その理由として「ハロは数kgもあるチタン製のフレームであり、装着するにはマシンの最低重量や全体的な重量バランスを考える必要があった」とアリソンは説明します。さらに「(最悪の事態を想定した場合)ドライバーを守るにはとてつもない負荷に耐えなければならないため、ロンドンの2階建てバスがハロに乗っても大丈夫なほどの強度をシャシーそのものも含めて確保した」と続けました。
2016年のF1オーストラリアGPではマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソもあわやの大クラッシュを演じています。
ファンから酷評されているそのデザイン面の問題に関しては、実際にこれだけの大きさのデバイスをコクピット周りに装着することで、やはりマシンの空気力学的性能に悪影響があることを認め、各チームが独自のフェアリングを取り付けることが許可されていることや、ハロが引き起こす気流の乱れがエンジン吸気やリアウィングの効果を損ねることがないように調整する必要があることなどを説明しています。
アリソンは最後に「このハロはドライバーの頭部周辺を守るためのパーツの第1世代となるものですが、これが最終形ではありません、私達は改善を図り、安全性が向上するように努力する一方でその見た目も向上させます」と語り、将来的には安全性確保だけでなくマシンが格好良く見えるようにデザイン面での改善も続けていくとしました。
F1では2014年F1日本GPにおけるジュール・ビアンキの事故や、2012年のF1テスト中に発生したマリア・デ・ビロタの事故などをきっかけにコクピット保護デバイスの必要性が叫ばれ、それがハロ登場のきっかけとなりました。その外観は控えめに言っても"ダサい"としか言いようがないかもしれませんが、これで最悪の事故がなくなるのであれば、使わない理由はありません。ハロは下位カテゴリーのF2や
フォーミュラEでも採用されます。
一方、F1と並び称される米国のオープンホイールレーシングカテゴリーであるインディカーでも、2015年のジャスティン・ウィルソンの死亡事故などをきっかけとしたドライバー保護デバイスの開発が進められています。
このデバイスは戦闘機のキャノピーに用いられる技術を応用したシールド型を採用し、今週末にも実走テストを行う予定ではあるものの、その導入時期については「急がない」としています。
2017年のインディアナポリス500マイルレース(インディ500)では、トップドライバーの一人スコット・ディクソンが宙に舞うクラッシュを演じるも無傷で生還