未来が見える予知能力は、長い間、神話や伝承、SFのテーマのひとつだった。遥か遠くの出来事をその場にいないのに見通す行為はフィクションの中だけの話とする一方で、予知や予言のようなものがありえるかもしれないことをうかがわせる科学的な研究もある。
2016年のオーストラリア研究では、人間にはいわゆる直感や第六感と呼ばれるものが存在し、それが物事を決断するときに役立っている可能性があるという(関連記事)
最新の研究によると、研究者たちが予言的先行行動(PAA)と呼ぶ現象の科学的証拠が発見されたという。
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未来を予知するということ
量子物理学、四次元の時間結晶(タイムクリスタル)、予言的な人工知能システムの進歩が、未来を予知する時間と能力についてのわたしたちの理解を込み入ったものにしつつある。
だが、時間を歪めるこうした方法はすべて、技術の進歩や素材頼みだ。人間の真の予知能力、つまり霊的な能力だけで未来を見通し予言する能力は、まだファンタジー世界のものだという域を出ない。
これまで、直近の未来を予測したかに見える人々の話や報告はたくさんあるが、これらは説明のつかない変則事項か、確証バイアス(都合のいい情報ばかりを集めて反証情報を無視する傾向のこと)の結果だと言われることが多い。 もしくは、広く一般的に考えられている概念や推論をベースにした、安っぽい隠し芸だとされた。
しかし、『Frontiers in Human Neuroscience』に発表された新たな研究は、研究者たちが予言的先行行動(PAA)と呼んでいる現象の科学的証拠を報告している。
過去のデータから人間の予知現象を分析
これをはっきり予知と呼ぶところまではいっていないものの、この現象が予知(なにかが実際に起こる前にそれが起こることを意識的に知っている)に似ているものらしいことに注目している。
論文を発表した神経科学者チームは、この30年以上の間に発表された研究を吟味したメタスタディ(過去の研究の問題点を見いだし、新しい視点から次の研究へと発展させていく方法)を行って、似たような予知現象を調べたという。
完全に無作為に選ばれるため、予測不能な未来の出来事を予言する、予言的先行行動(PAA)は、30年以上にわたって調査されてきた。最近の保守的なメタ分析でも、この現象は本物だということうかがえる。
予知現象は起こりえるという結果
神経科学研究者同士が互いに評価し合う最前線の出典『Frontiers in Human Neuroscience』のような雑誌にとっては、これはかなり厳しい発表だった。
論文の著者は、予知現象はまだよく理解されていないとしながらも、分析の結果は、この発見が問題ある研究行動(QRP)や生理学的産物、脳スキャンに影響を与える可能性のある被験者の肉体が起こす行動などによって、説明できるものではないことを示している。
QRPでも、期待バイアスでも、生理学的産物でも、PAAを説明できないようだ。
量子プロセスの影響か?時間対称性の影響か?
PAAの根源的なメカニズムはまだはっきりしていないが、実行可能だが試験が難しいふたつの仮説がある。
量子プロセスが人間の生理に関与しているか、物理的な世界に固有の基本的な時間対称性を反映しているというものだ
人間の予知能力の証拠は、ちりぢりになった異質なデータの中にわかりやすい状態で隠れていたということなのだろうか? それはありえる。
もちろん、論文の著者はそのやり方を疑問視する懐疑主義者からすでに批判されている。
だが、この研究は、その正当性が証明されたとどれだけ主張しても、研究の輪の主流に取り込まれている超常現象研究の大きなトレンドの一部にすぎないようだ。
とはいえ、巨大な学界の象牙の塔が、説明のつかないものにやっと真剣に関心をもつようになったといえるだろうか?
References:ncbi / psycnet / mysteriousuniverse/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
予知能力があるなら株や競馬の結果が分かるんだから大金持ちになれるよね
2. 匿名処理班
予知能力があると演繹的に予想してるだけってこと?
3. 匿名処理班
ええー?!これだけでは何とも…。その予言的先行行動(PAA)についてもう少し詳しく見たかった。
4. 匿名処理班
うーんと、過去の研究を洗い出したら予知していたと
推定できそうなものがちらほらあった、ということ?
何やらバイアスの類で説明できない、というのが根拠?
脳のどの部分が活性化していた時、どういう映像が見えていた
みたいなのを期待してたんだが・・・
5. 匿名処理班
みんな同じ結果を予知するようになると株も競馬も暴落する。
誰かが損してるから誰かが儲かるんで誰も得しない。
6. 匿名処理班
予知が可能になったら配当金下がって儲からなくなりそう
7. 匿名処理班
予知能力が科学的に証明されたとしても世の中にある
ミステリーの一つが消えた感じがするし面白くない
謎は謎のままでいい知識や学問ってあってもいいじゃねの
8. 匿名処理班
※1
そんな単純な話じゃねーぞ
9. 匿名処理班
予知ではないけど、車運転とかでかっとんでる時は数秒先の未来が見える。
だから今までカットんでる時に捕まったこともないし、飛び出してくる人や車が事前に分かるので事故も無い。この前もゴルフ見に行った時、選手がボール打つ前にここにボール飛んで来るって逃げたら、そこに飛んできて一緒に行ってた友人ビックリ。
10. 匿名処理班
去年話題になった映画「メッセージ」では、バカ受け円盤に乗ってやってきたエイリアンである「ヘプタポッド」は予知能力を持っていたけど、映画版のほうでは予知のメカニズムに関しては詳しく説明がなかったりする。
ただ、原作版のほうでは解説が行われていて、その際にカギになっているのが「フェルマーの原理」。
これは、簡単に言うと、ボールペンをガラスのコップに入った水の中に入れると、空気と水の屈折率の違いでボールペンが「曲がって」見える。
具体的には、「光は光学的距離が最短になる経路、すなわち進むのにかかる時間の停留点になる経路を通る、という原理」になるけれど、メッセージの原作版では、これが「時間と認識の関係性」についても当てはまり、それが予知を成立させる理由として説明されている。
11. 匿名処理班
あると思うけど仕組みが分からないし再現性もないので科学では証明できない
12. 匿名処理班
オカルトと思われてた予知能力が科学的な事実と判明するっていうところが
幼年期の終わりと言う小説みたいでワクワクする
まあ本当に事実なのかはまだわかんないだろうけどこういう話がでてくることは面白い
13. 匿名処理班
予測じゃないの?
14. 匿名処理班
「過去の研究を分析すると予知能力はあるっぽい」程度の話みたいだが、意図的に何度も予知を行う"予言者"は存在しなくても、いわゆる虫の知らせみたいに偶発的に予知能力が発揮されることはあるのかもなー
まぁ、そんな便利な能力ならそれが発達してる生き物がいておかしくないから、よっぽどの条件が必要になりそう
15.
16. 匿名処理班
まんざらでもないと思う
過去や現在があって未来が決まると考えるのが自然だけど、本当は順序などないのかもしれない
脳という器官がそう見せているだけかもしれない
未来の状態につじつまの合う形で過去も決まるとすれば、あたかも未来を知っていたかのような動きもあるかもしれない
なので完全否定はしないでおく
17. 匿名処理班
脳内予測変換
18. 匿名処理班
予知じゃ無くて、未来を想像すると
それが現実に反映されるって事じゃ
無いのかなぁと。
無限に有り得る可能性の中から、
比較的願望に近い未来が選択されるというか。
19. 匿名処理班
予知は完璧な推理