1992年10月9日、アメリカニューヨーク州ピークスキルで、月よりも明るく輝いた天体が空から落ちてきた。
目撃者の話によると、光り輝いた物体が、北東に向けて空に一筋の線を描くように流れ落ちたという。
たった40秒の間に、隕石は4つの州の空を駆け抜け、地球の大気を700キロメートルも移動した。
宇宙から地球の表面に到着するまでに隕石は70個に分離した。そのうちの1つは、ボウリングボールほどの大きさとなって、爆音とともにピークスキルのとある民家の車庫にある車を直撃したのだ。
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ある日突然買ったばかりの新車がボコボコに
その時、両親の部屋でテレビを見ていた当時17歳の高校生だったミッシェル・ナップさんは、突然鳴り響いた爆音に飛びのいた。
いったい何がおきたのか?ナップさんは直ぐに外に飛び出した。そこで彼女が見たものは、変わり果てた彼女の愛車、1980年生産のシボレー・マリブだった。
マリブのトランク部分はへし曲っていて陥没していた。車の下には12kgの石が車を貫通してアスファルトに埋まっていたそうだ。
彼女が石に恐る恐る近づいてみると、石から腐った卵のような匂いと共に、煙が立ち込めていたという。隕石がわずかに車の燃料タンクを避けるように落ちていたのは不幸中の幸いと言えるだろう。
image credit:Ryan Thompson / Flickr
誰かにいたずらされたものと思い警察に通報
彼女がこの中古のシボレーを購入したのはつい最近の事だった。彼女は落胆し、警察に「誰かにいたずらされた」と通報した。
この時彼女はまさか隕石が落下して愛車が壊れてしまったとは夢にも思っていなかったのだ。
最初に石が隕石だという可能性を口にしたのは近所の住人だったという。この可能性は次の日、噂を聞きつけてやってきたニューヨーク州アメリカ自然博物館館長が、車の下にあった石を確認することで確かなものとなった。
直撃から数日後に愛車のマリブと写真を撮るミッシェル・ナップさん
image credit:John Bortle
歴史上数少ない軌道が正確に解析された隕石
ピークスキル隕石は「最も多くの人々によって目撃された」という点で歴史的にも有名な事故である。
その日、フットボールの試合を観戦していた数多くの人々が夜空にカメラを向け、隕石を撮影し、他にも16人の人々が全く別の場所と角度から隕石を録画した。
この撮影回数は2013年のロシアに落ちた隕石が数多くの人々に撮影されるまで破られる事はなかった。
・ロシアで隕石が落下、激しい閃光と爆発音で住民パニック : カラパイア
16人に撮影された動画によって科学者たちは隕石の軌道を極めて精確に解析することが出来たという。これによりピークスキルの隕石は歴史上数少ない「軌道が正確に解析された隕石」なのである。
Peekskill Meteorite Halifax ピークスキルの隕石落下映像
隕石が落下した車は高値で売買
この車はどうなったのか?
ミッシェルさんの車はコレクターによって高値で取引され、結果としてミシェルさんが当初車に払った倍近い価格で売れたという。
そのあと車は数多くの人々に取引され、パリ、東京、ミュンヘンなど、数多くの都市に展示されてきたそうだ。
車の破損状況について説明するミッシェル・ナップさんの母親
image credit:meteoritecar.com
written by riki7119 / edited by parumo
追記(2018/6/15): 本文の一部を修正して再送します
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コメント
1.
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3. 匿名処理班
隕石ってとんでもなく高価なんだよね。
4. 匿名処理班
当時、撮影した写真の雰囲気とストーリーが
往時のSF映画見たいで好き。
車は好事家の間を転々としたみたいだけど、資料として考えれば
保存や維持管理や容易な貴重なサンプルだと思うけど
博物館や研究機関からの引き合いはなかったのかな?
5. 匿名処理班
>この車はどうなったのか?
>ミッシェルさんの車はコレクターによって高値で取引され、
>結果としてミシェルさんが当初車に払った倍近い価格で売れた
へえ?隕石そのものではなくて、隕石に直撃された車の方にも価値が有るのかい?
6. 匿名処理班
禿マント「え?いや、拾ったんだよ!月で。」
7. 匿名処理班
シボレーって38年も前のモデルをいまだに生産してるの?
8. 匿名処理班
塞翁が馬だね
9. 匿名処理班
17歳で愛車持ちか・・・