まず注目点は、ケース。Apollo7よりコンパクトになり、持ち運びやすく、取り出しやすい形状となりました。完全ワイヤレスイヤホンは、ケースが充電機能を持つため着脱の機会が多く、また思い立ったらすぐに装着したいという場合が多いもの。
取り出しやすくなったことで、そうしたニーズにより適した形状、仕組みとなったと言えます。操作ボタンが収納時のガイドの役も果たし、収納時の収まりをよくしているのも嬉しいところ。
次に、重要な装着感に関して。本機のイヤーピースは柔軟性のある、SpinFit(スピンフィット)と呼ばれるもの。見た目は一般的なシリコンイヤーピース的な印象を受けますが、ねじ込んで装着した際の安定性は見た目以上です。
一方で装着した場合の外観は、耳からユニットが飛び出ているように見えてしまうタイプ。ここは気にする人もいるかもしれません。ただし比較的大きな反面、操作ボタンは(タッチセンサータイプではなく)手探りで操作しても判別しやすいよう突起したパーツとして独立しており、クリック感など操作性も良い印象。きわめて実用的な作りと言えます。
ボリューム調整やスキップ、バックスキップなどの細かい操作は独自性が高いため、そのあたりは慣れが必要ですが、ペアリングモードなどの基本操作は直感的に行えたのも好印象です。
音質面ではAACコーデックにも対応しており、ユニットとしては迫力のある低音が印象的。ただし耳にしっかりはめ込みある程度の大音量で聴かないと実力を発揮しない傾向もあります。
音楽に集中したい、外音を遮断したいという場合には有効ですが、安全性の面からも音量を下げる必要がある状況(歩きながら聴くなどの移動時など)では、やや物足りなさも生じます。
バッテリーライフに関しては、ケース内のバッテリーも含めて約15時間の音楽再生(通話では約20時間)ということで、片道1時間の通勤通学で毎日使用しても一回のフル充電で1週間使用できる計算です。実際には週5日程度の使用となりますが、今回のレビューの場合では、一度も追加充電をせずに5日の間使えました。
このようにVERSEは、評判の通りしっかりとした実力を備えたモデル。ここへ来て完全ワイヤレスイヤホンは競争が激化しており、1万円を切る価格帯でもそこそこの性能のものが出始めています。そのため本機は、価格(コスパ)重視の場合には悩ましさもあります。
しかし、「1万円台でなるべく音質を優先したい」「高音質なモデルが欲しいが、2万円や3万円クラスの高級機種ではちょっとためらってしまう」という方には、本機は期待に応えてくれるポテンシャルを持っていると感じました。