男「猫娘との生活」
会社でミスをして怒られて
落ち込んでいる矢先に
今日は晴れですと言った天気予報に裏切られ、雨が降りだし
傘を持って無い中、早足で帰路につく
今日はツイテない
そんな日だったからなのか
ふと見つけた、衰弱してる猫を我が家に連れて帰った
男「何だお前、捨て猫か? ツイテないなぁ」
猫「ミャー」
男「そうかー、俺もさぁ今日はツイテなくてなぁ......そうだお前俺の話し相手になってくれよ?」
猫「......ミャー」
男「社会人四年目、独身一人暮らしちと寂しく思っていたんだ」
猫「ナウー」
男「悪いようにはしないからさ、んじゃ、お持ち帰りー」
猫「.........ミャー」
ーーーー
ーー
猫を拾った
お持ち帰りした時は気づかなかったが
男「ほら綺麗にするだけだ大人しくしてくれよ」
猫「ミャー!」
男「ちょお前、ぶふお」
洗ってみるとビックリするくらい真っ白で毛並みなんてサラサラで最高に綺麗な猫に早変わり
男「お前、結構美人じゃないか? 目も青色で海みたいだ、綺麗だな」
美人と言ったのは勿論雌だからだ
猫「ミャー?」
男「って猫に美人って表現は変かな、さてと飼うと決めたんだから、飼い主として責任持ってやるか」
男「えーと猫について、Google先生俺に力を......!」
猫「.........」
それからと言うもの男は猫について調べまくった
食事から習性、どうやったら仲良くなれるかのスキンシップ等
男「あ、そうだ名前つけてなかったな忘れてたどうしようか?」
男「.........お前にぴったりな名前」
猫「ミャー」ガリガリ
男「おいおい、ダンボールで爪を研がないでくれ......ん?」
ふと、猫が引っ掻いていたダンボールに目が動く、ダンボールには鈴蘭と書かれていた
男「鈴蘭......ああ、良いな」
猫「ミャ?」
男「よーし、今日からお前は鈴蘭だ、長いから鈴(すず)な」ナデナデ
猫「ミャー」ゴロゴロ
男「よしよし」
ーーーー
ーー
~男の勤める会社 屋上~
上司「お前は何時になったら出来るようになるんだ!!」
男「す、すいません!」
上司「まったくどうしてお前は覚えが悪い? 頭動かしてんのか?」
男「いやー、何も言えないですねぇ」
上司「まったくこのクソがッ、もっと考えて仕事しろ! でなきゃ辞めちまえ」バタン!
男「......ふぅ、そんな怒らんでも良いのに」
後輩「せ、先輩......」
男「ん? おお後輩ちゃん、大丈夫だよ俺しか怒られてねぇ、おkだ」
男「後輩ちゃんまだ1年目だろ? 失敗何ていっぱいある、俺も失敗ばっかりだったよ、まぁ仕事パートナーなんだからフォローさせてくれ」カチッ
後輩「でも私、何時も先輩に守ってもらって......」
男「良いって俺はこんな人間だし、怒んの苦手何だ、後輩ちゃんが反省してるならそれで良いよ......スゥ、煙草うめぇー」
後輩「先輩......あのこの後空いてますか? 良かったら食事に」
男「え、ああ悪いな今日は真っ直ぐ帰らないと行けないんだ」
男「最近捨て猫拾ってさ、ちょっと心配でね、だから食事はまたの機会で」
後輩「......分かりました、それでは先輩また明日、今日はありがとうございました」
男「おう、あんま気にすんなよー」
男「.........まぁ、怒られるのも疲れるんだけどさぁ......また鈴にでも愚痴ってよっと」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~男宅~
男「ただいまー、鈴ー、いるかー?
あれ?」
何時もなら俺の声が聞こえるや飛んで来るのに今日はこない
何かあったのか、一抹の不安が男に過ぎったが
男「鈴ー! す.........へ!?」
「.........ぬ、ぬし!?」
男の目の前に居たのは猫ではなく、背中まで伸びた真っ白い髪に海のように透き通った青い双眸をした見た目十五、六歳程の美少女だった
見ると洗濯物を畳んでいた所だったのだろう今朝干していた洗濯物が綺麗に整頓されていた
誰なんだ、一瞬男に動揺が走るが
少女と目があう、不安気に男を見つめている青い双眸
何時も仕事の愚痴を黙って静かに聞いてくれていたあの猫と同じ瞳
男にはそれだけで十分だった
「ぬ、ぬし......これはの、はう///」
男は何時もの様に抱き締めて真っ白い彼女の頭を撫でる、サラサラな撫で心地に良いようのない暖かさを感じた、やっぱりあの子だ
男の言葉に一瞬驚く彼女だったが、直ぐに満面の笑みを浮かべる
そして何時もの様に彼に擦り寄る
「.........うんおかえり、ぬし」
あの日の気まぐれだった行動が
後々、男のツイテるとは言えない
損な日常をこの猫が彩って行くのは
まだ先の話し
猫可愛い
はつじょうき
猫じゃらしで意地悪
マタタビと酒で乾杯
休日に一緒にお昼寝とか
鈴「改めて言おう、我は主の飼い猫の鈴蘭じゃ、あの時は拾ってくれて感謝しておる」
男「あ、これはどうもご丁寧に」
男の緊張した面持ちにふと鈴が柔和に微笑を浮かべる
鈴「これこれ、そんなに固く並んでくれ何時もの主らしくないぞ?」
男「いやぁ、口ぶりから俺より歳上なんじゃないかと......」
鈴「そうじゃな、我はこれでも五十年程生きておる」
男「大先輩じゃねーか......鈴さん?」
男「わ、分かりま......」
鈴「敬語も必要ないぞ?」
男「......分かったよ、鈴さん」
鈴「さんも要らぬが......まぁ悪い気はせんのう、それでええ」
男「所でさ、何でそんな姿なの?」
鈴「......姿? ああ、人間のということか」
鈴「我はのう少しばかり物の怪の血を引いておっての、人の姿になれるんじゃ寿命も他の猫より長い」
男「物の怪って......」
鈴「昔は沢山居たんじゃ、今は殆ど見かけないがの」
男「そ、そうなのか......」
鈴「本当は猫のままお主と暮らそうと思ったんじゃ、人になった所で気持ち悪がられてまた捨てられるのが関の山じゃと」
鈴「この五十年、只々シンドくてのぅ何度裏切られたか......」
言葉を紡ぐ彼女の目は次第に伏せ気味になり暗い表情を落とす
そんな表情に男は何時もの癖なのか
自然と彼女の頭に手を乗せ優しく撫でていた
男「.........鈴さん大変だったんだな」
鈴「主......ふふ、やっぱり主じゃのう」
男「え、ああ悪い何時もの癖で」
慌てて手を引っ込めようとした男だが、鈴がその手を握り首を左右に振る
鈴「もっと撫でてくれんか? 主の手は暖かい......」
鈴「それでじゃ、最初こそ人になる気は無かったんじゃが主と暮らしていく内にの......」
鈴「主の優しさが暖かくての、こんなの初めてじゃった嬉しかったんじゃ......恩返しに主に何か出来ないかと思ったんじゃ」
男「そうだったんだ、ありがとう鈴」
鈴「!! うんや、礼を言うのはこっちじゃ」
男の言葉に鈴はそっと頭に置いてある手を握り、自身の胸へと持っていく、とても大切な物の様に握りしめて
鈴「我が人になった時、主は我の事を嫌な顔もせずに......ただいまと言ってくれた、見た事もない女子を我だと気付いて何時もの様に抱き締めて頭を撫でてくれた」
鈴の頬は話せば話す程、赤みを増していった、ふと彼女と目があった綺麗な双眸は微かに潤んでいる
鈴「我はもう嬉しゅうて嬉しゅうて.........主、主」
生きてきた五十年の苦節から解放されたからなのだろうか彼女は男の胸へと擦り寄り抱きしめる
彼女の顔は男から見えないが小さな嗚咽が聴こえてくるので、男はまた彼女の頭を撫でながら、この真っ白な彼女が落ち着くまで黙って待っている事にした
ーーーー
ーー
男は胸にすっぽり収まっている彼女を撫でながら、今日の夕飯はどうしようかと思案していると
鈴「主、もう大丈夫じゃ」
男「そうかい?」
鈴「うむじゃがもう少しこのままで居てはくれんか?」
男「これから何時でも出来るよ? 先ずは夕飯食べよう鈴、俺お腹ペコペコで......」
鈴「そ、そうか......では我が男に馳走してやろうかの!」
男「え、料理出来るの?」
鈴「何年生きてると思っちょる、まぁあまり期待はせんでくれ、あくまで人並みという事じゃからの、で我が作ってもええか?」
男「鈴さんの料理......俺食ってみたいなお願いします」
鈴「うむうむ! 待っておれ直ぐ作るからの!」
ーーーー
ーー
鈴「さぁ、主よ召し上がれじゃあ!」
鈴が腕を差し出した机の上には、ザ・和食といった料理が並んでいる
男「(見た目は悪くない......だが味はどうだろう、例えばこの味噌汁にしたって鯖の味噌煮にしたって鈴は猫なんだ人と味覚は違う筈)」
男は考える果たしてこの料理は美味しいのか、だが鈴が俺の為に拵えてくれた料理を無下には出来ない、何より料理を作りながら「主は喜んでくれるかのう......」なんて台詞を聴いてしまったらこれは美味いと言う他にない
男「(どんな味だろうと美味いと言って見せる!! いざぁ!!)」
男「いただきまぁす!!」
パクッ
鈴「ど、どうじゃ? 美味いか主?」
男「う、ううう......」
鈴「主......? まさか口に」
男「うめぇぇぇぇぇーー!!!」
鈴「ほにゃぁ!?」
美味かった
男「鈴! 美味い! 美味しいよぉ!」
鈴「な、そうか良かった......」
男「おかわり!!」
鈴「早いの!?」
社会人四年目、この四年間自炊だった男に他人の手料理というのは、味もそうだが、心に染みる味だったかもしれない
男「ふぅ~、ご馳走さま......美味しかったよ」
鈴「お粗末様じゃ、ふふ...主の口に合って良かったわい」
鈴「ええぞ、主は寛いでくれ」
男「いやいやこんな美味い飯食わせて貰ったんだお礼しないと俺が納得出来ないよ」
鈴「いやじゃから......」
男「だから俺が......なら手伝わせてくれ」
鈴「まぁ、それじゃったら」
男「よぉし! 見てろよ俺の食器洗いの速さを! 昔はシャイニングフィンガー(閃光の掃除指)と言われた男の力を!!」
鈴「しゃいふぃん......ふふ、可笑しな名前じゃのう」
男「!!」
不意打ちだった、その時浮かべた鈴の笑顔に男は思わず見惚れてしまう
男「......あ、いや前に猫だった鈴に美人だなって言ったのを思い出してさ」
鈴「お、おう......そうか」
男「うん、俺の目に狂いはなかった」
男「鈴はスゲぇ美人だ」
鈴「ふぇ!?」
男のたった一言に鈴の顔が湯気が出るんじゃないかと思うほどに赤くなる
鈴「......あ、ありがとの主とても嬉しいぞ」
男「お、おう」
鈴「ま、まったく我の主はさも平然と甘い言葉を言いよるのう」
男「し、下心はないぞ? 本心であってだな」
鈴「わ、分かったからこれ以上はええ.........我が持たんわい///」
男「え? 最後の方なんて言ったの?」
鈴「むぅー! ええから食器洗いするぞ主!」
男「ああ、そうだったな」
男「しゃ、シャイニングフィンガーだし! 見てろよあっという間に終わらせてやる」
鈴「ふふ、食器洗いでそこまで気合いを入れんでええわい、主は愉快な飼い主じゃぁ」
その後、見事に気合いが空回りし男は食器を割ってしまい手を切るという事態を招く
そして甲斐甲斐しく鈴に絆創膏を貼ってもらっている、まさに情けない
男「す、すまん......」
鈴「ええよ、主はおっちょこちょいなのは感づいておったし、それに」
男「?」
鈴「こ、こういうシチュエーションにちと憧れてたからの/// うむ気にするな」
男「シチュエーション?」
鈴「き、気にするでない!!」アセアセ
男「お、おう」
鈴「......ふふ」
ーーーー
ーー
毎日が辛かった
ーあんた誰なんだ!? 人の家に入って何してる!?ー
信じていた物に裏切られて
ーば、化け猫だぁー!!ー
ーまってくれ我は!ー
周りの視線はいつも恐怖と拒絶
ーとっとと家から出ていけぇ!ー
どうして生きているんだろう
何が楽しくて今日を生きている
ーうぇ、なんだこの猫きったねぇ、野良猫かー
もう嫌だった
ーほれほれ早く逃げないと尻尾燃えちまうぞー? ははははは!ー
ーすまんな、お主の様な半妖にこの場所に留まる場所は無いー
我の居場所など何処にもなかった
でも、彼に会えた
ーそうだお前俺の話し相手になってくれよ、独り身はちと寂しくてなー
ー今日からお前は鈴、鈴蘭だ。よしよしー
ちょっと独り言が多くて
ーうーん、猫って玉ねぎダメなんだなー
それでいて決めたことはとことんやる
ーおーい鈴今日はちょっと奮発して贅沢な猫缶だぞ!ー
ー鈴聴いてくれよ今日さぁまた後輩がよー
でも仕事先では大変そうだが彼は笑顔だった
なにより
ー鈴ー! す......へ!?ー
ーぬし......これはの、はぅ///ー
ーただいま......鈴ー
嬉しかった、ここに居ても良いんだと
心から思えた、初めて心が満たされた
ーーーー
ーー
「鈴、鈴さん大丈夫か?」
鈴「ぬ......ぬし?」
男「うなされてたからさ、嫌な夢でも見たの?」
鈴「夢......なに昔の事じゃ」
男「............鈴さん」
鈴「こりゃ、頭は撫でんでええわい! 我はこれでもお主より」
男「鈴さんの居場所はここだからね」
鈴「!!」
男「だからもう泣かないでよ、俺もいるしさ一人じゃないぜ?」
鈴「うん(......そうか、我は泣いておったのじゃな)」
鈴「主、ありがとの......」
男「うん」
鈴「主、一緒に寝てはくれんか? い、嫌なら......」
男「嫌なもんか、一緒にいるから安心してくれ」
鈴「.........やっぱり主は優しいのう」
男「そうだろもっと褒めろ」
鈴「.........ふふ」
男「なんか可笑しかったか?」
鈴「うんや、そういう主の所我は好き.........じゃ」スヤスヤ
男「す......ってもう寝てるし、ああ反則だよそういうのは......」
男「.........まぁ良いか、おやすみ鈴」
鈴「.........ぬ、主よ昨日我が言っていた言葉はの......」
男「好きって言葉だろ? 鈴さん大丈夫だ俺は誤解してないよ」
鈴「ぬ/// それはつまり」
男「飼い主としてって事だろう?」
鈴「ふぇ? 」
男「飼い主として嬉しい言葉だよ、ありがとう鈴さん」
言うや男は鈴の頭を撫で始める
かくいう鈴は
鈴「(.........なんじゃ、嬉しい様な残念な様な......むぅ、じゃが我は半妖主と結ばれるのはあり得ん話か)」
鈴「(って我は何を考えておる!? 主にそんな感情を抱くとはイカン! イカンぞぉ!)」ブンブン
男「うぉ!? どうしたのいきなり?」
鈴「にゃんでもないぞ主よ!」
男「にゃんでもって......ぶふ」
鈴「わ、笑うんでないわい!」ポカポカ
男「ごめんごめん」
鈴「所で今日は仕事に行かんのか? 大分ゆっくりしておるが?」
鈴「なんじゃと!?」
男「そんな驚かなくても」
鈴「(主と二人......二人きり......)」
鈴「(ああ、ダメじゃこんなこと考えてはいかんのに......いかんのにぃ)」
男「鈴さんどうかしたの?」
鈴「(主に......あ、甘えたい......///)」
男「鈴さん? 顔赤いよ熱でも」ピトッ
鈴「ぬ...ぬしー///」ギュウ
男「......え?」
鈴「んん......主はええ匂いじゃぁ」クンクン
男「ちょ鈴さんどうしたの?」
鈴「(ああ、主......我のご主人......優しいご主人......)」
鈴「今日は二人きりなんじゃろ? だったらサービスしてくれてもええやろぉ?」スリスリ
男「一体突然......は!!(この必要に擦り寄ってくるのはもしや発情期!?)」
男「鈴さん落ち着いて......一回離れようか」
鈴「なんでじゃ? 主は嫌なのか?」シュン
男「(嫌な訳ないだろ! 鈴さんみたいな可愛い女の子にスリスリされて嫌な男はいないよぉ!!)」
鈴「主......その我の我儘を聞いてくれんか?」
男「な、何かな?」
鈴「その一回でええから、我と......せ、接吻してくれんか?」
男「せ......!?」
鈴「だ、駄目か? 一回で良いんじゃ」
男「(ど、どうする男! このまま流されて良いのか?)」
男「(でも鈴さんは今まで一人で生きて来たんだ、きっとすげぇ寂しい思いしてきたんだろうな......答えてあげたいのは本心だし)」
男「(あれ.........ていうか猫なんだから別にキスくらい良いんじゃね?)」
鈴「駄目かのう? この老猫に甘いひと時をくれんか?」
鈴「本当か!」
男「ああ、鈴さん目瞑って(可愛いよ可愛いよ鈴さーん!!)」
鈴「う、うむ......」ギュッ
男「いくよ......」スッ
男は目を瞑る鈴の頬にそっと手を添える、そしてゆっくりと彼女の唇を奪った
男「ん......(うわお! 何て柔らかい唇なんだ...! だが鈴さんは猫だやましい心はな、ないぞ!)」
鈴「ん......ふっ......んん///」
甘く小さい吐息を漏らす彼女
対する男は「鈴さんは猫鈴さんは猫」と必死に考える
男「.........ん」
鈴「んん、ぷぁ/// ぬし///」
唇が離れ互いに見つめ合う
と男は何故か自身の唇具合を聞くが
鈴「か.........甘美じゃぁ/// 何て甘美なんじゃぁ......はぁ///」
この白猫さんには届いて無いようだった
男「(.........俺より重症かもしれん)」
鈴「ふふ~ん、ふにゃぁ......ふぁぁぁ......!」
感無量とばかりに悶絶しているが
何かが達したのかポテッと倒れ気を失ってしまった鈴
その後、鈴は目覚め顔を真っ赤にしながら「すまん、我なんかと...」と男に頭を下げるが、「気にしなくて良い」と言う男の言葉で丸く収ま、二人で休日をまったり過ごした
鈴「主よ......そのありがとの」
男「え?」
鈴「我なんかと......その、のう?」
男「......お、おう」
鈴「......それでじゃ、主が嫌じゃなかったら......我とまた......キスしてくれんか?」ボソッ
男「......え? 何て言ったの?」
鈴「うぅ、何でもないわい!!///」
後輩「うぇ!? 本当ですかすいませーん!」
男「あらら、また怒られてる......てことは」
上司「で、何でお前は容量が悪いんだ? 先輩の教え方が悪いのか?」ペシペシ
後輩「そ、それは......」
上司「ほぅ......おい男! ちょっとこい!」
男「ああ、やっぱり」
上司「ーーー! ーー! ーーーーー!」←説教中
男「ーーーーー! ーーー、ーーーーーーーーー!」←怒られ中
後輩「(ああ、また私のせいで......でも何だろ先輩前より雰囲気が明るくなってる)」
ーーーー
ーー
~男宅~
男は最近明るくなったと言うのは会社でも言われていたが、理由については
男「ただいまー! 鈴さん帰ったよー!」
鈴「主ぃ! おかえりじゃぁ」
この家に帰ると出迎えてくれる白くて可愛い少女が関係していた
鈴「夕飯は出来とるぞ? 風呂も沸いとるどっちにするんじゃ?」
男「じゃあ風呂から頂こうかな!」
鈴「ん? エラく機嫌がええのう、何かあったのか?」
鈴「それで主が喜んでくれるなら、幾らでも出迎えてやるぞ、ふふん」
男「ああ......何て良い猫さんなんだ!」ギュウ
鈴「ぬぅ!? 主や余りくっつかんでくれ!」バスッ
男「え......ごめん」
鈴「ほれほれ、はよ風呂に行ってこんかい」
男「はーい」
鈴「...............はぁ///」ドキドキ
鈴「(うぅ、なんでじゃ? 何でこんなに胸が苦しい? 主にギュウっとされただけじゃろ......///)」
鈴「(主と接吻してからどうもこんな調子じゃ......何か踏み入ってはいけない場所にいるようで......)」
鈴「(......つまり我は主の事を......///)」
鈴「じゃが......主だったら...///」
男「ちなみに今日の晩飯何かな?」
鈴「うひゃぁ!?/// 今日は唐揚げじゃ! ええから風呂にいかんか!」ポスポス
男「そ、そんなに慌てなくても......!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
男「ああ......美味しい鈴さん美味しいよ」
鈴「そ、そんなに褒めんでもええわい///」プイッ
男「ええ、良いじゃんか美味しいんだから」
鈴「分かっちょるから...お代わりいるか?」
男「おう、頼む」
男「ありがと、そうだ鈴さんにお土産買ってきたんだよ」
鈴「お土産?」
男「うん、じゃじゃん! マタタビ酒だ!!」
鈴「おお!! しかし突然どうしたんじゃ?」
男「最近鈴さんがそっけないからさ」
鈴「ぇ......」
男「ほら俺と暮らし始めてから鈴さんに家事全部任せっきりじゃん」
鈴「それは主に居させてもらってるからであってじゃの......」
男「それでもさ、凄い助かってるし鈴さんも疲れてるかなと思ってね? 労いという事で受け取ってくれると嬉しいな」
鈴「.........主」
男「良かったら一緒に飲まない?」
ーーーー
ーー
男「はい鈴さん何時もありがとねお疲れ様」
労いの言葉を贈り、鈴の持つグラスにマタタビ酒を注ぐ
鈴「主もお仕事お疲れ様じゃぁ、ほれ」
鈴も男のグラスにマタタビ酒を注いであげる
男「それじゃかんぱーい」
鈴「ふふ、まさか主と一緒にお酒を飲めるとはのう」
男「俺もまさか鈴さんが半妖だったなんてびっくりだよ」
鈴「じゃったら我なんて半妖なのに受け入れてくれるとは思ってもみんかった......うむ、上手いのう、ちと強いが」
男「鈴さんは鈴さんでしょ、拾ったのは俺だしさ」
鈴「ふふ、優しいのう主は」
男「......ところでさ」
鈴「なんじゃ?」
男「鈴さんが何でそっけないのかなって」
鈴「そ、それは......」
男「確かに俺鈴さんが家事が出来るって言葉に甘えてたからさ、鈴さんに負担かけてたかなって」
鈴「主......分かった、主はそう考えておったんじゃな?///」ズイッ
男「す、鈴さん? ちょ近い......」
鈴「我も阿呆じゃった、主は優しいからのうそう考えてしまうのなんて分かりきっておるのに......///」ギュウ
男「鈴さん? あれ酔ってる?」
鈴「なんじゃあ? 主が我を酔わせたいから買ったんじゃろぉ? んん?///」スリスリ
男「そういうわけじゃ......」
鈴「ふふ、主......好きじゃ」
男「ぇ......」
鈴の突然の告白に驚く間もなく男の唇は目の前の彼女に奪われていた
男「......鈴さん?」
鈴「主よ我は別に家事が辛い等とは微塵も思っとらん」
鈴「むしろ主が喜んでくれるならと楽しくやっとるぞ」
男「じゃあ最近の素っ気なさは?」
鈴「まだ言うか、そんなに聞きたいのなら教えちゃろうじゃが、聞いた瞬間我は主に容赦せんぞ?///」
男「容赦せんぞって...いや是非聞かせてくれ俺に出来ることなら何でも言ってくれ」キリッ
鈴「はぅ/// そんな男前な顔も出来るんじゃな......良かろう教えちゃる」
鈴「最近のう、どうも主に触られると胸が苦しいんじゃ......と言っても本当に苦しいわけじゃないこう......胸が高鳴っての......」
鈴「それで思ったんじゃ、我は主の事を好きなんじゃと」
男「え、それなら俺も好きだけど」
鈴「......一人の男としてじゃ///」
男「.........ぇ」
鈴「.........っ」
男「鈴さんが俺の事を?」
鈴「ほ、惚れても仕方がないじゃろ? あんなに優しくされたのは初めてなんじゃ! しかもお主我の事ばっかり気にかけおって、仕事が終われば真っ直ぐに帰って来よるし聞いてみれば「鈴さん一人で寂しくないかなってさ」じゃと!? もう顔が真っ赤じゃ!! 嬉しいんじゃ!! だから主が好きなんじゃ!!」
酔った勢いで鈴は男にラブアタックをけしかける
鈴「じゃが我は半妖であって人ではない主とは飼い主とペットで終わるのが一番平和的な解決策じゃったのにーー!!」
鈴「お主が触れる度に......抱き締めて撫でる度に......抑えきれなくなりそうになるんじゃ!! 主のせいじゃ!! 優しい主のせいなんじゃぁ!!///」
鈴「じゃからこの際言うからの......主ぃ!///」
鈴「わ、我の事をも、もらってはくれんか?///」
鈴「そうじゃ、やっぱり嫌か?///」
男「でも......」
続く言葉を男は言い留める
言ってはいけない言葉だからだ
むしろそれを分かった上で彼女は一人の男として好きと言ってくれた
相当の覚悟が無いと言えない言葉をだ
ならば俺も真摯に答えようと男は鈴を見つめる
鈴「......ぬし///」
男「鈴さんありがとう、俺なんかを好きになってくれて」
鈴「我は主だから好きになったんじゃ ......じゃから......ん!?」
男は鈴の唇に指を添える
男「俺さ小さい頃から好きな人と結婚する時は自分から告白するって決めてたんだ」
鈴「にゅし......」
男「......俺は、鈴さんはとても魅力的だと思う。家事もこなせるし俺自身今迄ツイテ無いなって毎日が鈴さんと暮らし始めてからスゲぇ楽しくなったんだ......生きがいって言うのかな? とにかく俺が言いたいのは......」
男「鈴さん、こんな俺で良かったら鈴さんの隣にずっと居させてください愛してます、結婚しよう!」ギュウ
男のプロポーズに鈴は目を見開きそして目の前のフィアンセを抱きしめる
鈴「......!! ぬし...ぬしぃ!!///」
想いが通じ合った安心からか彼女の瞳から涙が溢れる
男「俺は鈴さんと暮らし始めてからずっと幸せだよ?」
鈴「......っ/// それは卑怯じゃぞぬし///」
男「本心だよ?」
鈴「......!! まったくのう......んん///」
男「これからもよろしくお願いします」ギュウ
鈴「......うむ、よろしくの旦那様......」スリスリ
こうして鈴の想いは無事、男に届きめでたく二人は結ばれた
男「ところでさ、俺と鈴さんで
子供って出来るの?」
鈴「......ふぇ!?/// ぬし、確かに我と主はふ、夫婦じゃが子はもう少し後からでも......」
男「その言い方だと問題無さそうだね? 良いよ聞いただけさ、今はこれで満足だ」
男はそっと鈴を抱き寄せる
鈴「....../// うむ......///」
互いに身を寄せ合いながら暫しの幸福に浸り、これからの仲睦まじい生活へ思いを馳せたのだった
ーーーー
ーー
~翌朝~
鈴「ふんふふんふふんふーん///」
鈴の心は人生で最大の絶頂期であった
何故かと言われれば
鈴「にょし、朝飯はこれで完成じゃ主を起こそうかの」スタスタ
鈴「主ー! 朝じゃぞ~」
男「クカー......」
鈴「主、早く起きんと仕事に遅れるぞ」ユサユサ
男「......」zzZ
鈴「起きんのう......なれば///」
鈴「主ー/// んっ///」チュ
鈴「ふふ、主が起きんのなら甘え放題じゃ......///」スリスリ
今眠っている男が原因だ
鈴「(主、我の旦那様......ああ、好きじゃ...大好きじゃぁ......)」ギュウ
男「んん......鈴さん? おはよ」
鈴「やっと起きたか、おはよう主」
男「んん、おはよ......避けてくれると嬉しいな?」
鈴「なんじゃ釣れ無いのう...」
男「ん? かまって欲しい?」ギュウ
鈴「ぁ.../// 主、ん///」コクッ
男「ああ、幸せって奴かなこれは?」ナデナデ
鈴「そうじゃのう我も幸せじゃぁ///」スリスリ
ーーーー
ーー
男「それじゃ行ってくるね」
鈴「ぬ、主......」
男「どうしたの?」
鈴「よ、良かったら......お弁当作ったからの......食べてくれると......」
男「本当!? ありがとう鈴さん、頂くよ」
鈴「そ、それとの......前からしたかった事が......」モジモジ
男「やべっ、仕事遅れそうだ! じゃあ言ってきまーす!」ガチャ、バタン
鈴「って主ぃ! はう......行ってもうた」
鈴「(うぅ、行ってらっしゃいの接吻してみたかったのにのう......)」シュン
ガチャ
鈴「ん? 主? どうしたんじゃ?」
男「いやごめん、忘れてた」
鈴「忘れ物か? なら我が......ん!?」
男「ん、ちゅ......鈴さん、今日もすぐ帰って来るからね、それじゃ」ガチャ、バタン
鈴「............///」
鈴「ほにゃぁ....../// 反則じゃぁ///」ヘナヘナ
ーーーー
ーー
~男の勤め先 昼~
後輩「......」ソワソワ
男「どうした後輩、ソワソワして」
後輩「ひゃぁ!? な、何でも無いですよ!」
男「そうか? もしかして先輩に怒られたり?」
後輩「ち、違いますよぉ......それは先輩が守ってくれてるので......その」
男「? まぁ落ち着けって悩みとかあるなら相談乗るぞ?」ポンポン
後輩「あ......ぁぅ/// せ、先輩、だったら、相談では無いんですけど......」
男「おうなんだ?」
男「へぇー、お弁当か.........俺に?」
後輩「その何時もお世話になってるので......よ、良かったら食べてください!!」
男「(今日は鈴さんから弁当もらってるから要らないんだけど後輩が作った弁当を無下にも出来ないし......)」
男「あ、ありがとう後輩......頂くよ」
後輩「! ありがとうございます! か、感相聞かせて下さいね?」
男「お、おう(弁当二つか食えるかな......)」
後輩「(やった! 先輩にお弁当渡せた~!!)」
ーーーー
ーー
~お昼~
男「さてと、飯でも食うか~」
男「今日は二つもあるからなぁ、まずは後輩の弁当から」カパッ
男「.........おお! 普通に美味そう! 唐揚げ弁当って感じだな」
男「後輩俺が唐揚げ好きだって前に言ったの覚えてたのかな? 取り敢えずいただきまーす!」パクパク
男「うめぇ!! 普通にうめぇ!! 後輩こんなに料理上手かったのか......」パクパク
~十分後~
男「ふぅ~ご馳走さん!! さて次は鈴さんの弁当でも......」
後輩「せんぱーい!!」
男「おお!?」ササッ
男「ああ、後輩の弁当美味しかった料理上手いんだな?」
後輩「その......料理だけは自信がありまして......へへ///」
男「これは俺からも何かお礼しないとな」
後輩「そ、そんなお礼だなんて私何時も先輩に助けてもらってますし...!」
男「そんな事は気にするな、それくらい後輩の弁当美味かっったぞ? だからお礼させてくれ」
後輩「そ、それなら......///」
後輩「こ、これからもお弁当作らせてくれませんか? 先輩にもっと私の手料理食べて欲しいです!!」
男「え......」
後輩「駄目、ですか?」
男「それだとお礼じゃ無くなるんだけど......」
後輩「わ、私がそうしたいんです!!」ズイッ
男「わわ! そ、そこまで言うならお願いしようかな?」
後輩「!! ありがとうございます!」
男「あ、あはは」
後輩「リクエストがあれば言って下さいね? 私頑張って作りますので! それでは戻りますねー!!」タッタッタ
男「お、おう」
男「.........弁当二つか太らないよう気をつけないとなぁ......さて鈴さんのお弁当は......お! ハートマークがある......俺愛されてるなぁ」パクパク
男「うん、美味い」
ーーーー
ーー
~後輩宅~
後輩「やった......やったやったやったぁーー!!」
後輩「先輩に褒められたぁ///」
後輩「お弁当美味しいって言ってくれた......!」
後輩「う、嬉しすぎるぅ~///」
後輩「しかもこれから先輩に作ってあげられるなんて......はぅ///」
後輩「先輩......先輩......///」
後輩「(失敗ばっかりの私を嫌な顔をしないで支えてくれてる人)」
後輩「(上司さんに怒られて泣いていた私をそっと撫でて励ましてくれた人///)」
後輩「先輩....../// 先輩....../// 大好きぃ....../// はぁ、早く明日にならないかなぁ......先輩に会いたいよぉ......」
ーーーー
ーー
~一方の男宅~
鈴は男を送り出した後、気持ちを切り替えて家事に精を出す。とは言っても男と暮らし始めて、もといこの姿で生活してからは毎日欠かさずこなしている事もあり短時間で終わってしまう。
鈴「(ふむ、後は洗濯物だけじゃな)」
家の掃除と食器も洗い、夕飯の献立も考えた、後はもう洗濯物だけ......だが
鈴にとっては至福の時間だ
鈴「(ぬしぃ....../// にゃうー///)」スンスンッ
鈴は昨日男が着ていたシャツに顔を埋めて恍惚とした表情を浮かべる
鈴「(おかしいのう......以前はここまで気にして無かった筈なんじゃが......好いてる人間の匂いがこんなに心地よいとは....../// ふみぃ......///)」クンクンッ
すると愛しいあの人に抱き締められているような感覚に陥る鈴
鈴「(ぬし......ぬし......ぬしぃ///)」
男が仕事で留守にしている間、彼女はこうして洗濯物以外の家事を終わらせては男の残り香を堪能している
本当は直接嗅いでみたい気持ちを、拒否されてしまったらと思う恐怖心から、このような解決策を考えてしまっていた
だが、匂いが胸に広がれば広がる程それに比例するように鈴の男への思慕メーターがうなぎ登りで上昇してゆく
もはやガチ惚れである
鈴「(さり気なく嗅げば......さり気なーく嗅げば大丈夫かのう? はよ帰ってこんかのう......ぬしぃ/// ふぅん...///)」クンカクンカ
ーーーー
ーー
男「たっだいま~」ガチャ
鈴「主、おかえりじゃ」
愛しい旦那さんが帰って来た
相変わらず帰って来るのが早いことから鈴は自然と笑顔になる
男「......!」
鈴「ん? どうした主」
男「嫁さんのスマイル頂きましたー!!」ナデナデッ
鈴「/// (こ、これはチャンスかの!?)」
鈴の笑顔にご満悦の男はすかさず鈴の白髪を愛でる
その油断仕切っている旦那の胸元に今なら飛び込んで行けるのでは無いかという考えが、鈴の脳裏をよぎる
鈴「ぬしぃー///」
男「なんだこいつめ! 可愛いなぁもー!」
思った時には胸元にダイブしていた
だが男は尚更そんな彼女に愛おしさを感じ抱きしめ返す
鈴「(ぁ、ぁぁぁ......何て良い匂いなんじゃぁ/// ぬしぃ/// ん......ん?)」
鈴「.........ぬしや」
男「ん~ 何鈴さん?」
鈴「女子の匂いが混ざってるんじゃが......?」
男「..................え?」
旦那さんの匂いに紛れて別の女の匂いが混ざっていた
男「.........」
鈴「ぬし、これはなんじゃ?」
バッと鈴が男の前に出した物は
男の後輩が作ってくれた弁当箱だった
男「.........」
鈴「これは何じゃと聞いておる」
男「き、今日さ俺の後輩が弁当を作ってくれたんだ!! 洗って返さないと失礼だろ?」
鈴「.........ほー」
男「あー、その後輩がさ日頃のお礼ってな? やましい事は断じてないぞ!」
鈴「.........ぬしや、こんな言葉を知っておるか?」
鈴「男性を堕とす為には胃袋から、じゃ!!」ババン!
男「鈴さん物知りー!?」
鈴「不倫は......許さんぞぬしー......」ゴゴゴッ
男「まって! 誤解だよ鈴さん!」
鈴「ぬしの......ぬしの......バカ者ー!! アホんだらー!! 我に好きって言ってくれたのは嘘なのかー!!」ポカポカ
男「お、落ち着いて鈴さん!」
鈴「ふん! 他の女子に目移りするぬしなんて嫌いじゃー」
男「そんなぁ......」
鈴「......ふん!」
キッと睨みつけた後、鈴は寝室へと引っ込んでしまった
男「.........はぁ、軽率だったかぁ」
ーーーー
ーー
寝室の電気もつけないまま鈴は部屋の隅で膝を畳みそこへ顔を埋めた
鈴「.........やってしまったのう」
なんてこったと鈴は自分自身を責める
鈴「(ぬしの事じゃあ、下心何てない事は分かっとるんじゃ......)」
先ほどはつい頭がカッとなってしまい、あまつさえ嫌いだと言ってしまった己に後悔してしまう
心から好きだからこそ、自分が拵えた弁当だけを食べて欲しかった
だが、帰って来てみれば知りもしない女性の匂いを纏わせてさらに弁当まで作らせているなんてと鈴からしたら信じられない事だった
しかし、さらに驚いているのが自分自身がこんなにも嫉妬してしまうような性格だとは思ってもみなかった
それはつまり、鈴にとって男は自分という存在を認めてくれた唯一の存在であり、大好きだからこそ自分だけを見て欲しいという彼女の本音なのだが
ついさっき、そんな彼を突き放す言葉を言ってしまった
鈴「にゃぁ.........何ていわれるんじゃろなぁ」
コンコンッ
鈴「にゃ......!」ビクッ
男「鈴さん、入っても良い?」
鈴「.........うー」
男「.........鈴さーん」ガチャ
男は恐る恐るドアを開ける、すると部屋の隅っこで此方を居た堪れなさそうな顔で伺う鈴の瞳が映った
男「鈴さん隣座るね」
鈴「.........」
男「.........ごめんね」
鈴「.........!」
男「自分の嫁さんの弁当が有るのに他の女の子からもお弁当作ってもらってたのはデリカシーがなかったよ」
鈴「.........」
男「でもその後輩は俺の仕事仲間だからさ、突然作って来たんだよ......要らないって流石に言えなかったんだ......」
鈴「.........」
男「鈴さんの気持ちを裏切るようなことしてごめん!! このとうり!!」
鈴「.........何でそんなに優しいんじゃ?」
男「え?」
鈴「本当に悪いのはそれを許容出来なん我の方じゃないのか......何で怒らないんじゃ主は」
男「怒る理由何てないよ、鈴さんの気持ちが分からなかった俺の方が悪い」ギュウ
鈴「はぅ......主///」
男「でも鈴さんも悪いって思うならおあいこって事で、ね?」
鈴「うぅ.........このヤキモチな我を許してくれるとは主は優しい男じゃぁ......」スリスリ
男「誰にでも優しさをってのが俺のモットーだからな!」
鈴「.........むぅ、じゃが主に弁当を作るのは我だけじゃ! 他の女子が作ったのは駄目じゃぞぉ」
男「そ、それは許容して頂けると.........作ってくれる後輩ちゃんに申し訳ないし.........」
男「だって仕事仲間だし......」
鈴「むー! 主がそんな優柔不断で八方美人じゃから誤解する女子が出来るんじゃ!」
男「いやいや、後輩ちゃんは日頃のお礼にって弁当作って来たんだ、そういう気持ちで作ってる筈は.........」
鈴「たわけ! 何とも思わない男に弁当を拵える女子がいるかー!」
男「.........確かに」
鈴「そうじゃろ? 主には我がいるんじゃ......その女子に弁当はもう作らなくて良いと伝えるんじゃ!」
男「そう、だな.........俺には鈴さんがいるし」
鈴「約束じゃぞ?」
男「分かった、そこはちゃんとハッキリさせるよ。約束だ」
男「それを言うなら指切りげんまんだと思うんだけど?」
鈴「.........嫌か?」
男「上目でその顔はズルイよ鈴さん!! ああもう可愛いよー!!」
鈴「ぁ.........んん/// ちゅ、ちゅく」
男「ヤキモチで心配症な猫さんを安心させないと」ナデナデ
鈴「そ、そうじゃ.........我は主が居ないと駄目なんじゃ......もっと、もっと主の愛情が欲しい///」
男「満足するまで注いで上げるよ、俺の大切なお嫁さん」チュ
鈴「にゃぁ.........ん/// 主、ぬし/// 好きじゃ、大好きじゃ~///」
男「俺もだよ鈴さん」
こうしてヤキモチな白猫さんとの一悶着は無事に収まりましたとさ
鈴「じゃが、約束を破ったら覚悟せぇよ」ギュ
男「は、はいぃ.........!」ゾクリッ
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~翌日~
後輩「んっふっふ~」
同僚「今日はエラくご機嫌だね?」
後輩「同僚ちゃん! 私遂にやりましたよ!」
同僚「何を?」
後輩「先輩に毎朝お弁当を作るという目標を達成しましたよ~!」
同僚「先輩......ああ、後輩の想い人ね? だからお弁当二つあるんだ?」
後輩「ふふ、今迄言いだせませんでしたが上手くいって良かったです!」
同僚「んー、後輩の惚気は聞いてる身だし、応援してるよー」
後輩「えっへへー///
ーーーー
ーー
~昼~
男「後輩ちゃん、悪い......俺なんかに弁当は作らなくて良いよ」
後輩「え......どうして」
男「ほら二人分作るのって大変だろ? だからさ、な?」
後輩「そ、そんな......」
男「弁当は美味しかった、不味いから要らないってわけじゃないんだ」
後輩「だ、だったら良いじゃないですか!! 私先輩だったら全然......」
男「ごめんな......後輩に作ってもらうってのは......」
後輩「......」
男「その......分かってくれると嬉しいな?」
男「なに?」
後輩「私が作らなくて良いって理由はその弁当箱が関係してるんですか?」ジトッ
男「............!? は、しまっーー」
後輩「しまった......ですか?」
男「!?」ビクゥ
後輩「誰が作ったんですか? 私の先輩に、私を差し置いて弁当を作ったのは......」
男「え、私のって?」
後輩「......先輩」
男「は、はい......」
後輩「隠し事は無しですからね......」
男「............はいぃ」
ーーーー
ーー
~男宅~
鈴「..................」
後輩「わぁ! 可愛い子ですね! 名前は何て言うんですか?」
鈴「......鈴蘭じゃ」
後輩「私後輩って言います! 先輩にはお世話になってます!」
鈴「ほう......お主が後輩かっ」キッ
男「............ぅ」
鈴「......で、後輩は何しに来たんじゃ?」
後輩「宣戦布告しに来ました」
鈴「......は?」
後輩「私先輩のこと好きです」
男「え」
鈴「......」
男「えええ!? ちょっと待って流石にそれは......」
後輩「大丈夫です! 私実家暮らしなので!!」
男「だからそう言う問題じゃ......鈴さんも何か言って!?」
鈴「......おい小娘」
後輩「小娘って......年の割には生意気ですねー鈴ちゃん?」
鈴「ああん? 小娘より歳は重ねておるわ」
後輩「え......?」
鈴「取られたくないか......ええじゃろうどっちが主に相応しいか受けて立とうじゃないかえ?」ズイッ
後輩「ま、負けませんから......!」ズイッ
後輩「う! 大きい......で、でも身長では私が勝ってますけどねー!!」
鈴「ぬぅ......我が気にしてる事を」
男「............俺の意思は?」
その後なんやかんやあり、後輩は帰った
鈴「............」
男「鈴さん......」
鈴「............」
男「も、もしもーし?」
鈴「にゃぁぁぁ!!!」ガバッ
男「きゃぁぁぁぁ!?」
鈴「こおんの女たらしめー!」
男「ご、ごめーん!?」
鈴「断ると言って何故こうなるんじゃー! アホかー!!」
男「だって後輩がぁ......」
鈴「むぅー! じゃがこの際ええ! 主の一番は我じゃと言うところを見せてやる!」メラメラ
男「す、鈴さんが燃えてる......」
鈴「取り敢えず主は我の物じゃと思い知らせてやるわ!!」ギュウ
男「え......俺何されるの!?」
男「ああ!? く、首はダメー!」
ー主が悪いんじゃぞ? 他の女子を手篭めにしよって!!ー
ーご、ごめんよ......ー
ーまぁ、妖怪の文化じゃと一夫多妻は良くある話じゃが......ー
ーえ? なんか言った?ー
ー主はだまっちょれー チュ、チュー///
ーあ、あああーー!?ー
こうして新たに後輩が男の家に住むことになった
ーーーー
ーー
~朝~
男「うーん......朝かー、ん?」
男「(何だ、身体が重い......まるで何か乗ってるような......)」パチッ
鈴「スーッ スーッ」zzZ
後輩「ぐへぇ/// せんぱーい///」スヤスヤッ
男「後輩!?」
後輩「んー、ああせんぱーい......おはようございまーす」
鈴「ん......主おはよう」
男「二人ともおはよう......取り敢えず避けてくれると嬉しいな?」
鈴「んー? 何故じゃ今日は休みなんじゃからゆっくりしてもええじゃろう?///」にゃーん
後輩「そうですよー! んー/// 先輩良い匂いー///」クーンッ
後輩「何でですか! 独り占めはズルいですよ鈴ちゃん!」グググッ
鈴「元より小娘が入る場所なんぞないわー!! どけい小娘!」
後輩「嫌ですもんねー! 先輩が嫌って言ったら退けますけどー?」
鈴「ほー、主」
男「な、何でしょうか?」
鈴「我と後輩どっちがええ!」
後輩「もちろん私ですよね!」
男「近いよ! 二人とも顔が近いよー!?」
鈴「ええからはよ言わんかー!」
後輩「せんぱーい......」
男「(どっちかなんて俺決めようがないぞ......どうする俺!? は! これしかない!!)」
鈴「!! ふにー///」
後輩「そ、そんなぁ......」
男「後輩も」ギュウ
後輩「ふぁ!! せんぱーい///」
鈴「な......ぬー!?」
男「これから一緒に暮らすんだから仲良くしよ! な? 俺にとっては二人とも大切な人だ......選べないよ」
鈴「......むぅ」
後輩「せんぱい懐が深い!!」スリスリッ
鈴「.........」
ーーーー
ーー
男「でも良く後輩の両親が許可してくれたね?」
後輩「フッフーン! 両親にはそのまま攻め続けろと言われました!」
男「あ、公認なのね......」
後輩「でも心良く受け入れてくれたのは先輩です......だ、だから......」
後輩「私のことちゃんと見てくれてるって事ですよね?///」
男「そりゃもちーー !?」ゾワッ
鈴「......」ゴゴゴゴゴッ
男「......鈴さん?」
鈴「もち......なんじゃ? その言葉の続きはなんじゃ?」
男「鈴さん、俺は後輩とも真剣に向き合うよ」キッ
後輩「せんぱい!///」
鈴「な......ぬし」
男「でも俺は鈴さんとも向き合う! 覚悟は出来てる......」
鈴「......はぁ、主がそう言うなら我はもう何も言わん......」
男「!! 鈴さんありがとう!」ギュウ
鈴「......ん」
後輩「私もギューってしまーす!!」
鈴「じゃが小娘には負けんぞー!! フシャー!!」
後輩「ひぃぃ!?」
男「はいはい二人とも仲良くね?」ナデナデ
鈴「ん///」
後輩「はぅー///」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
夜
鈴「(むぅ、せっかく主が休みじゃったのに小娘のせいで嬉しさ半減じゃぁ...)」
鈴「.........」チラッ
鈴「(......主や、我には主しかおらんのじゃ......我の事を初めて受け入れてくれたのは主だけなんじゃ......じゃから我を捨てないでおくれ......)」ナデナデ
後輩「あれー? 先輩寝ちゃったんですか?」
鈴「む......小娘か」
後輩「むー! 小娘じゃないですよ鈴ちゃん! 私には後輩って名前がありますー!」
鈴「だまれい、小娘と慣れ合う気はない!」
後輩「私は鈴ちゃんと仲良くなりたいですよ?」
鈴「ああん!?」
後輩「うぅ、その睨み顔はやめてくださいよー......こわいです......」
鈴「小娘がこうさせたんじゃろ?」キッ
後輩「ひっ......でも臆しませんよぉ! 鈴ちゃんは私より歳上なんですよね?」
鈴「分かっておいてちゃん付けかっ! ええ度胸しとるのう......」
鈴「はぁ?」
後輩「私決めたんです! 自分から歩みよるって!! せんぱい直伝の優しさ戦術見せてやりますよー!」
鈴「.....優しさのぅ」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
鈴「ゴクッ...ゴクッ...ぷはぁ! ええ酒じゃのう小娘!」
後輩「本当ですか? 嬉しいです! これ実家から持ってきたんですよ~」
鈴「ほう、しっかしこんなに美味い酒は初めてじゃな......」
後輩「実はこれ妖怪の方には特にオススメでして、味も妖怪の方好みに作ってるんですよ~」
鈴「ほう、だからか......ぁ」
後輩「......今の言葉で確信しました」
鈴「!? 鎌をかけおったな小娘......」
鈴「......ふん! 知ってどうする? 大方弱味を握って我を脅迫するか?」
後輩「いえ、逆ですよ」ギュウ
鈴「!? なんのつもりじゃ離れんか!!」
後輩「う......うぅ......」
鈴「な、何故泣く!?」
後輩「やっと、やっと会えた......私も半妖なんです......」グスンッ
鈴「な!?」
ーーーー
ーー
後輩「私小さい頃は妖怪の里で暮らしていたんです......でも」
後輩「半妖は里には居られない......10歳の時に両親と里を出ました......」
後輩「それから人間社会に溶け込んでひっそりと今迄何とか暮らして居たんです」
後輩「と言っても最近やっと就職出来たばっかりで......慣れない事の多さに四苦八苦してました」
後輩「上司の方に沢山怒られて......この先やっていけるか不安だったんです」
後輩「妖怪にもなり切れず、人間でもない中途半端な私が......って」
鈴「.........そうか、小娘も辛かったのぅ」ナデナデ
後輩「うぅ......でも先輩はこんな私でも親身になって相談乗ってくれたり、励ましてくれて凄く嬉しかったんです!」
後輩「私にこんなに優しくしてくれた男性は先輩だけでした......だから、好きに......なっちゃいました......///」
後輩「私、鈴ちゃんには負けません!! 先輩を好きな気持ちは本当です!! 譲りません!!」
後輩「でも、半妖の友達なんて今迄居なかったので......鈴ちゃんとはこ、恋のライバルですけど......仲良くなりたいんですー!」
鈴「」キョトン
後輩「......駄目、ですか?」
鈴「うんや、我も今迄半妖仲間は居なかったんじゃ......その後輩の真っ直ぐな本心、嬉しいぞ?」ニッ
後輩「じゃ、じゃあ......!!」
鈴「半妖とあれば話しは変わる、今後もよろしくのこむすーーいや後輩」ギュウ
後輩「す、鈴ぢゃーん......」ボロボロ
鈴「よしよし今迄大変じゃったのう」
後輩「うぅ......はいぃ......」スリスリ
ーーーー
ーー
男「......んあ? やべ寝ちまった......んん? 重い......」チラッ
鈴「にゅーん......主ぃー」zzZZ
後輩「せんぱーい......zzZZ」
男「......」ナデナデ
鈴「んー///」
後輩「ふぁー///」
男「よしよし......俺ももう一眠りするかぁ」
男「おやすみ二人とも」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~某所~
「............」スタスタ
チンピラA「よう嬢ちゃん! 綺麗な面してんなぁ?」
チンピラB「俺たちと良いことしなぁい!?」
「邪魔......どいてくれない?」
チンピラA「まぁそう言わずによ?」グイッ
「ッ!? がぁぁ!!」ヒュオ!!
チンピラB「え?」
チンピラA「.........!?」カチコチ
「ハァ、ハァ......失せろ」ギロッ
チンピラB「ひ、ひいいいい!? 化け物ー!?」
「ば.........チッ、絡んで来たのはそっちでしょ......」
「はぁ......さいあく......」
「............男さん、早く会いたいよ......」
続く
鈴「ところで後輩は何の半妖なんじゃ?」
後輩「私ですか? ふっふっふ私はですね......犬神の半妖! です!!」
鈴「な、何じゃトォ!?」ビクッ
後輩「べ、別に鈴ちゃんをどうこうしようとは思ってないですよー!?」
鈴「うるしゃい! 昔犬に襲われたのを思い出しただけじゃ......猫の毛一本たりとて恐れてはないけ!!」プルプルッ
後輩「凄い震えてますけど......でも震えてる鈴ちゃん可愛いー!!」ギュウ
鈴「ひゃぁぁ......くっつくなぁぁ」
後輩「ちなみに歳はいくつ何ですか鈴ちゃん?」スーリスリ
鈴「ふん! 五十年生きとるぞ我は!! どーじゃ敬え! そして頬ずりするなぁ!」
鈴「? 冬の時期かの......」
後輩「......へー」ニヤニヤッ
鈴「な、何を笑って......」
後輩「私は夏生まれなんですよ~? 今年で五十年目ですよ~」ナデナデ
鈴「な......にー!?」
後輩「ふっふっふー! と言うことは私の方が歳上!! 鈴ちゃんと呼ぶのは至極当然!!」
鈴「む、無念じゃぁ......」しょぼん
後輩「落ち込んでる鈴ちゃんも可愛いーー!!」
鈴「や、やめてけろぉぉ......くっつくなぁ......!!」
鈴「ふにーーー!?」
おまけ終わり
後輩「ーーっという事で私も鈴ちゃんと同じ半妖なんです......」
男「.........そうか後輩も」
後輩「でもそんなこと気にせず普段通り接して貰えると嬉しいです......」
男「なに言ってんだそれは俺の台詞だ」
後輩「え?」
男「俺に打ち明けてくれてありがとう後輩」ギュウ
後輩「はわわ!///」
男「俺は半妖だとかで後輩を見る気はないよ、今迄通りさ後輩も変に気にしなくて良い、な?」
後輩「うぅ......先輩ズルいです......そんな事言われたら嬉しすぎて......クゥーン///」ギュウ
鈴「これでひと段落じゃのう後輩」
後輩「はい! 先輩大好きー!!」
鈴「にゃあ! 独り占めはダメじゃぁ!!」ギュウ
男「(両手に花......俺って今一番のモテ期か?)」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
後輩「ではでは行ってきまーす!」
男「鈴さん家は任せた!」
鈴「ふふ、任せとけ晩御飯作って待っとるよ」ヒラヒラ
男&後輩「はーい」スタスタ
鈴「......はぁ、ええのう後輩は仕事でも主と一緒で」
「あらあら妬いてるのかしら?」
「木の上よ~」
鈴が声のする方へ視線を移すと黒い毛並みの猫が一匹のーんびりと座っていた
鈴「! クロではないか!」
クロ、男家の付近にある神社で飼われている猫だ
鈴との出会いは男家の庭で偶然にも意気投合し、今に至る
「どう? 男君との生活は?」にゃーん
鈴「実は積もる話しがあってのう......とにかくお上がりやクロ、それなりにもてなすぞ」にゃんにゃん
「ふふ、じゃぁお言葉に甘えて」にゃーん
ーーーーーー
ーーーー
ーー
鈴「ほれ高級猫缶じゃあ、美味いぞ~」
クロ「あら~これはこれは頂くわ」
クロ「......ん~/// 美味し~///」
鈴「良かったら譲るぞ? 我にはもう必要無いからの......まぁ主に許可をもらわんとじゃが......」
クロ「本当に? 是非掛け合ってほしいわね......!」
クロ「で、調子はどうなの? 新妻さん?」
クロ「その様子だと上手くいってるようね?」
鈴「うんや! そうでも無いんじゃコレが......!」クワッ!
クロ「あらそうなの?」
鈴「実はのう......」
鈴はクロに後輩の事を説明する
鈴「でじゃ! 後輩が来たお陰で主との二人きりの時間が減ったんじゃぁ!!」
クロ「ふーん? の割にはあまり落ち込んでないようね?」
鈴「まぁ後輩ものう......我と同じ半妖なんじゃ」
クロ「あらら!?」
鈴「半妖が故の辛さは我が良く知っとる......無下には出来ん......」
クロ「ふふ、鈴は優しいね?」
鈴「し、仕方なくじゃ!」
鈴「なぬ? 後輩じゃないかえ?」
クロ「うーん、多分違うと思うわ」
クロ「鈴が言った後輩って子の雰囲気は前から感じていたし、今回のは新しい雰囲気だから」
鈴「ほー、クロの感知能力は凄いのう......」
クロ「私ももう妖怪に片足入れてるみたいなものだから、今年で三十年......長生きだわ~」
鈴「尾が二股じゃからのうあの時思い切って声をかけて良かったわい!」
クロ「私も友達が出来て嬉しいわ~、みんな寿命で先に逝っちゃったから......」
鈴「......そうか」
クロ「ねぇこの後時間あるかしら?」
鈴「ん? 時間はあるが?」
クロ「うちの神社に来ない?」
ーーーー
ーー
~神社~
クロ「はい到着よ」
鈴「ほぇー、立派な神社じゃのう......それになんだか落ち着く空間じゃな?」
クロ「ここは猫神を祀っている神社だからね、鈴にもこの居心地の良さわかると思って誘ったのよ」
鈴「うむ、ええところじゃ~」
クロ「でしょでしょ! ん?」
鈴「どうしたクロ?」
クロ「鈴ちゃん、例の雰囲気を持った子がこっちに向かって来てるわ」
鈴「なんと......ではさっそく!」
鈴「ぬぬ......確かにそうじゃな、分かった一度身をかくすかの」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
この町に戻って来たのは何時振りだろう
「.........」
親の仕事の都合でこの町を去って五年、私も気づいたら大学生になっていた
「この神社昔と変わらないなぁ......なんかホットした」
正直、この町での良い思い出は少ない
そのせいでイジメを受けたり、周りの輪から外れたり
一時期不登校にすらなった
それでも良い思い出が一つだけある
「あの人も変わってないといいなぁ」
私が唯一、心から信頼できた人
私に勇気をくれた人
「ま、会えるか分からないけど......ね」
そして初恋の人
「............男さん」
彼女は恋い焦がれた男性の名前をポツリと呟く
すると後ろの木から普段では聴こえない音が聴こえ、振り向くと
「にゃー! にゃぁにゃぁ!?」
「............え?」
真っ白な髪の美少女が、足元にいる黒猫に、にゃあにゃあ喋っている何ともめずらしい光景を目撃した
ーーーー
ーー
鈴「色々と恥ずかしい所を見せてしもうたな///」
「ううん、むしろ可愛いって思ったよ? それよりも......」
「鈴さんが半妖だって言う方が驚いたけどね?」
鈴「我もこの短期間で半妖仲間に二人も出会うとは思わんかったよ、雪」
鈴のにゃあにゃあ騒動から一息
鈴は雪と談笑していた
当初は雪の事を図りかねていたのだが
鈴がにゃあにゃあ騒いでいる光景に笑顔を見せた雪の雰囲気からクロが大丈夫な半妖だと判断し、今に至る
鈴「そうじゃ、今一緒に過ごしておるぞ?」
雪「......そっかぁ......私以外にも半妖って居たんだね?」
鈴「そうじゃぞ、一人ぼっちではないけ」
雪「......うん」
鈴「今まで辛かった事、少なくは無いじゃろ?」
雪「うん......」グスッ
鈴「大丈夫じゃ、雪の仲間がちゃーんとここにおるからな?」ナデナデ
雪「鈴さん......私ずっと一人だと思ってて......」ポロポロ
鈴「うぬうぬ」ギュ
雪「うぅ......良かっだよー」ギュウ
鈴「ふふ、よしよし」
クロ「あらぁ鈴はその女の子を堕としてどうするのかしらぁ?」にゃぁにゃ
鈴「こりゃ! 今はそう言う事を言うんじゃない!」にゃにゃー!
ーーーーーー
ーーーー
ーー
雪「い、いいの? 私が鈴さんの家にお邪魔しても......」
鈴「ええぞ、それに......」
鈴「雪、男に会いたいじゃろう?」
雪「え......何で知って......」
雪「え......ええ!?」
鈴「我ともう一人の半妖はそこに居候しておる」
雪「そ、そうなんだ......」
鈴「男に会いたいから戻って来たんじゃろ? さっき言っておったし。盗み聞きした手前お主に詫びも兼ねての招待じゃぁ」
雪「鈴さん......ありがとう」
鈴「では行くか、クロまた今度ゆっくり喋ろうや」
クロ「お持ち帰りなんて大胆ねぇ~、楽しみに待ってるわよ~」にゃーん
鈴「こりゃあ! じゃから違うわーい!!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~夜~
男「たっだいまー!! 鈴さーん!」
後輩「ただいま帰りました~」
鈴「おお、待っておったぞ二人とも!」
男「今日も疲れた~」
後輩「上司さん相変わらず厳しいですからねぇ......ん?」
男「どうした?」
後輩「いえ、知らない匂いが......」
鈴「おう、後輩は察しがええの。 実は客人が来ておる」
男「客人? 鈴さんの?」
鈴「うむ、まぁ玄関で話すのもなんじゃ、居間で話すけ」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
鈴「では紹介しよう、今日知り合った雪じゃ!」
雪「こんばんは......」
後輩「雪ちゃんって言うんだね? よろしくです!」
後輩「好感度うなぎ登りー! わふぅー!」ギュムゥ
雪「うきゃぁ!?」
男「雪ちゃんって......あの」
鈴「うむ、主の知り合いじゃろ?」
男「知り合いというか、俺が家庭教師のアルバイトしてた時の生徒だよ雪ちゃんはね、元気そうで良かったよ」
雪「お、お久しぶりです男さん/// 男さんもお元気そうで」
男「もっちろん! しっかし雪も変わったな~、綺麗になったね?」
雪「!!/// ありがとうございます......」キューン///
鈴「雪は主に会いたいが為にこの街に来たんじゃぞ?」
雪「鈴さんそれは言っちゃ......!」
男「こんな俺に?」
雪「うぁ......///」カァ
後輩「あら~真っ赤だよ~?」
鈴「ふふ、慕われておるのう主は」
男「それは嬉しいけどさ......」チラッ
雪「.........ぅぅ、鈴さん私の気持ち知ってて言ってるのかなぁ?」チラチラ
鈴「雪は照れ屋じゃのう? まぁ、久しぶりというのもあるか」
後輩「感動の再会ってドラマチックだねぇ?」
雪「.........ドラマチック」ピクッ
男「ん?」
雪「そう......ですよね、これはチャンス! 会えるかも分からなかった男さんに会えた......今までの人生での絶好の機会......だったら......」ボソボソッ
雪「男さん!!」
鈴&後輩「!!」
男「......ど、どうしたのかな?」
雪「私......男さんに会えたら......その......言いたい事が」モジモジッ
男「おう、なんだい?」
雪「私.........男さんが大好き、です///」
鈴「あ?」
後輩「は?」
男「......」ヒクッ
雪「男さんが私の事を救ってくれたあの日からずっと......ずっと男さんが好きでした!!」ギュ
男「雪ちゃん、ちょっとまってーー」
雪「.........私を......男のお嫁さんにしてください///」
男「よ!? それは予想外.........は!?」ビクッ
雪「え? ひぃ!?」
鈴「我を差し置いて旦那を口説くとはええ度胸じゃのう? んん?」ゴゴゴッ
後輩「てっきり私は尊敬とかで先輩を慕っているのかと......横入りですか? ねぇ?」ゴゴゴッ
雪「え......旦那? 横入り?......ええ?」
男「(凄い一瞬でカオスになったぞ......)」
雪「鈴さんてっきり私の気持ちが分かってて......で、旦那って何です?」」
鈴「しるかー!! 我の方こそ油断しておったぞ!! 主が女子を手篭めにしておったとは!」
雪「......で、旦那って何ですか?」
後輩「ふふーん、私達は先輩のお嫁さんだよー! どうだー!」
雪「.........そうだったんですか」ジロッ
雪「男さん......堂々と二股してるんですね?」
男「いや待ってくれこれには理由が......」
雪「なら今更一人増えても良いですよね?」
男「............え?」
雪「惚れさせたんですから責任取って下さいね」ニコッ
鈴「こ、こやつ......」
後輩「ほう、そう来ましたか」
雪「というわけで私もここに住みます!!」
男「ええ!?」
鈴「おい雪」
雪「私だってずっと男さんが好きだったんです!! 簡単には譲れませんよ、この気持ちは」
後輩「でもそれは先輩次第ですけどねー?」
後輩「妖怪の文化で一夫多妻は認められてるから思う所はあるけど私は反対しませんよ?」
雪「それなら尚更!」
鈴「むぅ......余計な事を」
男「でも雪ちゃんの両親も心配するし......」
雪「私一人暮らしなので大丈夫です! それに両親も説得します!」
男「.........」
雪「.........」
男「.........本気なんだね?」
雪「はい!」
男「分かった、俺も男だ責任取るよ」
雪「!! 男さーん!!///」ギュウ
後輩「やっぱりこうなりましたかー」
鈴「ぬしぃ.........ああ、主を独り占めする時間がまた減ってしまう......」
後輩「恨むなら、先輩を恨みましょう女たらしな先輩を......」
鈴「もはや女たらしと言うより半妖たらしじゃのぅ......」
後輩「でも私は変わりませんよ~、せんぱーい私もギュウってしてくださーい!!」ギュウ
鈴「にゃぁー!! 我もするんじゃー!!」ギュウ
男「あ、ちょ二人とも......」
雪「......私も負けません!!」スリスリ
男「(なんだこの幸せな状況は......)」
こうして新たな半妖仲間が加わり
男家はより賑やかになった
続く
ーーーー
ーー
私には変な力が宿っていた
それは母の遺伝から来たものだった
私の母は雪女で世間から妖怪と言われている存在だった
そのせいで幼い頃から周りから冷たい視線をぶつけられ続けた
ーあの子は妖怪の子供だから一緒にいちゃ危ないー
ー近づいたら氷漬けにされてしまうー
そんな事考えてもいないのに周りの目には恐怖の対象として映っていた
そんな事が長く続いて、私は学校にも通わなくなり家に引きこもる様になっていった
そんな時だ、男さんに出会ったのは
母が勉強はしなさいと家庭教師をつけたのだ
その家庭教師が男さんだった
それから私は.........
ーーーー
ーー
~朝~
雪「男さん....../// おはよぉ///」
男「お、おはよ雪ちゃん......」
雪「ん......///」
男「......ねぇ、雪ちゃん」
雪「なに?」
男「いつの間に俺の布団に入ってたの?」
雪「ついさっきかな? それより......」ギュウ
雪「鈴さんから聞いたよ? 男さんとキスしたって、私にもしてよ」
男「えぇ!? そんな突然言われても......」
雪「鈴さんが自慢してたからちょっとムカッてきたの、私じゃイヤ?」
男「そんな事ないよ、言われてやってるようじゃ男としてね?」
雪「じゃあ良いよね?」チュ
男「ん!?」
雪「ふふ、いただき///」
男「......雪ちゃん」
雪「なに?」
男「お返し」チュ
雪「んん/// はぁ、男さん男さん///」ギュウ
男「こんなに甘えん坊だとは思わなかったよ?」
雪「男さんだけです......男さん好き、大好き///」
後輩「せんぱーい! 朝ですよー! あ!? 雪ちゃん何先輩とイチャイチャしてるんですかぁ!!」
男「後輩!?」
雪「何って夫婦なんですから普通ですよね?」
後輩「うぅ!! 私も先輩に甘えたーい!!」ガバァ
後輩「せんぱーい/// クゥーン///」スリスリ
男「後輩くすぐったい......!」
雪「むぅ......」ギュウ
男「雪ちゃんもくっつかないで!? 」
鈴「なーにをしとるんじゃ? お主らよ......」ゴゴゴッ
男「!?」
後輩「う、鈴ちゃん」
雪「ひ!?」ビクッ
鈴「飯じゃと言っておるのに降りてこんから来てみれば......」
鈴「主を困らせるのは頂けんぞ? のう?」ジロッ
後輩「うぅ......鈴ちゃん怖いです」
雪「ひぃぃ......」プルプルッ
男「はいはい、兎に角二人とも離れてくれ、鈴さんもそんなに睨まないで」
鈴「......むぅ」
後輩「まぁ今日は休みですし......先輩に沢山スリスリ出来るから今はこれくらいで......」ブツブツッ
雪「ぁ......私学校なのにズルイです...」
ーーーー
ーー
後輩「ええ!? 私だけ出てこいってそんなぁ......」電話中
上司「うるせー! 俺も行くから黙って来やがれ!」
後輩「先輩も呼びますか?」
上司「いやあいつはいらん、お前をビシバシ鍛えてやる、じゃあな」ブツン
後輩「ふぇぇ...そんなぁ」
男「.........後輩?」
後輩「スクランブル要請掛かりました......」
男「あらら」
雪「社会人って大変ですね......」
鈴「.........」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
後輩「行ってきまーす......」
雪「私も行って来ます......男さん」
男「気をつけて、何雪ちゃん?」
雪「今の内に充電させて下さい」ムギュウ
後輩「ああ!? 私も充電したーい!!」ギュウ
男「はいはい、家で待ってるからなー」ナデナデ
雪「んん///」
後輩「くぅーん///」
鈴「............」
そして後輩と雪は自宅を出発し、家には男と鈴だけが残った
男の玄関から居間に戻ろうとした歩は
ギュっと服の端を握る手によって止められる
男「どうしたの鈴さん?」
鈴「主ー」
男の服を掴んだ犯人は、彼を上目遣いでジッと見つめている
その彼女の心中を察し男は......
男「よっと」
鈴「ぇ......うにゃ!?」
彼女をお姫様抱っこし、居間へ連れていく
そしてソファに腰を下ろした
今だ抱っこ状態の彼女は何かを期待しているかの様な表情で彼を見る
男「久しぶりに二人きりだね?」
鈴「う、うむ......そうじゃな」
男「何かしてほしいことある? せっかくだし何でも聞くよ?」
鈴「!! な、ならの......」
鈴「そ......その、主にあ、甘えたいんじゃぁ/// いいかの?///」
鈴「ぬ、ぬしや......我の事呼び捨てで呼んではくれんか?」
男「え、でも......」
鈴「今だけでええから呼んでくれ......ええじゃろ?」
男「.........鈴」
鈴「にゃぁ/// ......うむうむ! 呼んだか主よ///」スリスリ
男「何だか違和感あるけど、鈴も甘えたがりだね?」
鈴「し、仕方ないんじゃ! 我だってもっと主に触りたいわ! あやつらばかりずるいんじゃあ!」
男「なら今日は鈴を愛でる日という事で......」クイッ
鈴「にゃん!?///」
男「何時も家事をこなしてくれてありがとね? 愛してるよ......俺の白猫さん」チュ
鈴「!!/// ぬしぃ!」キューーん///
鈴「本当にお主は女子を射止める達人じゃのう!! にゃぁぁん/// 我も愛しとるぞ~///」スリスリ
男「よしよし」
鈴「ぬし/// そ、その......接吻してもええか?///」
男「それくらい言わなくても俺からしてあげるよ?」チュ
鈴「んん/// はむぅ、ふぅ/// ぬし~」
男からの愛情にいよいよ感極まった鈴は、男に覆い被さり自分からもキスの雨を降らす
鈴「ぬしや......好きじゃ、大好きじゃぁ/// んん、ちゅ」
男「(す、鈴さんが今迄にないくらいに積極的......! か、可愛いすぎる......)」
鈴「はぁ/// 癖になりそうじゃ......甘美じゃのうぬしの唇は......ぁ」
男「?」
男「いや俺は......、あーそういう事か」
鈴「ぬし?」
男「鈴」ギュ
鈴「にゃん!?///」
男「今は二人きりだし、さっきも言ったでしょ? 今日は鈴のこと愛でる日だ」ナデナデ
鈴「じゃが......」
男「それに最近二人に遠慮してたでしょ? 見てればわかるよ?」
鈴「お見通しかのぅ......」
男「だから、今日は好きなけ甘えて良いよ? てか俺も鈴に甘えたいな?」
鈴「ぬしが我に...?」
男「駄目かな?」
鈴「うんや、じゃが我は何をすれば...」
男「じゃあ最初は......」
ーーーー
ーー
男「おお......これやって見たかったんだー、膝枕」
鈴「こんな事でええのか?」
男「ああ、男としてこれは夢でもあるんだよ、鈴さんの太もも柔らかくて感触も最高ー!!」むにぃ
鈴「ふにゃ/// いきなり揉まんでくれぇ!」
男「まぁまぁ、これくらい許してよ」
鈴「む、むぅ......今のぬしちと助平な顔じゃぞ?」
男「いや、かな?」
鈴「嫌だったら引き?がしとるわい///」
男「そりゃよかった、じゃあ堪能しようかな」ギュウ
鈴「ぬし!? んん!?///」
思わず嬌声を上げる鈴
男「ん? 大丈夫?」
鈴「はぁ......///(何じゃこの気持ちは......この気持ちは......///)」
今迄楽とは言えない道を歩いてきた鈴にとって
この今の状況は鈴が描いていた夢、理想
愛する人と睦まじく過ごしたい
それが今、改めて叶った事を自覚した
故に......鈴のタガが外れた
鈴「はぁ....../// はぁ......ぬしぃ///」
男「え? 鈴さん? ちょ......ま......!?」
その愛情表現は暫く続く.........どころか止まる気配がない
男「す、鈴.........ちょ」
鈴「はぁ、はぁ...ぬし.../// もう我慢出来ん......」
男「まさか鈴さん発情してる!?」
鈴「辛抱してたんじゃぞ? 何度ぬしに夜這いしようと思うたか......んん///」チュ
鈴「あやつらがいた所為で二の足を踏んでおったが......今は二人きりじゃしぬしも我の事......愛でてくれるんじゃろぉ?///」スッ
男「こ、こういうのって朝からするものじゃないと思うけど......?」
鈴「............ほー」ジトー
鈴「ならその気になるよう我も頑張らねばのう?」ムニッ
男「鈴胸当たってる!?」
鈴「思えばぬしは我に一片たりとも手を出してこなかったが、そうやって大切にしてくれていると思うと......ほれ、我の鼓動が聞こえるか? こんなに早鐘をうっておる///」ムニュ
男「(鈴さんの胸柔らかい......こんなの鈴さんからされたら......!!)」
鈴「ぬしや......受け止めてくれんか? 我もぬしなら....ええじゃろぉ?///」
男「ッ!!」ガバッ
鈴「にゃ!?」
男「い、良いんだよね鈴?」
鈴「当たり前じゃ、来てくれぬし....../// じゃがその......我は経験がないからの優しくしておくれ///」カァァ///
男「な!? す、鈴さーん!!」
鈴「にゃ......にゃぁぁぁぁ///」
ーーーー
ーー
鈴「ふふ......ぬしぃ~」スリスリ
男「なに鈴さん?」
鈴「呼んだだけじゃぁ」
男「そっか」ナデナデッ
鈴「にゃー///」
男「......ねぇ鈴さん」
鈴「んー?」
男「俺を選んでくれてありがとう」
鈴「!! それはこっちの台詞じゃ、我を拾ってくれてありがとのぬし」
男「うん」ギュウ
男「......もう一回したい?」
鈴「う......///」コクッ
男「鈴さん」
鈴「ぬし......///」
後輩「たっだいまーーーー!!!」
鈴「ふにゃあ!?」
後輩「いやー速攻で終わらせて来ましたよー! 上司さんも珍しく褒めてくれましたし! これで思い切り先輩に......」
男「お、おう思いの外早く帰って来たね後輩」
鈴「すまんまだ夕飯作ってなかったんじゃ急いで作るけんの」アセアセッ
鈴「いや別にそんなぁことは無いぞ! のうぬしや」
男「ま、まぁ久しぶりに二人きりだったから楽しく過ごしてただけだよ」
後輩「......先輩」
鈴「ぬ、ぬし......」
男「え? 俺なんか変なこと言った?」
後輩「ずるいずるい!! やっぱり正妻ってやつですかこれは!! 私も負けませんからねー!! くぅーん///」ギュウ
男「こ、後輩?!」
鈴「ふ、恨むのなら上司さんとやらを恨むんじゃのう後輩! にゃっはっは!」ギュウ
男「鈴さんも!?」
雪「ただいまー男さん帰ったよー......え?」トタトタッ ピタっ
男「雪ちゃん!?」
雪「.........」
男「......」
後輩「......」
鈴「.........」
男「.........ええ!?」
鈴「にゃあ! お主らくっつくなぁー!」
後輩「やーですよー!」
雪「同じく」
男「.........///(はぁ、俺今一番幸せかもしれない)」
続く
ーーーー
ーー
後輩「ふぁぁ......おはよー」
鈴「おはよう後輩」
雪「おはよー」
後輩「あれ先輩は?」
雪「まだ寝てるよ? 昨日遅くまでパソコンと睨めっこしてたし疲れてるんじゃないかな?」
鈴「今日主らは休みなんじゃろ? 起こさんでええ」
雪「私は講義あるからそろそろ行くね?」
鈴「うむ、気をつけてのうほれお弁当じゃ」
雪「ありがとう、行って来まーす!」ガチャ バタン
後輩「(うーん休みなのは嬉しいけど、どうせなら先輩と二人きりが良かったなぁ、って言ったら鈴ちゃん怖い顔するから言わないけど......)」
後輩「あれ鈴ちゃんも出かけるの?」
鈴「うむ、ちとのう......集会があっての」
後輩「集会? え、なんの?」
鈴「......猫のじゃ」
後輩「.........にゃ?」
鈴「近くに神社があるじゃろ? そこで知り合った猫に誘われてのう、無下にも出来んし行ってくるけ」
後輩「ふぇー、一体何する集会なの?」
鈴「わ、分からん......」
後輩「............ふーん」
鈴「うむ.........」
後輩「.........」
鈴「.........」
鈴「にゃ!? にゃにを言って!」
後輩「図星で顔が真っ赤の鈴ちゃん可愛いー!!/// クゥーン!」ぎゅう
鈴「にゃー! 馬鹿にするなぁ! 」ポカポカ
後輩「だって......ぐふっw」
鈴「じゃ、じゃってお呼ばれなんて初めてじゃし......せっかくなら仲良くしたいが半妖の我を受け入れてくれるか不安じゃし......」
後輩「鈴ちゃんなら大丈夫! だって...」
鈴「?」
後輩「こんなに可愛いからー! わっふー!///」スリスリスリスリ
鈴「にゃぁ!!くっつくなぁ! お主はええのう能天気で...」
後輩「でも少しはリラックス出来たよね?」ニッ
後輩「きっと歓迎してくれるよ鈴ちゃんなら、ね?」
鈴「うぅ/// ありがとの後輩......」
後輩「照れ顔頂きーー!!///」スリスリスリスリ
鈴「だっからくっつくなー! ふにぃ!!」
ーーーーー
ーーー
ーー
その後なんやかんやで鈴を見送る後輩
鈴「昼食は作っておらんが後輩なら作れるじゃろ? 多分夕方には戻るから主の事は頼んだぞ?」
鈴「......あと言っておくが、主にちょっかい出したら......のう?」ゴゴゴッ
後輩「ひぃ!? 何もしないよ心配しないで!」
鈴「ちがうちがう、ちゃんと言ってくれればええと言ってるんじゃ」
後輩「え、それって......」
鈴「......まぁあれじゃ、予防線みたいなものじゃ気持ち的な、のう?」
後輩「わ、わかった!」
鈴「じゃ、行ってくる」スタスタ
後輩「行ってらっしゃーい!」
そして鈴の姿が見えなくなるや......
後輩「ふふ、ふふふふふ......」
後輩「来ました、遂に私にも来ましたよ......!」
後輩「わっふー/// せんぱーい///」トタトタッ
後輩は満面の笑みを浮かべて男の部屋へと向かった
後輩はそっと部屋のドアを開ける
見るとスリスリ対象はまだ寝ているようだ
後輩「(えへぇ/// 今日はいーっぱい! 先輩にスリスリしてやりますよー!///)」
後輩「先輩起きてくださーい!」ユサユサ
男「んん......後輩か?」
後輩「もう朝ですよ!休みだからって寝てたら勿体無いですー!」
とは言っているが後輩は単に男に構って欲しいだけである
男「うぅ......ごめんもうちょい寝かせて......」
後輩「えぇー、先輩ー......」
男「昨日遅くまで仕事終わらなくてさ......朝方近くまでやってたんだよ......だから寝させて...」
後輩「えー、先輩かまってかまってー!!」
男「いやほんとに......眠いんだって」
後輩「うぅー! (せっかくの貴重な時間なのに!)」ユサユサ
後輩「だめですー!」
男「......怒るぞー」
後輩「先輩怒っても怖くないもーん!」
男「ほう......オイ」ガバッ
後輩「きゃ!?」
男「そうかそんなに俺の睡眠を邪魔したいか、えぇ?」
後輩「ぁ、あれ? 先輩?」
男「後輩これを見ろ、お前が昨日上司さんに提出した書類だ、不備だらけのな」
後輩「あ、え?」
男「これを直すのに昨日の夜から俺がどれだけカタカタやってたか分かるか? ん?」
後輩「でも先輩私に一言も......」
男「お前に自信つけさせてやりたかったから言わなかったが、すまん間違ってた......」
後輩「ッ......」
後輩「は、はい」
男「反省の意味も込めてこの書類打ち込み直せ、俺の写せばすぐだろ」パサッ
後輩「ぁ.........」
男「.........返事は?」
後輩「! す、すぐやります!」ガチャ バタン!
男「.........ふぅ、今のうちに寝ておくか......」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
後輩「.........」ツー
ドアを閉めた瞬間、彼女の瞳は涙で溢れていた
彼女自身、今までで一番出来が良かったと自負していたが.........
後輩「.........」
修正箇所だらけの書類を見る
少し意識して確認すれば気づけていたものばかりだ
ー先輩! 一人でもやってやりましたよー!ー
ーお! 本当に大丈夫かー? 点検したか?ー
ーもちのロンです!! ふっふーん、私だってやれば出来るんですよー!ー
ー.........へ、だったら後輩を信用して俺は点検しないから上司さんに見せてこいー
ーわっふー!ー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
後輩「(.........私の、馬鹿......また先輩に迷惑かけちゃった......)」
後輩「先輩の優しさにも気づけないで......わがまま言って......うぅ......」
後輩「はぁ......早く直して先輩に謝らないと.........」
後輩「(.........先輩に怒られるの上司さんのより辛いなぁ......)」
ーーーー
ーー
~ 1時間後~
後輩「せ、先輩......終わりました!」
男「おう、見せてみ」
後輩「.........」
男「んー......」パラパラッ
男「............まぁ大丈夫だろ」 トントンッ
後輩「せ、先輩......」
男「なんだ?」
後輩「いつも、すいません...」ポロポロ
男「お、おい何も泣くことーー」
後輩「だっでぇ...私先輩に迷惑かけてばっかりで、ごんがいは自信あっだのにぃー......」
男「分かった、分かってるから。よしよし」
後輩「せんばいごべんなさーい!!」ギュウ
男「はいはい、俺もちょっとキツく言って悪かったな」ナデナデ
後輩「うぅ、でもぉ......でもぉ」
後輩「ぐす......ヒッグ......」
男「おいおい泣きすぎだろぉ、ぶっちゃけそこまで大した事じゃないぞ?」
後輩「せ、先輩に怒られた時......とっても辛かったんです......」
男「後輩......」
後輩「大好きな人に迷惑かけたって思うと、涙が止まらなくて......」
男「......分かった、じゃあこうしよう」
後輩「......?」
男「元はと言えば、俺が黙ってたのが悪いんだ、だから後輩」ガシッ
後輩「ふぇ?」
男「今日はお前の言う事何でも聞いてやるよ!」
後輩「な、なんでも......?」
男「おう、どんとこい! それで今回の事はチャラにしないか?」
後輩「じゃ、じゃあ......」
男「.........え?」
後輩「だって先輩鈴ちゃんとキスしたんですよね? それに雪ちゃんとも! 普段表情変えない雪ちゃんがあんなだらしない顔しないですもん!! それに比べて私一回も先輩にキスしてもらってないです!! ずるいです! 私だって先輩のお、おお奥さんですから!?/// してもらっても当然ですよね!?/// ね!?///」ズイズイズイッ
男「近い近い!? 後輩落ち着いて!」
後輩「す、すいません取り乱しました......」
男「ふぅ、分かったよ後輩」
後輩「ふぇ?」
男「後輩が家に来てから俺覚悟決めてるんだ、だから後輩、目閉じて」
後輩「!! は......はいぃ///」
しかし男は後輩の唇を直ぐには奪わず、そっと抱きしめる
後輩「先輩?」
男「俺はずっと、後輩の味方だよ? これからもよろしくね? 俺の嫁犬さん」
後輩「ふぁ!?///」
男「んん///」
後輩「ふぁ......ちゅ、んん/// しぇんぱ......い/// 私も好きです~/// クゥ~ン///」
男の言葉に真っ赤になった後輩だったが、男に唇を奪われると脳内思慕メーターがMAXになり、男の唇にひたすら口付けをしだす
後輩「先輩......先輩先輩!/// せんぱーい!///」
男「後輩、ちょ......ま」
後輩「んー/// 嫁犬です......私は先輩の嫁犬でーす///」ぴょこん
男「み!? 後輩耳が!?」
男「......い」
後輩「?」
男「可愛すぎるーーーーー!!!///」モフモフ
後輩「ひゃぁぁん!?/// 先輩いきなり触っちゃだめぇ///」
男「後輩可愛い! 可愛いよー!」モフモフ
後輩「せ、せんぱい....../// わ、わたし...そんなにされたら///」
男「え?」
後輩「わふー!///」ガバァ
男「のわ!?」
後輩「ハァハァ、ハァ/// もう先輩ってばぁ/// そんなに乗り気なんですね?///」
後輩「私先輩だったら/// いや......ですか?」シュン
男「!! 嫌じゃない!! 俺でいいなら......!」
後輩「じゃあ、先輩......私に愛情いっぱい......いっぱいください///」
男「こうはーい!!」
後輩「ぁ...ああ......あああああ///」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
後輩「クゥーン/// 先輩先輩///」スリスリ
男「なんだこいつー、うりうり///」
後輩「くぅーん/// 私今生きてて一番幸せでーす!」ギュウ
男「俺もこんな可愛いお嫁さんが出来て嬉しいよ」
男「後輩、俺は鈴さんも後輩も雪ちゃんも可愛いって、大切だって思ってるよ」
後輩「むぅ、そこは嘘でも一番って言ってくださいよー」
男「俺嘘つくの苦手なのしってるだろ?」
後輩「そうですけどぉ......でもやっぱりそんな先輩だから好きになったんですよね......///」ポッ
男「後輩......///」キュン
後輩「ぁ......先輩またおっきく///」
男「ご、ごめん!! 後輩可愛いくて......」
後輩「......皆んな帰ってくるまで時間ありますね......///」ギュ
男「!! 後輩......///」
後輩「せんぱぁい///」
それは夕方まで終わる事なく、互いに多量の愛情を注ぎ込んだ
ーーーーーー
ーーーー
ーー
~夜 夕食~
雪「......あやしい」
後輩「わふ!? どしたの雪ちゃん?」
雪「後輩さんが艶々してる......まさか男さんと......」
後輩「わ、わふー///」テレテレッ
鈴「ふーん、ほー」ジロッ
男「す、鈴さん顔が怖いよ...」
鈴「ふんっ、(分かっておったがやはり煮え切らん......が、まぁおあいこじゃなぁ)」
雪「............」ジトー
男「.........(気まずい)」
後輩「そ、そういえば猫会どうだった鈴ちゃん!」
鈴「にゃ! ふふんよくぞ聞いてくれたのう!」
男「お、俺も!」
鈴「まぁまぁ、百聞は一見にしかずじゃ! 刮目せい! この大成功の猫会をー!」ババン!
鈴が机の上に置いたのは一枚の写真
そこには、十匹程の猫に囲まれている鈴蘭が写っていた
写真に写る彼女の表情は薄く笑みを浮かべている、照れているのか頬も若干紅に染まっていた
プロが撮ったのではと思ってしまうほどの写り映えに一同感嘆の声を上げる
後輩「わー! 可愛いー///」
雪「なんか見てるとポカポカする......」
男「鈴さん皆んなと打ち解けられたんだ? 良かったよ、ああもう! 写真の鈴さん可愛すぎだよぉ///」わしゃわしゃ
その後会話に花を咲かせ夕食は終わる
ーご馳走様でした!ー
後輩「鈴ちゃん今日一緒に寝ましょー!」
鈴「にゃ、我も後輩と喋りたかったからええぞ......///」
後輩「!! ななな......!」
鈴「な、なんじゃ固まって...」
後輩「デレきたぁぁーー! わっふー!」ガシッ ┣¨┣¨┣¨┣¨ド
鈴「みゃああああああ!?」
男「あ、拉致されてる......まぁ大丈夫でしょ」
男「ふぁぁ......寝るかー」
クイクイッ
男「ん? 雪ちゃんどうしたの?」
雪「後で部屋行っていい?」
男「別に構わないけど...」
雪「ん......」トタトタッ
男「?」
雪「.........男さんのバカ、男さんのバカ」ゴシゴシ
雪は身体を洗いながら想い人への不満を流す
雪「鈴ちゃんだけじゃなく後輩さんまで.........私は? 私だって......男さんのこと......」
雪「男さん私に何もしてこないし、キスだってあれから一回もしてくれないし...!」
雪「......魅力無いのかな......」
認めたくはない一つの可能性に落胆する雪、しかしそれは間違いであり雪は美人だ
現在通っている大学でも1、2を争うほどの人気がある、ファンクラブもあるほどだ
そんな自分を救ってくれた男にしか興味がないため、大学では専らクールに振る舞っている。
そのせいか大学での彼女は<氷城ノ姫>なんて二つ名がついている。
雪「でも.........魅力がないなら、もっと男さんにアピールしないと......!」
雪「男さんのことメロメロにしてやるんだから......!///」ゴシゴシッ
彼女は気合を入れなおし身体を洗う手に力を込める、あの頃の素敵だった彼を思い出しながら
雪「.........」
ーなに言ってるんだ、俺は雪ちゃんの先生なんだぜ? 嫌なもんかー
ーでも私......変な子だって......周りのみんながそう言って......化物だって、氷漬けにされるって......ー
ー雪ちゃんーギュ
ーひゃ!/// 先生駄目だよ私の手......冷たいよ?ー
ー俺は雪ちゃんの手ヒンヤリして気持ちいいし好きだよーギュ
ーへぇ!?///ー
ー世の中色んな人がいる、でも俺みたいに雪ちゃんのこと好きになる人がいると思うー
ーすぅ!?///ー
ーだから大丈夫、胸を張って堂々としてればいいんだ! 私は私だってさ?ー
ーぁ.........う、うん......///ー
ー直ぐにとは言わないよ、少しずつ自信つけていこ?ー
ー分かった......ねぇ先生ー
ーん?ー
ー先生の手は......温かくて、私......すき、だよ?///ー
ーえ、へへ! ありがとな~!ーナデナデ
ー............///ーキュンッ
ーーーー
ーー
雪「......男さん/// ふふっ ふふふふふ/// 好き、大好き......///」ニヘラ~
こんな台詞を頬を赤らめながらだらしない顔で彼女が言ったなどと大学の生徒が知ったらきっと卒倒するだろう
雪「貴方のハートを盗みに参上作戦......名付けるならこれだね......!」
雪のラブアタックが今始まる
夜も更け、そろそろ寝ようかと男が寝支度をした時である
控えめに扉を叩く音がした
「お、おとこさん......」
男「ん? 雪ちゃん? どうぞー」
ガチャ
雪「こ、こんばんわ......」
男「ふふ、改まってどうしたの?」
雪「.........///」スタスタ
男「?」
雪「.........襲いに来た///」ピトッ
雪「......鈴ちゃんと後輩さんに負けたくない」
男「別に負けてなんて......」
雪「だって、男さん私に何もしてくれないから......」
男「雪ちゃん、君はまだ学生なんだ。もしもがあったら駄目なんだよ?」
雪「............」ジッ
男「せっかくの楽しい学校生活を奪うわけにはいかないんだ......」
雪「.........」ジトッ
男「わ、分かってくれないかな?」
雪「この生活をくれたのは......男さん......だよ?///」ムニュ
男「ぅ......」
雪「塞ぎ込んでいた私を何時も側で励ましてくれた......沢山の事を教えてくれた......惜しみもなく私に沢山の愛情をくれた......全部男さんだよ?///」スリスリ
男「雪ちゃん......」
雪「だから全部男さんのせい」ガバッ
雪「私がこんなに男さんの事しか考えられないのは.........男さんのせいだよ?」ズイッ
男「でもね雪ちゃーー」
雪「や......ん///」チュ
男「んん!?」
雪「ちゃん付け禁止」
男「はなしをーー」
雪「だめ......はむっ/// ん/// ちゅ......」
男「はっ......聞いてっー」
雪「聞かない......ちゅ、んっ、ちゅぱ......」チュー
男「...............///」
雪「子供扱いしないで......///」
男「......ぅ、雪......」
雪「何?」ニコッ
男「俺だって男なんだ......これ以上は...」
雪「!!(............男さんのおっきくなってる///)興奮してる?」
男「いやそのこれは......」
男「.........」プチッ ガバッ!
雪「ひゃん!/// ぁ......」
男「.........ごめん我慢出来ない......可愛すぎだよ......雪///」
雪「.........我慢は、身体に悪いから......ね?///」
男「痛かったら言ってね?」
雪「うん......多分声出ちゃうから......口塞いで///」
男「.........ああ、いくよ......」
雪「ぁ......んん! はぁ、はぅ/// ん、ん/// ちゅ、あぁぁぁ/// あー///」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
鈴「ふふ/// ぬっしー! ぬっしー朝じゃぁ/// あさ......じゃ......」ガチャ ビキっ
男「.........zZzZ」
雪「ん/// 男さん/// 男さんしゅきぃ///」チュ チュ///
雪「んー/// ん、ぁ......」ピタッ
鈴「............オイ、小娘」
雪「あわわわわ.........!」
鈴「............何をやっとるんじゃ? んん?」
雪「............」
鈴「............」
雪「............てへ?///」
鈴「ふしゃぁーーーー!!!」
雪「きゃあああああ!?!?」
男「うお!? なに!? どうしたの?!」
鈴「こぉんのぉ主の甲斐性なしがぁー!!」
男「ぇ、ぎゃあああああ!?!?」
ドタドタッ ズズン ドズン
後輩「............」
後輩「わふ~、今日も賑やかになりそうですねぇ」ズズッ
続く!
今日は休日という事もあり全員が休み............だったはずなのだが
男「わりい、上司さんの家族にバーベキュー誘われてるから行ってくるよ」
という事で男は家を不在にしている
結果
後輩「............」
雪「............」
鈴「............」
以上三名のテンションはガタ落ちである
鈴「まさか主が居ないとは............」
雪「............上げて落とされるってこういう事?」
後輩「わふぅ、折角甘えられると思ったのにぃ。残念です」
雪「そう、後輩さんずるい」
後輩「な、なに言ってるんですか! 仕事は仕事! プライベートは別ですよ!」
鈴「うぉ!? 急にどうしたんじゃ?」
雪「稀に見るシリアス顔だね」
後輩「私は社会人ですよ? 職場では控えてますぅ!」
鈴「ほー、ではどう控えておるんじゃ?」
後輩「ふっふーん、良いですよお話しましょう」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー屋上 喫煙所ー
男「ふい~」スパァ~
後輩「せんぱーい!」
男「おう? どした?」
後輩「いやその、先輩だったらここにいるかなぁって.........てへっ」
後輩「じゃあ先輩が止めれば良いじゃないですかぁ」
男「ぅ............」
後輩「タバコなんて百害あって一利なしですよ? 鈴ちゃん知ったら怒るかも?」
男「い、家では吸ってないから言わないで、普通に怒られるから.........」
後輩「ふふ......どうしましょうか」ニヤッ
男「お前意地悪な顔してるぞ?」
後輩「えへ/// 私が言う言わないは.......先輩次第ですねぇ?」ジー
男「こら職場だぞ......」
後輩「クンクン.........やっぱり先輩タバコ臭いです。だから私の匂いにしてあげます///」スリスリッ
男「お前なぁ......」
後輩「それでぇ、どうするんですかぁ? せんぱい?///」
後輩「ん/// んふ///」ガシッ
男「!?」ググッ
後輩「ん、ちゅ......んー///」ギュウ
男「............///」
後輩「ぷはぁ/// ご馳走さまです///」
男「お、お前って奴は......」
後輩「ふふ、先輩だけの嫁犬でぇす///」
男「まったく......」ナデナデ
後輩「わふー///」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
後輩「以上です! ほら控えてるでしょ!」
鈴「............」
雪「............」
後輩「......あれ?」
鈴「遺言はそれだけかっ......」
後輩「え」
鈴「どっこが控えておるんじゃぁ!! この犬っころー!!」グワングワン
後輩「ひゃわー!? 雪ちゃんたすけてー!」
雪「なお助ける義理なし」
後輩「そんなぁ......」
鈴「くぅー! 我だって主にもっと甘えたいわー!」グワングワンッ
雪「私も......男さんあまり自分からして来ないから......ちょっと寂しい」
後輩「ふぇぇ......」ポヤポヤッ
鈴「............それもあるが、主はタバコを吸うのか」
後輩「............ぁ」
鈴「帰ったら主に問いたださんとな」
後輩「(先輩ごめんなさい............)」
ーーーー
ーー
ー上司宅ー
上司「男、折角誘ったんだ。どんどん食え」ジュージュー
男「いやぁ食ってますよ」
上司「俺が若い時は良い食いっぷりだって言われてたんだ、俺の部下なんだからもっと食ってもらわねーとな」
「まぁまぁアナタ、私から見たら男さんだって沢山食べてますよ? はいお茶どうぞ」
男「あ、すいません上司妻さん」
ピリッ
上司妻「............!!」
男「!?(何だ今の? 違和感が)」
上司妻「............」
男「上司妻さん?」
上司妻「は、いえいえ~旦那が大切にされてる方ですから当然ですよ~」ニコッ
男「(うお! 毎回思うけど上司妻さんの笑顔和むぜぇー/// こりゃ気のせいだなぁ)」
上司「おい、人の嫁に鼻の下伸ばしてんじゃねぇぞ?」ギロッ
男「いえ滅相もない......」
上司妻「あらぁ? 妬いてるのかしらぁ?」
上司「う、うるさい......お前は黙ってる!」
上司「く......」
男「(きっとこの光景見たら後輩驚くだろうなぁ)」
男「(職場では鬼とか言われてる上司さんだけど、口悪いだけで良い人だからなぁ、休日何て滅多に怒らんし奥さんにベタ惚れだし......)」
男「......へへ」
上司「おい! 笑うんじゃねぇ!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
男「いやぁ誘ってくださってありがとうございます」
上司「何だ改めて」
男「いや感謝の言葉を......」
上司「勘違いすんなよ?」
男「?」
上司「俺のポジションを継ぐのはお前しかいないと思ってんだ。だからこうやって目ぇかけてんだぞ?」
男「!!」
上司妻「......ふふ」
男「上司さん......」
上司「だから感謝してんならさっさと仕事覚えろよ?」
男「後輩にもその優しさを」
上司「............」
男「それを口で言ってくださいよ後輩に」
上司「察せ」
男「後輩じゃ無理です」
上司「俺が若い時は酷かったぞ? 誰も教えてくれなかったからな?」
男「上司さん、時代ですよ」
上司「そうかねぇ......」
男「むしろ伝えたらまた後輩も成長出来ると思うんです」
上司「.........まぁ考えとくよ」
男「ありがとうございます」
上司妻「もー、アナタ私も男君と喋りたいわぁ」
上司「ん? おお悪いな......」
上司妻「それじゃ後片付けよろしくねぇ~」
上司「ええ!?」
男「あ、それなら俺も片付けーー」
上司妻「はーい男君はこっち」ガシッ
男「でも......」
上司妻「こっち、ね?」ジッ
男「.........上司妻さん?」
上司「わっーたよ、ほれ行ってこい」
男「は、はい......」
ーーーー
ーー
男「あ、あの上司妻さん?」
上司妻「ねぇ、いきなり変な事......聞いて良いかしら?」
男「へ?」
上司妻「男君、貴方って......妖怪なの?」スッ
男「!?」
上司妻「それとも妖怪にゆかりのある方かしら? いずれにせよ......なぜこの街に居るのか聞かないといけないわ」
男「お、俺は......」
上司妻「何を企んでるの? 答えなさい!!」
男「.........まず俺は何も企んでません」
上司妻「じゃあ何故貴方から妖力を感じるのかしら?」
男「いやそれ俺も聞きたいです......」
上司妻「え?」
男「えっと、上司妻さんてもしかして......」
上司妻「............訳ありのようね男君」ブワッ
男「な!?」
上司妻「私は妖狐......妖怪よ」
上司妻「............」
男「............?」
上司妻「お、驚かないの?」
男「へ? いや妖怪なんですよね?」
上司妻「そうよ?」
男「特に驚く理由もないと言うか......」
上司妻「.........ふふ、流石旦那の見込んだ人ね」フッ
男「ええっと」
上司妻「ごめんなさい変に勘ぐってしまって」
男「いえ、むしろ俺の話聞いてもらえませんか?」
上司妻「?」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
上司「なにぃ!? 後輩半妖だったのか!?」
上司妻「それもだけど半妖の娘達がこうも一箇所に集まってるのも意外だわ......」
男「俺も上司さんの奥さんが妖怪だったとはそっちが驚きです。半妖じゃないんですよね?」
上司妻「ええ、純血よ」
上司妻「?」
男「俺後輩達に聞いたんです、半妖は妖怪の間では嫌われているって......邪険にされていると、それで里から出て行くことになったと」
上司妻「ああ、その時の子達なのね......申し訳ないわ......」
男「今は......妖怪の住む里ってどうなってるんですか?」
上司妻「安心して男君、今はそういうのは無くなってるわ」
男「本当ですか!」
上司妻「むしろ好意的よ? 昔はねぇ当時の長が半妖を毛嫌いしてたのがそもそもの原因だったの......誰も逆らえなくてね? でも長が交代してからはもう無くなったわ」
上司妻「でも妖怪の中にはまだ半妖を毛嫌いしてる輩がいるのよ、だから最初男君を警戒したんだけど......ふふ、杞憂だったわね? むしろごめんなさい、半妖に理解がある男君に失礼な事をしてしまって......」
男「............」
上司妻「男君?
男「.........良かった」ポロポロ
上司妻「......男君」
上司妻「そうよ、断言するわ......でも当時の子達の傷は消えない......だから」
上司妻「その子達をよろしくね? 男君」
男「!! 勿論です!!」
上司「............ふ」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
男「今日は本当にありがとうございました」
上司「おう、また誘ってやるよ」
上司妻「気をつけてね? あの子達にもよろしく言っといてね?」
スタスタ
上司「............」
上司妻「良い子ね」
上司「俺の部下だからな」
上司妻「まぁ......ふふ、素敵な誰かさんに似たのかしら?」クスッ
上司「おま......その言い方はずるいぞ......」
上司妻「でもこれから大変よ男君」
上司「? どうしてだ?」
上司妻「男君から感じる妖力一つじゃないわ三つもあったもの」
上司「!? 見かけによらず女たらしだな」
上司妻「ふふ、次はその子達も呼びましょうね?」
上司「お前がそうしたいなら俺は構わねぇよ」
上司妻「娘にも会わせたいし、男君を」
上司「............まぁ良いんじゃないか」
上司妻「あらぁ? ふふ/// 男君魅力的だからどうなるかしらねぇ?」
上司「し、しらん!」スタスタ
上司妻「ああん、もうすぐ誤魔化そうとするんだから......ふふ」
男「ただいまー」
後輩「わふー! 先輩おかえりなさーい!」
雪「男さんお帰り」
鈴「お帰り主」
男「.........」
雪「どうしたの?」
男「うん、皆んなに話があるんだ」
後輩「わふ?」
鈴「?」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
男「......というわけなんだ」
後輩「ひえぇ......上司さんの奥さんが妖怪......」
雪「しかも妖狐って妖怪の中でも上の位だよ......お母さんが言ってた」
鈴「しっかし半妖を受け入れておるというのは本当なのか主?」
男「上司妻さんはそう言ってたよ、だから三人の意見も聞きたくてさ、やっぱりきになる?」
雪「私も......話でしか聞いたことないから直接行ってみたい」
男「鈴さんは?」
鈴「............」
鈴「......我は.........行かぬ」
後輩「ええ!? でも鈴ちゃんだって......」
雪「また私達見たいな人が居るかもしれないよ?」
鈴「信用出来ん、それにじゃ......我は、我は直接言われたんじゃ! 父に......お前の居場所はないとな」
後輩「ぇ......」
雪「.........そんな」
男「......」
鈴「主らは親がおるんじゃろ? 我にはおらん! 今更戻りたいとは思わぬ!!」
後輩「............」
雪「............」
男「......ふう、取り敢えず今日はこれでお開きにしよう、上司妻さんも皆んなに会いたいって言ってたからさ......という事で今日はもう寝よう! おやすみ」
ーーーー
ーー
ー男の部屋ー
男「(............鈴さん)」
男「(............上司妻さんの言った通りだ、鈴さんの傷は消えない......それだけ酷い扱いをされたんだろうなぁ......)」
男「(俺はそんな鈴さんを.........支えられるのか?)」
トントン
男「ん?」
鈴「ぬし......入るぞ」ガチャ
男「.........どしたの鈴さん?」
鈴「......」
鈴は男の問いに答えることなく隣に座った
ふと見るとその表情は怒っているようにも見える
鈴「ぬしや、後輩から聞いたがタバコを吸っとるようじゃな?」
男「え」ギクッ
鈴「どうなんじゃ?」
男「い、家では吸ってないよ!? 職場では吸ってるけど数本で周りと比べると比較的吸ってないから.........」
鈴「止めろ」
男「え?」
鈴「タバコは止めろと言っとるんじゃ」
男「.........」
鈴「大体じゃ、タバコは身体に毒じゃ......ましてや主はまだ二十二じゃろ! 若いうちから吸っておればこれから先重い病にかかるやもしれん、やめるんじゃ」
男「ごめん、それだけは無理」
鈴「!? 何でじゃ?」
男「............」
男「大丈夫だって、そんな直ぐ死ぬわけじゃないーー」
鈴「もしもがあるじゃろ!」
男「!!」
鈴「何故自分から死に急ぐような事をするんじゃ! そんなに我といとうないのか?」
男「鈴さん......落ち着いてよ、ちょっと冷静じゃないよ今の鈴さん、そんな事思ってもないから」
鈴「我には主しかおらんのじゃ!!!」
男「............!」
鈴「雪や後輩には家族がおる......お主がおる、妖狐の話が本当なら仲間もおるじゃろ......」
鈴「じゃが......我には誰もおらん......家族も仲間も......!! もうお主だけなんじゃ......!!主が居なくなったら我はどうすればいいんじゃぁ......!!」
男「鈴さん......」
鈴「だから......たかが、と言わんでくれ......お願いじゃあ......!」
男「..................俺にとっては、たかがじゃないんだ」
男「これは俺の大切だった人が吸ってたんだ......だから」
鈴「だったと言うならそやつは死んどるんじゃろ......死んだ者の事を引きずるな!」
男「な......」
鈴「それで身体を害してもそやつじゃって......」
男「随分酷い事を言うんだね?」
鈴「............!」
男「正直ショックだよ鈴さんがそんな事言うなんて......」
鈴「主?」
男「帰ってくれ」グイッ
鈴「ぬ、主や......まってーー」
男「おやすみ」バタン
鈴「............」
鈴「な、何でじゃ主......」
鈴「我はただ.........ぬしと」ポロポロ
鈴「ぬし.........ぬしぃ.........」
ーーーーーー
男「............はぁ」
男「.........鈴さん、俺だって分かってるんだよ......」
男「............親父、母さん」
ーーーー
ーー
鈴「.........」
鈴の心は空虚だった
初めて拒絶された、好きな人に、大切な人に
彼を思って発した筈の言葉は逆に彼を傷つけてしまった
どうすればいい? 謝ったら許してくれるのか?
だが許してもらえなかったら?
.........捨てられる
また一人になってしまう
鈴「......いやじゃぁ......いやじゃ......いやじゃいやじゃいやじゃぁぁ............!!」
鈴「主と離れとうない......主......ぬしぃ」
鈴はどうしていいか答えを見つける事が出来ないまま、涙を流した
ーーーー
ーー
男「............」
大切な人を傷つけてしまった
部屋から追い出した時の彼女の顔が思い浮かぶ
今にも泣き出しそうな、直ぐにでも崩れていってしまいそうな顔を......
自身が今だに引きずっている、手放したくない過去を否定されて、つい頭にきてしまった
ーあの娘達をよろしくね? 男君ー
ふと頭によぎった上司妻の言葉
男「......鈴さんも不安なんだよな......俺が守ってあげないと......大切な人を......」
男「変わらないといけないのは俺、だよな......」
ーーーー
ーー
鈴「............」
トントン
鈴「にゃ.........」
男「鈴さん入るよ」ガチャ
鈴「ぬし......」
男「隣座るね」
鈴「............」
男「............鈴さんに俺言わなきゃいけない事がある」
鈴「............!?」
男「俺さ中学生の時ーー」
鈴「にゃあああぁぁぁ.........」ギュウ
男「す、鈴さん?」
鈴「さっきは我が悪かった......悪かったんじゃ、許しておくれ......我を捨てないでおくれ......」
男「え」
鈴「主に捨てられたら我はもう耐えられん......側にいさせて欲しいんじゃ.........」
鈴「うぅ......ヒッグ、えぐ、ぬしぃ」
男「不安にさせてごめんね?」ナデナデ
ーーーーーー
ーーーー
ーー
男「俺さ、中学生の時に両親亡くしてるんだ......」
鈴「!!.........そうなのか? 我はてっきり......」
男「それで親父がね......このタバコいつも吸ってた......聞いたら昔母さんも吸ってたらしい.........」
男「俺二人とも大好きだったからさ、嫌な事とか辛い時とか......これ吸ってると二人のこと思い出してまた頑張るかーってなるんだ」
男「少ない俺の拠り所なんだ......だから鈴さんに引きづるなって言われた時、ショックだった......」
鈴「それは.........すまん、我も冷静じゃなかったんじゃ......」
男「でもね.........鈴さんの言う通りだよ」
鈴「ぬし......」
男「両親が死んでから親戚の家に世話になってたけど......住む世界が違うというか......本能的に「ああ、ここには俺の居場所が無いなぁ」って感じて......それで就職と同時に一人暮らしを始めたんだ」
男「突然大切な人が居なくなって......本当に辛かった......タバコ吸いながら昔の、両親の事を思い出してた」
男「でももう俺は一人じゃない」ギュ
男「いつまでも引きずってたらまた大切な人を失うかもしれない......それだけは嫌なんだ、鈴さんと一緒さ」ナデナデ
男「鈴さんと暮らしてから本当に毎日が楽しかった、俺が仕事で帰った時笑顔で出迎えてくれる鈴さんが嬉しかった、愚痴も聞いてくれて励ましてくれて......感謝しかないよ」ナデナデ
鈴「うむ.........うむ.........!」ポロポロ
男「だから、タバコは今日でおしまいだ......もう後ろを振り返るのはやめるよ」
鈴「.........主や、さっきは我も熱くなっておった......そういう経緯があるなら我も無理強いはせんぞ......多少なら全然ーー」
男「大丈夫大丈夫、代わりに.........」クイッ
男「ん/// 鈴さん......///」
鈴「にゃぁぁん/// んちゅ、ちゅぱ......ちゅる」
男「口が寂しくなったら......塞いでほしいな?」
鈴「にゃあ、幾らでも塞いでやるわ」
男「ありがと、鈴さん、ん///」
鈴「んー///」チュー
「私も塞ぎまーす!!」ガチャ
鈴「ほにゃ!?」
男「後輩!?」
「上に同じく」
男「雪ちゃんも!?」
後輩「先輩は一人ぼっちじゃないですよー///」スリスリ
雪「私もいるからね? 支えたいのは私も同じだよ?///」
後輩「わふ~///」
雪「///」
鈴「にゃあ! 独り占めは駄目じゃからなぁ!!///」
後輩「なに言ってるんですかぁ鈴ちゃんもだよ~///」ギュ
鈴「ふにゃ!/// 後輩」
後輩「私達もいる、仲間外れは寂しいよ?」
雪「私も同じ」
鈴「雪......」
雪「何時もお弁当ありがとう、鈴ちゃんの料理大好きだよ? もっと食べたいな?」
後輩「雪ちゃんそれは違う気が......」
雪「.........あれ?」
鈴「.........にゅふ、相変わらずじゃのうお主らは......」
鈴「うひゃあ!?」
雪「私もハグしたい......ん、鈴ちゃんちっちゃ可愛い///」
鈴「主らちょっと待てくすぐったい......にゃー!! 雪、我の方が歳上じゃぞ! 子供扱いするんでなーい!」
キャッキャ ワイワイ
男「............」
男「(みんなありがとう)」
男「(慰めてもらってるのは俺も一緒だなこりゃ)」
こうして鈴とも無事に仲直りが出来、そして
鈴「ぬし」
後輩「先輩!!」
雪「男さん」
男「ん?」
「「「これからもよろしくお願いします!!」」」
男「!!」
男家は一段と賑やかになった
後輩「わふ~/// 私も先輩大好きぃ//」チュー
男「!?」
鈴「にゃあ!? 抜け駆けするなー!」
後輩「えー、さっき鈴ちゃんもしてたじゃーん」
鈴「むむむぅ......!」
男「まぁまぁ鈴さん......「男さん」......ん?」クイクイ
雪「隙ありー///」ムチュ
男「!?」
鈴&後輩「「あーー!!」」
そしてこれからも彩られていくだろう......でもそれは
また先の話だ
男「猫娘との生活」 終わり
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コメント一覧
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- 2018年03月23日 21:56
- 猫舌でフェラーリされたい
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- 2018年03月23日 21:59
- ラブラブな話にするのに、ツライ過去を作る必要なんか無いんだよ
その方が作者が書きやすいからそうしてるだけ。
キャラを愛してる感じがまったく感じられない
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- 2018年03月23日 22:33
- さすがハーレムラノベばかり読んでる方は言うことが違う
-
- 2018年03月23日 22:57
- だろ?
昔の少女マンガじゃねーんだから
いちいち悲劇を盛り込むなよ
-
- 2018年03月23日 23:38
- 皮肉もわかんねえのか
クソして寝ろ