃ 毛根が痛んで ハゲてまいそうや」ワァァ
洋榎「ストレスに 慣れてないお嬢さん 的な一面もあんねんから」ワァァ!
洋榎「ま、髪の毛 怪しなっても使わん 育・毛・剤!」ワァァ!
洋榎「うちはストレスも力に変える It’s Show Time!」ワァァァ!
みほ「It’s Show Time オーライオーライ」
みほ「フライ軽く捕球して 状態をハイに」ワァァ!
みほ「ここでそのノリですか ギャグラップ」
みほ「なら私は厳しすぎる追い込み JASRAC(ジャスラック)」ワァァ!
みほ「これじゃ5lack(スラック)のサンプリングも 徴収対象」ワァァ!
みほ「甲州街道に 逃げても捕まえる 無いよ救済も」ワァァ!
みほ「ハゲネタとか精神年齢 ガキすぎ中1」
みほ「でも本当に困ったら 発毛すれば? リーブ21」ワァァ!
洋榎「もうええ加減ライム重視は ガタきとるなぁ」
洋榎「言葉探しとるから 文脈めちゃめちゃなんねん」ワァァァ!
洋榎「大阪・茨城 甲州街道なんて関係ないぞ!」ワァァァ!
洋榎「てかお前のアンサー 対話やない はぐらかしてるだけじゃ」ワァァァ!
洋榎「救済無い 言うときながらリーブ21?」ワァァ!
洋榎「助けてくれるんかい 前言撤回 しょうもないわい」ワァァァ!
洋榎「どう凌ぐかしか考えてへん輩に 負けへんわ」ワァァ!
洋榎「その程度のヤツこそ 夢は描(えが)けへんな!」ワァァァァ!
みほ「夢 目がけ点火 時には 業煮やしてく」
みほ「普段は冷静だけど そういうのも 性に合ってる」ワァァ..
みほ「……どう凌ぐか考えるのは後攻なら当然」
みほ「でもそこまで言うなら ここから魂の勝負しようか!」ワァァァ!
みほ「お前『負けへん』って言っても『勝つねん』とは言わないね」ワァァァ!
みほ「腰引けてる守備重視 イケイケに見えて実は臆病者!」ワァァァ!
みほ「何思って戦ってるか いまいち見えてこない!」ワァァァ!
みほ「もう一度言う 私が必ず最後に勝ち残る!」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァ!
洋榎「………………」
みほ「………………」
役人「さあ、判定に入ります!先攻、ヒロエが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、MIHOが勝ったと思う人!」
ワァァァ!
役人「まずはヒロエに1ポイント入ります」
みほ「っ……」
洋榎「………………」
役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「MIHO」
理事長「ヒロエ」
トシ「MIHO」
秋一郎「MIHO」
南浦「ヒロエ」
役人「審査員はMIHO!再度、延長戦です!」
ワァァァァァ!
みほ「」フゥゥ..
洋榎「……っ、アカンか」
【舞台袖 麻雀部側】
穏乃「え、ええと……最初から数えて3回目だから……」
憧「再々延長!」
灼「ここまで長引くとは思わなかっ…」
晴絵「そうね」
恭子「………………」
絹恵「どうしました?」
恭子「いや…」
恭子(西住みほ……洋榎の本質的な部分に気付いとるんか?)
恭子(洋榎は麻雀では、意外に思われるけど守備寄りのタイプや。それがバトルでも垣間見えとったのは事実)
恭子(練習でもバトルを積極的にやりたがれへんかったのは、偵察に実力がバレたない言うよりは、フリースタイルバトルがそういうモノとはいえ、仲間や知り合いをディスしたないって気持ちの表れ…)
恭子(全国大会での竹井久に対しては、期待してた分だけキツめな言葉吐いとったらしいけど、瞬間的にモノ言うタイプにしては人のこと悪く言わへんし)
恭子(見た目的に真逆言うたら失礼やけど、園城寺さんの方がよっぽどディスがキツいしなぁ)
恭子(西住みほも同じや。あない大人しそうな見た目のくせに、えげつない攻め方をしてきよる。おそらく戦車道で培った洞察力が、相手の弱い部分を見抜いてまうからやろうけど)
恭子(……いや、それだけちゃうか。西住流で育った経緯も関係しとるな。今の西住みほの戦車道は西住流の本流とは違っとるようやけど、容赦の無さは西住流譲りや)
恭子(ホンマ、厄介な相手やなぁ……)
恭子(…………けど)
恭子(そんな相手でも、最後には勝ってまうんやろ?私はそう信じてるで、洋榎)
【舞台袖 戦車道側】
まほ「また延長か」
エリカ「なかなか決着つきませんね」
麻子「西住さんが勝ったと思った試合もあったんだが」
カルパッチョ「そうですね……ライミングも安定してます」
杏「ぃやぁ、でもその辺はヒロエちゃんも上手いからねぇ」
千代「そうね。MIHOさんはライミングで上回っているけれど、ヒロエさんのフロウとユーモアはMIHOさん以上です。アンサーは両者とも上手く決めているものの、確実に勝敗を分けるような差が付かない好勝負が続いている……こう着状態ね」
ミカ「会場の雰囲気も少し変わってきているように感じるよ」
アキ「え?どういうこと?」
ミカ「固いライムよりも、相手に本気でぶつかっている言葉を求めている気がするね」
ミッコ「なんでそんなことがわかるの?」
華「わたくしも感じました」
沙織「華?」
アキ「え、ほんとですか?」
華「ええ。みほさんの試合中の表情を見てピンときました。今の試合の最後の8小節、みほさんは途中から韻を踏まずに言葉を重視しました」
ミッコ「そう……でしたっけ?」
華「はい。最初の2小節で脚韻を決めたのですが、その時に歓声がそれほど上がらなかったんです。そこでみほさんは少し間を空けてから、韻にこだわらなくなったみたいです」
ミカ「よく見ているね」フフ
華「お腹が空いているので神経が研ぎ澄まされています」ニッコリ
まほ「……キミの洞察力も大したモノだな」
沙織「まほさん……?」
まほ「厳密に言えば、ヒロエのラストバースの時点でその傾向はあった。ライミングやフロウよりも、バイブスや内容に重きを置いたラップを聞きたいと観客が思い始めたのだろう、沸き方に変化があった。それを測るために、みほも最初にライミングをして、その反応から戦い方を変えていったのだろう。その結果、審査員票を得て、延長に持ち込めた」
ミカ「もちろん、完全にライミングを捨てたわけではないだろうけどね」
愛里寿「ただ……みほさんがあのあとも最後までライミングで決めにいってたら多分負けてた」
まほ「そうだな」
沙織「で、でもどうしてお客さんは急にそんな感じになったんですか?」
まほ「おそらくだが、2人のレベルの高さ、そしてこの試合が最終戦であることから、技術的な部分ではない、人間としての言葉を聞きたくなったんだと思う」
ケイ「その気持ち、わかるわ。2人ともセルフボースティングは上手だし、ウソは言ってないけど、本音で戦うって感じでもないもんね。これだけ強い2人なんだから、その心の深い部分に興味を持たれるのは当たり前ね!」
沙織「でも、そういう熱血みたいなバトルになったら、みぽりんは不利なんじゃ…」
まほ「大丈夫だ」
沙織「え」
まほ(最初のフリースタイルバトル大会の決勝、私と戦った時のみほのバイブス……熱さを内に秘めているからこそ生まれる爆発力、それを私は肌で知っている)
まほ(だから何も心配していないよ、みほ)クスッ
沙織「……なんか、なんの説明もしてくれないまま笑顔でステージを見つめてるけど……」ヒソヒソ
麻子「色々思うところがあるんだろう。察してやれ」
【ステージ】
みほ「………………」
みほ(再々延長になった……ううん、再々延長になんとか持ち込めたって感じかな)
みほ(もうライミングで戦っても勝ち目が無い。ヒロエさんも、最初の時から戦い方を少しずつシフトしてきてる)
みほ(こうなったら、もう全てを吐き出すくらいの気持ちで戦うしかない!)ギラリ
洋榎「………………」
洋榎(『勝つねん』とは言わない、か)
洋榎(勝つ気はめっちゃある。けど、心のどこかで『勝ちたい』より『負けたない』って思いが強かったのかもしれん。MIHO、お前の指摘は痛いとこ突きよったわ)
洋榎(けどな)
洋榎(そのおかげで今、お前に勝ちたい気持ちがめっちゃ湧いてきてるわ)
洋榎(お前も感じてるやろうけど、ここから先は武器を使た技術合戦やない。殴り合いや)
洋榎(もし気付いてへんようなら……ここであっさり勝負は決まるで?)チラ
みほ「………………」ジッ..
洋榎(……ははっ、そない鈍ないか。まぁええ。とにかく愛宕洋榎の全てをぶつけたるわ!)ギラリ!
役人「では両者、じゃんけんで先攻後攻を決めてください」
ジャンケンポン
みほ「先攻でお願いします」
洋榎「ほぅ」
役人「OK!先攻、戦車道チーム MIHO!後攻、麻雀部チーム ヒロエ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」
http://www.youtube.com/watch?v=oGs12SmPjfU
3:08
<第34戦 先攻 MIHO VS 後攻 ヒロエ 再々延長>
みほ「延長が続いても 勝利への執念は全然尽きない」ワァァ!
みほ「戦車で指示を出し 叫び続けてきた このノドも音を上げはしない」ワァァァ!
みほ「ヒロエ 好敵手 でも負けるわけにはいかない」
みほ「かつての敵たちと 力合わせて戦う 集大成だから!」ワァァァ!
みほ「その代表として戦える喜び もっと味わっていたくもあるけど」
みほ「永遠の幸せは幸せじゃない だから終わらせるために戦う」ワァァァ!
みほ「ベストバウトになるって あんたは最初に言ったけど」
みほ「一番レベル低い試合になったとしても 私は勝ちたいんだ!!」ワァァァァ!
洋榎「その執念 さっきまでの うちには足らんかったのかもな」
洋榎「うちが『勝ちたいと言わん』っての 正直突き刺さったわ」ワァァ!
洋榎「けどな その気持ちは うちの中にあった 押さえこんどった」
洋榎「変に がっついたらアカンてな けどそんな見栄 いらんわ!放り投げたる!」ワァァァァ!
洋榎「カッコ悪くてもええ! 仲間、妹に負ける姿は見せられへん!」ワァァァ!
洋榎「ただでさえデカない姉の背中 ここで猫背なってたらアカンやろ」ワァァァ!
洋榎「ここで勝つためのマイク! 勝つための声! 勝つための意地!」ワァァァ!
洋榎「今までの人生で培ったもの全部 勝つために ぶつけたるわ!!」ワァァァァァ!
みほ「すごいと素直に思う そんな姉を 妹は誇らしく思う」ワァァ
みほ「追いつきたい 隣に並びたい だから辛いことでも頑張れる」ワァァァ!
みほ「その気持ちは 姉が負けたって何も変わらない」ワァァ!
みほ「ミーハーじゃないんだ 姉を慕って憧れる妹をあんまり舐めないでくれるかな!?」ワァァァァ!
みほ「それに私だって自分の人生 ぶつける気持ちで立ってる!」ワァァ!
みほ「戦車道チーム最後の選手 私の負けは戦車道の負けだ!」ワァァァァ!
みほ「大洗 聖グロ 黒森峰 プラウダ アンツィオ サンダース 継続」
みほ「他の学校も! レペゼン戦車道 敗北の二文字は踏みつぶす!!」ワァァァァ!
洋榎「うちかて同じや わかるやろ! 麻雀部の代表のつもりや!」ワァァァ!
洋榎「激しいしのぎ合い続けてきた 極限の戦いなら慣れっこなんじゃ!」ワァァァァ!
洋榎「1打のミスもせんよう 瞬間の判断の連続で鍛え上げてきた!」ワァァ!
洋榎「喋りまくってきた関西人 べしゃりのバトルで勝てる思うな!!」ワァァァァ!
洋榎「うるさい やかましい言われながらも ここまで楽しいやってきた」
洋榎「大会負けて辛い時かて 明るくしようとアホなこと言うたり」
洋榎「どんな時も 喋りまくって来た この状況でも平常運転」ワァァァ!
洋榎「誰のサンプリングでも無い うちの生き方 このスタイルで勝ち残るで!!」ワァァァァ!
みほ「私の生き方 振り返ってみれば 情けなくて落ち込むよ」
みほ「自分が正しいと思った行為を 貫けずに逃げたから」
みほ「そして背を向けたら戻るのが怖くなった だから目をつぶってた」
みほ「でもそんな私を友達が 先輩が 戦車道が救ってくれた!」ワァァァァァァ!
みほ「その流れで参加したバトル 優勝して拍手を浴びた」ワァァァ!
みほ「姉ともぶつかり合い 言い合って さらに絆が深まった 嬉しかった!」ワァァァァ!
みほ「もう私の中でフリースタイルバトルは戦車道の隣に並んだ!」ワァァァァァァ!
みほ「二足のワラジじゃない 2本の足で優勝まで走り続ける!!」ワァァァァァ!
洋榎「紆余曲折 濃い人生を送って来たようやな けど」
洋榎「バトルはドキュメンタリーや フツウがドラマチックを負かしたるわ!」ワァァァァ!
洋榎「親の七光り言われんよう でも肩肘張らず自然体でやってきた」ワァァ!
洋榎「だからお前がどんな尊敬できるヤツでも 真っ向から戦えるんや!」ワァァァ!
洋榎「うちかて前に進み続ける 笑顔で仲間と一緒になぁ!」ワァァァ!
洋榎「そして妹を引っ張ってく いや、この観客も連れてったるわ!」ワァァァァァ!
洋榎「麻雀部を舐めんなや!? 大阪人の誇り 侮るんやないで!」ワァァァ!
洋榎「ここで決着や! そしてやっぱこれが今大会のベストバウトや!!」ワァァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァァ!
みほ「はぁ……はぁ……」
洋榎「はぁ……っ……はぁぁ……」
役人「では判定に入ります!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!
役人「……後攻、ヒロエが勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
役人「MIHOに1ポイントが入ります!」
みほ「………………」
洋榎「………………」
役人「……では、審査員のみなさん、判定をお願いします!」
ババン!
亜美「ヒロエ」
理事長「MIHO」
トシ「ヒロエ」
秋一郎「MIHO」
南浦「MIHO」
みほ・洋榎「!!」
役人「さ、再々延長にしてついに決着!!勝者、MIHO~~~~!!!」
ワァァァァァ!
役人「そして……戦車道チームVS麻雀部チームのフリースタイルMCバトル、勝者は……戦車道チームです!!!」
ワァァァァァァ!
みほ「………………」
洋榎「………………」
みほ「…………か」
みほ「勝っ…………た?」
みほ「………………」
みほ(私……勝った…………勝てたんだ!)
洋榎「……………………」
洋榎「………………」
洋榎「……おめでとう」
みほ「あ……ヒロエさん」
洋榎「お前、めっちゃ強かったわ。ほれ、握手しようや」サッ
みほ「は、はい」ギュッ
洋榎「……すまんな。ホンマは笑顔で健闘を称えるのがええんやろうけど……すぐは笑えんわ」
みほ「ヒロエさん……」
洋榎「ここまで悔しいのは久々やなぁ……」
みほ「………………」
洋榎「……ほな、敗者は去るのが決まりや。うちは戻るわ」サッ
みほ「あ、はい……」
みほ「………………」
洋榎「………………」ザッ..
みほ(ヒロエさん……本当に強かった……)
【舞台袖 麻雀部側】
洋榎「………………」
恭子「お疲れ様」
洋榎「!なんや恭子……こない近くで見てたんかいな」
恭子「いや、洋榎が戻って来るやろ思たから来てん」
洋榎「そっか」
恭子「はい」
洋榎「………………」
恭子「………………」
洋榎「……どやった?」
恭子「さすが洋榎やなって思った」
洋榎「うち負けてんで?どういう意味や」
恭子「負けてもカッコええ。全然情けなないのが洋榎らしいねん」
洋榎「…………なんやそれ。嬉しないわそんなん」
恭子「ま、勝てへんかったのにそんなん言われても嬉しないやろな。けど……本心やからしゃあない」
洋榎「……ふん」
セーラ「洋榎」
洋榎「ん?なんやセーラか」
セーラ「……お前、落ち込んでる場合ちゃうぞ」
洋榎「……あん?」
セーラ「このあと、戦車道の連中と親睦会を兼ねてホテルバイキングや。そんな顔してたらその……あかんわ」
洋榎「……うっさいわアホ」
セーラ「う、うっさいてお前……」
怜「……セーラ、励ますの下手やなぁ」
竜華「ホンマや」
洋榎「園城谷……」
怜「混ぜんといて」
竜華「セーラな、全国大会で愛宕さんに心配されたことがきっかけで元気出たから、今度は自分が励ましたらないとって言うてたんやで?」
洋榎「!セーラ……」
セーラ「ばっ……ち、ちゃうわ!そんなん言うてない!」
浩子「録音したんで、再生しましょうか?」
セーラ「やめぇや!」
洋榎「……ありがとな」ボソッ
セーラ「な、なんや?今なんか文句言うたんか?」
洋榎「なんでもない」クス
由子「お疲れなのよー」
絹恵「お姉ちゃん……」
洋榎「ゆーこ、絹…………うち、負けてもうた」
由子「……うん。でも惜しかったのよー」
絹恵「そやで!お姉ちゃん、もう少しで勝ってた!ちゅうか、うちの中ではお姉ちゃんが勝った!」
洋榎「……なんやそれ。事実捻じ曲げてるやん」クス
照「負けたのは残念だけど、責任を感じ過ぎなくてもいい。悲しい時はお菓子を食べれば全て解決できる。だからこれあげる」スッ
洋榎「タマゴボーロ……バトル終わったばっかでめっちゃノド乾いてんねんけど……ありがたくもろとくわ」
照「」コクリ
ダヴァン「ではこちらもどウゾ。カップラーメンデス」
洋榎「いらん。これからホテルバイキングやろ。っちゅうか、なんでこない人数が集まって来てんねん」
怜「へこんだ愛宕洋榎ちゃんを慰める会、ってことやろ」
洋榎「っ……アホか!うちがそない引きずるわけないやろ!バイキングでめっちゃ食うたるからな!見とけよ」ザッ!ザッ!
漫「え?どこ行くんですか?」
洋榎「監督に負けた報告や!」
ネリー「結果は知ってるんだから、別にいらないのに」
智葉「いや、形式を重んじているんだろう。筋を通すのは大切なことだ」
穏乃「うぅ……励まそうにも、宮永照さんの時は実家の和菓子でいい感じに出来たけど……愛宕さんの場合はムリっぽい……ねぇ、憧の実家の力でなんとかならないかな?」
憧「別に実家とか関係ないでしょ。神社で何をどうするのよ。お守りでも渡せっての?」
穏乃「そうだよね……じゃあ灼さ………ううん、なんでもないです」
灼「なんでやめるの。ボウリング場だって元気出るよ。楽しい遊戯だと思…」
玄「じゃ、じゃあ私の家に来て温泉に浸かってもらうとか!」
宥「あったか~い」
恭子「あの、気を遣てくれるのはありがたいねんけど、洋榎ならもう大丈夫や思うわ。みんなが色々言うてくれて元気出たみたいやから」
玄「えっ、すごい……私ならお姉ちゃんにギュッてしてもらわなかったら落ち込んだままだよ……」
宥「く、玄ちゃん……///」
やえ「ハッ!そんなこともわからなかったとは、ニワカは相手に…」
ゆみ「とにかく、我々は精一杯やった。負けたのは残念だが、誰が責められる謂れも無い」
やえ「いや、だからニワカは…」
智美「ワハハ。とにかくバイキングが楽しみだ」
咲「………………」
咲(みんな優しいな……この人たちと同じチームで良かった)
やえ「だからニワ…」
晴絵「みんな!前に説明したけど、段取りはわかってる?戦車道チームの表彰式が終わったら、奥の部屋でちょっとした取材とかインタビューに答えてもらって、そのあとホテルに出発だからねー!」
全員「はい!」
晴絵「………………」
晴絵(これだけ豪華な面子が集まったんだ……ジャンル違いの大会とはいえ、優勝させてあげたかったな)
晴絵(私がもう少し工夫出来てたら結果も違ったはず……)
晴絵(……あー……もう!悔しいなぁ……)
【舞台袖 戦車道側】
沙織「や、やったーー!みぽりんが勝ったよ!」
華「さすがみほさんですね」ニッコリ
優花里「う……『さすが』を五十鈴殿に先に言われてしまいましたぁ……でもあえて言います!さすがです西住殿ぉ!」
桂利奈「さすが西住隊長ーーーー!」
そど子「み、3つもカブせるわけ?違う言葉で褒めなさいよもう」
麻子「さすがあんこうチームの車長だな」フッ
そど子「冷泉さんまで!?」
エルヴィン「再々延長まで長引いた戦い……まさに2人はライバル、好敵手、宿敵と言えよう!」
おりょう「まるで坂本龍馬と中岡慎太郎ぜよ」
カエサル「さながらハンニバルとスキピオだ」
左衛門佐「武田信玄と上杉謙信のような」
エルヴィン・おりょう・カエサル「それだーーーーー!」
ケイ「今夜はパーティーね!思いきり盛り上がらなくっちゃ!」
アリサ「麻雀部の人たちとの交流会ですから、あまりはしゃぐのは……」
ナオミ「確かにそうだけど、隊長は元々こういうノリだからね。仮に負けてても…」
杏「『悔しさを楽しさで上書きしちゃいましょ!』とか言いそうだよねぇ」アハハ
ケイ「さっすがアンジー。私のことよくわかってるわね♪」
ペパロニ「ノリならアンツィオも負けてないっすよ!ドゥーチェ!ノリをお願いするっす!」
アンチョビ「の、ノリをお願いって……そんな言い方されて出来るか!恥ずかしい……//」
カルパッチョ「ペパロニさん。本番になればドゥーチェは勝手に盛り上がってくれますから、張り合わなくても大丈夫ですよ」ニコリ
アンチョビ「……なんか軽くディスられてる気がするが……まぁいいか!」
カチューシャ「なかなかやるじゃないミホーシャ!今度美味しいピロシキをおごってあげようかしら!」
ノンナ「そうですね。皆さんをプラウダに招待して食事会を催すのもいいかもしれません」
クラーラ「カチューシャ様のほっぺについたソースを舐めとり、そのままカチューシャ様のお口に運ぶ役割は私に任せてください(ロシア語)」
カチューシャ「???ノンナ!」
ノンナ「『善哉(よきかな)、善哉』と言いました」
カチューシャ「そんな古い感じのことをクラーラが!?それに長さが全然合ってないじゃない!」
ノンナ「善哉、善哉」
カチューシャ「よくないわよ!」キーッ!
ダージリン「……こんな言葉を知ってる?」
オレンジペコ「はい?」
ダージリン「『孤独では精神は満足に働かない』」
ミカ「あぁ、その言葉なら知っているよ」ポロロン
ダージリン「………………」
ミカ「ジョージ・オーウェルだね。私も気に入っ…」ポロロン
オレンジペコ「すみませんミカさん」
ミカ「なんだい?」
オレンジペコ「今からダージリン様にテイク2をお願いしますので、今度は『知らない』か無言でお願いします」
ミカ「?その行為に意味が…」
オレンジペコ「あります」ズイ
ミカ「…………そうなのか。それが聖グ口リアーナの流儀ならば従うよ」
アッサム「ではもう一度始めから。こほん」
ダージリン「………………」
アッサム「ダージリン。『孤独では……』なんでしたっけ?」
ダージリン「孤独では精神は満足に働かない、よ。この言葉を知ってるかしら?」
ミカ「」チラ
アッサム・オレンジペコ「………………」ジーーーーー..
ミカ「きいたことがないな。いったいどういういみなのだい?」
アキ(棒読みすぎるよミカ……)
ダージリン「ふふっ。では私が説明しましょう。『孤独では精神は満足に働かない』。これは、どれほど強い人間であろうと当てはまるであろう言葉よ」
ダージリン「強靭な精神力であっても、孤独であれば、その力を活かすことは出来ない」
アッサム「確かに」
ダージリン「一見すると、1対1の形式であるこのフリースタイルバトルは、そばに味方はおらず、孤独な戦いに見えるかもしれないわ」
ダージリン「けれど、今日ステージで戦った子たちの中で孤独だった者は誰もいない。心の中には家族や友人などの想いがあり、発せられる言葉には今まで過ごしてきた日々や経験が根付いている…」
ダージリン「だからこそ、みなが精一杯の力を出し切り、ぶつかり合うことが出来た…………自分自身を表現し合うかのようなバトルは、私の胸を熱くさせてくれたわ」ウフフ
ミカ「……確かに、音と言葉の融合だけでなく、そこに人の意志が混ざり、まさに十人十色の音色だった」ポロロン
ダージリン「そうね」ウフフ
アッサム「……ご協力、ありがとうございました」ヒソヒソ
ミカ「いや、いいさ。むしろ口を挟んだのは無粋だったよ」ポロロン
ミカ(自由奔放なイメージのダージリンだったが、さすが聖グ口リアーナの隊長を務めるだけのことはあるね)クス
オレンジペコ「さすがダージリン様。ここぞという場面では、わりといいことおっしゃってくれます」
ダージリン「あら。わりとはいらないわよ、ペコ」ニッコリ
まほ「………………」
エリカ「………………まほ先輩」
まほ「ん?なんだ」
エリカ「……あの子、やりましたね」
まほ「あぁ、そうだな……」フフ
エリカ「……まったく」クス
エリカ(普段はポヤーッとしてるくせに、決めるところは決めるんだから)
まほ「………………」
まほ(みほ。フリースタイルバトルだけじゃない。戦車道も、精神力も……前よりずっと強くなったな)
まほ(そしてその中に、昔の活発だった頃の思い切りの良さが垣間見えて、なんだか嬉しかった)
まほ(どんどん進化しているんだな……私も負けていられない)フフッ
スタッフ「これから表彰式を行いますので、出場された選手の方々はステージへ移動をお願いします」
千代「わかりました。さあ皆さん。ステージに向かいましょう」ニッコリ
【客席】
役人「勝利した戦車道チームの選手たちです!」
ワァァァァ!
しほ「………………」
しほ(まほ……みほ……とてもいい顔をしているわね。優勝を成し遂げた充実感がありありと感じられるわ)
しほ(表立って応援は出来なかったけれど……あなたたちのその表情を見られただけで私は満足よ)フッ
恵「立派な娘さんたちですね」
しほ「!あなたは……確か……麻雀部チームのコーチを務められた、K RAM SHINEこと原村恵さん?」
恵「ええ、そうです」
しほ「てっきり麻雀部チームに帯同していると思っておりましたが」
恵「最初はそのつもりでしたが……父親がそばにいては娘も集中できないのではないかと思いましてね」
しほ「……なるほど。確かに」
しほ(原村和なら動じない気もするけれど…………それでも身内がいては多少やりにくいかもしれないわね)
恵「それにしても」
しほ「?」
恵「麻雀部の練習を見ている時に、このチームならば勝てると確信をもっていましたが………戦車道チームの素晴らしさには驚かされてばかりでした。前回大会よりもさらに成長していた」
しほ「それを言うならキャリアの浅さを感じさせない強さを見せた麻雀部チームです。まさかここまでもつれる戦いになるとは……底知れない才能を感じました」
恵「やはり1つのモノを突き詰めることで磨かれた感性が土台として大きく作用しているのでしょうね」
しほ「ええ、そうですね」
ワァァァ!
恵「む。トロフィーの授与ですね。西住みほさんが受け取るようです」
しほ「みほ……」
みほ「」ニッコリ
しほ「………………」
しほ(照れながらも、堂々と受け取っている……そう、それでいいのよ。あなたは頑張った、誇っていいわ)
千代「……!ふふ」
しほ「!」
しほ(ちよきち……私に気付いたようね。意味ありげな笑みを浮かべて……)
しほ(……長い付き合いだもの。わかっているのでしょうね……)
しほ(今の私が、喜びの表情を隠そうと必死で我慢している、と)
しほ(……また1つ、ちよきちにからかわれる材料を与えてしまったわ)
しほ(でも……)
みほ「」ニコニコ
まほ「」フフ
しほ「ふふっ……」
しほ(仕方ないわよね…………娘たちがあんなに嬉しそうにしているのだから――――)
表彰式のあと、龍門渕グループ系列のホテルにて、戦車道・麻雀部関係者による親睦会が開かれた。
出場選手以外も揃った大人数での催しは盛り下がることを知らず、
日をまたぐ手前でようやくお開きとなり、
部屋へ戻った面々は、様々な想いを胸に、眠りについたのだった――――
≪ 戦車道チームVS麻雀部チーム フリースタイルMCバトル大会 結果 ≫
アッサム VS AWA-AWA(大星 淡)○
○ノンナ VS AWA-AWA(大星 淡)
ノンナ VS ATARA(新子 憧)○
○ナオミ VS ATARA(新子 憧)
ナオミ VS Toki(園城寺 怜)○
アリサ VS Toki(園城寺 怜)○
○ロサ・カリーナ(阪口 桂利奈) VS Toki(園城寺 怜)
ロサ・カリーナ(阪口 桂利奈) VS HERO-Se(弘世 菫)○
○カルパッチョ VS HERO-Se(弘世 菫)
○カルパッチョ VS 白鶴(白水 哩)
カルパッチョ VS 舞姫(鶴田 姫子)○
○アンチョビ VS 舞姫(鶴田 姫子)
アンチョビ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○
エリカ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○
ケイ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○
○ミカ VS TELU-Biscuits(宮永 照)
ミカ VS ミーホヒーサー(竹井 久)○
○アンジー(角谷 杏) VS ミーホヒーサー(竹井 久)
○アンジー(角谷 杏) VS 爽P(獅子原 爽)
アンジー(角谷 杏) VS NODOCCI(原村 和)○
○REZE(冷泉 麻子) VS NODOCCI(原村 和)
REZE(冷泉 麻子) VS EKda黒ねこ(池田 華菜)○
○カチューシャ VS EKda黒ねこ(池田 華菜)
○カチューシャ VS クRUMI(鹿倉 胡桃)
カチューシャ VS 凱屠(辻垣内 智葉)○
○西住 まほ VS 凱屠(辻垣内 智葉)
○西住 まほ VS KAJU-MC
○西住 まほ VS 蒲 a.k.a BARA
西住 まほ VS Saki(宮永 咲)○
オレンジペコ VS Saki(宮永 咲) ○
○愛里寿(島田 愛里寿) VS Saki(宮永 咲)
愛里寿(島田 愛里寿) VS ヒロエ(愛宕 洋榎)○
○MIHO(西住 みほ) VS ヒロエ(愛宕 洋榎)
翌朝
【ホテル前】
そど子「戦車道チーム!全員揃ってるか確認して!」
みほ「ふぁ……ぁ……」
沙織「みぽりん眠そうだね~……って私もだけど」
華「わたくしもまだ目がシパシパしています」
麻子「ZZZ……」ユラユラ
優花里「冷泉殿は立ったまま寝ちゃってますぅ!」
華「アグレッシブですね」
沙織「むしろ逆でしょ。ほら麻子~、起きなって。他の学校の人はちゃんとしてるよ?」ユサユサ
麻子「うぅ……眠い。何故こんなに早く起きなければならないんだ…」
沙織「しょうがないじゃん。出発時間が決まってるんだから」
麻子「……麻雀部の連中はいいな。うちらより遅く帰るから、まだまだ寝てられる……」
みほ「あはは。確かにもうちょっと寝てたいかも」
カチューシャ「ふふん!マコーシャもミホーシャも情けないわね!私なんてこんなに目が覚めてるのに!」
ノンナ「さすがです同志カチューシャ。昨夜は親睦会の最中に一足先に眠ってしまっただけのことはあります」
カチューシャ「べ、別に寝たかったわけじゃ…」
ノンナ「ええ、わかっています。皆さんともっとお話ししたかったのに寝てしまったのが悔しいからこそ、みほさんたちに威張ってみせただけですよね」
カチューシャ「ノンナ!」カァァ..
沙織「そういえば、カチューシャさん、龍門渕高校の人と仲良さそうに喋ってましたよね」
カチューシャ「そうよ!コロモーシャとは深い絆で結ばれたんだから!」エッヘン!
みほ「天江衣さん……だったっけ?確か大会自体には関わってないけど、親睦会に参加してた人だ」
華「ええ。タルタルソースを山盛りにしていた姿に感銘を受けました」
麻子「そんなことで感銘を受けるな」
沙織「……でもなんで仲良くなったんだろ?」
ノンナ「カチューシャと天江さんは身長が同じなのです。ひゃくにじゅ…」
カチューシャ「わー!わーー!!言うんじゃないわよ!」
みほ「なるほど。カチューシャさんにとっては親近感の沸く相手だね」
華「普段会わない方々とお喋りするのはとても楽しいですね。わたくしも昨日は高鴨さん、ダヴァンさんと3人でラーメンについて語り合いました」
沙織「私も福路さんとお料理の話で盛り上がったよ!楽しかった~」
麻子「……本内成香と睡眠について話を……した……」
優花里「凄腕潜入捜査官と噂の、ステルスモモさんとお話出来て光栄でしたぁ!歌って踊ったりしない限りバレないとか、神技ですぅ!」
みほ「私も色んな人とお喋りできて楽しかったなぁ………次に会えるのはいつなんだろう?」
ケイ「すぐじゃない?」
杏「すぐだろねぇ」
みほ「え?」
ケイ「ほら、後ろ後ろ♪」
みほ「?」クルッ
みほ「あ……」
穏乃「みなさーーん!おはようございまーーーす!」
華「高鴨さん……だけではなく…」
沙織「麻雀部の人たち、全員いるよ!?」
優花里「我々より遅く出発するはずなのに……見送りに来てくれるなんて!嬉しいですぅ!」
晴絵「すみません、忙しい時に押しかけて。でもこの子たちがもう少し話したいって言い出しまして」クス
千代「ふふ、そうですか。それはこの子たちも同じのようですから、嬉しい限りです。みなさん、出発までまだ多少ありますから、ここで自由時間をとります」
梓「やった!」
ミカ「いいね。朝の見送りには、人生で大切なことが9割方、詰まっているのさ」ポロロン
アキ「そ、そんなに?見送りは嬉しいけどさ」
ミッコ「おっしゃ!高鴨さんとサバイバル談義の続きだ!」タタタッ!
ダージリン「…………」
ダージリン(出発時間がやけに早いと思っていたけれど、この事態を想定してのことかしら?粋なことをするわ