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FreetelのPOMが民事再生法申請。「Made By Japan」掲げた端末事業の今後は?:週刊モバイル通信 石野純也 - Engadget 日本版

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FreetelのPOMが民事再生法申請。「Made By Japan」掲げた端末事業の今後は?:週刊モバイル通信 石野純也

「とりかえ〜る」などは受付停止

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12月4日、FREETELブランドでスマートフォンの製造販売を手がけていたPOM社こと、プラスワンマーケティングが、民事再生法の適用を申請しました。帝国データバンクによると、負債総額は26億円。POM社は、お知らせの中で「資金繰り破綻によりエンドユーザーの皆様にご迷惑をおかけする事態を回避するために、やむなく本申立てを行うことを決意するに至った次第です」と述べています。


 POM社といえば、11月の会社分割および売却が記憶に新しいところです。元々POM社は、SIMフリースマホの開発、販売とMVNO事業の両方を営んでいましたが、資金繰りの悪化から、会社を2つに分割。プリペイドなど、一部を除くMVNO事業を、楽天モバイルが承継することになりました。

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▲楽天がPOM社のMVNO事業を買収。1月には、ブランドも楽天モバイルに統一する

 楽天の買収額は約5億円。合わせて、MVNO事業の負債約30億円分を楽天が引き受けています。合計すると、約35億円の買収額にのぼりますが、これについて、楽天の執行役員、大尾嘉宏人氏は「適正だった」と語っています。ユーザー1人あたりに換算すると、約1万円になり、楽天モバイルとしてマーケティングや端末値引きをしながら獲得するのと変わらないか、安い金額で、規模を拡大できたからです。

 この買収で、負債の約30億円は楽天側が支払い、POM社はFREETELブランドの端末事業に専念することになりました。ところが、その買収から約1カ月で、民事再生法の適用申請に至ったのです。負債総額を見ると、楽天からの支払いがあってもなお、経営環境が苦しかったことがうかがえます。MVNOだけでなく、端末事業も火の車だったといえるでしょう。
▲MVNO事業の負債約30億円は楽天が引き受けていたが、端末事業も火の車だったようだ

 端末事業は、新製品をきちんと継続して出せなければ成り立ちません。既存の端末を売り続けるという方法はありますが、SIMフリー市場はファーウェイやASUSなどの大手もしのぎを削る、厳しい環境。新製品を出さなければ、売上を見込むこともできません。ところが、FREETELは1年近く、新製品の投入ができていませんでした。

 最後に出たのは、年始の「Priori 4」と「RAIJIN」の2機種のみ。フラッグシップモデルと銘打った「KIWAMI」や「REI」の後継機も開発していたようではありますが、遅れに遅れ、発売に至っていませんでした。シェアの上でも、FREETELの凋落は目に見えて表れていました。

▲Priori 4とRAIJIN以降、新端末が発売されていない

 MM総研が発表した2016年通期のSIMフリースマホ出荷台数シェアによると、1位がASUSの29.4%、2位がファーウェイの16.1%なのに対し、FREETELは10.8%で3位につけていました。これが2017年上半期には、ファーウェイ、ASUS、シャープ、アップル、富士通という並びになり、FREETELの名前は21.4%の「その他」の中に入ってしまっています。シャープ、アップル、富士通に抜かれ、シェアも急転落してしまったというわけです。
▲2016年度通期では、POM社がSIMフリースマホ3位につけていた(MM総研調べ)
▲2017年上期の調査では、一気に「その他」に転落(MM総研調べ)

 仮にスマホが出せていたとしても、ファーウェイやASUSに対抗できていたかには、疑問符がつきます。FREETELの端末はMVNOでの取り扱いが少なく、ファーウェイでいえAI対応プロセッサー、ASUSでいえばデュアルカメラのように、スペック以外で目立った売りがありません。

 「Made by Japan」を売りにするFREETELでしたが、本家日本メーカーともいえるシャープや富士通がSIMフリースマホに力を入れ、おサイフケータイなどの機能まで搭載してくる中で、インパクトが弱まっていたのも事実。魅力的な端末がない中で、さらに発売も遅れていたとなると、民事再生法の適用申請はやむなしといった感があります。

 とはいえ、現状はあくまで民事再生法の適用を、裁判所に申請した段階。会社自体は残りますし、店頭からすぐに販売済みの端末がなくなるわけではありません。再生の目途が立てば、新端末が出てくる可能性も残されています。一方で、現状のゴタゴタを考えると、すぐに新端末を発売するのは難しい状況ともいえるでしょう。

 また、FREETELは、割賦と下取りを組み合わせて、端末を1年で乗り換えることを可能にする「とりかえ~る」を提供していました。こちらに関しては、民事再生法の適用申請と同時に、受付を停止していますが、既存のユーザーの扱いがどうなるのかが、未知数です。そもそも、FREETELは年始以降、新端末を出していないため、とりかえ~るしようがないのですが......。
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▲端末の割賦と下取りを組み合わせて、1年サイクルでの機種変更を可能にしていた「とりかえ~る」

 通信サービスとセットになったプランだったため、とりかえ~るはてっきり楽天が引き継いだかと思いきや、提供元はPOM社のままだったようです。先の大尾嘉氏は、「POM社は我々のいち代理店としてサービスを提供している。そのなかで、とりかえ~るについては対応していただく」と語っていました。つまり、楽天モバイルが引き継いだのは、あくまで通信事業だけで、端末に関わる部分はノータッチだったのです。

 ただ、スマートコミコミ+は、市場実売価格よりも大幅に高い端末を3年割賦にしたプランです。その負担感を感じない形で機種変更できるよう、とりかえ~るがあったわけですが、この端末が提供されないとなると、ユーザーは単に通常より高い端末代金を払うだけになってしまいます。民事再生法の適用状況次第でどう転ぶかは分かりませんが、下取りを条件に残債を免除するなど、既存ユーザーの保護はきっちりしてほしいと感じています。

関連キーワード: Business, Freetel, Mobile, plusone marketing, Smartphone
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