【わたモテ】モテないし教えてもらう【かともこ】
- 2018年03月14日 23:10
- SS、私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!
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●全20レス(予定)
●キャラ曲解・崩壊注意
●加藤さんは聖女で悪女
お母さんは、とても、綺麗な人でした。
華やかな世界で、きらびやかに装い、たくさんのひとの目を惹いていました。
そしてその世界で、お母さんはお父さんと出会いました。
お父さんは、お母さんとわたしを、せいいっぱい愛してくれました。
ほんの短い間だけだったけれど ―
思い出の中でも、写真の中でも、お父さんはいつも笑っています。
お母さんは今も、お父さんの分まで、わたしをせいいっぱい愛してくれています。
愛するということは、その人のためにすること。
自分が好かれるためにすることではありません。
・・・お母さんは、とてもとても厳しくて、そして優しい人でした。
お母さんはけして怒りません。でも、こうと決めたらけしてひるがえしません。
わたしに好きにさせてくれるけど、好き勝手はけしてさせません。
そうしてわたしにいろんなことを教え、いろんなことができるようにしてくれました。
わたしにお父さんがいないこと、お母さんがひとりで育ててきたこと。
そしてお母さんが、華やかだけれどうつろな世界で生きてきたことを、
わたしが負い目に思わないように・・・
わたしはそれを、嬉しく思っていました。
そして、お母さんを困らせるまいとも思いました。
わたしもせいいっぱい、お父さんとお母さんを、愛したかった。
だからわたしは ―
「いい子」に、なったんです。
キーン コーン カーン
キーン コーン ・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
… トン トン トン シュッ シュ キュッ 。
「・・・・・・おおっ」
「・・・・・・・・」
シュ シュ シュ ポン ポン ポン …
「お、お、お」
「・・・ふふっ」
・・・ シ ュ ッ 。
加藤「はい、できあがり」
黒木「うわー・・・」キラキラキラ
加藤「どうかな? うまくいったと思うんだけど」
黒木「す、すごい。 クマがぜんぜん見えなくなった!」
加藤「ふふ、かわいくなったよ、黒木さん」
黒木「(やっぱり普段は可愛くないのか)」ブスッ
加藤「普段の黒木さんもかわいいけどね?」
黒木「(見透かされた?!)」ドキッ!
加藤「それじゃ、黒木さんの番ね」
黒木「あ、うん」・・・シュ
ボフ ボフ グリ グリ
黒木「あ、あれ? あれ・・・」
加藤「強すぎるみたいだね」
黒木「そ、そうなのかな。 もう一度・・・」シュッ
岡田「明日香ー、なにやって・・・」ガラッ
加藤「あ」 黒木「げ」 岡田「え」
岡田「あははははははははっ!!!」
加藤「もう、茜ったら」
岡田「あは、あははっ、ご、ごめんっ!」ゲラゲラゲラ
黒木「(この凸ッパチめ・・・)」ブスッ
岡田「は、はは・・・ メイクのしかた、教えてやってた、のか?」
加藤「うん。 黒木さんからお願いされたの」
岡田「へえ? 意外だな」
黒木「クマを消せるメイク、ずっと知りたくって・・・」
岡田「・・・そうだったのか。 やっぱ、そう思ってたんだな」
黒木「(雑誌読んでやってみても、、うまくいかなくかったし・・・)」
(あ、あれ? あれれ・・・ もこっち、ごめんね)
(うぎゃあああああああ!!)
黒木「(ゆうちゃんにやってもらったら、えらいことになったし)」
加藤「わたしがずっとやってあげてもいいんだけどね?」ニコッ
岡田「またそうやって、すぐ世話焼きたがるんだからなあ」
黒木「・・・・・・・・・・・・」
(・・・なんで、なんだ??)
(加藤さん、なんでこんなに、わたしのことかまってくれるんだろ?)
(誰にでもやさしい人みたいだけれど)
加藤「だって、黒木さんの顔いじるの楽しいんだもん」
岡田「嫌だったら嫌って言えよ、黒木?」
黒木「・・・あ。 嫌じゃない、よ」
岡田「明日香って、けっこうすぐ調子に乗るからな」
加藤「もう、茜ったら。 でも・・・」
黒木「・・・・・・・・・」ジーッ
(・・・ま、どうせ、また荻野の差し金かな)
(『友達になってくれ』とでも吹きこまれたんだろうな)
(そうでもなけりゃ、わたしなんかにかまってくれるはずもないか)
(きれいで優しくて成績もいい、こんな完璧超人様が)
加藤「ほんとうに嫌だったら、言ってね? 黒木さん」
黒木「え」
加藤「いえ・・・ きっと、気づくようにする。あなたに言われる前に」
黒木「あ、えと、だから、ほんっとうに、嫌じゃないですっ!!」
加藤「ふふ。 ・・・ありがとう、ね」
キーン コーン カーン
キーン コーン ・・・
加藤「・・・・」
黒木「・・・・」
シュ シュ ポン ポン
・・・ シ ュ ッ 。
加藤「はい、どうぞ」
黒木「ありがとう」
シュ シュ シュ
加藤「上手になってきたね」
黒木「・・・ほんとうに、ありがとう」
加藤「ううん・・・ ねえ」
黒木「・・・なに?」
加藤「やっぱり、教えてくれない?」
「茜と根元さん、どうやって仲直りさせたのか」
黒木「・・・う・・・」
加藤「どうしても、ダメ?」
黒木「べ、べつに、わたしはなにも」
加藤「『なにも』ってのは、ウソでしょ」
黒木「・・・」
加藤「あなたと話をしたあと、茜はやっと根元さんに自分から声をかけた」
加藤「そしてふたりで話をして、あっというまに仲直りしちゃった」
黒木「・・・・・・・」
加藤「いったい、何を話したの?」
黒木「それは・・・」
加藤「茜も、根元さんも、どうしても教えてくれないの」
黒木「・・・・・・・・・」
加藤「なんでなのかなあ」
黒木「・・・別に、たいしたことじゃ」
加藤「メイク、落とすね」
黒木「・・・はい」
シュッ シュッ シュ
キュッ キュッ キュ ・・・
加藤「・・・」シュ シュ
黒木「・・・」ジーッ
加藤「ね、黒木さん」・・・シュ
「やっぱり、わたしって、話しかけづらい?」
黒木「・・・え」
加藤「あ、ううん。 黒木さんがどうって、ことじゃないの」
加藤「前からずっと、言われてることなの。 みんなから・・・」
[ あ、その・・・ 加藤さんに言うほどのものじゃ、ないです ]
[ 明日香は上品すぎるからなあ。 お高くとまってるわけじゃないけどさ ]
加藤「いつも、そうなの。 みんなわたしを、嫌いじゃないんだろうけど」
黒木「・・・・・・・・・」
加藤「でもいつも、遠ざけようとする。 仲良くしてくれてるのは、わかるけど」
黒木「・・・・・・・・・・・・・・」
加藤「踏みこんだ話をしようとすると、みんないつも、一歩引いちゃう」
加藤「悪気じゃないのは、わかってる。 わかってるんだけど・・・」
黒木「(・・・・・わたしの、バカ)」
加藤「なんで、なのか、なあ・・・」
黒木「(バカ、アホ、クズ。 死ね、クソゲス野郎)」
黒木「(なにが荻野の差し金だ。 恥を知れ、くそったれ)」
ようやくわかった。 …いつも、気づくのが遅い。
なんで加藤さんが、ぼっちのわたしと仲良くしようと思ったのか。
加藤さんも、ぼっちだったんだ。
きれいすぎるから。 優しすぎるから。
まわりの人と、違いすぎるから・・・
加藤「ごめんね黒木さん、変なこと言って」
黒木「・・・・・・・・・・」
加藤「はい、落としたよ。 じゃあ」
黒木「加藤さん」ガタッ
ツカ ツカ ツカ
・・・ ガ ラ ッ 。
加藤「黒木さん? どこに・・・」
黒木「・・・ついてきてください」
加藤「えっ?」
黒木「教えて、あげますから」
ツカ ツカ ツカ
加藤「え。 ま、待って」
黒木「・・・」ツカツカツカ
加藤「待って、黒木さん」・・・タタッ
タ ッ 。
加藤「あ、あれ。 どこ・・・」
黒木「加藤さん」ツカ ツカ ツカ
加藤「あ、こっち?」
黒木「わたしが頼んだんです」
加藤「え?」
ツカ ツカ ツカ ツカ
加藤「(は、速い? 黒木さん・・・)」
黒木「私が、頼んだんです。 岡田さんと、ネモ・・・とさんに」
加藤「・・・え」
黒木「絶対話さないで、って。 どこの誰にも、絶対言うなって」
加藤「な・・・」
黒木「あんなこと教えたって知られたら、わたし」
「今度こそ、この学校に、いられなくなるから」
加藤「なっ・・・!? 黒木さん!」
黒木「・・・・・・・・・」ツカツカツカ
加藤「待って、黒木さん! 待って!」タタタタッ!
ツカ ツカ ツカ ツカ
タッ タッ タッ タ ・・・
加藤「は、はあ、はあ、はあ・・・」
黒木「・・・・・・・・・・・・・・・」
加藤「(・・・こ、ここ、どこ? 追いつくのに夢中で、気づかなかった)」
黒木「・・・・・・・・・」
加藤「(この校舎に、こんな場所があったなんて・・・)」
黒木「・・・ここなら、誰も、めったに来ない」スッ
・・・ カ カ カ カ カ ッ 。
加藤「(・・・スマホ?)」
黒木「岡田さんは、根元さんのことを怒っていた」カ カ カ カ
黒木「なぜ、声優を目指してるってことを、教えてくれなかったのかって」カ カ カ
加藤「・・・うん」
黒木「だからわたし、教えてあげたんです。 岡田さんに」カ カ ・・・
黒木「根元さんが、声優を目指してるって言えなかった理由」 カ ッ!
・・・ ス ッ 。
加藤「イヤホン?」
黒木「聞いてください」
加藤「う、うん」・・・ゴクリ
【こらー! 待ちなさーい!】 【だーだ? だあー!】
加藤「えっ???」
黒木「・・・知ってます、よね」
加藤「あ、うん。 でも・・・」
黒木「今度はこっちを」 カ カ ッ 。
【―― ! ―――――・・・!!】
加藤「!・・・・・・・・・・・・」
黒木「・・・」
加藤「・・・・・・な・・・・・」
黒木「・・・」
加藤「・・・なに・・・これ・・・なに・・・」
黒木「同じ人です」
加藤「・・・・・・・・え・・・・・・・・」
黒木「同じ人の声なんです。 わかりませんか」
加藤「・・・うそ・・・そんな、まさか・・・・」
【―――― ?! ―― 、―――!】
加藤「・・・・う・・・そ・・・・」
・・・ ・・・ ・・・
[ ・・・明日香。 ]
お母さん。
[ 明日香。 友達は、選ばなくてはいけませんよ ]
お母さん・・・
[ いい友達は一生の宝物。 悪い友達は、一生の毒になるんですからね ]
・・・お母さん、ごめんなさい。 明日香、悪い友だち、つくっちゃった。
【―― ! ―― ! ―― ! ~~~~~!!】
悪いこと、教えてもらっちゃった・・・ 明日香、悪い子になっちゃったよ・・・
【――――――――――――――――・・・♡】
キーン コーン カーン
キーン コーン ・・・
加藤「・・・・」
黒木「・・・・」
シュ シュ ポン ポン
・・・ シ ュ ッ !
加藤「うん、完璧」
黒木「・・・そう、かな」
加藤「もうわたしは、黒木さんに教えなくって大丈夫だね」
黒木「そっか・・・」
加藤「・・・でも」 ニ コ ッ 。
「黒木さんは、きょうもまた、わたしに教えてくれるんだよね」
黒木「・・・・・・・・・・・・」
加藤「約束通り。 誰にも言ってないよ。 茜にだって、根元さんにだって」… ニ コ リ
「お母さん、わたしの携帯、チェックしてるの。 だから・・・・・」
【――――――。 ――――・・・】
加藤「・・・・・わあ・・・・・・」
黒木「・・・・・・・」
加藤「これ、なんて、言うの?」
黒木「・・・『百合』、です」
加藤「・・・百合? 女の子同士のことを、そういうの?」
黒木「男同士は『薔薇』っていってて、そこからきたみたいです・・・」
加藤「・・・・・すごい・・・・・」
【・・・――! ――――、――――・・・】
加藤「・・・・・・・・」ジーッ
黒木「・・・・・・・・」ジーッ
加藤「わあ。 こんなことまで・・・」ジーッ
黒木「・・・(近い! 近いよ!!)」ジーッ・・・
(肌キレイだよ、いいにおいだよっ!! なにこれ、すんごくいいにおい?!)
(見える!胸もと見えてる! もっともっと!)
加藤「・・・・・・・・・」・・・ジーッ
黒木「(あ、あとちょっと! あとちょっと下!!)」ハアハア
黒木「(さわっちゃう? さわってもいいのかな?!)」ハアハアハア
黒木「(いいよね?! 女の子同士なんだし! ちょっとだけなら!!)」・・・ソーッ
加藤「黒木さん」
黒木「は、はいいいっ!?」ビクッ!
加藤「大きい声出したら聞こえちゃうよ、もう。 ・・・こないだのも、見せて」
黒木「・・・こないだ? あ・・・」
加藤「うん。 『おねショタ』だっけ? お姉さんと、男の子の」
黒木「は、はい」・・・カ カッ
加藤「・・・・・・・・・・・」
黒木「・・・えっと・・・」カ カ カ カ
加藤「(・・・きれい)」ジーッ
(・・・切れ長の、大きな眼。 まっ黒い瞳。 すいこまれそう・・・)
加藤「(黒木さん。 あなた、さっき、見てたよね?)」
加藤「(わたしのここ、じーっと。 ふふふ・・・)」
・・・ ク ス ッ 。
加藤「(黒木さんって、そう言う趣味なのかもね。 内さんも、そう言ってたし)」クス クス
加藤「(今日は香水変えてみたんだけど、気づいてくれたかな? ふふふふっ)」クス クス クス …
黒木「待ってて。待って、あとちょっと・・・」カカカカカ
加藤「(とがったあご、細い首。 小さな肩、まっすぐな手足。 まるで・・・)」
黒木さん、まるで男の子みたい・・・
[ お父さん、明日香、弟がほしいの ]
[ はは、お母さんに相談しないとなあ ]
黒木「・・・・・・・・・・・」カカカ・・・
加藤「(いやがらなかった、よね。 黒木さん、何しても)」
加藤「(手をさわっても、顔いじっても・・・・)」ペ ロ リ 。
(誰にも言わないよね? きっと、そうだよね? ねえ、黒木さん)
(だから、ちょっとだけ。 ちょっとだけなら、いいよね・・・?) ス ・ ・ ・
― ス ッ 。
黒木「よっしゃ。 はい、加藤さん」
加藤「きゃわあ?!」
黒木「きゃわ?!」
加藤「あっ、あ、あ・・・・」ドギマギ
黒木「か、加藤さん?」
加藤「な、なんでもない。なんでもないの・・・」アセアセ
黒木「・・・?? まあ、これ、こないだの・・・」
加藤「・・・あ、ありがとう、ね。 黒木さん・・・」ドキ ドキ ドキ・・・
【――――? ――――・・・!】
(・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・)
【――――?!――、――、――・・・】
(・・・黒木さんの、バカ。 わたし、もう、戻れない)
【――!――!――! ・・・~~~~!!!】
(戻れなくなっちゃったよ、バカ・・・)
【――――――――――――・・・ ♡】
※おしまい※
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