中国当局はイスラム過激派のテロを防止するためには、厳重な治安対策が必要だと主張してきました。新疆ウイグル自治区では、約1000万人ものウイグル人に宗教上の自由を制限し、警察がパスポートを預かることで旅行を制約するといった措置を講じており、欧米諸国から「国際人権規約違反だ」として批判を集めています。
同自治区の当局は、住民が市場に入ったり、燃料を購入したり、首都ウルムチのバスターミナルなどの場所を訪れるにあたり、顔のスキャンデータを提出するよう義務付けているとのこと。
こうした監視・警告システムを手がける技術グループは、レーダーや宇宙システムの構築経験を活用。一般市民の仕事や趣味、消費習慣などの行動データを照合してテロ行為を予測するという、SF映画『マイノリティ・リポート』のようなソフト開発の一部とされています。
大手情報会社IHS MarkitのアナリストJon Cropley氏によると、中国は全世界の監視カメラ市場のうち46%を、データ分析するディープラーニング用サーバーの4分の3を占めているとのこと。同国は2015年に国内の治安維持費として938億元(約16兆円)もの予算を発表しており、金額的にも「監視大国」になっているようです。
中国は2017年末の時点で全国に約1億7千万台ものCCTV(監視カメラ)を配置し、2020年までには4億台以上に増えるという予測もあります。高度に情報化が進んだ社会は、最もディストピアに近いのかもしれません。