http://famicoroti.blog81.fc2.com/blog-entry-2656.htmlレトロゲームコレクターを悩ませる「コンプリートの壁」の正体
<魅力的な称号> コンプリートの称号を目指すレトロゲームコレクターは多い。
コンプリートとはつまり、その機種のゲームソフトを全部持ってるということである。その
精神的メリットは計り知れない。単純に「制覇した」という達成感。メーカー別に並べたとき抜けがないという爽快感。何を持ってるか聞かれたとき「全部持ってる」で済むという
実用的メリットもある。
僕なんかは昔、大技林
※を適当に開いて、そのページに載っている◯◯番目のソフトで対戦するという「大技林バトル」をよくやったものだ。
※大技林:家庭用ゲームソフトを網羅した裏技本。厚さ10㎝くらいある。 ※オロチのファミコン部屋の様子 しかしデメリットもある。それは、なぜか知らないけど
1年に3本くらい行方不明になっちゃうこと。その都度、買い戻さなきゃいけないという謎の使命感に駆られ、再びそろうまでなんだか落ち着かない日々を過ごし、いざそろったと思ったら結局、どっかから出てきてダブってしまうという妖怪案件(笑)
夜中に「あれ持ってたかな」と急に不安になる現象。2周目・3周目行きたくなる現象。枚挙にいとまがないけど、ぶっちゃけどれも大した問題じゃなかった(笑)
たとえばオークションでレトロゲームソフトが、相場よりやけに高く落札されていることあるよね。もしかしたらその落札者はその1本さえ入手できればコンプリートを達成するのかもしれない。つまり、その落札額はその1本のものではなく、その先に見える
コンプリートの称号に払ったものと考えれば納得できるんじゃないだろうか。それほどまでに、コンプリートってのは魅力的なのである。
<立ちはだかる壁> しかしながら、コンプリートを目指したことのあるひとなら絶対に味わったことがあるだろう。スタートダッシュは順調で、中盤もバンバン集まってきて、終盤もその勢いは衰えず、このままゴールしちゃうんじゃないかと思ってたら、残り数%を切ってくると、にわかに窒息死するんじゃないかってくらい苦しくなってくるアレ(笑)
いわゆる
コンプリートの壁ってやつだ。今回はその正体に迫ってみたい。
※K=千円単位
※ディスク含まず こちらは当サイト独自データによる、ファミコンソフトの相場価格を100円刻みの価格帯(10万円以上は省略)で、それぞれ何本あるかを示したヒストグラム分布図である。縦の軸が本数、横の軸が価格を表している。この図を見るとファミコンソフトの相場は5000円以下に偏っており、
せいぜい2万円以下にほぼ収まっている状態なのがわかるだろう。
問題なのは、それよりも価格の高いソフト群。5万円を越えるあたりから先のプレミアソフトは逆に広い範囲に分布しているように見える。これは何を意味するのだろう……
<世界総資産との類似性> 細かく分析すると、上位3%のファミコンソフトの合計額だけで、すべての合計額のおよそ半分(48.44%)を締めていることがわかったのだ。言い方を変えよう。つまり、上位3%のソフトを集めるのは、
残り97%のソフトを集めるのと同じくらい大変だったのである。
もちろん実際は、安い方からキッチリ順番に集まるなんてことはないので、壁の位置はケースバイケースで前後すると思われるが、だいたい同じようなもんだ。わかりやすく表現するなら、残り数本となり、ゴール目前だと思っていたら、
ただの折り返し地点だったってやつ(笑)
ちなみにスーパーファミコンでも同じ方法でデータを取ってみたところ、ほぼ同じ結果となった。面白いことに、この構図、
世界の総資産ともそっくりなのだ。
ネットメディア
Huff Postによると世界で上位8名の大金持ちの合計資産が、残りの全人類の合計資産と同等なのだという。ずいぶんと比率が違うのは世界の総資産の構図のほうがより格差が進んだからであろう。ここ数年でお金持ちは、さらにお金持ちになっているのだ。現にほんの1年前までその比率は上位1%だった。(
参照)
※とある経済物理学者の説では、お金持ちの資産はポルツマン分布から逸脱し冪乗則に従うとされる。つまり青天井なのだ。ああ、恐ろしい……<レトロゲームの膨張化> レトロゲーム市場といえども経済活動である以上、世界総資産の構図とフラクタルな関係にあってもおかしくはない。そうなってくると、お金持ちがさらにお金持ちになっているように、プレミアソフトもさらにプレミアソフトになっていく傾向にあるんじゃないかと考えるのが自然の摂理であろう。宇宙の膨張になぞらえて、この現象を
レトロゲームの膨張化と呼んでみたい。
「俺はコンプリートの壁なんて感じなかったぜ」ってひとがいたら、それはレトロゲームブームになる前に集めたからだと思われる。運が良かったか、あるいは先見の明があったのだ。それともお金持ちなんでしょ。羨ましい……
現在はプレミアソフトの膨張化に
拍車がかかっているので、日に日にコンプリートの壁が高くなっている。「人生に遅すぎるということはない」と言ったのはカップラーメンの父・安藤百福だが、コンプリートを目指すなら早いに越したことはないのが現状のようだ。
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