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その場で焼いた!? 剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS』の謎
 

その場で焼いた!? 剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS』の謎


剥き出しのROM

 2017年9月――
 あまりにも怪しい見た目をした謎のファミコンソフトがヤフオクに出品されていた。剥き出しのROMに、無造作に巻かれたガムテープ。その姿はお世辞にも物欲を刺激するようなものではなかった。

 ご丁寧にマジックペンで「マエ」と書かれちゃっているところなど、すこぶるファンキーですらある。

sradius013.jpg

 しかし、その説明文を読むと……
 非常に興味をそそられる内容だったのだ。

 ヒューマンクリエイティブスクールの1993年か1994年ごろの学園祭で、いただいたファミコンのROMです。かなりうろ覚えですが、シューティングゲームでキャラクタのドットをその場で、好きなように打って、それを焼いたものだったと思います。

(引用:ヤフオク!※リンク先はaucfan)


 ドットをその場で打ってその場で焼いただって!?

 にわかに信じがたい所業だ。そもそもヒューマンクリエイティブスクールといえば、かつて存在したゲームメーカー・ヒューマンが1990年4月に開校した日本初のゲーム専門学校じゃないか!


humansuku-ru0_201805150955240c6.jpg
 ※かつて存在したホームページのバナー(リンク先はWeb Archive)


 同社がファミコンで出していた『エジプト』(1991年3月)はヒューマンクリエイティブスクールの生徒がつくった作品として売り出されたことはあまりにも有名だ。



 この試みは「生徒作品商品化プロジェクト」と呼ばれ、在学中にそのアイデアを認められた学生は、実際に、自らチームを率いて商品化させることができたという。以下『エジプト』に続いて同プロジェクトにより世に送り出された作品である。


・『ドラゴンズ・アース』(1993年1月)


・『セプテントリオン』(1993年6月)


・『ザ・ファイヤーメン』(1994年6月)

 いずれもスーパーファミコン作品なのを考えると、もしかしたら、この謎のファミコンソフトは幻に終わった「第二のエジプト」だったかもしれないぞ!? (想像力が豊か)




驚きのゲーム内容

 落札者・石之丞さんから調査依頼を受けた私オロチはこの謎のファミコンソフトをお借りすることができた。さっそく震える手を押さえつつ慎重に本体へセットし、恐る恐る電源をつけてみると……

 思わず息を呑んだのだ!

sradius001.jpg

 ス……
 スラディウスだと!?

 明らかに『グラディウス』を意識したタイトルだ。なんならハックROMかもしれん。横の数字「6502」はファミコンのCPUの型番だろうか。つくったのはM.NAKAJIMAという人物らしい。ヒューマンクリエイティブスクール、1993年の作品とある……

sradius004.jpg

 2人プレイもあるのか。
 自機デザインはビックバイパーより鼻先が丸いな。

 ひとまず1Pでスタートだ。

sradius005.jpg

 ステージの雰囲気は、どっちかというと『沙羅曼蛇』に似てる。
 BGMはオリジナルかな。どこかで聞いたことあるような、ないような……

sradius007.jpg

 この火の鳥みたいな敵は見たことあるぞ。
 っというか、すこぶる敵が固い。

 難易度は高めだな……

sradius008.jpg

 しばらくステージを進めると唐突にボスが出現!
 のっぺりとした造形が逆に、不安を煽ってくるデザインだ……

 どっぷり苦戦しつつ、ちょっとしたサプライズがありながらも、何とか撃破した私は、次の展開にさらに驚いてしまったのだ。こちら↓

sradius0101.jpg

 なんと、スタッフロールが流れて来たではないか!

 メインプログラマーだったNAKAJIMAさん以外の方の部分は念のため黒塗りにさせてもらったが、サウンドアシスタント、CGアシスタント、スペシャルサンクス含め、総勢14名の制作スタッフによる作品だったとは……

sradius011.jpg

 このあと、タイトル画面に戻った。


 全貌はこちらの動画を見て欲しい↓






25年という歳月……

 気になるのは、この謎のファミコンソフトがいったいどういう経緯でつくられたかということだ。なぜタイトルが「スラディウス」なのか。どうやってつくったのか。ハックROMなのか、そうじゃないのか。その場でドットを打って、その場で焼いたというのはどういうことか。疑問は尽きない……

 しかし、結論から言ってしまえば中心人物と思われるM.NAKAJIMAという人物については、いくら調べても何もわからなかったのだ。


 ※PS2『ファイプロ・リターンズ』

 その代わりではないが、サウンドアシスタントをしておられた人物についてはその後、ヒューマンへ入社。SFC用格闘技ゲームのアシスタント・プログラムとして関わっていたことが判明。ヒューマン解散後は、スペシャルサンクスに名を連ねていた2名他と共に、ヒューマン系クリエイティブ集団(のちに法人化)の一員として活動。PS2『ファイプロ・リターンズ』(2015年)の制作などに携わっていたらしいが、現在の活動は不明。

 その中で唯一、とあるゲームメーカーでPC-FX最後のタイトルの制作に関わっていたことが判明した人物については、そのメーカーが健在だったので思い切って問い合わせてみたが「10年以上前に退社した」との回答を得た。業務と関係ない質問だったにも関わらず、わざわざ回答していただき、この場を借りてお礼を申し上げたい。

 他3名ほどそのままヒューマンへ入社し、いくつかのタイトルに関わったことが判明した人物もいたが、いずれも現在の活動は不明である。25年という歳月は、想像以上に長かったようだ……

 当サイトでは引き続き、この剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS』の謎を追っていきたい。



orotima-ku1.png情報求むぜ!!



提供: 石之丞@iPT71niRhvOWnBF
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[ 2018/05/15 20:20 ] 謎・調査シリーズ | コメント(3)
 ブログパーツ
謎ですね。
気になるのが、カセットのガムテープ新しく無いですか?
中身気になりますが、お守り同様中身は見てはいけないものなんですかね?(笑)

オークションの出品者は詳細ご存知ないのでしょうか?
6194. [ 2018/05/15 21:28 ] [ 編集 ]
リンクの説明文の「音が鳴らなかった」という記述が気になりますね
互換機では鳴らないのかもしれません。
だとすると、未知のマッパーという可能性無いですか!?
6195. [ 2018/05/15 21:35 ] [ 編集 ]
>>6194さん
たしかにガムテープって年月が経つと加水分解でボロボロになりますよね。さすがにガムテープを取るのは壊れるリスクが高いです^^

>>6195さん
オークション説明文「音は、一切鳴らなかったような気がします。」の一文ですね。正直、見逃していたというか、記憶違いかと思ってました。仰る通り、互換機ではならなかった可能性もありますね。

出品者さんの証言については新しいことがわかれば追記しておきます。
6196. [ 2018/05/15 22:08 ] [ 編集 ]
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