姉妹都市解消こだわる訳は 大阪市長の「下ろせぬ拳」?
米サンフランシスコ市に建てられた慰安婦像が市有化されたことを受け、大阪市の吉村洋文市長は60年にわたる姉妹都市関係を解消する考えを表明した。歴史ある関係を捨ててまで、吉村市長がこだわるのはなぜか。
サンフランシスコ市との関係は、前任の橋下徹市長時代に悪化した。橋下氏は2013年5月に「(戦中は)慰安婦は必要だった」と発言し、中国系、韓国系の住民も多いサンフランシスコで批判が高まった。同年6月に訪米を予定していた橋下氏だが、サンフランシスコ市側から「表敬訪問は受けない」と連絡があり、断念に追い込まれた。
15年にはサンフランシスコ市議会に慰安婦像設置に賛成する決議案が提案された。橋下氏は「日本の事例のみを取り上げることによる矮小(わいしょう)化は、世界各国の問題解決にならない」と書簡で抗議したが、決議案は全会一致で可決された。
当時を知る元大阪市議は、「(慰安婦問題は)譲れない」と言った橋下氏の姿と吉村市長を重ね合わせ、「わざわざ持ち出して刺激する必要はないのに」と首をかしげる。
吉村市長は就任後、サンフランシスコ市に計5回、慰安婦像に対する抗議の書簡を送り続けてきた。今年9月には姉妹都市解消を持ち出した。大阪市幹部は「振り上げた拳を、下げられなくなってしまったのでは」との見方を示す。
http://digital.asahi.com/articles/ASKCR4V6BKCRPTIL00L.html