9723507「現実にはドラマの大門先生のように、マルチに何科でも手術できる外科医なんていません。外科医と言っても、脳外科は脳外科だけ、心臓血管外科は循環器だけ、消化器は消化器だけ。医師は万能ではなく、専門外のことはわかりません」・・



「ドクターX」は現実には存在しない


石黒弁護士がそう懸念を示すのも、医療事件に巻き込まれる人の多くに共通する事象として、患者の「医師任せの姿勢」を見てきたからだ。

石黒弁護士はある50代の男性が遭った医療事故を例に挙げる。その男性は胸に酷い痛みを感じたことから、夜間救急病院を受診。当直医はベテランの外科医で、患者の症状から大動脈解離を疑ったものの、CT検査の結果、緊急性がないと判断し、男性患者を帰宅させた。しかし、翌朝、急性心筋梗塞で男性患者が死亡したというケースだ。

「男性は帰宅後も胸の痛みを感じ続けていましたが、医師の『緊急性はない』という言葉を信じ、痛みを我慢し続けていました。我慢せずに自分で救急車を呼ぶなどすれば助かったかもしれません。男性は救急外来受診時に心筋梗塞一歩手前の不安定狭心症の状態にあったのですが、ベテランの外科医が気づくことはありませんでした」


●ドクターX


石黒弁護士は「医師なら何でも知っていると思いがちですが、専門外のことはほとんど知らないと考えたほうがいい」と指摘する。石黒弁護士自身も、それは痛感している。

「医療法律相談を受ける際に、事前に医師と相談することが多々あります。その際、たとえば脳神経外科医の医療事故をほかの科の医師に尋ねても『専門外でわからない』と言われるのが関の山です」・・

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