有機物がどんなものかはまだはっきりしないものの、あの細長い物体の表面を30cm以上の厚さを持つ層が覆っているために、太陽に最接近したときも氷などがあった場合に発する水蒸気の尾が形成されなかったと推測されます。
Nature Astronomyに掲載された論文によると、オウムアムアの表面はブーツがすっぽりはまり込むほどの深さをもつ炭素が豊富な柔らかい層で覆われ、その下には非常に冷たい芯があるかもしれないとのこと。またその表面が赤い光をよく反射するのは、この表面層は超新星爆発などで放出される高エネルギー粒子を、数百万年以上もの長い年月をかけて浴び続けたことによって形成したと推測されています。
ただ、オウムアムアの内部が実際にどうなっているのかは、もはや探りようがないかもしれません。論文の執筆者Alex Fitzsimmons氏は「本当に氷でできているか?内部構造はどうなっているか?もう私達にはわかりません。しかし、またいつかあるときに、別のものがやってくることがあるでしょう。そのとき、もっと詳細に研究する時間が得られることを願います」としました。
ちなみに、アーサー・C・クラークのSF小説「宇宙のランデヴー」では、細長い円筒形の人工的な物体"ラーマ"が突如太陽系に飛来し、人類と遭遇する話が描かれています。Fitzsimmons氏もNational Geographicの記事中でそのことに触れ、「クラークの予言がまた的中した」とコメントしています。