妻「う、産まれる……ッ!」夫「誰か助けて下さい!」産婆「サンバ!!!」
妻「うっ……!?」
夫「どうした?」
妻「お、お腹が……!」ガクッ
夫「ええ……!? まさか陣痛!?」
夫(まずいな、予定日よりだいぶ早いぞ!)
妻「あうぅぅぅ……! う、産まれる……ッ!」
夫(急いでタクシーか救急車を呼ばないと……!)
夫(だけど、ちょっとした外出だったからスマホを持ってきてないし……どうする!?)
夫「す、すみません! 誰か助けて下さい!」
夫「妊娠中の妻が、陣痛を起こしてるみたいなんです!」
婦人「あらやだ、お下品ねぇ~。こんな公共の場で陣痛なんてみっともないわ」
奥様「すみませんが、私達、急いでおりますので」
マダム「行きましょう、先生。あんな連中に関わっては品位が落ちてしまいますわ」
和服女「そうね。申し訳ありませんが、あなたたちを助けることはできません。失礼します」
スタスタ…
夫「そ、そんな……!」
夫(みんな、なんて冷たいんだ!)
夫(ここは高級住宅街……奥様たちは赤の他人のピンチより、ご近所付き合いのが大事か……)
妻「ううっ! 痛い、痛いわ、あなたぁ!」
妻「産まれるぅ! 産まれちゃうぅぅぅ!」
夫「しっかりしろ! しっかりしろォ!」アタフタ
夫(どうしよう、どうしよう!?)
ドンドコドンドコドンドコドンドコ…
夫(なんだ、この軽快なリズムは?)
産婆「ウ~~~~~サンバ!!!」ドンドコドンドコ
夫「なんだありゃ……」
夫(軽快なリズムに合わせて、やけにファンキーなおばさんがやってきた……)
産婆「ヘイヘイヘ~イ、ノッてるか~い?」ドンドコドンドコ
夫「ど、どうも」
産婆「あたしは副業で産婆をやってるもんでねえ」
産婆「出産の匂いを嗅ぎつけて、参上しちまったよ」
夫「そんな匂いあるんですか」
産婆「さ、鳩が豆鉄砲食らったようなツラしてないで、奥さんを安全な場所に運ぶよ! セニョール!」
夫「は、はいっ!」
産婆「ここなら大丈夫だろう」
夫「えぇっと、これからどうすれば? やはり産婦人科に連絡を?」
産婆「んなことやってられるかい。まどろっこしい」
産婆「もちろん、踊るのさ……サンバをね!」
産婆「ヘイヘイヘイ、オーレ!」ドンドコドンドコ
夫「えぇ!?」
夫「ふざけてるんですか!?」
夫「そんな騒がしくして、もし死産にでもなったら……!」
妻「……」ウズウズ
妻「オーレ!!!」ビシッ
夫「えええ!? た、立った! 妻が立った!」
産婆「おっ、セニョリータはノッてきたようだねえ!」
ドンドコドンドコドンドコドンドコ
産婆「オーレ! オーレ! オーレ!」
妻「ヘイヘイヘイヘ~イ!」
夫「……」
産婆「ほら、あんた、何してんだい!」
夫「え」
産婆「自分の子が産まれるってんだから、あんたも踊らなきゃダメさ!」
夫「しかし……サンバなんか踊ったことなくて」
産婆「適当でいいんだよ、こんなもん! 見るアホウより、踊るアホウだよ!」
夫「……」ウズウズ
夫「お、俺も……踊ります! オーレ!」ビシッ
夫「サンバーッ!」ドンドコドンドコ
産婆「お、いいね、いいねえ! やればできるじゃないか!」
夫「男はATM!」ドントコドン
妻「女は産む機械!」ドントコドン
産婆「ガキを作ってガキを増やして、脱☆高齢社会!」ドンドコドンドコドンドコドンドコ
三人「イェーイ!!!」
ドンドコドンドコドンドコドンドコ…
妻「はうっ!?」ビクビクッ
夫「どした!?」
妻「きたわぁ……出産のリズム! 安産のリズムが! アンザーン!」
夫「手を握っててやるぞ!」グッ
産婆「見せつけてくれるねえ! さぁ、決めちゃいな!」ドンドコドンドコドンドコドンドコ
妻「オーレ!!!!!」スポーンッ
夫「う、産まれた……」
赤子「うぇっ、うぇっ……おぎゃぁぁぁ! おぎゃぁぁぁぁぁ!」
産婆「よしよし、よく頑張ったねえ、元気な男の子だよ」
妻「スカッとしたわ……」
夫「よかった……!」
夫「産婆さん、助けて下さって本当にありがとうございます!」
産婆「いやいや、あんたたち二人もよく頑張ったよ」
夫「そうだ、ぜひお礼を! おいくらぐらい支払えば……」
産婆「いらないさ、そんなもの」
産婆「それにあんたらが無事出産したことが……あたしにとっちゃ何よりの報酬だよ!」
産婆「じゃあね! サンバのリズムを忘れるんじゃないよ!」ドンドコドンドコ
夫「行っちゃった……」
夫「にしても、あの人はいったい何者なんだろう? 産婆は副業らしいけど」
妻「きっと普段からノリノリの明るい女性に違いないわ」
……
……
産婆「――ふぅ、あれならもう大丈夫。無事出産させることができてよかったわ」
産婆「急がなくちゃ」モゾモゾ…
和服女「みんなを待たせているからね」シャキーン
和服女「皆様……お待たせ致しました」
婦人「あら、家元先生! もったいないお言葉ですわ」
奥様「先生が急用とあらば、何時間でも待ちますとも、私達」
マダム「本日もお稽古をお願いします」
和服女「ええ、それでは日本舞踊の稽古を始めます。皆様、優雅に参りましょう」
和服女(たまには私だって、ああやって大騒ぎしたくなるのよね)
~おわり~
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コメント一覧
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- 2018年05月27日 21:15
- オチに伏線が無さすぎる、急に産婆の正体があの人って言われても……
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- 2018年05月27日 22:17
- よく分からんが感動した(適当)
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- 2018年05月27日 22:35
- スレタイで笑ったから許す
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- 2018年05月27日 23:26
- デッキーやんけ
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- 2018年05月27日 23:54
- 産婆のサンバは安直ダジャレの中では割と好きな方
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- 2018年05月27日 23:56
- すき
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