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剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS(スラディウス)』の真相が判明!!
 

剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS(スラディウス)』の真相が判明!!


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 前回、お伝えした謎のファミコンソフト『SRADIUS』の記事には、おかげさまで本当に多くの反響を頂いた。その中で我々調査班はついにその真相を知る人物との接触に成功したのである!!

 さっそく、そのやりとりをQ&A形式で公開させてもらおう。


登場人物

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石之丞さん(落札者):接触に成功した張本人。インタビューアー。

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関係者さん:
今回、貴重な証言をいただけることになった、スタッフロールに名を連ねる当時の関係者さん。

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オロチ:記事制作・編集。あとがき担当。

出品さん:25年前にヒューマンクリエイティブスクールの学園祭にて『SRADIUS』をGetした人物。



『SRADIUS』がつくられた経緯

Q:『SRADIUS』が制作された経緯を教えてください。
A:HCSでの課題と、自主的な6502の学習だったと思います。
 ※HCSはヒューマンクリエイティブスクールの意
 ※6502はファミコンのCPUの意

Q:見本となるゲームはあったのですか?
A:教材的なゲームを参考にしたとは思いますが、ソースコードやキャラドット、MMLなどはオリジナル。または他の学生の提供だと思います。

 ハックROMではなかったようだ。

Q:スタッフロールがあるということは、この作品は共同制作だったのでしょうか?
A:基本はナカジマ君一人でつくっていたと思いますが、もしかしたら、学園祭で配布するにあたり、スタッフロールの方々が協力して完成度をあげた可能性はあります。
Q:関係者さんも名前が載っているということですが、何を手伝ったのでしょう。
A:それが全然記憶になく…… シューティングゲームが好きなので何かディスカッションしたのかもしれません。

 関係者さんの話では、当時、学生たちはX68000というPCで動くファミコンエミュレータで授業と制作を行っており、一学年に200人いて、ひとり2,3本はつくっていたので、1年で400~600本はゲームが誕生していたという。しかし完成までこぎつけたタイトルとなると50本もなかったのではないか、とのこと。

 さらに、FC実機で動かすためにはそれなりの改修が必要だったため、実際にその手順を踏んだのは一期生がつくった『エジプト』と、この『SRADIUS』だけかもしれないとの貴重な証言を得ることができた。



 おお、やっぱりある意味では第二の『エジプト』だったではないか!



その場でドット打ち・焼きの真相

Q:学園祭の日は、その場でドットを打ち、その場で焼かれたとのことですが、詳細を教えていただけますか?
A:当時の学園祭は近隣の小学校を借りきるという凄い規模のものでした。それは蕎麦打ち体験みたいなもので、子どもさんにドット絵を描かせ、ROMに焼いてプレゼントしていたと記憶しています。おそらく発案はHCSの教員か、学園祭実行委員会ではなかったかと……

Q:このゲームが選ばれた理由は?
A:当時完成していて、マッパー的にもROMに焼けそう、かつ、配布に向いているということで『SRADIUS』が選ばれたのだと思います。

Q:配布数はどのくらいだったのでしょうか?
A:せいぜい数十本といったところでしょうか。その場でドット打ちしていたのですべて自キャラが違うはずです。

 その場でドットを打ち、その場で焼いたという話は本当だったようだ。しかもすべてのドットが違うということはひとつひとつがオンリーワンということか!

 ただし関係者さんは学祭当日、近くの別現場にてROMではなく焼きそばを焼いていたとのことで、そこまで詳しいことはわからないという。いかにも学園祭らしいエピソードで思わずほっこりしたよ^^

 あと、当日はゲストで山下章さんと渡辺浩弐さんが来ていたとのことで、これは出品者さんの証言と一致した。(前回記事の追記参照)


ガムテープが妙に新しい理由

Q:ROMはどんな状態で渡していたのですか?
A:ガワがなく剥き出しの基板にROMを刺してお渡ししていたと思います。

 ということは、この「マエ」と書かれたガムテープは出品者さんの所業だった可能性が高い。

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 しばらくもらったままにしていたが、年月が経ち、外れそうになってきたためか、ガムテープを巻いたということなら、この“妙な新しさ”も説明できるだろう。

 なお、関係者さん曰く、記憶があいまいということで、今回語った内容については「100%の真実ではない」と付け加えられておられた。なんせ、25年も前のことだものね……



あとがき

 ゲームの基板には必ず物語が沈められている、と私は思う。
 それはゲーム内のストーリーのことではない。そのゲームがこの世に産声を上げるまでの誕生物語だ。ファミコンを集めていると、ときどき出会う「謎に満ちあふれたソフト」には、たいてい想像もできないような興味深い誕生物語が沈められているものだ。

 今回、出会った謎のファミコンソフト『SRADIUS』は、いわゆる自主制作ソフトというカテゴリーに入る代物だったのかもしれない。しかも剥き出しのROMに、無造作に巻かれたガムテープという破天荒な姿をしており、そこにどれだけの価値があるのか、と訝しむレトロゲームファンもいるだろう。

 しかし私は思うのだ。これもファミコンの歴史の1ページではないのかと……


 ※プレイ動画

 かつて日本に存在したヒューマン・クリエイティブ・スクールというゲーム専門学校で、次代のゲーム業界を担うべく、勉学に励んでいた学生たちが、モラトリアムな立場だからこそ抱ける純粋な夢や希望を、熱く語っている姿が想像できないだろうか。いや、実際はどうだったか知らないよ(笑)
 知らないんだけども、今回、基板の底から掬い取とられた誕生物語に、そんな妄想を禁じえないのは私だけだろうか。少なくともそれは誰かが紡いでいかなければ失われていたファミコンの歴史の1ページではなかったのか。そう考えるとこの『SRADIUS』というファミコンソフトが、ますます貴重な存在なんじゃないかと思えて仕方ないのである。

 そこにどれだけの価値があるのか。私は逆に意味でわからない。それほどまでに出会えて良かった。このゲームに!



orotima-ku1.png石之丞さん、関係者さん、製作者の皆さん……
その他、証言をいただいた全ての皆さんに感謝!

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[ 2018/05/17 22:02 ] 謎・調査シリーズ | コメント(1)
 ブログパーツ
とてもいい話でしたね。
ROMではなく焼きそばを焼いていたというオチも美味しいですね。
昔は今のようにパソコンでスマホのゲームが開発できるとか、そんなお手軽な環境はなかったので学校にある開発機材をみんなで取り囲んでわいわいやってたわけです。
昔を思い出して懐かしいお話でした。
当時、興味深い話を聞いたことがあります。
家庭用ゲーム機ではなく、ゲームセンターのゲームの開発に携わっていた人から聞いた話です。
ゲームセンターのゲームはハードそのものの設計から始まるらしいのですが、なるべく予算を削るためになるべく汎用的なCPUを使ったり、いろんな工夫をするそうなんですね。
で、いざゲームを作り始めると、メモリが足らないとか、速度が出ないとかいろんな問題が出てくるそうなんですね。
もう、そうなってくるとプログラマーがマシン語で命令を書いたり、常人では到底出来ないであろう圧縮技術を創り出したりとか、いろんなツールを一から作ったりとか、涙ぐましい努力が必要になってくるそうなんですね。
家庭用ゲームとは異なり、専用のハードでたった一度しか使われないツールとか、泣けてきませんか?

世の中のゲームの一本一本にそういったいろんなドラマがあると思うと、感慨深いですね。

6215. [ 2018/05/18 00:01 ] [ 編集 ]
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