自動車用コンピューターのソフトウェアは、多くの場合サードパーティが開発しており、メーカー自身はその中身を詳しく把握しているとは言い切れません。一方でサードパーティのほうもネットワークセキュリティに関するノウハウ不足からか、コネクテッドカーが外部から簡単にリモート操縦されるという、恐ろしい事態が現実化していました。
そこでBlackBerryが用意したのが、自動車用コンピューターのバイナリーコードをスキャンするクラウドベースのセキュリティツール。Blackberry CEOのJohn Chen氏は、あるケーススタディでは、従来なら1か月以上を要していた検査がたったの7分に短縮できたと主張します。そして「コネクテッドカーや自動運転車の高度に複雑化したソフトウェアがメーカーや業界固有の規格に準拠することを確認しつつ、大規模なサイバー攻撃からも守ることができる」としています。
自動車メーカーは、車載ソフトウェアのサプライチェーン全体でJarvisを使い、その機能を開発の仕様にあわせてカスタマイズできます。開発のどの段階においても、任意の数のバイナリファイルにスキャンをかけられるとのこと。またすでに発売中の車種のソフトウェアも、安全性を評価するためのスキャンが可能です。
BlackBerryは、まず手始めとしてJarvisを自動車産業向けに展開するものの、いずれは国防から航空、医療、産業分野などの各種オートメーションシステムにまで守備範囲を拡大できるとしています。
ちなみにBlackBerryといえば、最近も
Android搭載ながら
BlackBerryらしさのあるスマートフォンを発売していたのが記憶にあたらしいところ。ただこれらのBlackBerry端末は中国TCLがブランド名のライセンスを受けて製造販売しているもの。本家たるカナダBlackBerryは現在、企業向けの携帯端末管理システムを扱う一方で車載コンピューターシステム、自動運転技術の開発など自動車分野にも強いソフトウェア企業となっています。