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父の葬儀があった 続・妄想的日常

続・妄想的日常

おかえり。 
323 大人になった名無しさん sage 2005/09/01(木) 02:40:26
父の葬儀があった。もう年だし、悲しくもなく淡々と取り仕切っていた。
数年間はずっと病気続きだったが、工務店を経営しており、たくさんの職人さんを抱えてた事もあった。

葬儀に子供の頃に見覚えのある職人さんが来てくれた。何十年も出入りはしてなかったが。
父より年上で80近いだろう。礼服ではなく、失礼だがこぎれいとは言えない格好だった。
香典袋ではなく封筒にくしゃくしゃの千円を包んでくれた。
「親方にはお世話になったんですわ。偶然聞きつけたのも縁が続いてる証拠ですわ。」
その時、心のたがが外れた。涙が止め処なく流れた。そして心からありがたいと言う気持ちになった。

改めてお礼にあがった。掛け金を払ってなくて年金は無いらしい。
作業場の下働きなどで何とか家賃1万の生活を支えていた。
ずっと一人暮らしだという。失礼ながら生活保護を勧めたが、静かにこう話した。
父に会う30年前まで月50万稼いでたと、でも全てが悪銭だったという。
父は汗をかいて稼ぐ事を教えてくれたといってくれる。おかげで人間として生きる事が出来たと。
それで十分、いつか人知れず死んでしまうかもしれないが、満足のいく人生なんですよ、と。
この人の高邁な生き方に感動し、私の知らない父の生き方を知ることができた出来事だった。



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