思想から見るオカルト

割りと右寄りの人間は比較的オカルトに関しては寛容である。寛容であると同時に妄信的なオカルト信者も含まれる。

考えてみれば、国粋主義と言うのはオカルトにかなり関係が深い。旧大戦中、軍部のエリート達は大本教に心酔し、出口王仁三郎のような神人を奉った。その結果として神風が吹くなどという荒唐無稽な考え方が太平洋戦争末期には日本人の脳内を支配した。今でも右寄りの人は神道や神が好きであり、精神論的な事を述べたりすることが多い。

逆に、左翼思想の人には現実主義者が多い。これもよくよく考えてみればごく当たり前のことである。左寄りの人間が理想と掲げる共産主義は宗教的なものを否定し、神の存在さえも認めない事が多い。極めて現実的な思考が左翼の人間にはあるものと思われる。

そういった視点で考えてみると、右翼対左翼の考え方というものはオカルト肯定論者とオカルト否定論者の戦いでもあるわけだ。神を信じる精神論的な右翼思想が素晴らしいとか、宗教を否定し現実的なユートピアを目指す共産主義が素晴らしいとか、筆者はどちらの味方をする気もない。

かくいう筆者もどちらかと言うと右よりだと友人から指摘される。しかし、本人は至って冷静である。思想にかぶれることはなく、常識人のスタンダードな立ち位置をキープし続けるつもりである。

筆者のことを感情的に人格否定や人間性を非難してくる一部の懐疑派には、左翼思想の者が存在している。合理的にものを考える傾向から、左翼思想となり、オカルトに関しては懐疑派になったのは当然といえば当然の流れであったのだろう。
近年の左翼思想の者の何割かが懐疑派となっているのならば、筆者と懐疑派が肌が合わないのも無理はないだろう。

反射的に否定せずオカルトを楽しむ心

特定の対象に対して、なんでも反対する人物の根底には成長期におけるコンプレックスがかいま見られることがある。自分を育ててくれた親との関係を上手く構築できなかった人間が、親に対する反発心や反抗心を成人した後も特定の対象にぶつけている事が多々見られる。

つまり、特定の対象を親とみなして何から何まで反対しているのだ。筆者から言わせれば、例えば「ある政党は悪いことばかりをする」という考えかたには賛同はできない。勿論、政党が隠蔽工作や謀略をはたらくことはあり得るだろう。しかし彼らに一片の良心もなく全て庶民を苦しめる悪事を行っているとも思えない。良きことをすれば悪しきこともする。

筆者が「テレビはコントです」「オカルトはエンターテイメントだ」と言い切っても無理やりいちゃもんをつけてくる。これは何にでも反対してしまうヒステリックな姿勢にも思える。

かつて筆者が学生時代、左翼思想を持つことがインテリの象徴であった。それと時期を同じくして懐疑派である事が知的人物の証明であった。しかし時代は変わったのである。

オカルトに関しては、エンタメとして肩の力を抜いて遊べる人間こそ格好いい時代となったのだ。

読者諸君はどのような生き方をオカルトの中に見出すだろうか。

文：　山口敏太郎



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