彡(゚)(゚)と考える「生きる意味」
《序章:出会い》
【ジュピター商事 総務部 経理課】
~~休憩時間~~
(´・ω・`;)「ふぅ、やっと休憩か…」
お局社員「原住民く~ん、暇ならコーヒー買ってきて。あと、タバコ!」
(´・ω・`;)「あ、はい」
タッタッタッ
(´・ω・`;)「買ってきました~」
お局社員「遅いよも~。って缶冷たっ!」
(´・ω・`;)アッ
お局社員「あのさー!この寒いのに冷たいの飲むわけなくない!?」
(´・ω・`;)ス、スミマセン
お局社員「しかもタバコも!最近あたしスムーズドラギュラーに変えたの言わなかったっけ!?」
(´・ω・`;)スミマセンスミマセン
お局社員「ほんっと気が利かないよねー!」
お局社員「そんなだから22にもなって彼女できないんだよ!!」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)スミマセンデシタ
~~業務時間~~
カタカタ
(´・ω・`;)(年度末だからやる事が沢山あるなぁ)
(´・ω・`;)(こりゃ今日も残業だぞ)
先輩女子「あ、原住民くん、この資料20部づつコピー取っといて」
資料の山ドサー
(´・ω・`;)……ア、ハイ
先輩女子「それとさー、来年度移動になる人の送別会の準備やり始めてる?」
(´・ω・`;)……マ、マダデス
先輩女子「もしかして全部言わなきゃわかんないの?」
先輩女子「あのさ、小笠原さん来年度移動だから送別会の幹事頼むって言ったよね?」
(´・ω・`;)……スミマセン
(´・ω・`;)ハ、ハイ!
(●△●)「何この収支報告書?数字全然違うじゃん」
(´・ω・`;)アッ
(●△●)「こんな適当な書類上げて、税務から監査来たらどうすんの?」
(●△●)「最悪、業務停止処分とかもあり得るんだよ?そうなったら責任とれんの?」
(´・ω・`;)……スミマセン
(●△●)「もうすぐ3年目だろ?この程度の仕事もこなせないのか??」
(●△●)「スミマセンスミマセンてもう聞き飽きたよ。行動で示してくれる?」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)……スミマセン
~~勤務後~~
(´・ω・`;)(やっと残業が終わった……)
(´・ω・`;)(もう20時過ぎてるよ)
職場を出て、通勤電車のホームへ向かう。
夜の風が今夜はヤケに寒く感じた。
(´・ω・`;)(……今日は何もいいこと無かったな)
(´・ω・`)
(´・ω・`)(いや、今日"も"か)
(´・ω・`)(この22年、何もいいことなんてなかった)
(´・ω・`)(小・中学生の頃はイジメられて)
(´・ω・`)(大学ではボッチ……)
(´・ω・`)(彼女なんてできた事ないし、友達すらいない)
(´・ω・`)(せめて、仕事だけはまともにと思って簿記を取って就職したけど…)
(´・ω・`)(上司や先輩からは毎日怒られるだけの毎日)
原住民はふと、独り暮らしをしている自宅のアパートを思い浮かべた。
あの寂しい空間に戻って、寝て、朝が来る。
そしてまた同じ1日を過ごす。
(´・ω・`)(ぼくは…何のために生きてるんだろう?)
(´・ω・`)(ぼくに生きてる価値なんて無いじゃないか)
改札を抜け、ホームに出る。
ガタンゴトン
ガタンゴトン
遠くから少しづつ電車が近づいて来る音がする。
(´・ω・`)(このまま飛び込めば楽になるのかな…)
自然と原住民の足は線路に向かって進んでいた。
(´・ω・`)(今なら…飛び込める気がする)
(´・ω・`)(どうせ生きる意味がないなら、もういっそ……)
~~5分前、同駅構内~~
彡(゚)(゚)「ファ~~!今日は仕事疲れたで!」
彡(゚)(゚)「こんな日は……」
彡(癶)(癶)「小料理屋で一杯ひっかけるに限るわ!」
彡(゚)(゚)「そう思ったら居ても立ってもおれんわ。はよ来い電車!」ソワソワ
ガタンゴトン
ガタンゴトン
彡(^)(^)「お、噂をすればさっそく来たやん」
彡(゚)(゚)「ん……?」
彡;(゚)(゚)「って、アイツあのままじゃ電車に!!」
アカンッ!
ダダダダダダ!!
ガシィッ!
彡;(゚)(゚)「何やっとるんや!!線路に落ちてまうやろ!!!」
(´・ω・`)
彡;(゚)(゚)「おい!聞いとんのか!?」
(´・ω・`)………アッ
(´;ω・`;)ウッ……ウゥッ
(´;ω;`)ウワアアアアアアアアアアアン
彡;(゚)(゚)「な、なんや急に!落ち着くんや!」
野次馬『おい、あそこで男が誰か泣かせてるよ』ヒソヒソ
野次馬『恐喝かしら??怖いわね』ヒソヒソ
彡;(゚)(゚)(アカン、このままやと面倒な事になりそうや)
彡;(゚)(゚)「とりあず、ワイについて来るんやにいちゃん!」
グイ
(´;ω;`)ウウゥゥゥ
こうして原住民は、やきう民に連れられ夜の街に消えてゆくのだった。
《序章:出会い(終)》
【とある小料理屋】
大将「いらっしゃい。あ、やきうさん」
彡(゚)(゚)「まいどやで」
(´・ω・`)
大将「お連れ様とはまた珍しいですね」
彡(゚)(゚)「まぁ、色々あってな。適当に頼むわ大将」
大将「お任せですね。お連れさんも同じので?」
彡(゚)(゚)「あぁ、せやな。飲み物は生で頼むわ。君もそれでええやろ?」
(´・ω・`)ア…ハイ
大将「かしこまりました」
彡(>)(<)ゴクゴクッ プハーーッ!
彡(^)(^)「やっぱ仕事終わりのビールは美味いわ!」
彡(^)(^)「お通しの煮こごりも絶品やで」モグモグ
大将「どうもありがとうございます」
彡(^)(^)フィ~
彡(^)(^)
彡(^)(^)「で、原住民くんやっけ?」
(´・ω・`)ハイ
彡(^)(^)「君、何であんなことしたんや?」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)「死のうと…思いました」
彡(^)(^)ピクッ
彡(^)(^)「自殺とは穏やかやないな…」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)「何もかも上手くいかなくて」
(´・ω・`;)「子供の頃から友達もいなくて、仕事ではミスばかり」
(´・ω・`;)「彼女もいたことなくて、もちろん童貞です」
(´・ω・`;)「もう…生きる意味が分からなくなったんです」
彡(^)(^)「生きる…意味?」ピクピク
(´・ω・`;)「はい、僕なんか何の役にも立たないし、生きてても仕方ないんd
ヒュッ!!!
彡(^)(^)「生きる意味と言うたな?」
彡(^)(^)「兄ちゃんがどれだけ生きる意味について考えたのか知らんが」
彡(゚)(゚)「…もったいないやろ?命を簡単に捨てちゃ」
(♯´・ω×`)……
彡(゚)(゚)「ワイともう一度考えてみようや」
彡(゚)(゚)「どうするか決めるのは、それからでも遅くないんちゃうか?」
(♯´・ω×`)……
(♯´・ω×`)(……何なんだこの人は)
彡(゚)(゚)「原ちゃんは生きてる意味がないから死のうと思ったんやな?」
(´・ω・`;)「まぁ、はい」
彡(゚)(゚)「ほな、原ちゃんの言う生きる意味ってなんや?」
(´・ω・`;)「それは…」
(´・ω・`;)「……自分でも…よく分からないです」
彡(゚)(゚)「せやけど、他の人には意味がある。だから他の人は生きてられると思ったんやろ?」
(´・ω・`;)「まぁ…そう……ですね」
彡(^)(^)「なら、原ちゃんと他の人とで何が違うか、まず考えてみようや」
(´・ω・`;)ハ、ハァ…
彡(゚)(゚)「そもそも、『意味』の意味が曖昧なんや」
彡(゚)(゚)「ヘイ、尻!意味って何や!」ピコピコーン?
Siri『意味とは《物事の、存在するにふさわしい、価値》の事です』
彡(-)(-)「物が存在するにふさわしい『価値』か」
彡(゚)(゚)「ほんなら、『価値』ってなんやなん。尻!」ピコピコーン?
Siri『価値とは《どれくらい大切か、どれくらい役に立つかという程度。その大切さ》の事です』
彡(゚)(゚)「大切さや、役立つ度合い、か」
彡(゚)(゚)「『生きる意味』とは、『その人が生きる事がどれだけ役に立っているか』って事やな」
(´・ω・`)「それなら考えるまでもありませんよ」
彡(゚)(゚)ピクッ
(´・ω・`)「僕は誰の役にも立ってない。だから死のうと思ったんです」
(´・ω・`)「僕なんて存在していても仕方ないんd
<ヒュッ!!
彡(゚)(゚)「答えをそう焦るなや。夜はこれからや」
(♯´・ω×`)……
彡(^)(^)「大将!獺祭、熱燗で頼むわ!!」
大将「はい」スッ
彡(^)(^)「ヒョ~、コレコレ。寒い日はポン酒の燗に限るわ!」
彡(^)(^)クイッ
彡(^)(^)「クーッ!たまらんで!」
(♯´・ω×`)……
(♯´・ω×`)(僕はもしかして、とんでもない人に捕まってしまったんじゃ)
冬の風が通り抜ける、路地裏の小料理屋。
見ず知らずの男に酒を飲みながら説教される原住民。
彼の脳裏には嫌な予感しか浮かばないのであった。
《1話:「意味」と『意味』(終)》
辞書的に言うと、
『生きる意味』とは『その人が生きる事がどれだけ役に立っているか』という事らしい。
(´・ω・`)ゴクゴク プハッ
(´・ω・`*)ウィー
彡(゚)(゚)「お、なかなかイケるクチやん」
彡(^)(^)「大将!原ちゃんにおかわり頼むやで」
大将「はいよ、何にします?」
(´・ω・`*)「ビールで」
大将「ビールなら次はコレですかね」トン
彡(゚)(゚)「これは?」
大将「つぶ貝の酒蒸しに藻塩で味付けました。風味づけにスダチをほんの少しふりかけてます」
(´・ω・`*)「おいしそう」
彡(^)(^)「ほんのりした苦味にまろやかな藻塩がピッタリや!蒸し加減も絶妙でコリコリした歯ごたえがしっかり残っとる。ほんのり漂う日本酒とスダチの香りが食欲を掻き立てるなぁ!」モグモグ
(´・ω・`;)(適当になってきたな…)
彡(゚)(゚)「ふと思ったんやけどな、人間で考えるから分かりづらくなんねん」
彡(゚)(゚)「例えば……ソレ。原ちゃんが今持ってるソレは何や?」
(´・ω・`)「お箸ですけど」
彡(゚)(゚)「せや、箸やな。その箸に何か意味や価値があるか?」
(´・ω・`)「ありますね。これが無いとつぶ貝の酒蒸しが食べれなくなりますから」
彡(゚)(゚)「せやな、箸には物を食べるための道具としての価値があるんや」
彡(゚)(゚)「ホンマにただの棒切れやったら何の価値もない。せやけど、これは『食べる』という目的のために作られた道具や」
彡(゚)(゚)「せやから、価値があんねん」
(´・ω・`)フム
彡(゚)(゚)「ほな、原ちゃんはどうして生まれたんやろ?」
(´・ω・`)「え……?それは、親がいたから…ですかね?」
彡(^)(^)「確かに原ちゃんが生まれたのは、親御さんが××××したおかげやな!」
(´・ω・`;)(…その表現やめてくれ)
彡(゚)(゚)「それはその通りなんやが、世の中の多くの人は未だにこう考えとる」
彡(゚)(゚)「『人は神さんによって創られた』ってな」
(´・ω・`)「はぁ……でも僕は無宗教なので」
彡(゚)(゚)「ワイもやで。せやけど、未だにアメリカ人の約半数はこの創造論を信じとるらしい」
(´・ω・`)「この科学の時代でも、そんなに多いんですね」
彡(゚)(゚)「キリスト教だけやなくイスラム教やユダヤ教などいわゆるアブラハムの宗教はみんなこの創造論に基づく教えやな」
彡(゚)(゚)「アブラハムの宗教以外にも、人が神さんに作られたとされる宗教や神話は多いんや」
彡(゚)(゚)「つまり、世界では創造論的な価値観はまだまだメジャーなんやで」
彡(゚)(゚)「何でこんな話をしたか分かるか?」
(´・ω・`;)「えっと……宗教の勧誘ですか??」
<ヒュオッ
彡(`)(´)「ちゃうわ!!」
彡(゚)(゚)「人が神さんに作られたのなら、人の生きる意味は既に神さんによって与えられているという事が言いたかっただけや」
彡(゚)(゚)「この箸と同じようにな」ヒョイパク
彡(^)(^)「つぶ貝ウマッ」
(♯´・ω×`)「はぁ」
彡(゚)(゚)「ただの棒切れに『箸』って価値を与えたのは人間や」
彡(゚)(゚)「ほな、神さんがワイらを作ったなら、ワイらはただの肉の塊やない、何かの意味があるんや」
(♯´・ω×`)「…なるほど(よく分からん)」
(´・ω・`)「神の塩と胡椒?」
彡(^)(^)「そうそう!ピリッと効いた辛味が絶品!」
彡(゚)(゚)「要するに、人は神さんのコピーみたいなもんやという事や」
彡(゚)(゚)「人は全知全能の神さんの分身や。せやからどんな人でも存在してる価値がある」
彡(゚)(゚)「ざっくり言えば、これがキリスト教における人の生きる意味や」
(´・ω・`)「でも僕、キリシタンじゃ無いし…」
彡(゚)(゚)「もちろん、入信しろ言うとるんやないで。こういう価値観もあって、それで救われてる人も事実おるんやと言う話や」
彡(゚)(゚)「ま、これは東方教会の見解で、キリスト教も色んな教派があるから一概には言えんがな」
彡(゚)(゚)「あくまで、神様が人に生きる意味を与えとる例の1つや」
(´・ω・`;)「否定するわけじゃ無いけど、宗教って昔の人の作り話ですよね?」
(´・ω・`)「極端に言えば嘘なわけで、嘘を信じて救われるとは思えないんですけど」
彡(゚)(゚)「なるほど…嘘か」
彡(゚)(゚)「それには悪魔の証明やら、言いたいことはいくつかあるな…」
(´・ω・`)「悪魔の証明?」
彡(^)(^)「せやけど、それはもう一杯飲んでからやな!大将、獺祭おかわり!!」
大将「はいよ~」
(´・ω・`;)(まだ続くのか…)
原住民はチラッと時計を見た。
時刻は21:18。
夜はまだまだ長そうだ……。
《2話:創造論(終)》
【今日のまとめ】
・人が神様に作られたという考えを「創造論」というらしい。
・創造論では「人の生きる意味」を神様が担保してくれるようだ。
彡(>)(<)「くーっ!やっぱ獺祭はええなぁ」
彡(^)(^)「原ちゃんも一杯やれや」トクトク
(´・ω・`)「あ、どうも」チュー
(´・ω・`*)「美味しい」
彡(^)(^)「せやろ」
彡(^)(^)「美味い料理に、美味い酒。これぞ極楽浄土やで」
大将「飲み過ぎは禁物ですよ」
彡(゚)(゚)「わかっとるわ」
(´・ω・`)「ところで、やきうさん。さっき言ってた悪魔の証明ってのは何なんですか?」
彡(゚)(゚)「ふむ、平たく言えば『存在しない事を証明する』のは困難やという事や」
彡(゚)(゚)「例えば…、実はなワイには霊感があるんやけど」
彡;(゚)(゚)「さっきからずっと原ちゃんの背後に足の無い女の霊がとりついとるで」
(´・ω・`;)「やめてくださいよ!何も見えませんよ!」
彡;(゚)(゚)「嘘やないで。霊感がある人間にしか見えんのや。科学では証明できへんが、ワイにはハッキリ見えとる!」
彡(゚)(゚)「嘘やと言うなら、幽霊がおらんことを証明してみーや!」
(´・ω・`;)「そんなこと言ったって普通の人には見えないし、科学でも証明できないんでしょ??」
(´・ω・`;)「そんなの、証明しようがないよ!!」
(´・ω・`;)……ア
彡(゚)(゚)「存在しない事を証明するのは非常に難しいんや」
彡(゚)(゚)「だから、誰かが『神さんはいる』と言うたらそれを否定するのは限りなく困難や」
(´・ω・`)「じゃあ、宗教を完全に否定する事は出来ないって事ですね」
彡(゚)(゚)「せやな」
彡(゚)(゚)「それに、ワイら日本人には宗教って言葉は威圧感あるかも知れんが、思ってる以上に宗教はワイらの道徳や常識に深い影響を与えてるんや」
彡(゚)(゚)「原ちゃんかて、何となく魂や天罰なんかは信じてたりするんちゃうか?」
(´・ω・`)「まぁ……そう、ですね」
(´・ω・`)「でも、否定できないなら何を言ってもいいわけじゃないと思うんです」
彡(゚)(゚)「せやな」
(´・ω・`)「それでいいなら、もう何でもアリになるじゃないですか」
彡(゚)(゚)フム
彡(゚)(゚)「実際、宗教の教えと科学的事実と相反する事は余りにも多いからな」
彡(゚)(゚)「そういう批判の中から生まれたのが『インテリジェント・デザイン論』や」
(´・ω・`)「インテリジェ…?」
(´・ω・`)「それはなんなんですか?」
彡(゚)(゚)「簡単に言えば、創造論の現代版やな」
彡(゚)(゚)「今までの創造論とちゃうのは、この世界を作ったのは神さんではなく、『偉大な知性』と呼んでることや」
(´・ω・`;)「う~ん。それだと結局、創造論と変わらないんじゃ?」
彡(゚)(゚)「ところがどっこい、このインテリジェント・デザイン論は科学者でも信じとる人間は多いんやで」
彡(゚)(゚)「生物学なり、医学なり、宇宙科学なり。科学を学べば学ぶほど、『ただの偶然の積み重ね』でこの世界が生じたとは考えづらいのもまた事実なんや」
彡(゚)(゚)「ワイ個人の感想で言えば、唯物論とも矛盾しない考えやから好ましいけどな」
彡(゚)(-)「シミュレーション仮説なんかはワイの好物やが、広い意味ではこれもインテリジェント・デザイン論の一種とも言えるかもな。ま、これはまた後で話すわ」
(´・ω・`)「うーん。インテジェなんとかとか、ゆいぶつろんとか」
(´・ω・`)「そういう難しい話はよくわからないけど……」
(´・ω・`)「でも、僕はただの言葉遊びのように感じてしまうなぁ」
彡(゚)(゚)「まぁ、それはそれで真っ当な感覚やと思うで」
彡(゚)(゚)「そういう批判の中から生まれたのが『空飛ぶスパゲッティモンスター教』やな」
(´・ω・`;)「な、なんかいかにもやばそうな宗教」
彡(゚)(゚)「ま、この宗教自体はインテリジェント・デザイン論への皮肉やな」
彡(゚)(゚)「おるのかおらんのか分からんものを信じるなら、何でもありやんいう、まさしくさっきの原ちゃんの意見や
空飛ぶスパゲッティモンスター教の神様(写真右)
(´・ω・`;)「なかなかユーモアのある皮肉ですね」
(´・ω・`;)「ただ、今の僕にはどれも信じるのは難しいかもしれません」
彡(^)(^)「ええんやで」
彡(゚)(゚)「ワイはあくまでそういう考えもあると知ってもらいたかっただけや」
(´・ω・`)「あ、はい」
(´・ω・`)「それにしても、やきうさんて"意外と"物知りなんですね」
彡(●)(●)「あん?」ピクッ
彡(`)(´)「意外とはどういう事やねん!!」
(♯´・ω×`)ナンデモナイデス……
(♯´・ω×`)(結局こうなるのか)
やきう民による理不尽な暴虐に徐々に慣れつつある原住民。
夜はまだまだ更けてゆく。
《3話:悪魔の証明(終)》
【今日のまとめ】
・創造論に批判は多いけど、悪魔の証明のように、完全に否定する事も出来ないようだ。
・創造論は必ずしも神様を信じなくても成り立つらしい。
《 4話:シミュレーション仮説 》
彡(゚)(゚)「これまでの話で、創造論にも色々あるってのはわかったやんな?」
(´・ω・`)「はい、一応は」
彡(゚)(゚)「ほな、次は『観念論』と『唯物論』についてや」
(´・ω・`)「ゆいぶつ論ていうのは聞いた事はありますね」
彡(゚)(゚)「ほう、やるやん原ちゃん」
(´・ω・`)「この世には魂とかはなくて、物質だけだよ!って事ですよね」
彡(^)(^)「せやな」
彡(゚)(゚)「ワイらがこうして話してるのも、全ては物質の働きで説明できるという考えや」
彡(゚)(゚)「ざっくり言えば、観念論はその逆や」
彡(゚)(゚)「物質とは別個に魂や精神が存在しとるという考えやな」
彡(゚)(゚)「極端に言えば、宗教は観念論的、科学は唯物論的な考え方や」
彡(-)(-)「いや、これは流石に暴論に過ぎるかも知れん」
彡(-)(-)「原始仏教あたりは宗教と言うより哲学的やし、観念論的と言うには語弊が…」
彡(゚)(゚)「なぁ…原ちゃんはどう思う?」
(´-ω-`)クカーzzzZZZ
彡(`)(´)「なに寝とんねん!」
(♯´・ω×`)「スミマセン…話が難しくてつい」
彡(`)(´)「ここからが大事なとこやぞ」プンプン
彡(゚)(゚)「なにせ、仏教の観念論的な思想はワイら日本人の生活に深く根ざしとるからな」
(♯´・ω×`)ハァ
彡;(゚)(゚)「ま、仏教こそ宗派が多くて一丸には言えへんけどな」
彡(゚)(゚)「せやけど、輪廻転生くらいは聞いたことあるやろ?」
(´・ω・`)「死んでもまた生まれ変わるってヤツですか?」
彡(゚)(゚)「せやせや」
彡(゚)(゚)「人は死後も魂が残って、天国やら地獄やら、はたまた現世のどこかに生まれ変わる」
彡(゚)(゚)「来世でええ暮らしするには、現世でええ事せなあかん。さもなくば地獄に落ちてエライ目に遭いまっせって話やな」
(´・ω・`)「だから現世で頑張って生きないといけないわけですね」
彡(゚)(゚)「それがまさに仏教でいう生きる意味やな」
彡(癶)(癶)「ちなみに、キリスト教にも地獄の概念があって、自殺した奴は地獄行き確定なんやで」
(´・ω・`;)………
彡(゚)(゚)「今まで話してきた通り、宗教ってのは観念論的な価値観に根ざしとるもんや」
彡(゚)(゚)「せやけど、ワイらが生きる現代は科学が発展し、唯物論的な価値観が広まりつつある」
彡(゚)(゚)「シミュレーション仮説なんかは、その最たるものの1つやな」
(´・ω・`)「そのしみゅ何とかって、さっきも言ってましたよね?」
彡(゚)(゚)「あぁ、この世界は誰かがコンピューターで作った仮想現実やって説や」
(´・ω・`;)「そんなこと有り得るんですか?」
彡(゚)(゚)「無いとは言い切れんやろな。創造論と唯物論が共存しうる説やし、ワイは好きやで」
(´・ω・`;)「でも、その仮説だと神さまの正体って」
彡(゚)(゚)「シミュレーション仮説における神さんとは、所謂プログラマーやな」
(´・ω・`;)「そうすると、僕達はただのデータって事ですよね?」
(´・ω・`;)「なんか怖いな…。そんな仮説、誰かに否定して欲しいです」
彡(゚)(゚)「残念ながら否定どころか、ホログラフィック原理いうて、この世界は別世界に書き込まれた2次元情報のホログラムという説も大真面目に研究されてるんやで」
(´・ω・`;)「ホログ……あの、簡単に言ってもらってもいいですか?」
彡(゚)(゚)「ザックリ言えば、この世界はプログラミングで作られたとも考えられる研究結果が既に出てるということや」
(´・ω・`;)「この世界はプログラマーに作られた仮想世界……」
(´・ω・`;)「でも、それだと僕たちの生きる意味って…」
彡(゚)(゚)「まぁ、考えるだけ無粋やろな」
彡(゚)(゚)「科学的研究のために生かされとるのか、観賞用の娯楽か、はたまた全く見当違いの目的なのか?」
彡(゚)(゚)「仮想世界の住民から伺い知る事は不可能や」
(´・ω・`;)「なんだか救いのない話ですね」
彡(゚)(゚)「救いがない…か。原ちゃんはそう思うやな」
(´・ω・`;)「だって、それは僕たちに生きてる意味が無いのと同じじゃないですか」
彡(゚)(゚)「まぁ、確かにな。知りようがないのなら、意味が無いのと結果は変わらんかも知れん」
彡(-)(-)「せやけど、だからこそ救いがあるのかもしれへんで?」
(´・ω・`;)「え?」
彡(゚)(゚)「もし、この世界を作った科学者に『人間は科学実験用のモルモットです』と言われてしもたらどうするんや?」
(´・ω・`;)「言われたらって……そんなの嫌です、としか…」
彡(゚)(゚)「せやろ?」
彡(-)(-)「科学者によってワイらが作られたのなら、その目的は知らん方がええのかもしれんな」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)「この世界が科学者に作られたっていうのを信じるなら、僕はまだ神様を信じたいです」
彡(゚)(゚)「謎の科学者よりは神さまの方が頼り甲斐があるか」
(´・ω・`;)「はい」
彡(゚)(゚)「せやけど、そんなら神さんが本当に人間の味方なのかも分からんやろ?」
彡(゚)(゚)「なにせ、一般人じゃ神さんの考えを伺い知ることはできんのやからな」
(´・ω・`;)「…そうかもしれないですけど」
彡(-)(-)「神さんやろうと、異世界の科学者やろうと、ワイらに知る術がないいう意味では同じや」
(´・ω・`;)「それじゃどの道、人の生きる意味なんて分からないじゃないですか」
(´・ω・`;)「神さまだろうが、科学者だろうが、分からないなら居ないも同然だ!」
彡(゚)(゚)「原ちゃんがそう思うのも無理ないやで」
彡(゚)(゚)「証明もできへん未知のものより、いま目の前にある現実について考えようって人達も沢山おる」
彡(゚)(゚)「『唯物論』はそういう人達の考えから生まれたんや」
(´・ω・`)「さっきも言ってましたよね、ゆいぶつ論」
彡(゚)(゚)「ほな、次は唯物論について話さんとあかんな」
彡(゚)(゚)「せやけど、その前に大事な事があるんや……」
(´・ω・`;)「え?」ゴクリ
彡(゚)(゚)「それは……」
彡(^)(^)「大便してくるやで!!」
⊂("ω"⊂⌒`つ≡≡(´⌒;;;≡ <ズコーッ!!
(´・ω・`;)(大便かい!!!)
<バタンッ!
<カチャカチャ
<ブリッ!
<ブリブリブリブリィッ!!
<ファ~~!!最高の快感や!!!
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)(この店、トイレの壁薄っ!!)
トイレのドアの向こうから聞こえてくる謎の音。
そのおぞましい響きは瞬く間に小料理屋の室内を満たしたのだった。
《 4話: シミュレーション仮説(終)》
【今日のまとめ】
・この世には精神や魂といったものが存在するという考えを観念論というらしい。
・シミュレーション仮説は創造論、そして現代科学(唯物論)とも矛盾しない。
・シミュレーション仮説が真実だとしても、それで生きる意味が分かる事はなさそうだ。
《 5話:ニヒリズム 》
彡(癶)(癶)「はぁ~スッキリしたやで」
(´・ω・`;)「お、お帰りなさい」
彡(^)(^)「ただいまやで」
彡(゚)(゚)「ほな、これから唯物論の話をしようと思うんやが」
彡(゚)(゚)「その前に、これまでの話を聞いて、原ちゃんはどう思ったんや?」
(´・ω・`)「え?」
彡(゚)(゚)「なにせ、ワイが一方的に喋ってばかりやったからな」
(´・ω・`)「えっと、そうですね…」
(´・ω・`)「創造論とか悪魔の証明とか、しみゅ何とかかんとかとか、勉強にはなったんですけど…」
(´・ω・`)「正直言いまして、どの考えも信じられないですし、生きる意味が見つかる気もしないです」
彡(゚)(゚)
彡(゚)(゚)「ふむ、なるほど…」
彡(●)(●)「人が善意で言うてやっとるのに、全く身になっとらんてことやな!?!?」ギンッ
(´・ω・`;)!?ビクッ
彡(^)(^)「なんてな!冗談やで、冗談!」
(´・ω・`;)「や、やめて下さいよ(冗談に思えない)」ホッ
彡(^)(^)「正直に言うてくれてありがとやで」
彡(゚)(゚)「せやけど、確かにそうなるわな」
彡(-)(-)「色んな価値観や説があるって話だけじゃ、原ちゃんの悩みの解決にはならんわな」
(´・ω・`;)「あ、いえ、凄く参考にはなるんですけど」
(´・ω・`;)「でも、やっぱり根本的に僕自身が変わらないと、何も解決しない気がするんです」
彡(゚)(゚)「せやな、確かにそれはその通りかもしれん」
彡(^)(^)「せやけど、まずその事に気がつけてる事自体が大切な事やと思うで」
彡(゚)(゚)「そして、これから話す事こそ、ワイは原ちゃんに役立つ考えやと信じてる」
(´・ω・`)「唯物論…ですか?」
彡(゚)(゚)「せや、より正確に言うなら、唯物論をベースとしたニヒリズムやな」
彡(゚)(゚)「神様を信じる事ができず、自分自身に生きる意味がないと感じてる、それはまさにニヒリズム的な価値観なんや」
(´・ω・`)「ニヒリズム…?」
彡(゚)(゚)「ニヒリズムを語る前に軽く唯物論の歴史から説明するやで」
彡(゚)(゚)「唯物論というと、比較的新しい価値観な気がせんか?」
(´・ω・`)「まぁ、そうですね。やきうさんも唯物論は科学的価値観て言ってましたし」
彡(゚)(゚)「せやけど、実は唯物論の歴史は古いんや。お釈迦さんと同じ時代に生きたケーサカンバリンいうインドの思想家が、既に唯物論を唱えとんねん」
(´・ω・`)「そんな昔からある考えなんですね」
彡(゚)(゚)「せや、この世は地・水・火・風の四元素から成り立ってるだけで、魂やらあの世やらは存在せんいう考えやったんや」
彡(゚)(゚)「唯物論て言うと、現代人のエゴやら、不道徳的なニュアンスが若干あるやろ?」
(´・ω・`)「意識した事はないけど、確かにそうかもしれませんね」
彡(゚)(゚)「せやけど、唯物論にも仏教やキリスト教みたく古くからの歴史があんねん」
彡(゚)(゚)「細かい事はええけど、現代人が突然言い始めた考えやない事だけは覚えといてや」
(´・ω・`)「はい」
彡(゚)(゚)「創造論では人の価値を神さんが決めてくれるってのはさっき話した通りや」
彡(゚)(゚)「せやけど、この世には神も仏も霊魂もイチローもおらんとしたらどうや?」
(´・ω・`)「人には価値がない…ってことですか?」
彡(゚)(゚)「まぁ、そうなるわな」
彡(゚)(゚)「そして、その考えこそがニヒリズムの原点なんや」
(´・ω・`)「人には価値がないって考えがニヒリズム?」
彡(゚)(゚)「極端に言えばそう言うことや」
彡(゚)(゚)「だだし、『本質的な価値がない』という事をどう捉えるかで、ニヒリズムは2種類に分かれるんや」
彡(゚)(゚)「『弱さのニヒリズム』と『強さのニヒリズム』やな」
(´・ω・`)「『弱さのニヒリズム』と『強さのニヒリズム』…」
彡(゚)(゚)「ニヒリズムを肯定する代表的な人物はニーチェや。有名人やから原ちゃんも知っとるやろ?」
(´・ω・`)「あ、はい。名前くらいは」
彡(゚)(゚)「ニーチェは『神は死んだ』って名言の通り、神さんのような超越的価値を否定したんや」
(´・ω・`)「有名な言葉ですよね」
彡(゚)(゚)「原ちゃん。今まで神さんを信じとった人達が、実は神さんはおらんと言われたらどうなる?」
(´・ω・`;)「え……?それは、自暴自棄になる…かもしれませんね」
彡(゚)(゚)「ふむ。原ちゃんの考えは、ニーチェの予測と同じやな」
彡(゚)(゚)「ニーチェも人生に意味がないと知った人間は悲観的になると考えたんや」
彡(゚)(゚)「これはまさに、『生きる価値がないから死のう』という原ちゃんの気持ちと同じやないか?」
(´・ω・`)「……確かにそうですね」
彡(゚)(゚)「せやろ?」
彡(゚)(゚)「そしてな、原ちゃん。ニーチェはその価値観を『弱さのニヒリズム』と名付け、そこかは脱却するよう言うてるんや」
(´・ω・`;)「『弱さのニヒリズム』…ですか」
(´・ω・`;)「けど、そんなこと言われても困ります。その価値観から抜けれないから悩んでるのに」
彡(゚)(゚)「せやな、ニーチェもただ批判をしとるわけやないで」
彡(゚)(゚)「そこで出てくるのが『強さのニヒリズム』なんや」
(´・ω・`)「なんなんですか?その強さのニヒリズムっていうのは」
彡(゚)(゚)「簡単に言えば…」
彡(>)(゚)『価値がないなら、自分で作れば良いじゃない☆』テヘッ
彡(゚)(゚)「って感じやな!」
(´・ω・`;)「『パンがないならお菓子を食べれば良いじゃない』的なノリですね」
彡(゚)(゚)「人生に本質的な意味がないからこそ、自由に意味を後付けできんねん」
彡(゚)(゚)「例えるなら、真っ白なキャンパスだからこそ、自由に絵を描けるようなもんやな」
彡(゚)(゚)「つまり、強さのニヒリズムでは『人生に意味はない』ということを好意的に捉えとるんや」
彡;(゚)(゚)「ま、ニーチェの思想も超人やら永劫回帰やらぶっ飛び気味ではあるけどな」
(´・ω・`)「人生に意味はない…」
(´・ω・`)「だからこそ、自分の価値を自分で作り出せる…か」
(´・ω・`)「正直、弱さのニヒリズムといい…痛いところを突かれた気がしますよ」
(´・ω・`)「だけどやきうさん、結果は同じです」
(´・ω・`)「僕は結局、作り出すべき『価値』を見つけられない。だからこそ悩んでるんですから」
彡(-)(゚)「ふむ」
彡(゚)(゚)「せやろな。せやけど、これで自分の価値観を客観視できたやん?」
(´・ω・`)「…それはそうですね」
彡(゚)(゚)「それに、原ちゃんは強さのニヒリズムを会得するためのヒントを既に見つけてるんやで」
(´・ω・`)「え?」
彡(゚)(゚)「原ちゃんはさっき、『自分が変わらない限り問題は解決しない』と言ったやろ?強きニヒリズムはまさにこの考えなんや」
彡(゚)(゚)「ほな、自分を変えるにはどうするか?有名な言葉があるで」
彡(゚)(゚)『心が変われば態度が変わる。態度が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格がる(以下略』
彡(゚)(゚)「原ちゃん、自分を変えるにはまず思考を変えるんや」
彡(^)(^)「ま、この言葉自体はヒンズー教の教えやけどな」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)「やきうさんのおかげで、ニヒリズムの事はなんとなく分かりました」
彡(^)(^)「そらよかったで」
(´・ω・`;)「だけど、やっぱり自信ないです」
(´・ω・`;)「きっと僕に一番失望してるのは、僕自身なんだ」
(´・ω・`;)「だから、これだけ話を聴いても、僕は変われる気がしない」
<ヒュオォォォ
彡(>)(゚)「結論を急ぎ過ぎるのは悪い癖やぞ☆」ニコッ
(♯´×ω×`)………
原住民、無事死亡!
《 5話: ニヒリズム(終)》
【今日のまとめ】
・生きる意味がないから自暴自棄になるのは『弱さのニヒリズム』らしい。
・生きる意味がないからこそ、自分で価値を作れるという考えを『強さのニヒリズム』と言うらしい。
・どうやら『弱さのニヒリズム』ではなく『強さのニヒリズム』を目指すと良さそうだ。
《 6話:やきう民の過去 》
大将「お二人とも、そろそろ一息ついたらどうです?」
大将「あまり根を詰めると酒の味も分からなくなりますよ」
トン
大将「温かいウーロン茶割ときゅうりの浅漬けです」
彡(^)(^)「せやな、ありがとう大将」ゴクッ
彡(^)(^)「ここに来てのホットウーロン割ええなぁ。骨身にしみるわ」
彡(^)(^)「浅漬けも丁度ええ加減や!落ち着く味やで」
(´・ω・`)き……う…り?
(´・ω・`))プルッ
((´・ω・`;))))プルプルプル
彡(゚)(゚)「ん、どうした原ちゃん?震えとるぞ」
<シュバッ
(´・ω・`#)ガツガツガツガツ!!!
彡;(゚)(゚)「す、凄まじい勢いできうりを食っとる!」
彡;(゚)(゚)「まるでバケモノや!」
(´・ω・`*)「きうりうまぁ!!」モグモグ
(´・ω・`*)ゴクゴクゴク←ウーロン割一気飲み
(´≡ω≡`*)プハーッ!!
(´・ω・`*)「き、きうりとお酒って何でこんなに合うんだ!!」
(´・ω・`*)「大将!きうりとお酒おかわり!!」
彡;(゚)(゚)「お、おい、大丈夫か原ちゃん??」
(´・ω・`*)「大丈夫大丈夫、僕はこう見えてお酒強いんですよ」
~15分後~
(´≡ω≡`*)……
(´≡ω≡`*)うぃ~~~~
彡;(゚)(゚)「完全に出来上がっとるやないかい!!」
(´≡ω≡`*)「あ~~~~ん!?」
(´≡ω≡`*)「何か文句あんのかいやきう民さんよぉ??」
彡;(゚)(゚)「いやあの…、飲み過ぎは(アカン)かな~↑↑と思いましてやね…」
(´≡ω≡`*)「な~~にぃ~~~!?」
(´≡ω≡`*)「あんたさっきからよぉ、おとなしく聞いてやればヨォ、調子乗りやがってヨォ」
(´≡ω≡`*)「延々と御高説垂れ流しまくってくれやがったよなぁ~」
(´≡ω≡`*)「おおん!?」
彡;(゚)(゚)ヒッ
(´≡ω≡`*)「挙げ句の果てにたくさん虐待してくれたなあ!?」
彡;(゚)(゚)「そ、それはやな、話の流れ的につい…」
(´≡ω≡`*)「何をわけのわからんこと言ってんだコラァ!!」
やきう民 (享年29歳)
彡(×)(×)←気絶
(´≡ω≡`*)「この腐れ外道がっ!!」
大将「まぁまぁ、原住民さん落ち着いて」
(´≡ω≡`;)「うっ。た、大将」
大将「ほら、お冷でも飲んで」トン
(´≡ω≡`;)「は、はい」
(´≡ω≡`)ゴクゴク
(´=ω=`)ふぅー
大将「あと、これはシジミ汁です。二日酔いの予防になりますよ」トン
(´=ω=`)「あ、ありがとうございます」
(´=ω=`)ズズズー
(´-ω-`*)「お、おいしい。なんて落ち着く味なんだ」
(´-ω-`*)ズズ、ズズズ
(´-ω-`*)「はぁ~~、生き返る」
大将「どうです?少し酔いも落ち着いてきたでしょう」
(´・ω・`*)「あ、はい。だいぶ」
(´-ω-`*)「取り乱してしまいすみませんでした」
大将「いえいえ、お二人とも随分真剣な話をされてましたからね」
大将「そういう時に限って悪酔いしてしまうものですよ」
(´-ω-`*)「やきうさんにも悪いことしちゃったな」
彡(×)(×)←まだ気絶
大将「……」
大将「やきうさんもね、学生の頃に不登校だった時期があるそうですよ」
(´・ω・`)「え?」
大将「その時のやきうさんは、今の原住民さんと同じように『生きている意味』が分からなくてとても悩んだそうです」
大将「だけど、やきうさんは学校のカウンセラーの先生に助けられた。色々あって大学は中退したそうですが」
大将「それからその先生に憧れて、心理学や哲学を独学で学んだり、産業カウンセラーの資格を取ったりしたらしいんです」
(´・ω・`)「…だから、やきうさんは色んなことを知ってるんですね」
大将「ええ、そして実際にカウンセラーとして働いてた時期もあるそうですよ」
(´・ω・`)「すごい」
大将「だけどね、やきうさんは自分がカウンセラーになった事をすごく悔やんでいたんです」
(´・ω・`)「え、なぜ?」
大将「やきうさんは、カウンセラーとして一生懸命だった。でも、ある人を救う事ができなかった」
(´・ω・`)「ある人?」
大将「えぇ、その人はやきうさんとのカウンセリングで、自殺したいと漏らしたそうなんです。もちろん、やきうさんはそうならないよう、カウンセラーとして八方手を尽くした」
大将「でも結局、その人は自分自身を殺めてしまったそうです」
(´・ω・`;)「えっ……」
大将「やきうさんは、その責任感からカウンセラーを辞めて、普通の会社員になったそうです」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)「やきうさんにそんな過去があったんですね…」
大将「だからきっと、やきうさんはアナタを放っておけないんでしょう」
(´・ω・`)……
彡(×)(×)「アイタタタ」
彡(×)(-)「な、なんやここ?」←ショックによる記憶喪失
(´・ω・`)「やきうさん」
彡;(-)(゚)「ん?アンタ誰やっけ?」
(´・ω・`;)「原住民です」
(´・ω・`;)「さっきは失礼なことをしてしまい本当にごめんなさい」
彡;(-)(゚)「ファ?」←分かってない
(´・ω・`)「やきうさん」
(´・ω・`)「これから僕ともう少しだけ、生きる意味を考えてくれませんか?」
彡;(-)(゚)「え?」
(´・ω・`)「どうか、お願いします」ペコッ
彡;(-)(゚)「お、おう…?」コクン
彡;(-)(゚)???
謎の体の痛みに耐えながら、訳もわからず頷くやきう民であった。
《 6話: やきう民の過去(終)》
【今日のまとめ】
・酒は呑んでも飲まれるな
《 7話:望み 》
彡(゚)(゚)「ほな原ちゃん、これから改めて生きる意味を考えるやで!」←記憶を取り戻した
(´・ω・`)「よろしくお願いします!」
彡(゚)(゚)「その前に少し復習や」
(´・ω・`)「はい」
彡(゚)(゚)「ワイらが使っとる箸には価値がある」
彡(゚)(゚)「それは、『食べる』って目的の為に人が作り出したからや」
彡(゚)(゚)「これを人に置き換えると、創造論的価値観があると言える」
(´・ω・`)「ふむふむ」
彡(゚)(゚)「まだまだ創造論を信じてる人は多い」
彡(゚)(゚)「そして、それを否定することもできへん」
彡(゚)(゚)「だが、科学が進歩した現代では創造論を信じられなくなった人も多くおる」
(´・ω・`)「うん、僕もその1人です」
彡(゚)(゚)「そこで普及してきたのが唯物論的な価値観や」
彡(゚)(゚)「唯物論的価値観で言うと、この箸はただの棒切れ二本にすぎん」
彡(゚)(゚)「たまたま棒切れが二本あって、物を食べるのに便利やから『箸』って意味を後付けをしたって感じやな」
彡(゚)(゚)「ものっそい大雑把な説明やけど、ここまではええか?」
(´・ω・`)「あ、はい!(既に曖昧)」
彡(゚)(゚)「問題はここから先や」
彡(゚)(゚)「ほな原ちゃん、例えばこの箸が一本折れてしもうたらどうする?」
(´・ω・`;)「え……。折れたなら捨てますね、たぶん」
彡(゚)(゚)「ふむ、まぁそれが普通やろな」
彡(゚)(゚)「せやけど、それはコレが『箸』っていう事に囚われ過ぎてへんか?」
(´・ω・`)「…?どういう事でしょう」
彡(゚)(゚)「例えば、残ったもう一本の箸に鶏肉を刺して、焼き鳥用の串にしてもええわけやろ?」
(´・ω・`;)「まぁ、自分で食べる分にはできなくないですね」
彡(^)(^)「な?他にも××の穴にぶち込んで快感を得たりもできるで!」
(´・ω・`;)(それはヤメろ)
彡(゚)(゚)「極端な話、『箸』って概念に囚われなければ、この棒切れの価値は無限大なんや」
彡(゚)(゚)「自分次第でな!」
彡(゚)(゚)「これがいわゆる、『強さのニヒリズム』的考えや(やきう民意訳)」
(´・ω・`)「なるほど、何となく分かった気がします」
(´・ω・`)「本来は意味がないから、人が自由に意味付けできるという事ですね」
彡(゚)(゚)「せやね」
彡(゚)(゚)「もともと意味を与えられているからこそ、それが足枷になる場合もあるんやで」
(´・ω・`)「足枷に…?」
彡(゚)(゚)「例えば、医者の家に生まれた子供が、小さい頃から医者になるべく厳しく勉強させられたりなんかもそうやな」
彡(゚)(゚)「当人としては野球選手にチャレンジしてみたいのに、親は断固としてそれを許さない」
彡(゚)(゚)「本当は野球をやりたいのに、興味もない医学を学ばされる」
彡(゚)(゚)「この子は最初から『医者の息子』という『意味』を与えられとるからこそ悩むんや」
(´・ω・`)「なるほど、確かにそうかもしれませんね」
彡(゚)(゚)「原ちゃん、初めの方に『意味』の意味について調べたの覚えとるか?」
(´・ω・`)「あ、はい。人が生きる意味は『その人が生きる事がどれだけ役に立っているか』でしたよね」
彡(゚)(゚)「せやな。ほな、役に立つって誰の役に立てばええんやろ?」
(´・ω・`;)「え?それは…家族とか、友人とか。あとは、会社……ですかね?」
彡(゚)(゚)「ふむ。それは間違いやないで。せやけど、まず最初に役に立たなアカン奴がおるやろ?」
(´・ω・`;)「えっと……それは」
(´・ω・`)「もしかして……自分自身、でしょうか?」
彡(^)(^)「せや!」
彡(゚)(゚)「『マズローの欲求の階層』というのがあるんやが」
彡(゚)(゚)「これはマズローって心理学者が人間の欲求について研究したものなんや」
彡(゚)(゚)「それによると、人は誰しも社会に貢献して認められたい欲求を持っとる」
(´・ω・`)「いわゆる、承認欲求ってやつですか?」
彡(゚)(゚)「せや。だけど、それは自分自身の欲求を最低限満たした上で成り立つ物なんや」
彡(゚)(゚)「人はまず、『自分自身』を救わないアカンのやで」
(´・ω・`)「自分自身を救う…か」
彡(゚)(゚)「人は誰しも『望み』があるものや」
彡(゚)(゚)「せやけどな、自分自身の望みを無視した時、人は『自分』という1番役に立たなアカン相手から逃げた事になる」
彡(゚)(゚)「原ちゃん、ワイはな。その時こそ、人は本当の意味で『無意味』になると思うんや」
(´・ω・`:)「……」
彡(゚)(゚)「なぁ、原ちゃんの『望み』ってなんなんや?」
(´・ω・`)「望み……ですか?」
(´・ω・`;)「それは…正直、自分でも良く分からないです」
『マズローの欲求の階層』
低次の欲求が満たされていく中で、徐々に上位の欲求へ移行していくイメージ。
ただ、勘違いされやすいが、低次の欲求が満たされないと上位の欲求が出現しないわけではない。
彡(゚)(゚)「最初は具体的な事やなくてもええんやで?」
彡(゚)(゚)「楽しく生活したい!とか、のんびり生きたいとか」
(´・ω・`;)……
彡(゚)(゚)「少なくとも……」
彡(゚)(゚)「『死ぬ事』が原ちゃんの『本当の望み』やないやろ」
彡(゚)(゚)「ちゃうか?」
(´・ω・`)
(´-ω-`)
(´・ω・`)「……はい」
(´・ω・`;)「でも、どう考えればいいのか検討がつきません」
彡(゚)(゚)「こればかりは、原ちゃん自身が自分の力で見つけなアカン」
彡(゚)(゚)「ただの『社会常識』や『他人から押し付けられた理想』やと意味ないんや」
彡(゚)(゚)「せやけど、実は『自分の望み』と『他者に刷り込まれた価値観』を見分けるのは難しいんや。見つけ方にはコツがある」
(´・ω・`)「コツ?」
彡(゚)(゚)「思い浮かんだ望みに、決して『自分には無理』とか『現実的じゃない』とか考えん事や」
彡(゚)(゚)「自分が思うたまま、素直な気持ちを認めるんやで」
(´・ω・`)「素直な気持ち…」
彡(゚)(゚)「せや。自分の心の声に耳を傾けるんや」
(´-ω-`)(心の声に耳を傾ける…)
(´-ω-`)…
(´-ω-`)……
(´・ω・`)
(´・ω・`)「僕は……」
(´・ω・`)「幸せになりたい」
彡(^)(^)
彡(^)(^)「ええやん、原ちゃん」
彡(^)(^)「『死にたい』って望みより、その方がよっぽど自分に正直やと思うで?」
彡(^)(^)「ほんなら後は、それをゆっくり煮詰めるだけやな」
彡(^)(^)「原ちゃんがどうすれば幸せになれるかを、少しずつ考えていけばええ」
(´・ω・`)コクン
彡(^)(^)「大まかでも目指すべき道が見えたなら後は少しや!」
彡(^)(^)「ここまで来れば、もう答えが見えたも同然やで」
彡(^)(^)「後は…」
トントン
大将「あの、話が盛り上がってるところ、すみません」
彡(゚)(゚)「ん、何や店長?」
大将「やきうさん、もうすぐ終電の時間ですよ」
彡;(゚)(゚)「なんやって!?もうそんな時間やったんか!?!」
彡;(゚)(゚)「せやけど、これからまだ原ちゃんと…」
彡;(-)(-)「ア~ッ!かと言って、明日は朝イチでアポあるから帰らな(アカン)」
彡;(-)(-)「どうすればええんや!!」
(´・ω・`;)(やきうさん、僕のことであんなに…)
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「やきうさん」
(´・ω・`)「僕、もう大丈夫です」
彡;(゚)(゚)「へ?」
彡;(゚)(゚)「せやけど」
(´^ω^`)ニコッ
(´^ω^`)「僕はもう十分教えてもらいましたから」
彡(゚)(゚)「原ちゃん……」
(´・ω・`)「やきうさんも言ってましたよね。『自分の望み』は自分で見つけなきゃいけないって」
(´・ω・`)「やきうさんと話して、それが実感できた気がするんです」
(´・ω・`)「まだ生きる意味がハッキリ分かったわけじゃないけど」
(´^ω^`)「でも、後は自分の力で時間をかけて見つけて見せます」
彡(゚)(゚)…
彡(゚)(゚)「ほんまにもうええんか?」
(´・ω・`)「はい」
(´・ω・`)「やきうさん。今日は本当にありがとうございました」
彡(^)(^)「ええんやで」
(´・ω・`)「初めて会った僕にこんなに親身になってもらって。なんていうか…感謝してます」
彡(゚)(゚)「原ちゃん…」
『先生!先生!!』
『お、やきうくん久しぶりだね』
『あんな!先生が言うてたみたいにな、落ち着いてちゃんと腹割って思ってること相談したらな、野球サークルの奴らもみんな仲ようしてるれるようになったんや!』
『それは良かったよ!』
『あんな、先生』
『ん?』
『ワイな、決めたんや!ワイ、先生みたいなカウンセラーになんねん!そんでな、ワイと同じやうに悩んでる人らの力になんねん!それがワイの夢なんや!!』
『やきうくん』
『ま、先生みたくなれるかはちょっと不安もあるけどな』
『ーー大丈夫さ、やきうくん。君なら僕よりもずっと素敵なカウンセラーになれるよ』
彡(゚)(゚)
彡(^)(^)「ええんやで、原ちゃん」
彡(゚)(゚)「ワイこそ何か大切な事を思い出した気がするわ」
彡(^)(^)「ワイこそありがとな」
(´・ω・`)「あの……もし、また迷う事があったら」
(´・ω・`)「また、この店に来てもいいでしょうか?」
彡(^)(^)「当たり前やろ!何言うてんねん」
大将「迷った時と言わず、いつでもいらして下さい」
大将「私はここで、美味い酒と料理を作って待っていますから」
(´^ω^`)「やった」ニコッ
大将「ところでやきうさん、そろそろ本気で終電危ないんじゃ…」
彡;(゚)(゚)「あっ!ほんまや!!」
彡;(゚)(゚)「このままじゃ(アカン)」
彡;(゚)(゚)「ほな、またな!!!」
(´・ω・`)「あ、はい!ありがとうございました!!」
大将「お気をつけて!」
ガラガラッ
(´・ω・`;)「……あっ!そう言えばやきうさんのお勘定は!?」
大将「大丈夫ですよ、原住民さんの分と一緒にやきうさんにツケときますから」ニコッ
~~5分後~~
【駅改札前】
彡;(゚)(゚)「な、なんやって!!!もう一度言うてみろや!!!」
駅員「ですから、成田行きの終電はたった今出たところでして…」
彡;(゚)(゚)「グッ、く!く!クク!!」
彡;(>)(<)クソおおおおおおおおおおおお!!!
結局、漫喫に泊まるやきう民であった。
《 7話: 望み(終)》
【今日のまとめ】
・人はまず、自分自身の役に立つ必要があるようだ。
・自分自身の役に立つには、自分の『本当の望み』が何なのかをもう一度考えてみよう。
・遅くまで飲む時は終電の時間に注意しよう。
【ジュピター商事 総務部 経理課】
(●△●)「あのね、原住民くん、いい加減にしてくれよ」
(●△●)「この書類、どういうこと?」
(´・ω・`;)「…すみません」
(●△●)「『すみません』じゃないよ」
(●△●)「このミス初めてじゃないよね?」
(´・ω・`;)「…はい」
(●△●)「何度同じ事を言わせれば気が済むんだい?」
(´・ω・`;)「今度から確認表を作成して、同じミスが起こら無いようにします」
(●△●)「…次はもうないからね?」
(´・ω・`;)「は、はい!」
(●△●)「まったく」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)(また課長に怒られてしまった…)
(´・ω・`;)(もう繰り返さないように気をつけないと)
電車に飛び込もうとしたところを、やきうさんに助けられてからもう1週間になる。
正直言って、あれから僕の生活は大して変わってない。
上司には怒られ、先輩からはパシリ扱いされる日々。
やきうさんにはカッコつけて『自分で生きる意味を見つける』なんて言ったけど、
正直まだまだ見つけられる気配はない。
お局社員「原住民くん、お疲れ様」
(´・ω・`)「あ、お疲れ様です」
お局社員「相変わらずねネガシマ課長も」
(´・ω・`;)「ハハ…、正直キツイですよ」
お局社員「だよねー。前の大松主任も、課長にツメられるのが嫌で辞めたし」
(´・ω・`;)「そ、そうだったんですね」
お局社員「でもさ、それって課長が見込んでるって事なのよ」
(´・ω・`;)「え?」
お局社員「だってさ、課長ってあんまり私とかに怒らないでしょ?」
(´・ω・`)「確かに」
(´・ω・`)「でもそれは、そもそも先輩がミスしないからですよね?」
お局社員「違う違う」
お局社員「大松主任が辞めてから、経理課で男はアナタだけになっちゃったでしょ?」
お局社員「私を含めて、女子社員は管理職なんて面倒でやりたがらないし」
お局社員「だからね、その分だけ課長は原住民くんに期待してるみたいよ?」
(´・ω・`;)「そ、そうなんですか…?」
お局社員「ネガシマ課長は早くアナタに実力つけさせて、主任に上がって欲しいのよ」
お局社員「ま、プレッシャーかも知れないけど頑張んなさい!」
(´・ω・`;)「は、はい!」
お局社員「後これ、いつもパシッてるお礼の缶コーヒー」ヒョイ
(´・ω・`;)「あ、ありがとうございます!」パシッ
それでも……。
何かがハッキリと掴めたわけではないけれど。
あれから少しだけ、前向きになれた気がするんです。
先輩女子「あ、いたいた!原住民くーん!!」
(´・ω・`;)「あ、はい!」
先輩女子「こないだの送別会の件なんだけどさ」
先輩女子「新人のフェリスちゃんにも教えてあげてもらっていい?」
(´・ω・`;)「え…?」
先輩女子「4月の新歓はフェリスちゃんの代にやってもらわないといけないからね」
(´・ω・`;)「分かりました!」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「原住民先輩、よろしくお願いします」
(´・ω・`;)「よ、よろしく」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「原住民先輩!送別会の準備って何からやればいいですか?」
(´・ω・`)「えっと、じゃあ送別会の出欠確認表から作って貰おうかな」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「わかりました!手書きですか??」
(´・ω・`)「いや、去年エクセルで作ったデータがあるんだけど、それ使って」
(´・ω・`)「人員が微妙に変わってるから、今年の課の名簿と見比べて、違うとこだけ直せばいいよ」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「わかりましたー!」
(´・ω・`)「エクセルデータはフェリスさんのPCにメールで送るね」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「はーい!」
(´・ω・`;)……
(´・ω・`;)(フェリスちゃん、入社した時から気になってたんだよな)
(´・ω・`)(相変わらず可愛いなぁ)
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ
(´・ω・`;)(い、意識しすぎて緊張する)
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ …ン
(´・ω・`;)(だけど、こうして一緒に働けるのは嬉しいな)
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「原住民さん!」
(´・ω・`;)「あ、ごめん!もしかしてさっきから呼んでた?」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「はい、エクセルで出欠確認表作りました!」
(´・ω・`)「もう出来たんだ」
(´・ω・`)「どれどれ。…うん、大丈夫。これでバッチリだよ」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「やった!」
(´^ω^`)「フェリスさんは仕事が早いね」ニコ
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「えへへ。ありがとうございます!」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「……あの」
(´・ω・`)「ん…?どうしたの」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「前から思ってたんですけど、原住民先輩って凄く優しい方ですね」
(´・ω・`)「え、そ、そうかな?」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「はい!私、原住民先輩には色々聞きやすいんです」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「入社したての時、色々分からなくて他の先輩は怒っても、原住民先輩はいつも丁寧に教えてくれましたから」
(´・ω・`;)「はは…僕は怒れるような立場じゃないしね。フェリスちゃんの方がしっかりしてるよ」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「そんなことないですよ」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「それに、原住民先輩は教え方が凄く上手で、分かりやすいです!」
(´・ω・`)「そう言ってもらえて嬉しいよ。僕なんかでよければ、これからも何でも聞いてよ」
(´・ω・`;)「僕も分からないかもしれないけどね」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「はい!」
ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ「こらからも先輩のこと、頼りにしますね?」
(´・ω・`)
(´・ω・`)
((´・ω・`))))プルプルプル
(´・ω・`*)ポッ
あれから、まだまだ辛い事は沢山あるけれど。
なんだか少しだけ、日々の生活が楽しくなってきて……。
こんな毎日が続くなら、それはきっとーー。
ーーだから。
ありがとう、やきうさん。
彡(>)(<)ヘックシッ!
彡(゚)(-)「…なんやろ、急にクシャミが」
彡(`)(´)「さては、花粉がもう出始めとるな!」
彡(゚)(゚)「…そろそろ医者で薬貰っとくか」
そして、日々は続いて行く。
《 8話: 生きる意味(終)》
【今日のまとめ】
・どうやらこれが最終回だったようだ。
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コメント一覧
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- 2018年02月09日 22:45
- 生きる意味などは後からつくってどっかのアーティストも言ってたし今を生きよう(楽観視)
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- 2018年02月09日 23:19
- おもろかったわ
-
- 2018年02月09日 23:35
- ようこそ・・・・君達にわざわざ集まってもらったのは他でもない・・・・とても大事な事を伝えねばならぬからだ。
話は二つ・・・・一つは 君達は英雄になった・・・・しかし他の人間達は一体何をした?
・・・・助けをこうばかりだったろう。
自らを危険にさらさないで他力本願にしあわせだけは求める・・・・そんな人間など救うに値しないという事・・・・これが一つ目だ。
そして二つ目・・・・今度は君達自身の事だ・・・・君達は一体何のために戦ってきたのだ・・・・?
-
- 2018年02月10日 00:00
- やきう民の生きる意味とかレスバとマウントとる事だけでしょ(適当)
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