1日20時間プレイ、500万以上をガチャに課金、増加するネトゲ廃人の対策はという記事が掲載中。これはずるずると引きずりこまれたというものであって、WHOから病気だと指定された背景もありそうですね。
WHO(世界保健機関)が、病気の世界的な統一基準である「国際疫病分類」の最新版に「ゲーム障害」を盛り込むと発表した。
草案では「ゲームをする衝動が止められない」「ゲームを最優先する」「問題が起きてもゲームを続ける」などと例示、生活に支障をきたすほどゲームに熱中する状態を「ゲーム障害」とするとしている。また、幼少期は進行が早いとし、診断に必要な症状の継続期間は「最低12カ月」としながらも、重症であれば短期間でも依存症であるとみなす方針だという。
ネットゲームに熱中するあまり、「ゲーム障害」のような生活を送ってしまう"ネトゲ廃人"が日本でも急増しているという。内閣府のデータによると、ネットを利用する青少年の7割以上がネットゲームをプレイしており、街で話を聞くと、「丸一日、ずっと戦争ゲームとか『ウイイレ(ウイニングイレブン)』とかをプレステ4でやっていた。20時間くらいやっていたんじゃないかっていう。飯食う間も惜しんで」「24時間寝ずにやったことも数回ある。ハマったら止まらなくなっちゃうタイプで、1回に5万円の課金をしたこともある」など、ネトゲに依存しているという自覚がある若者も少なくないようだ。
9日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、この問題について議論した。
■全部お小遣い...「ガチャ」に500万円以上を投入
「現実の世界が第2の世界で、ネットの世界が第1の世界だと考えていた。ゲームが上手くない自分は生きている価値はないと思って、お金をたくさん使った」
千葉市内の一軒家に歯科医の父親と暮らす櫻井慎太郎さん(24)がネットゲームにハマったのは中学1年生の時。高校生になり、大学受験を控えている時期には親の目を恐れ1週間ほど家出、ネットカフェに泊まってゲームをした。
将来の夢も特になく、経済的に恵まれた環境で育った櫻井さんは、父親に促されるまま大学の歯学部に入学。しかし去年、映像系の大学に入学しなおした。「やりたいことを見つけたって父に相談したら、『やりたい仕事をやるのが一番だ』と」。
机には4台の台のディスプレイが並ぶ。ゲーム用、調べ物用、LINEやTwitterなどの会話用、などと使い分けている。パソコンのスペックは2年ごとにパワーアップ。手汗防止の特製キーボードカバー、仲間たちとフリーハンドで話すためのマイク、腰に負担がかからない椅子など、周辺機器だけで総額40万円以上かけた。夜10時に始まる"ネトゲタイム"では、2つのゲームを同時にプレイ。
ランダムにアイテムを獲得できるゲーム内の課金システム「ガチャ」にもお金を注いだ。「レアのモンスターやアイテムが出た時のアドレナリン出るみたいな感覚がたまらない」と、中高の6年間で200万円以上を投入、これまでに総額500万円以上を費やしたという。しかし櫻井さんにアルバイト経験はなく、資金はすべて親からもらったお小遣いだ。
■海外から取り寄せたカフェインの錠剤を用意
5年前に母親が亡くなり、父親は多忙なため、1人で過ごすことが多い櫻井さん。今ハマっているのは、FPS(First Person Shooting game)と呼ばれるシューティングゲームだ。一日に20時間もプレイすることもあるといい、部屋にはインスタント食品が箱買いされている。「食べながらゲームできるし、ゴミが出るだけなので食器を洗う必要がない」。食事はただ空腹を満たすためのものなのだ。
そんな生活に欠かせないのが、カフェインを摂って、ゲームを捗らせるためのエナジードリンクだ。「ゲームで忙しい時にもパッと開いて取り出せる」と、机の脇に置かれた冷蔵庫に常備している。しかし最近では「飲みすぎてもはや効かなくなってしまったんじゃないか」と、海外から取り寄せたカフェインの錠剤を用意している。ゲームを始めて6時間後も、全く疲れた様子を見せなかった。
実は全世界で300万人が同時にプレイするゲームで上位0.15%に入るトッププレイヤーでもある櫻井さん。「何も残らないって言われたら正しいが、やっている時間に楽しめて時間が潰せたらそれで満足。本当の意味での"ネトゲ廃人"は何か理解している。自分ではそこまでではないかなと思っている」。しかし、ネトゲはやめられないそうにない。「基本的に終わりがないのがオンラインゲームのコンセプト。仲間たちとワイワイ終わりなき旅を楽しんでいる」。
■元"ネトゲ廃人"の大島薫氏「社会と繋がっている感じがした」
慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は、「激務の外資系コンサルの人たちも、病気になった瞬間"ワーカホリック"だと呼ばれるが、仕事を辞めれば自分の価値がなくなってしまうのではないかと考えてしまうらしい。オンラインゲームもそういう社会のようなもので、ゲーム内のみんなで成績を上げていくので、足を引っ張らないようにとか、自分だけが離脱できないという"社会"になってしまう。ゲームであることが問題の本質ではない」と指摘する。
自身も"ネトゲ廃人"状態だった時期があるという作家の大島薫氏は「自分以外にプレイヤーがいて、チームが組めて、リーダーみたいな存在になると管理職になった気分がする。役割が与えられている感じがして、オンラインゲームは社会と繋がっている感じがする」と振り返る。「本人にとって、現実よりも楽しいという状況になっているんだと思う。ゲームの中で好きな容姿になったり、行動や発言が等しく評価されたりするのが楽しかった」。
そんな大島氏がゲームをやめたきっかけが、お金がなくなり、働かなくてはならない状況に陥ったことだったという。その経験から、WHOが発表した草案について「12カ月間も廃人並にゲームをプレイし続けられる環境を継続できる人が果たしてどれくらいいるのか」と疑問を呈した。
■「ゲームが職業」プロゲーマーたちの意見は
WHOの発表に対し、ゲーム業界は「ネットゲームに中毒作用はない」と反対の声明を出している。
「ゲームは悪じゃないと思っている」と話すのは、DetonatioN Gaming CEOの梅崎伸幸氏だ。「2024年のオリンピックで正式種目になる可能性も出てきていて、ようやく世間もゲームは立派なスポーツなんだと認識してくれるのかなと思う」。
世界で最もプレイ人口が多いオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」で世界一を目指すプロのゲーマー集団のセロスさんは「そもそも体調は自分で管理するものなので、疲れたら休憩するのが当たり前。僕らはみんな疲れたら休憩する。死ぬまでやる人なんかいないし」とコメント、自己管理ができるかどうかがプロと依存症の違いだとした。
中には、ネットゲームで知り合った男女が交際し、"ネトゲ婚"に至るケースもあるという。「デートもゲーム内で行う場合があり、家にいながら体は動いていないのに彼氏と行動する」「ゲーム内のキャラクターにタキシードやウエィングドレスを着せてゲーム内で結婚式をあげる人もいる」という。
■「親も含めて癒やしを」医療従事者たちの意見は
7年ほど前からネット依存者の治療に取り組み、その危険性をWHOに訴えてきたのが、久里浜医療センターの樋口進院長だ。樋口院長は「インターネットがない時代はクリアすればゴールだったので深刻なゲーム依存者はいなかった。しかし、ネットを介して複数でプレイするオンラインゲームの普及で依存者が急増した。元々ゲーム時間が長く、家族がそれを容認する傾向があるとか、両親が不幸にして離婚されていてお一人のケースとか、対人関係が上手でない、衝動性が高いとか、そういう色々な要因が関係している」と話す。アルコール依存や薬物依存と共通する脳のメカニズムも指摘されているといい、「子どもたちが一番怖い。人生のスタート生活が乱れてしまい、学校を追い出され家にこもってしまうと、それからの人生がどうなるか」と話す。
多くのネット依存・ゲーム依存者を受診してきた精神保健福祉士の八木眞佐彦氏は、楽しみながらやっている方は依存症になりづらいとした上で、若年層の場合、学校など現実世界での苦しさ親による過干渉の結果、ネットやゲームが生き抜くための手段になっているケースもあると指摘、一方的な批判に警鐘を鳴らす。「批判ではなく、癒す対象として見てあげてほしい。社会的にステータスの高い親、成績のいい10代の子というパターンが多い。両親にも何かのプレッシャーがあったのかもしれず、親へのカウンセリングだけで脱却したケースもある。親も含めて癒してあげるような構造を作ることが回復の一歩になると思う」。
WHO(世界保健機関)が、病気の世界的な統一基準である「国際疫病分類」の最新版に「ゲーム障害」を盛り込むと発表した。
草案では「ゲームをする衝動が止められない」「ゲームを最優先する」「問題が起きてもゲームを続ける」などと例示、生活に支障をきたすほどゲームに熱中する状態を「ゲーム障害」とするとしている。また、幼少期は進行が早いとし、診断に必要な症状の継続期間は「最低12カ月」としながらも、重症であれば短期間でも依存症であるとみなす方針だという。
ネットゲームに熱中するあまり、「ゲーム障害」のような生活を送ってしまう"ネトゲ廃人"が日本でも急増しているという。内閣府のデータによると、ネットを利用する青少年の7割以上がネットゲームをプレイしており、街で話を聞くと、「丸一日、ずっと戦争ゲームとか『ウイイレ(ウイニングイレブン)』とかをプレステ4でやっていた。20時間くらいやっていたんじゃないかっていう。飯食う間も惜しんで」「24時間寝ずにやったことも数回ある。ハマったら止まらなくなっちゃうタイプで、1回に5万円の課金をしたこともある」など、ネトゲに依存しているという自覚がある若者も少なくないようだ。
9日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、この問題について議論した。
■全部お小遣い...「ガチャ」に500万円以上を投入
「現実の世界が第2の世界で、ネットの世界が第1の世界だと考えていた。ゲームが上手くない自分は生きている価値はないと思って、お金をたくさん使った」
千葉市内の一軒家に歯科医の父親と暮らす櫻井慎太郎さん(24)がネットゲームにハマったのは中学1年生の時。高校生になり、大学受験を控えている時期には親の目を恐れ1週間ほど家出、ネットカフェに泊まってゲームをした。
将来の夢も特になく、経済的に恵まれた環境で育った櫻井さんは、父親に促されるまま大学の歯学部に入学。しかし去年、映像系の大学に入学しなおした。「やりたいことを見つけたって父に相談したら、『やりたい仕事をやるのが一番だ』と」。
机には4台の台のディスプレイが並ぶ。ゲーム用、調べ物用、LINEやTwitterなどの会話用、などと使い分けている。パソコンのスペックは2年ごとにパワーアップ。手汗防止の特製キーボードカバー、仲間たちとフリーハンドで話すためのマイク、腰に負担がかからない椅子など、周辺機器だけで総額40万円以上かけた。夜10時に始まる"ネトゲタイム"では、2つのゲームを同時にプレイ。
ランダムにアイテムを獲得できるゲーム内の課金システム「ガチャ」にもお金を注いだ。「レアのモンスターやアイテムが出た時のアドレナリン出るみたいな感覚がたまらない」と、中高の6年間で200万円以上を投入、これまでに総額500万円以上を費やしたという。しかし櫻井さんにアルバイト経験はなく、資金はすべて親からもらったお小遣いだ。
■海外から取り寄せたカフェインの錠剤を用意
5年前に母親が亡くなり、父親は多忙なため、1人で過ごすことが多い櫻井さん。今ハマっているのは、FPS(First Person Shooting game)と呼ばれるシューティングゲームだ。一日に20時間もプレイすることもあるといい、部屋にはインスタント食品が箱買いされている。「食べながらゲームできるし、ゴミが出るだけなので食器を洗う必要がない」。食事はただ空腹を満たすためのものなのだ。
そんな生活に欠かせないのが、カフェインを摂って、ゲームを捗らせるためのエナジードリンクだ。「ゲームで忙しい時にもパッと開いて取り出せる」と、机の脇に置かれた冷蔵庫に常備している。しかし最近では「飲みすぎてもはや効かなくなってしまったんじゃないか」と、海外から取り寄せたカフェインの錠剤を用意している。ゲームを始めて6時間後も、全く疲れた様子を見せなかった。
実は全世界で300万人が同時にプレイするゲームで上位0.15%に入るトッププレイヤーでもある櫻井さん。「何も残らないって言われたら正しいが、やっている時間に楽しめて時間が潰せたらそれで満足。本当の意味での"ネトゲ廃人"は何か理解している。自分ではそこまでではないかなと思っている」。しかし、ネトゲはやめられないそうにない。「基本的に終わりがないのがオンラインゲームのコンセプト。仲間たちとワイワイ終わりなき旅を楽しんでいる」。
■元"ネトゲ廃人"の大島薫氏「社会と繋がっている感じがした」
慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は、「激務の外資系コンサルの人たちも、病気になった瞬間"ワーカホリック"だと呼ばれるが、仕事を辞めれば自分の価値がなくなってしまうのではないかと考えてしまうらしい。オンラインゲームもそういう社会のようなもので、ゲーム内のみんなで成績を上げていくので、足を引っ張らないようにとか、自分だけが離脱できないという"社会"になってしまう。ゲームであることが問題の本質ではない」と指摘する。
自身も"ネトゲ廃人"状態だった時期があるという作家の大島薫氏は「自分以外にプレイヤーがいて、チームが組めて、リーダーみたいな存在になると管理職になった気分がする。役割が与えられている感じがして、オンラインゲームは社会と繋がっている感じがする」と振り返る。「本人にとって、現実よりも楽しいという状況になっているんだと思う。ゲームの中で好きな容姿になったり、行動や発言が等しく評価されたりするのが楽しかった」。
そんな大島氏がゲームをやめたきっかけが、お金がなくなり、働かなくてはならない状況に陥ったことだったという。その経験から、WHOが発表した草案について「12カ月間も廃人並にゲームをプレイし続けられる環境を継続できる人が果たしてどれくらいいるのか」と疑問を呈した。
■「ゲームが職業」プロゲーマーたちの意見は
WHOの発表に対し、ゲーム業界は「ネットゲームに中毒作用はない」と反対の声明を出している。
「ゲームは悪じゃないと思っている」と話すのは、DetonatioN Gaming CEOの梅崎伸幸氏だ。「2024年のオリンピックで正式種目になる可能性も出てきていて、ようやく世間もゲームは立派なスポーツなんだと認識してくれるのかなと思う」。
世界で最もプレイ人口が多いオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」で世界一を目指すプロのゲーマー集団のセロスさんは「そもそも体調は自分で管理するものなので、疲れたら休憩するのが当たり前。僕らはみんな疲れたら休憩する。死ぬまでやる人なんかいないし」とコメント、自己管理ができるかどうかがプロと依存症の違いだとした。
中には、ネットゲームで知り合った男女が交際し、"ネトゲ婚"に至るケースもあるという。「デートもゲーム内で行う場合があり、家にいながら体は動いていないのに彼氏と行動する」「ゲーム内のキャラクターにタキシードやウエィングドレスを着せてゲーム内で結婚式をあげる人もいる」という。
■「親も含めて癒やしを」医療従事者たちの意見は
7年ほど前からネット依存者の治療に取り組み、その危険性をWHOに訴えてきたのが、久里浜医療センターの樋口進院長だ。樋口院長は「インターネットがない時代はクリアすればゴールだったので深刻なゲーム依存者はいなかった。しかし、ネットを介して複数でプレイするオンラインゲームの普及で依存者が急増した。元々ゲーム時間が長く、家族がそれを容認する傾向があるとか、両親が不幸にして離婚されていてお一人のケースとか、対人関係が上手でない、衝動性が高いとか、そういう色々な要因が関係している」と話す。アルコール依存や薬物依存と共通する脳のメカニズムも指摘されているといい、「子どもたちが一番怖い。人生のスタート生活が乱れてしまい、学校を追い出され家にこもってしまうと、それからの人生がどうなるか」と話す。
多くのネット依存・ゲーム依存者を受診してきた精神保健福祉士の八木眞佐彦氏は、楽しみながらやっている方は依存症になりづらいとした上で、若年層の場合、学校など現実世界での苦しさ親による過干渉の結果、ネットやゲームが生き抜くための手段になっているケースもあると指摘、一方的な批判に警鐘を鳴らす。「批判ではなく、癒す対象として見てあげてほしい。社会的にステータスの高い親、成績のいい10代の子というパターンが多い。両親にも何かのプレッシャーがあったのかもしれず、親へのカウンセリングだけで脱却したケースもある。親も含めて癒してあげるような構造を作ることが回復の一歩になると思う」。
・・・となんでもそうですが、何かをする場合、こうなってしまうのではないかという予備知識があり、そして、それを防波堤にしてその一線を越えないというのを子供の頃から教えられて育つかどうかが大きく、その辺は親の教育も絡んでくるものですね。ずるずると引きずりこまれるシステムになっているならば、それを見極める能力が大切になってくるので、そうしたゲームは遠ざかるという知恵が必要であって、何でもかんでもゲームが悪だという論調とはちょっと違いますね。
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