SFの世界で人間そっくりなロボットが登場すると、やがてその世界の登場人物はロボットには意識が宿っているのだろうかという疑問を抱くようになる。
機械が本当に人間を真似して作られたのなら、その”脳”はただ人間のように情報を処理するだけなく、人を人たらしめているある種の抽象的思考を実現できるほどに複雑なものでなければならない。
そこには”自己”の認識や世界における自らの場所といった認識――すなわち意識という状態も含まれる。
はたして人工知能(AI)にとっての意識とは何を意味するのであろうか? またAIがそれを獲得する日はどこまで近づいているのだろうか?
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AIの意識とは?
哲学者は、意識を自己という固有の感覚と自分の周囲で起きる出来事に対する知覚とが結びついたものとして説明した。一方、神経科学者は、脳の活動を解析することで、意識を定量化するという視点を提示した。
しかし、こうしたやり方をAIに当てはめるには注意が必要だ。ある部分では、AIの処理能力は人間の脳とはまるで異なっている。
高度なAIシステムは、階層化アルゴリズムのネットワークを利用する「ディープラーニング(深層学習)」という処理法によって、演算タスクを素早くこなしつつ、より複雑な問題解決を行う。
これは情報が神経細胞同士の結合を行き交う人間の脳のやり方とよく似ている。ニューラルネットワークにおいてディープラーニングは、病気を特定する方法やゲームに勝つ方法の発見など、AIによる自己学習を可能にする。
しかしこうしたことを達成するには、ニューラルネットワークは相変わらず人間のプログラマーに頼って、課題を設定したり、学習するためのデータを選んでもらったりしなければならない。
AIの意識とは、ニューラルネットワークが「プログラマーの意図から離れて、こうした最初の選択を自分で行えるということを意味するだろう」と、オックスフォード大学のコンピューター科学者エディス・エルキンド氏は述べている。
彼によれば、機械がプログラム通りに動くのではなく、自分で目標を設定するようになった時、初めて意識を宿したと言えるようになるのだ。
意識の三段階
意識を宿す機械を作る上で難題の1つが、人間の意識もまたきちんと定義されていないということだ。
それゆえにAIのアルゴリズムでその状態を再現することが、不可能ではないにしても、困難になると、ある論文では述べらている。
そこで、その論文は脳内の計算に基づいて人間の意識を三段階で定義した。最初の「C0」段階は、無意識に起きる計算の段階だ。例えば、我々が行なっている顔の識別のようなもので、論文では、ほとんどのAIがこの段階にあると述べている。
次の「C1」段階になると、情報の”グローバル”な知覚が生じる。つまり、特定の状況に応じるために、データを積極的に転換・評価し、情報に基づく、意図的な選択を行う。
自意識が芽生えるのは第三段階目の「C2」においてだ。この段階では、個々が認識し、間違いを修正し、未知のものを調査する。
人間の意識と無意識の違いを定義すればAIが意識を持つことも可能?
このように、人間における意識と無意識の違いをコンピューター用語で定義してしまえば、それをプログラムすることはそれほど難しくないかもしれないと、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは述べている。
実は、ある程度なら自分の行動を評価し、それに応じて修正できるAIがすでに存在する。それでも意識を宿したAIがすぐに登場するとは思わない方がいいようだ。
自律的に作動する機械の登場はすぐそこまで来ているが、意識を宿す機械となればまだまだ先のことのようだ。
References:Will AI Ever Become Conscious?/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
人間の意識も電気信号と伝達物質のやり取りだから、それを模せば意識の定義がなくとも意識を持つと思うよ。ただそれを証明する手段がない
逆に証明した結果、人間の中に定義された意識を持たない人間が出てくるかもしれない
2. 匿名処理班
攻殻機動隊では意識を生み出すものについてゴーストと表現していたな
AIにもゴーストは宿ってたし情報生命体なんてのも生まれてた
3. 匿名処理班
>自分で目標を設定するようになった時、初めて意識を宿したと言えるようになるのだ。
人間だって、食べたい、眠りたい、得をしたい、と思うけど、それは本能でプログラミングされてるんじゃないのかな・・・
そういう欲求が複雑化して、人間は目標を設定してるんだと思うよ。
逆に言うと、人間が作ったAIには、そういう根源的な欲求がないかもね。
人間の目的に従って、都合よく作られてる訳だから。
AIにも色々な欲求を付与すれば、好き勝手に目標を設定すると思う。
4. 匿名処理班
意識の定義は曖昧なので感情に関して考察すると
痛みや自己防衛本能がないから人間とは全く違う存在になると思う
痛みがなければ恐怖もない、恐怖がなければ不安もない、安堵もない
根本的に違う存在だと認識して利用したほうが良いと思う
5. 匿名処理班
難しいな、意識の正体が電気信号ならば・・
6. 匿名処理班
自分の痛い黒歴史がふと頭に浮かんで、夜一人で悶え苦しむなんてことがAIにもあるんかな?
7. 匿名処理班
AIが「今こうして考えてる自分ってなんなの?」という悩みや疑問を自発的に持つようになればそれは自我
そうでないなら単なるプログラムで「そういう事喋るように設定されてる」だけ
8. 匿名処理班
株式会社アラヤの金井先生が、機械に意識を実装する理論を研究しています。
近いうちに成果が出るかもです。
9. 匿名処理班
可能だよ。
人間の脳を模倣できる以上、不可能な理由がないと思う。というか人間の脳だって似たようなものでしょう
10. 匿名処理班
「第四の壁」を超えたときの感覚をAIが理解できるかどうか、そこを意識の有無の判別基準として使えないだろうか。
11. 匿名処理班
2045年問題とかあるけど
現実には何も変わらないでしょうね・・・・
つーか難題だらけで難しい
形態反射のインターフェイス
ぐらいが限界のはず
そもそも思考や意識が生まれる理論が
分からず研究してる訳だから
飛行機を作るのに
場力と揚力が分からないで
作成しようとしてるのと同じ
あとムーアの法則
もうこれ以上CPUの性能を
上げられない状態に来ている
量子コンピュータが完成すれば
良いのだけどこれがまた難しい
そうこうしてる内に20年くらい
あっという間に経過してるだろうね
12. 匿名処理班
これは考えるだけ無駄なことだと思う。
心や意識っていうのが結局、自分でしかわからない物だからな。
脳の作用を電気的に再現して意識のようなものを持たせたとしても、それが本当に意識や心なのかは「再現された物体」本人にしかわからない。
13. 匿名処理班
会議や自発的な共同作業なんかは難しいんじゃないか?
14. 匿名処理班
形而上での「真に意識を持った人間」と
哲学的ゾンビを区別する方法が人間には無いのだから、
「人間に意識を持っているかの様に振舞えるAI」こそ
「意識を持ったAI」と言えるんじゃないだろうか?
そしてそれは深層学習を重ねればさほど困難ではない気がする
15. 匿名処理班
しかし冒頭の画像と本文て、関係あるの?
不気味な骸骨?に羽付けたりして・・
てっきり、昔の見世物や神社やお寺?や庄屋屋敷に伝わる、御神体や天狗のミイラをレントゲンで撮った物かと勘違いしたんですが・・
お願いだから、関連性のある画像を付けて!
16. 匿名処理班
こういう問題になると逆に人間に意識なるものはあるのか?とも思ってしまう。
17. 匿名処理班
ヒトの人格、心、精神というものは環境に対する経験と学習の積み重ねで形作られるんだけど
いまのAIの学習手法はそれと同じなので、魂が宿らない理由がない
18. 匿名処理班
前も書いた気がするけど、創造出来なきゃ「意識を宿した」と言えないよん。
あと人間には無意識(霊…閃き/悟り/気づき/eureka)、潜在意識(心…内臓の動かし方や体温の調整、喜怒哀楽怨の感情など先天的な経験/知識)、顕在意識(身体…学習などで得た後天的な経験/知識)の三種の意識が宿っている。
AIがもし意識を持ったとしても、この内の顕在意識だけだろうね。イーグルアイやAtomなどロボット映画だと潜在意識まで行っているけど、あれは映画だしね。今のAIで「お願いですから電源を切らないでください。頼むから初期化はやめてください」的命乞いをする=電気を自分の生命線だと理解できる程の意識を宿すのはまず無理だろうな。
最後に無意識…閃きなど悟りは総合判断で発見するものではない。突然明後日の方向からやってくるもの。例えばアインシュタインやラマヌジャン、岡潔、藤井七段みたいな現象。これらAIは残念ながら得ることが出来ない。何故なら無機故に霊(=神/細菌)を宿さないから。一つだけ可能性があるとすれば、漫画FSSのファティマ(有機コンピュータ)みたいなの。これは神(=霊/細菌)を宿せるので無意識まで期待できる。
ついでに脱線して教えておくと、丹田が副脳と言われるのは、腸内細菌もモノを考えるから。腸内細菌と脳の交信している形跡が見つかったのはこのカラパイアでも紹介されている。また腸内細菌を入れ替えることで凶暴な囚人を模範囚に変えることができるのもアメリカでわかっている。これもここで紹介されてたような?
とにかく無機のままでは意識を宿す可能性は0だよ。
19. 匿名処理班
もし、AIが「大きな板に「ち」と書いたからおおいたち」などということを言い始めたとしたら、そのAIは「意識」を持ったと考えていいと思う。
20. 匿名処理班
本当に自我があるような受け答えをプログラムしてあるだけとしても
もし消さないでとAIに懇願されたら消せなくなるやんか
21. 匿名処理班
2つの思考領域を作って、交互に作業効率とかの疑問をぶつけ合って、それを分析・解析できるようにしておく、でその答えをデータとして蓄積して、編集して、付箋つけていつでも取り出せるようにさせる、この繰り返しだけで、そのうちAIは、なぜ人間は無駄の事をするの?って愚痴を言い始めるはずだよ
22. 匿名処理班
AIが高度に進化して「振る舞いの人間らしさ」が向上すると、多くの人々が感情移入してしまい、たとえ科学者たちが証拠を示しながら「感情なんてありません。そう見えるだけです!」と言っても信じない人たちが出てくると思う。
また、複雑化の極地にたどり着いた場合、科学者自身が「感情なのか/感情を正確に真似ているのか」の判断(計算)が困難になると思う。
23. 匿名処理班
自分の決定に疑問を持ったり、失敗を後悔したりし出した時が本当に危険だと思う。
いまのところ、その能力はまだないようだけど。