湖といえば白鳥などが優雅に泳いでる湖畔のイメージが浮かぶものだが、なんと海の中には「海底の湖」と呼ばれる塩水溜まりがあるという。
そこには通常よりも塩分が高いうえに有害なメタンなどを含む湧水が溜まっており、ひとたびそこに入った生物のほとんどが生きて出られない絶望的な領域でもある。
海洋研究組織の探査船、ノーチラス号がメキシコ湾の深海で見つけた海底の湖の映像がこちらだ。
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Brine Pool: Hot Tub of Despair | Nautilus Live
メキシコ湾海底で見つかった猛毒の「死の湖」
この動画は2015年に海洋研究組織の探査船ノーチラス号がメキシコ湾海底でとらえた「海底の湖」の様子だ。
image credit:youtube
この塩水の毒性は人間のみならず多くの生物を死に至らしめるほど強い。そのため不運にもこの湖に入ってしまいそのまま息絶える生物も多いという。
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冷水湧出帯から湧き出る塩水が湖に
今回のノーチラス号の目的は深海にある冷水湧出帯を探るというものだった。
こうした領域は硫化水素やメタンなどの炭化水素に富んだ塩水が湧出する所で、熱水噴出口と区別するため「冷水」という言葉がついている。
湖のわきで湧出する有毒な塩水
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その冷水湧出帯には、海底深くに堆積する古い塩鉱床と作用し合い、塩分濃度が海水の4倍以上もある湧水が出る塩水湧出帯がいくつかある。
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その塩水は上層の海水よりもはるかに高密度で、非常に混合しにくい。こうした水が大きな塩水溜まりを形成するのだ。
有毒でもごく一部の生物が適応
この領域は水深1000m近くで見つかったもので、円周約30m、深さ約3.6mほどだった。
この環境はほとんどの生物にとって有害だが、周辺には湧き出るガスや化学物質をエネルギーに変換して適応したムラサキイガイやチューブワームなどが生息している。
こうした極限環境でもごく一部の生物が適応しているのだ。
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「絶望的なジャグジー」という異名も
このあたりの海水温は4度ほどといわれているが、その塩水だまりは19度もある。その温度と多くの生命を奪う塩分濃度から「絶望的なジャグジー」「絶望的な温浴槽」と呼ぶ専門家もいる。
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ノーチラス号はこうした塩水だまりの形成過程やその変化、さらには周辺の生物の生態などを調べており、収集したデータを協力的な科学者に渡している。
深海でも驚異的な場所
この塩水溜まりを研究したテンプル大学の生物学の準教授、エリック・コーデスは以下のように述べている。
「そこは深海で最も驚異的な場所の1つと言えるでしょう。海底で湖、もしくは川のような流れが見えるんです」
神秘的であると同時に多くの生物に有害な恐ろしい海中の湖。しかしこの湖は極限環境下で生きる生命の研究にうってつけな魅力的な場所といえるだろう。
References:sciencealert / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
カニ「なんという塩対応」
2. 匿名処理班
海の底に重い成分が沈殿している箇所があるわけだ。
窪地に二酸化炭素が溜まるように。
3. 匿名処理班
ウッ‥苦シオ…
4. 匿名処理班
やっぱり海は未だ未だ謎に満ちてんだなぁ