【コラム】俺を好きなのはお前だけかよ8巻、発売記念インタビュー!
※本文、敬称略
※8巻について重大なネタバレを含みます。8巻読了後にお読みいただくことを推奨します。
■ジョーロの親友・サンちゃんが主役に抜擢されたワケ
───前回のインタビュー、覚えていますでしょうか?
(前回のインタビューより)
───終盤で登場した椿のライバル・元木智冬。次巻はこのお話になる予定ですか?
駱駝:もちろんそうです、8巻はたぶん椿と柊の熱い戦いが行われるでしょう。
───椿どころか、全然違う内容なんですけど……。
三木一馬(担当編集。以下、三木):さすが目ざとい……!やっぱりバレましたか、細かいところ拾ってくるの、さすがです(怒)!
───なんでガチギレしてるんですか!「よし、椿の話か」って心の準備して読みはじめて、ビックリしたのはこっちですよ。
駱駝先生(以下、駱駝):あはは。この発言、拾われるんだろうなって思ってました。だから保険として「たぶん」と書いてあるんですよ。なので、とりあえず……ごめんなさい!!
三木:昔、『YAIBA』ってマンガがあったんですけど。
───唐突ですね、いきなり何の話ですか。
三木:かぐや編終わったら、いきなり作風の異なるチキチキグランプリ編が始まったんですよ。
───本編でいきなりですか?
三木:ええ。いきなりガラリとカラーが変わったものですから、とてもびっくりして。でもそれでも面白かったし、今描く一番良いものを青山剛昌先生がお描きになったんだろうなと。
───つまり、駱駝先生もそれと同じように……。
三木:その通りでございます。
駱駝:内情をバラすと、実は同時進行で2つ書いていました。でも夏休みサンちゃん編は、これ以上先延ばししないほうがいいと判断して、こちらを先に刊行しました。
三木:今回のお話はサンちゃん編ですが、つまりはルルーシュだけじゃなくて、スザクの話も見たいじゃないですか! または『デスノート』のLとライトみたいな。実際、8巻だけを最初に読んでも成り立つような話の構成です。
駱駝:はい。興味を持っていただけたら是非、8巻からでも読んでほしいです!8巻読んでから1巻読むと、サンちゃんに色々とビックリしそうではありますが(笑)
■サンちゃんのバッテリー・芝の意外な元ネタ・裏話
三木:少しだけ読者の皆さんを裏切りたいんですよね。でも、ものすごく裏切るのも良くない。適度な刺激としてうまくバランスをとりたいです。ちょっとした裏切りがやりたかったんですよ。真面目な話、8巻は「読者に夢を与えたい」っていうライトノベルの面白さの原点に立ちもどりました。あと、そんなに人生うまくいかないぞっていうことも含まれてます。
───ちょっとビターなところもありました。
三木:青春は楽しいことも多いけど、それだけじゃないぞ……ということを表現したかったんです。簡単に敵をなぎ倒して、快感だけがある、そんなお話じゃないものをやってみました。
───『魔法科高校の劣等生』、面白いですよね。
三木:いやいやいやいや! 『魔法科高校』はそういうシーンないからね? ……マジで無いですよ!?
駱駝:『魔法科高校』といえば今回気づきました?
───えっ?
駱駝:芝って名前のキャッチャーがシスコンなんです。カラー口絵に芝のフルネームが載ってるんですけど、略して「芝生」にしつつ、それらしき文字が混ざってるんですよね。妹の名前もすでに決まっていて、「みゆき」っていうんですよ。
───ああっ!こんな仕込みがあったなんて。芝の名字が出てきたのって、かなり前の巻ですよね?
駱駝:5巻です。サンちゃんの本名=「太陽」と合わせた名前にしたかったから芝生の芝にしつつ、「シバか、これいけるな」って思って。なのでその時点で、彼がシスコンということは決まっていました。
───なるほど(笑)
三木:7巻まで面白いって言ってくださったお客さんたちなら、今回も良いと思ってくれるという信頼の元にトライしてみました。副題もつけずに8巻だったから、この表紙も菫子さんだと思われた方も多いんじゃないかな、ちょっとイメチェンしたのかなって。
■新ヒロイン・アネモネの◯◯な魅力を徹底解説!(画像つき)
───8巻の表紙を飾っている新ヒロインのアネモネ。目を引くのがサイドテールです。結んでいる髪留めはもちろんアネモネの花ですよね?
駱駝:はい。これまでのヒロイン全員、あだ名にちなんだ花のアクセサリーを付けています。アネモネの花言葉って色によって種類があるので、髪留めは本人をイメージした紫色になってます。
三木:挿絵には再現されなかったんですけど、牡丹一華になるとポニーがなくなるんですよ。で、その髪留めが手首にまかれてシュシュになるという設定があります。
駱駝:あとアネモネの時はアホ毛が立ってるんですけど、一華になるとアホ毛が寝ます。8巻最後の挿絵をよく見ると、この一華もアホ毛が下に垂れてるんですよね。初期デザインでもそうなってます。
───一華とアネモネは全然違う性格ですね。
駱駝:アネモネがハイテンションな女の子なんで、真逆のとても真面目な女の子にしようと。でも根暗ではなくて、コミュニケーション能力の高い真面目でみんなに好かれるリア充な委員長って感じです。
───家族からの待遇がかわいそうだなあと思ってしまいました。
駱駝:それは見方次第だと思うんですよ。この物語では最初からアネモネが登場するから、そう思われるかもしれません。でも最初から一華がヒロインで、アネモネに切り替わったら、逆の感情が出ていたかもしれませんし。
───読者的にはアネモネを奪っていくのが一華のポジションですが、家族にしてみれば逆ってことですね。
駱駝:だから最後にちょっとだけ一華の可愛いところを出しました。別に一華はなにも悪いことをしていませんからね。
───8巻でお気に入りの挿絵はどこでしょうか?
駱駝:カラー口絵の野球部が見開きで揃っているところです。ブリキさんに男祭りをさせてしまいました、女2人に対して男6人ですからね。
三木:あえてアネモネとたんぽぽを入れないことも考えたんですが、完全に男塾になるんで(笑)
駱駝:モノクロ挿絵も6枚アネモネが出ていますが、サンちゃんは8枚! サンちゃんすげえなって感心しました。8巻は男性キャラがたくさん出てきて、私は大変ご満悦です。
───モノクロ挿絵で気に入ってるページは?
駱駝:266ページのサンちゃんと大地。大地がつけてるヘルメットに、桑仏高校だから「S」と「B」のロゴが描いてあるんです。おそらく今後出てこないのに、わざわざこれをデザインしてくれたブリキさんに感動しました。
───一回しか出てこないであろうライバル校のロゴなのに、かなり凝ってますね(笑)
駱駝:そうなんですよ。ブリキさんの描く大地さんがいちいちムキムキなところも面白かったです。こいつは強ぇなって。
───三木さんのおすすめイラストは?
三木:3つもあるんですよ。1つ目はここ。カラー口絵の一番右のおっぱい。
三木:これ完全にノーブラですけどね
駱駝:この出方は確実にノーブラでしょ。
三木:2個目はですね、ここ。84ぺージのおっぱい。これもノーブラですよね。
───もにょ、ぷにゅって感じで膝にあたってる弾力が間違いないです。
駱駝:最後の一枚も予想がつくんですが……。
三木:240ページのこれ。
三木:完全に押し付けて当ててます。
───全部おっぱいじゃないですか!
三木:そうですね、つまりサンちゃんが好きになる系統は菫子と同じ。つまり巨乳フェチですよ。
■ジョーロではやれない熱血王道ストーリーを、 サンちゃんにやってもらった
───サンちゃん回は前からやりたかったんですか?
駱駝:毎回ジョーロが小細工を弄する話が多いので、たまには熱血王道ストーリーがやりたいなって思ってました。でもそれをジョーロがやるのは違うだろうと。でもサンちゃんはすぐウジウジして大変でした。メンタルが豆腐ですからね。その点を成長してほしかったという意図もあります。
───(笑) 時系列的には6巻の裏側で起こっていた話です。8巻の内容が、前の巻で触れられている箇所はあるんですか?
駱駝:はい、7巻でサンちゃんの内面が変化している部分があります。サザンカが泣いた後に、サンちゃんがジョーロに対して「自分の力は必要か」って確認しにいくシーン(7巻 258ページ)。このあたりも夏休みの経験を経て、サンちゃんの変化をあらかじめ入れておいたんですよ。
───ギャルゲーというか泣きゲーというか、具体的に言うと『Kanon』の真琴シナリオを感じました。
三木:そもそも駱駝さんってギャルゲーやっていたんですか?
駱駝:『Kanon』『CLANNAD』『リトルバスターズ!』などKeyのゲームは遊んでました。あとユニゾンシフトの『時計仕掛けのレイライン』ってゲームが大好きです。
三木:でもあれ泣きゲーじゃなくないっすか?
駱駝:全然泣きゲーじゃないんですけど。あとは男くさい『鬼哭街』が面白かったです。なので、特に泣きゲーを意識してはいなかったです。
───試合の結果は7巻でも書かれてました。サンちゃん勝てなかったんですね。
駱駝:サンちゃんに俺TUEEEEして負けてほしかったんです。
───あそこまで活躍したら、今後サンちゃんはマスコミに注目されて、自由に行動できなくなったりしませんか?
駱駝:それはご都合主義の力でなんとでもなりますんで大丈夫です。『H2』(あだち充 著)の国見比呂もぜんぜん注目されてなかったし、橘英雄も好き放題、雨宮ひかりとデートしてました。普通はあれで報道されないはずがないですから。
───身も蓋もない! 結局パンジーとアネモネは、会話しなかったわけですか?
駱駝:お互い気づいてましたけど、会話はしませんでした。だけどパンジーが出ているところでは、絶対パンジーに対して何かしらアネモネがコメントを残してます。気づかなかった方はぜひ読み直してもらいたいですね。
■コミックス2巻発売! 原作では描かれなかった図書室の追加シーンに注目!
───コミックスの2巻が発売されました。1巻と合わせて、ちょうど原作1巻分がきれいに収録されています。
三木:前回のコミックス1巻と同じく、発売月が原作と一緒になってるんですよ。コミックス2巻も3月2日に出たばかりなので、よろしくお願いします!
駱駝:連載時より絵が加筆修正されて良くなっているところがありますので、楽しんでもらえたらと思います。あと原作になくて、マンガにしか入っていないシーンが思いっきり描かれてるので、そこも楽しんでほしいです。
───コミックス1巻でも、ベンチのシーンで後ろにパンジーが描かれていました。
駱駝:ええ。2巻の160ページです。原作だとジョーロ視点なので描かれていないんですが、図書室に実はひまわりとコスモスがいたってコマがはっきり描かれています。他にも、コスモスとひまわりがジョーロを助けるシーンもあります。
───マンガ媒体の良さというか、ジョーロの1人称じゃないからこそ描けたってことですね。
駱駝:そうですね。原作読者の方もマンガを手に取ってくれたら嬉しいです。
───今回もエッチな番外編描き下ろしがあるかなって思ったら……エッチどころかスティンガー君のタイツじゃんみたいな。原作でもスティンガー君が出てこなくなりました。まだ生きているんでしょうか?
駱駝:死んでるわけではないです。クワガタって7年ぐらい寿命ありますから、高校の間はぜんぜん現役で戦えますね。スティンガー君の今後の出番にも期待してください。
───『ジャンプ+』で掲載している駱駝先生のSSは、本に収録される予定はあるんでしょうか?
三木:いずれどこかに収録したいと思ってますが、それぞれのSSの時系列も、マンガの進行に沿っている構成なんです。だからマンガも一緒に掲載しないといけなくて悩んでます。
───なるほど。それでは最後にメッセージをお願いします。
三木:今回ちょっと変則的な巻になったんですけども、8巻目だからやれることもあるし、やってもいいかなと思いました。読者さんを信頼して、このタイミングで変則的なお話をやったとしても甘受してくれるかなって思ってチャレンジしてみました。話の内容については自信がありますので、「ジョーロがあまり出てこなくても『俺好き』って面白いんだ!」って楽しんでいただけると、さらに『俺好き』の世界が広がっていくと思っております。ぜひお楽しみください。
駱駝:今回の8巻は番外編っぽい話なんですけど、なぜこれが8巻かっていう理由は、一番最後のページを見てもらえれば伝わると思います。この物語が9巻に続いていく理由がわかる、とても重要なことが書いてありますので。ぜひ最後まで読んでもらいたいと思います。
───本日はありがとうございました。
(取材・構成:かーずSP 協力:株式会社ストレートエッジ)
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