9728871SNSなどを通じて、セクハラ被害を告発するムーブメント「 #MeToo 」。この騒動を静かに追いかけていたのが、都内で暮らす30代男性Aさんだ。20代の頃、まだ女性経験がなかったAさんは、勤め先の大手広告代理店の先輩たちから、「童貞」といじられ続けた・・



「童貞」といじられ続けた広告代理店の男性


関東の高校を卒業したAさんは、有名大学の理学部に進学した。周囲は9割が男子学生。Aさんは女性に特に関心を持たないまま、好きな研究に打ち込む生活を送っていた。「当時の趣味はゲームやアニメ。研究も忙しかったし、女性にはまったく興味がありませんでした」と振り返る。

大学卒業後は広告代理店に就職した。周囲に彼女がいないと知れると、「好きな女性のタイプは? 芸能人でたとえると誰?」「どうして彼女を作らないの?」と何度も聞かれ、少し煩わしさを感じた。そうした会話の中で「女性と交際経験がない」ことが知れると、童貞であることに驚かれた。

「どうしてこの人たちは恋愛にこんなに興味があるのだろう? どうして恋愛が共通の話題になると思い込んでいるのだろう?」。Aさんは不思議だったという。

たまに「童貞」が話題になることもあったが、ほとんどの同僚が「面白い学生生活だったんだね」「研究がそんなに楽しかったんだ」とむしろ感心されたため、特に気にすることはなく過ごしていた。しかし、ある仕事でチームを組むことになった先輩社員の男性Bさんが、Aさんが童貞だと知ると、頻繁に「いじり」をしてくるようになった。


●話題となっている はあちゅうさんの騒動





「童貞は、何が楽しくて生きてるの?」 こうした言葉を、Aさんは複数の同僚がいる前で、Bさんから度々投げつけられた。名前ではなく、「童貞」と呼ばれることもあった。

結局、Bさんとチームを組んでいた1年間、Aさんに対する「童貞いじり」は続いた。他にもAさんは、別の先輩社員の男性Cさんと仕事先に出かけ、不愉快な思いをしたことがある。

「突然、仕事先の人(年配男性)に『こいつ、童貞なんですよ』と紹介されました。仕事先の人には『そうなの? なんで?』と聞かれてしまい、返答に困りました」

BさんもCさんも、社内では大先輩であり、メディアにも取り上げられるような「有力者」だった。若手のAさんが「そういういじりは止めてください」とは言えなかった。言えば、仕事に支障が出ると思ったからだ・・

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