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「シグマで撮る黒川アートサンポ2017」で最新レンズとプロの撮影テクを体験 - Engadget 日本版

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「シグマで撮る黒川アートサンポ2017」で最新レンズとプロの撮影テクを体験

Hirotaka Totsu
6 時間前 in Camera
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写真撮影イベント「シグマで撮る黒川アートサンポ2017」が開催されました。イベントでは、シグマのカメラやレンズが貸し出され、実際の撮影してその使い心地や性能を試すことができました。イベントに際して筆者もカメラやレンズを借りて参加者と一緒にフォトウォークに参加しました。

フォトウォークの舞台となったのは、小田急多摩線黒川駅から明治大学黒川農場周辺の片道約30分の行程です。和光大学芸術学科の学生によるアートプロジェクト「サトヤマアートサンポ 2017」が開催されており、稲刈りを終えた田園や、竹が茂る緑地の中にアート作品が展示されており、その場所で風景やオブジェなどを撮影するというものです。



参加にあたって用意したのが発売されたばかりのNikon D850と、マイクロフォーサーズ機の中で最上位機種にあたるOLYMPUSのOM-D E-M1 MKIIです。これらに加えてシグマよりAPC−Hサイズセンサー採用のミラーレス一眼カメラ「sd Quattro H」および21mmの超広角レンズを採用した単焦点コンパクトデジカメ「dp0 Quattro」を借りました。

レンズは、Nikon用に2017年4月に発売されたばかりの135mm F1.8 DG HSMの単焦点ポートレートレンズと定番の24-70mm F2.8 DG OS HSMを借りました。



OM-D E-M1 MKIIには、こちらも2017年11月に発売されたばかりのミラーレス用単焦点レンズ「16mm F1.4 DC DN」を借りました。今回のフォトウォークに際して、風景ばかりでは真価がわからないと思われたので、タレントでYoutuberの青木歌音さんにモデルをお願いしました。



青木さんには、ちょっと良いコンデジを探している、ということで「dp0 Quattro」を使ってフォトウォークに参加してもらいながら、撮影ポイントでモデルをしてもらいました。



フォトウォークをガイドするのは、iPhone写真家として知られる三井公一さん。スティーブ・ジョブズの撮影や、初来日したティム・クックの姿を京都で撮影したポートレートで有名です。シグマのサイトでも、「シグブラ」というコーナーを担当。シグマのレンズやカメラを使ったフォトダイアリーを定期的に公開しています。そんな三井さんがフォトウォークのルートの要所要所で、撮影ポイントや撮り方、どんなレンズが向いているか、などをアドバイスしてくれました。



フォトウォークには、シグマのスタッフが同行。写真付きの身分証を提示することで好きなレンズやカメラを借りることができます。途中でレンズを交換したいという場合でも、手持ちがあれば交換して試すことができました。

Gallery: ArtD850 | 76 Photos



こちらがNikon D850での作例。前半が24-70mm F2.8 DG OS HSMにて撮影し、途中から135mm F1.8 DG HSMに付け替えて撮影しました。



こちらが24-70mm F2.8 DG OS HSMでの作例。モデルや撮影対象との距離が近い場合でズームによる画角の調整が求められるシーンで有効です。この場所は側溝やぬかるみなどがあり、ズームレンズが活きました。



こちらが135mm F1.8 DG HSMでの作例。開放f1.8の美しい背景ボケと被写体のシャープな描写のコントラストが映えます。135mmは、かつて望遠レンズの入門レンズとされていた時期もありましたが、ズームレンズの高性能化により高倍率単焦点レンズはあまり使われなくなりました。ポートレートレンズとしても、明るい85mm単焦点レンズが奨励され、135mmが選択肢に挙がることは少なくなりました。筆者も135mm f1.8の単焦点レンズと聞いて、そんなレンズどう使うんだ?と懐疑的でしたが、実際に使ってみてその描写に驚きました。



単焦点ポートレートレンズの強みは、その美しい背景ボケですが、この作例のように前ボケと背景ボケを活かした写真も面白いと思いました。



さらに、最短撮影距離87.5cmを活かしてマクロレンズのような使い方もできました。135mmとしては寄れるということで、日常の風景でもクローズアップすることでまた違った見え方にもなります。



レフ板を使用した撮影も体験できました。ストロボや多灯ライティングとはまた違った自然な効果も得られます。



単焦点レンズゆえに、撮影対象に近づいたり、離れたりを自分の足で行わなければなりませんが、その価値は十分にあるレンズでした。



続いては、OM-D E-M1 MKIIに16mm F1.4 DC DNを装着しての作例。

Gallery: ArtOM-D | 38 Photos



35mm判換算で、32mm f1.4とスナップとして手頃な画角でしたので、もっぱら取材としての状況撮影に使うことが多かったのですが、接写した場合での描写性能にも驚かされました。





どちらも、対象にレンズが接してしまうかと思うくらいの(実際にはフードがあるので直接レンズが接することはないのですが)距離まで寄って撮影しました。ワイドレンズで寄るという手法は、望遠レンズでクローズアップ撮影するのとはまた違った印象に仕上がります。



担当者によると、「16mm F1.4 DC DN」は、ソニーEマウントのAPS−Cおよびマイクロフォーサーズのミラーレス機向けに用意されており、APS−Cでは24mmと単焦点広角レンズとして使用できます。一方、マイクロフォーサーズでは32mmとなります。センサーサイズの違いとレンズの使用領域として、APS−Cでは画角の広さが、マイクロフォーサーズではレンズのおいしいところ(周辺歪みが少ない中心域)を使用できるということで、どのセンサーサイズで撮っても利点があるということです。



高性能だが取り扱いが難しい sd Quattro H



フォトウォークの前半では、シグマのAPC−Hセンサー採用ミラーレス機「sd Quattro H」を借りて撮影しました。D850、OM-D E-M1 MKIIと3台を持ち替えての撮影でしたので、撮影枚数が少なかったことと、途中から雨が降ってきてしまったこともあり、操作や設定を習熟する前に撮影を終えなければならなかったのが悔やまれます。



こちらはカメラが採用しているセンサー特性により苦手とされている暗所環境での撮影です。



超広角21mmなのに歪曲収差がない dp0 Quattro



35mm換算21mm相当のdp0 Quattroは、21mmという超広角ながら歪曲収差率を0.5%以下に抑えたコンパクトデジカメです。通常、広角レンズになると周辺に行くにしたがって樽型に撮像が歪んでしまいますが、dp0 Quattroではその名の通り、ディストーション(歪曲収差)0をうたいます。





そんなdp0 Quattroですが、難しいことを考えずに背面液晶モニターを見ながら片手でパシャパシャ撮っても十分に良い写真が撮れます。手軽なスナップ用として普段使いにも便利ですし、フルサイズの一眼レフを常用している人には、超広角で歪曲収差のない撮影ができるサブ機としても重宝すると思いました。



撮影の終了後、参加者は今回の撮影でもっともよく撮れた1枚をセレクトしプレゼンをおこない、それに対して三井さんによる講評が行われました。



今回の参加者は、普段は他社のデジタル一眼カメラなどを使用している人が多く、今回は自分のデジカメにシグマのレンズ、もしくはシグマのシステムを借りてのフォトウォークとなりました。参加者のみなさんのレンズへの評価は一様に高く、購入前の評価として参加した方もいたみたいで、購入意欲も固まった様子でした。

一方でシステムを借りた人の感想は、カメラとしての評価は高いものの購入までに至らない印象でした。理由としてはニコンやキャノンなどのカメラと比較して操作が難しい(操作感が異なる)など、自分の愛用している機種とのギャップにとまどったことも一因のようでした。



そんな人たちに向けてシグマ・アンバサダーの方々の作例の紹介が続けてありました。彼らは、シグマ製品が大好きで、レンズやボディを複数所有。仕事や趣味の普段使いでも他社ボディにシグマのレンズでラインナップを揃えたり、シグマのシステムのみで撮影をしているという熱心なユーザです。彼らが口を揃えて言うのは「今のシグマのカメラは使いやすくなった」です。かつては、撮影に際して数値の設定やモード調整などを細かに行わなくてはならず、それでもとれ高は他社のカメラよりも低かったということです。しかし、なぜ愛用し続けたかというと設定がハマった時のホームラン級の写真の仕上がりがどのカメラで撮るよりも飛び抜けてよいから、というのが理由でした。

シグマユーザから出る「Foveon物件」というキーワード



アンバサダーの皆さんが口々に発するのが「Foveon物件」というキーワードです。フォビオンとは、シグマのカメラに採用されている撮像センサーで、世界唯一の三層構造垂直色分離方式のセンサーです。原理的に偽色が生じず、色補間の必要がないので非常に解像感の高い撮像を可能とします。一方でノイズの影響を受けやすく暗所環境に弱いという面も持ち合わせます。そんなフォビオンセンサーは、紅葉や錆などの赤系統の被写体が映えるという特性があり、フォビオンセンサーで撮影すると撮影映えする被写体を「Foveon物件」と呼んでいるのだそうです。まさにアンバサダーのみなさんは、濡れ落ち葉や錆びた鉄扉などを作例としてプレゼンされておりました。



また、熱心なシグマユーザーの方は、3Dプリンターでフードや三脚シューなどを自作して使いやすく改造したり、それを希望する人に頒布などもされていました。思い立って手にしてすぐに良い写真が撮れるというカメラではありませんが、使い込むほどに自分のイメージした写真が撮れるというカメラには、愛着も一際湧くのかもしれません。



カメラ愛好家というと、鉄道写真で場所取りをしたりなどマナーの悪さが目立つ面もありますが、今回の参加者の皆さんは皆マナーもよく声を掛け合ったりと和やかなムードでイベントが進行しました。参加者の中には普段はスマホで写真を撮っていたけれど良い写真を撮ることにチャレンジしたいと申し込んだ方もいて、満足そうに帰って行かれました。家電量販店やカメラ専門店の店頭で試したり、店員に相談するもの良い方法ですが、メーカーが主催する撮影イベントに参加するのも自分にあったカメラ、レンズを探すための良い機会かと思いました。