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女「メールをするから、つかまえて?」 : 【2ch】ニュー速クオリティ

女「メールをするから、つかまえて?」



女「メールをするから、つかまえて?」

1: :2010/11/01(月) 02:35:09.02 ID:
知らないアドレスからメールが来た。 

『アドレス変えました』 

これだけの本文。 

名前も書かれていない電子の文章。 

僕「これは……誰からだろう?」 

携帯片手に、首を傾げた夜だった。



6
: :2010/11/01(月) 02:42:47.78 ID:
アドレスからは、男性か女性か判断が出来ない。 

僕「……まあいいか」 

連絡が来るんだから知っている人間なんだろう。 

僕「明日の会社で聞けばいい……か」 

携帯の電源を切って、そのまま眠りについた。 

知らない人からのメール……ただそれだけだ。 
4: :2010/11/01(月) 02:36:57.83 ID:
よぅ、つかまえてシリーズの人か? 
楽しみに支援させてもらうぞ
7: :2010/11/01(月) 02:46:48.24 ID:
『……あ、僕ちゃん』 

『よう僕。サッカーやろうぜ!』 

ここは……小学校? 

いや、何だか景色が違う。 

緑のフェンスの向こうには、紅葉が舞っていて……そのフェンス寄りかかる形でサッカーゴールが置かれている。 

僕「ああ、これは夢なんだ」 

周りでは、小学校時代の友人が笑っている。 

笑いながら……僕が合流するのを待っていた。
8: :2010/11/01(月) 02:49:38.36 ID:
ピピピピ ピピピピ ピピピピ 

僕「……」 

携帯電話からのアラーム音で、僕は気だるく目を覚ました。 

僕「……昔の夢を見るなんて。懐かしいなあ」 

地元を離れた今では、昔の友人に会う事はない。 

ちょっとだけセンチメンタルになってしまった。
9: :2010/11/01(月) 02:53:09.95 ID:
僕「……っと、もうこんな時間か」 

しかし数秒もすれば僕の頭は現実……電車に乗る時間に引き戻されて行く。 

僕「じゃあ、いってきます」 

誰もいない部屋に挨拶をして、僕は朝日の中を歩き出した。 

見知らぬメールの事なんて、もう僕の頭の中にはなかった。
10: :2010/11/01(月) 02:55:53.65 ID:
僕「おはようございます、っと」 

ニ十分程電車に乗って、僕はいつものタイムカードを押す。 

僕「……」 

あとはただ黙々と仕事をこなすだけだ。 

お昼休みまでは四時間程、集中していれば短いものだった。
12: :2010/11/01(月) 03:00:21.60 ID:
後輩「先輩〜、お昼行かないんですか〜?」 

僕「ん……ああ、もうそんな時間?」 

後輩「もう、先輩は真面目すぎますよ〜」 

甘えたような声で、小さくクスッと笑う彼女。 

大学時代からの後輩で同じ会社に入社した……それだけの関係。 

後輩「ささっ、一緒にご飯行きましょう?」 

グイッと僕を引っ張る、白く細い腕。 

短い髪と小さな体がとても可愛らしい、そんな子だ。
13: :2010/11/01(月) 03:04:32.50 ID:
後輩「さ、何食べます〜?」 

僕「……刺身定食」 

後輩「おとといもそれでしたね。昨日はカツ丼で、それの繰り返し」 

僕「いいんだよ、飽きないんだから」 

後輩「そんなんじゃあ栄養偏っちゃいますよ? も、もしよかったら私がお……」 

店員娘「いらっしゃいませ。また来て下さったんですね」 

言葉を遮るように、お店の子が僕たちのテーブルまでやって来た。
14: :2010/11/01(月) 03:09:32.00 ID:
後輩「あ……ぅ」 

僕「やあ、こんちわ。また来たんだよ」 

店員娘「ふふ〜、最近毎日ですね。仲良くお二人で」 

若くて愛想のいい彼女の笑顔。 

職場ではけっして出会う事のできないこの顔を見るのが、僕は好きだった。 

僕「ははっ」 

後輩「むぅ〜……」 

店員娘「ふふ、では何にしますか? 今日はお刺身ですか?」 

メニューのローテーションも、彼女にはお見通しだった。
16: :2010/11/01(月) 03:15:35.98 ID:
後輩「……むぅ」 

うどんをすすりながら、後輩は終始不機嫌だった。 

後輩「先輩って、よくここ来ますよね?」 

後輩「あの子の事狙ってるんですか〜?」 

後輩「いや、まあ可愛らしい人だとは思いますけどぉ……」 

醤油を濃いめにかけても、お刺身が分かりづらい。 

僕(悪い子じゃないんだけどなあ……) 

ははっと苦笑いしながらご飯を食べるのがいつもの僕らだった。 

店員娘「……ふふっ」 

そしてそれを遠くから見ている彼女も。
17: :2010/11/01(月) 03:20:28.14 ID:
後輩「じゃあ先輩、午後も頑張りましょうね〜」 

ヒラヒラと手を振って去っていく彼女。 

廊下の角を曲がると、その姿は当然見えない。 

僕「……ふう」 

また仕事か。 

「……おかえりなさい。またあの子と昼食?」 

僕「……先輩?」 

先輩「誘おうと思ったら机にいないんだもの。まあ、予想した通りだったけど……ね」
18: :2010/11/01(月) 03:25:13.79 ID:
僕「あ、すいません」 

先輩「謝る事なんてないわよ。勝手に誘おうとしてただけだから、ね」 

先輩「……やっぱり責任者になると労働時間がねえ……はぁ」 

僕「まだ若いのに、大変ですね」 

先輩「他人事みたいな言い方ね……ま、結局は他人事か」 

僕が先輩に何かを言う事で、その考え方を変えさせる事が出来るんだろうか。 

僕にはそんな自信は……無かった。
19: :2010/11/01(月) 03:27:41.80 ID:
先輩「……また、時間ができたら誘うわね。じゃあ……」 

返事を聞かずに、先輩もまた仕事場へ戻って行った。 

僕「……さて、僕も戻るか」 

誰に聞かれるでもなく、僕は一人呟いた。 

そうしないと働く気が起きてくれない……ような気がする。 

僕の悪い癖だ。
20: :2010/11/01(月) 03:30:41.38 ID:
僕「……ただいま」 

誰もいない一人部屋。 

僕はまた帰ってきてしまった。 

僕「……」 

何もない。 

外ではいつの間にか雨が降り始めたらしい、音がする。



  


この記事へのコメント

1.  Posted by  名無し   投稿日:2018年03月27日 23:45

くっさ

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