犬を一般化して、好きなものや嫌いなもの、あるいはその行動を把握したつもりになっていると、良かれと思って犬にしてあげたことが、裏目にでることがある。
人間と同じく、犬にもそれぞれの個性があり、好みも違う。もちろん人生へのアプローチやそこから何を得ているのかもまるで異なるのだ。
シドニー大学の動物行動専門家、メリッサ・ステアリング博士とポール・マックグレイヴィー博士は飼い主が愛犬の気持ちを知り、それに存分に応えるための科学的なヒントを教えてくれた。
飼い主はしばしばワンちゃんを毛むくじゃらの人間と考えてしまいがちで、勘違いをするのだという。
彼らが教えてくれた、犬の飼い主が人間的な目線で考えたためにしてしまう、よくある10の勘違いを見ていこう。
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勘違い1. 犬は分かち合いを喜ぶ
人間は共有のメリットを知っている。一方、犬にとっては俺のものは俺のものだ。
だから取られることを受け入れるよう躾ができていないならば、愛犬がかじっているおもちゃや骨を取り上げるべきではない。
勘違い2. 人間式の愛情表現を喜ぶ
人間は抱きしめることで愛情を表現する。だが犬はそのようなことが可能な手足を持たない。他者を抱きしめて愛情を表現するようには進化していないのだ。
人間に抱きしめられた犬によっては、不快感や危機感を感じることがある。頭を軽く叩く行為も同様だ。
勘違い3. 吠え声や唸り声は常に威嚇であり危険
これは距離を取るための行動だ。犬はこのサインを安全なスペースを確保するために主に用いる。気性や躾の有無にかかわらず、どの犬でも広いスペースを欲しがる。
通常、犬はまずもっと微弱なサインを出す。しかし大抵はそうした微弱なサインでは通じないと学習し、より直接的な行為に訴えるのだ。
勘違い4. 見知らぬ犬の自宅への来訪を歓迎する
狼から進化した犬は、自分のものを守ろうとする。自宅のテリトリーやそこにあるものに愛着を感じている。また彼らには、飼い主が招いた犬や人間がそのうち帰るということを知る手立てがない。
ゆえに犬が今後はこの状況が続くのだと考えても仕方のないことだ。そこで犬はその家のルールを持ち出し、新参者に立場を思い知らせようとする。
勘違い5. 人間と同じくらいくつろぐことが好き
人間は仕事や学校に行くために、自宅でくつろぐ時間を大切にしている。一方、犬はほとんどを自宅で過ごしているために、ソファでごろごろする時間よりも外で運動する時間の方がずっと大切だ。
犬にとってそうした気分転換は休憩と同じくらいどころか、ずっといいものなのだ。
勘違い6. フレンドリーな犬は誰に対してもフレンドリー
ある犬にはフレンドリーでも、どの犬に対してもそうだというわけではない。やたらとフレンドリーな犬は、実は人間や他の犬に出会う際の不安を軽減するためにそうしている場合がある。
フレンドリーな犬の飼い主さんは、相手の犬からそうした挨拶が受け入れられなかった時に驚くかもしれない。だが穏やかな挨拶を好み、パーソナルスペースを大きく取りたがる犬もいる。
勘違い7. 遊びたい時は近寄ってくる
フレンドリーな様子で人間や他の犬に近寄っていった愛犬が、その相手に向かって唸ったり、噛みついたりすれば困惑するだろう。
しかしこうした犬は交流を求めていたというよりも、情報を得ようとして近寄っていったのかもしれない。初対面の相手を好きな犬もいるだろうが、それでも突然不安を感じることがある。
このパターンを目撃したら、愛犬を呼んで、初対面の犬や人間から遠ざけよう。
勘違い8. 広い庭があれば、散歩に行かなくていい
庭でずっと過ごしている犬にとっては、そこはありきたりで退屈な場所かもしれない。犬にとっては庭の大きさよりも、何が起きるかが重要だ。
犬は、犬や人間、あるいはおもちゃと遊ぶことに喜びを見出す。特に初めての環境で遊べれば最高だ。だから庭から出ることが最高の楽しみなのだ。
勘違い9. 言うことを聞かない犬はわざと反抗している
反抗しているというよりも、何を求められているのか分かっていないことがある。あるいは、その時、どうしても抑えられない衝動があったのかもしれない。
犬は一般化することが得意ではない。つまり、キッチンであなたが手におやつを持って「おすわり」を命じれば大人しく座るからといって、ドッグランでリードを外した時に「おすわり」と言われて、その意味を把握できるわけではないということだ。
あるいは気を散らすもののない状況でなら「おすわり」の意味が分かるのだとしても、訪問者が玄関口に立っている時にそう命じることは、遊園地で子供に大人しく座ってろと命じるようなものだ。
勘違い10. 吠えたり、噛んだりする行為は不満の最初のサイン
不満のある犬はいきなり吠えたり噛んだりはしない。
まずはアイコンタクトを避ける、口を舐める、眉間にしわを寄せる、足を持ち上げる、顔を強張らせるといった、微かなサインを最初に出す。
こうした行為によっても不安を感じる対象が消えない場合、そのサインがエスカレートし、吠えたり、噛んだり、突進してきたりといったもっと分かりやすい問題行動につながる。
References:Is your dog happy? Ten common misconceptions about dog behaviour/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
確かに犬は初めての場所が好きだよ
うちの犬だっていつもの散歩コースと車に乗って行く公園、後者の方が喜び方が大きいし
2. 匿名処理班
うちの犬も抱っこや頭撫でられるのが嫌がった
カメラや風呂もボール遊びも大嫌い
でもお腹を掻いてもらったり、お気にいりのぬいぐるみで遊ぶのは大好き
犬によって好き嫌いも個性もぜんぜん違うね
3. 匿名処理班
3、6、7、あたりは犬を飼ってるひとならだいたい気がつくと思う 犬は猫よりもびっくりするくらい表情が豊かだもんなあ
4.
5.
6. 匿名処理班
犬に限らず生き物って多かれ少なかれこんな要求もってるだろ
7. 匿名処理班
どれも当たり前な気がするけど、気付かない人間が居るのも事実だよなー
気付く人間と気付かない人間が居るように、感情の起伏が激しかったり我慢がしにくい犬もいれば赤子の容赦ないモフや奇声にも耐えられる犬も居る
「犬」という型にはめようとしちゃだめだよねー
みんなちがってみんないいの精神だ
8. 匿名処理班
うちのシバが遊んでる最中に賢者タイムになること多いんですけど、
これどういうこと?
お前の飼い犬としての本日の義務ははたしたって事?
9. 匿名処理班
親の勝手な思い込みに合わせて喜んでいるふりをしなければならなかったわたしにとっては
切実な話だ。
10. 匿名処理班
ここに挙げられていることくらいは当たり前に分かっている人が犬を飼うべきなんだろうけど
なんの知識もなくてもその辺で簡単に買えちゃうからね
11. 匿名処理班
項目によっては「犬による」てなるけどそれは何も犬に限らないよね。
これは勘違いだ!ていう決めつけも勘違いを生むと思うけど...
12.
13. 匿名処理班
その人(犬)のことを理解するのは簡単なようでむつかしいね
14. 匿名処理班
犬の出すサインを見逃さず、しっかり観察するとよくわかる。
そして、犬も人間をしっかり観察してる。
15. 匿名処理班
※8 「よっしゃあ 今自分は愛された!これから愛の反芻するからちょっとほっといて。よしよし自立もしてるぞ」
愛も欲しい自立もしたい柴は生意気言いたい5歳児なのです
16. 匿名処理班
ほー、おもろい。抱き締めるの好きじゃないか、そうか…以後気をつけます
17. 匿名処理班
怒ってるわけじゃなく遊びながら唸る犬も多いよね