キキーッ! ドカンッ!
男(や、やっちまった……)
相手「おい! 思い切りぶつけやがって! どうしてくれんだ、これ!」
男「いや、でも、そっちだって……」
相手「あぁん!?」
男(ダメだ、俺じゃとても交渉なんかできない! 保険会社に電話しよう!)
続けたまえ
先に警察は?
男「もしもし!」
社員『はい、なんでしょう?』
男「今……車で事故を起こしてしまいまして、助けて下さい!」
社員『お任せ下さい、すぐ現場へ急行します』
男「ありがとうございます!」
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社員「お待たせしました」シュタッ
男「あっ、来てくれた! 早い!」
相手「あんた、保険会社の人か。こいつじゃラチがあかなかったんだ」
相手「さっそく修理費について――」
社員「修理費など、びた一文払うつもりはない」
相手「は?」
相手「なにいってやがる。こっちは車をへこまされて――」
社員「車がへこんだ? なら、今度は持ち主もへこませてやろうか」
相手「え」
社員「この私の腕力で!」ムキムキッ
相手「ひっ!」
社員「貴様の頭蓋骨をなァ!」ムキムキムキムキッ
相手「ひええええええっ!」
なんだこれ
社員「5万か……結構持ってやがったな。はいどうぞ」サッ
男「ありがとうございます……おかげで修理費を払わずに済みました」
男「それどころか、お金を巻き上げて頂いて……」
社員「なんの、これが我々の仕事ですから」
社員「では、よいドライブを!」
男(自動車保険入っててよかったぁ~)
すげえ!生命保険入ってくる!
ヤクザじゃん
ガリガリガリ…
婦人「まぁ、わたくしの車になんてことを!」
男(すれ違う時に接触しちゃったのか……狭い道だったからな)
男(でも、こういうのってお互い様なんじゃ……)
婦人「弁償してもらいますからね! 弁償! 弁償! さっさと弁償!」
男(ダメだ、俺が太刀打ちできる相手じゃない! 保険会社の人を呼ぼう!)
疲れてるなら寝ろよ
社員「あなたですか、言いがかりをつけてらっしゃるのは」
婦人「言いがかりですって!? まぁ、失礼な!」
婦人「私の夫は会社役員なのよ!? 言いつけて、修理費ふんだくって……」ペチャクチャペチャクチャ
社員「こういう手合いは、とっとと殴って黙らせるのが一番手っ取り早いですな」
バキィッ!
婦人「ぶげぁっ!」
婦人「あだだ……なにするの!」
婦人「女を殴るなんてサイテーよ!」
社員「女を殴るのが最低であるのなら……私は最低でかまわない」
ドゴォッ!
婦人「ぎゃぱぁっ!」
男「頼りになるぅ~!」
頑張れ保険屋の人
必殺技にも期待してる
マジキチ
社員「所持金10万円とは……さすが役員の妻だけのことはありますな」
男「ありがとうございました!」
社員「なんの、これが我々の仕事ですから」
社員「これからもどんどん事故を起こして下さい!」
男「分かりました!」
どこが保険だよ
世にも奇妙な
ブロロロロロ…
男「よし、今日はあの車だ!」
ガツンッ!
サラリーマン「やい、よくもぶつけてくれたな!」
男「そんな口の聞き方をしていいのかな?」ニヤッ
サラリーマン「なに?」
男「いけっ、保険会社社員!」
社員「ただいま参上!」バッ
サラリーマン「!?」
社員「さぁ、有り金置いてとっとと消えてもらおうか」
サラリーマン「ふん、保険に入ってるのはそっちだけじゃないんだぜ!」
社員「なんだと?」
サラリーマン「いけっ!」
ライバル社員「フンガーッ!」ムキッ
社員(あれは……! ライバル保険会社の社員!)
男「ゲッ、あっちも保険会社社員を召喚しやがった!」
面白い
不覚にもワロタ
社員「ほう……同業者とかち合うのは久しぶりだな」
ライバル社員「フンガーッ!」
社員「ゆくぞ! 保険会社社員としての使命、果たしてくれる!」
ライバル社員「フンガーッ!!!」
ドゴォッ!!!
フンガー!
社員「ぐ、ぐはっ……! 完敗だ……!」
男「財布ごと持ってかれちまった……」
社員「申し訳ない……あなたを、守れなかった……」
男「いや、保険も絶対じゃない……いい勉強させてもらったよ」
社員「でも……保険料を払ってもらってるのにこのザマじゃ、情けなくて……」
男「大丈夫! もっと経験を積めば、あんたはもっと強くなれる!」
男「やり直そう……一から」
社員「はいっ!」
どことなく藤子不二雄臭
社員「うおおおおおおおおおっ!」バシッ バシッ バシッ
男「いいぞ! いいパンチだ!」
ブロロロロロ…
ドカンッ!
社員「ぐはっ!」
男「大丈夫か!?」
社員「大丈夫、次は50km/hで轢いて下さい!」
男「オッケー!」
男「ガソリンぶっかけて、火をつける!」
ボォワァッ!
社員「……」
男「どうだ?」
社員「涼しい!」
男「ほら、保険料だ! 今月は多めにやろう!」チャリンッ
社員「うおおおおっ! モチベーションアーップ!!!」
社員(LV70)「いかがですか?」ムキムキッ
男「だいぶレベルが上がったな!」
男「じゃあ今日は腕試しに……暴力団事務所に車を突っ込ませるぞ!」
ブロロロロロ…
ドガシャァァァン!!!
「なんじゃワレぇ!」 「どこの組のモンじゃ!」 「死にたいんか!?」 「撃ち殺したる!」
社員「来い……まとめて相手してやろう」パキポキ…
チャリンて
社員(LV100)「見て下さい、この肉体美」ムキムキムキムキッ
男「修行と実戦を繰り返して、ついに最高レベルまで達したな!」
男「さっそく、あのライバル社員にリベンジするため事故りに行こう!」
社員「分かりました!」
ブロロロロロ…
ドカンッ!
あなた疲れてるのよ少し休みなさい
社員「セヤァァァッ!!!」
バキィッ!
ライバル社員「フ、フンガァ……」ドサッ
サラリーマン「バカな……! 無敗を誇った俺の保険社員がやられただと!?」
男「す、すごい! あのライバル社員を苦もなく倒した……! さすが最高レベル!」
男「カンパーイ!」
社員「カンパーイ!」
カチンッ
男「俺たちがチャンピオンだ! 殿堂入りだ! 最強のコンビだ!」
社員「おっしゃる通り、もはや私に敵はありません。いくらでも事故って下さい」
社員「たとえ、アメリカ大統領が乗る自動車と事故っても、負けませんから!」
男「これで安心して事故れるってもんだ! よーし、事故って事故って事故りまくるぞ!」
ブロロロロロ…
ブロロロロロ…
男「フンフ~ン、今日はどんな事故を起こそうかな~」
男(お、ちょうどいいところに幼稚園バスが……ってあれ?)
園児「うわぁ~ん、助けてぇ~!」
運転手「く、くそっ、なんてことだ……!」
男「幼稚園バスが、崖下に転落しそうになってる!」
男「ここらへんは運転が難しい道な上に、ガードレールがないからな……あのままじゃまずい!」
男「おい、あのバスを助けてやってくれ!」
社員「いいんですか?」
男「いいんですかって? いいに決まってるだろ!」
社員「もし、自分の車の事故以外に私を使うと、私のレベルは1になってしまいます」
社員「それでもいいんですか?」
男「……」
男「もちろんだ!」
社員「!」
男「こんな時に使わなくて、なにが保険か!」
男「目の前で失われそうな命を見捨てるほど、俺は腐っちゃいない!」
社員「分かりました!」
社員「ではすぐさまあの幼稚園バスを救出しましょう! シュワッチ!」シュバババッ
とっくに腐ってた気が
運転手「ありがとうございました!」
園児「ありがとー!」
男「どういたしましてー!」
男「よくやってくれた!」
社員(LV1)「なんの、これも我々の仕事ですから」
社員「しかし、私のレベルは激減しました。うかつに事故れなくなりましたね」
男「うん……だけどこれでよかったんだと思う」
映画化決定
男「保険に入ったから、保険会社が味方だから安心して事故ろうってのは、やっぱり間違ってると思うんだ」
男「万が一のために保険に入ったけど、事故を起こさないようにする……」
男「これがドライバーとして、本来あるべき姿だと思う」
社員「今後は……私の出番は少なくなりそうですな」
男「うん……だけど、いざという時は頼むよ」
社員「それではよいドライブを!」
男「よ~し、これからは無事故無違反ドライバーを目指すぞ!」
おわり
結論当たり前過ぎてワロタ
乙
お前どこの交通安全組織の回し者だよ乙
きたら終わってた
サラリーマンに報復されない事を祈る
一番気になるのは男の車が戦車か装甲車のように頑丈な所だな
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保険入ってるから事故ってもいいって考えてる人間がいるせいでまともな人間が損をする
たいした医療費払わなくていいからと無駄に老人が病院いくのと一緒
本当に正直者が損する世の中やで