633 名前:ななしのいるせいかつ[sage] 投稿日:04/12/13(月) 20:15:35
隣のバーが閉店した。ママが四十年やってた店だ。
ママは病気で、里へ帰るという。
しっかり者ではっきりした人だからやめるとなっても潔い。
お店もぴかぴかに磨き上げて、「お世話になりました」といってお店をしめた。

一週間たつが、空気を換えに店の扉を開くと、黒猫が店をのぞき込んでいる。
そのくせ人が寄ってくるとさっと飛び退いて絶対触らせてくれない。
でも人が中へ引っ込むとまた店の前まで来てのぞき込んでいる。

持っていたかりかりとちょこんとおいて後ろに下がると、
その黒様はおいしそうにかりかりを召し上がる。
もう一度ひとつまみ差し上げると、やっぱり下僕が後ろに下がるのを見届けてから
かりかりとおいしそうに召し上がる。

あのはっきりしたママ、そうとう猫様をかわいがっていらしたんだなと思う。
遠くに行ってしまってもう帰ってはこれないママを探して毎日近くで
観察しておいでなのかと思うと、そぞろ哀しい。