【昭和の怪奇事件】前代未聞の放送事故！たったひとつのクシャミが大事件に発展

2018年06月16日：22:00

今回の事件は「怪奇事件」というより「珍事件」の類だが、大変興味深い現象なので本稿にてご紹介したい。
昭和末期の1987年（昭和62年）、当時フジテレビに「FNN DATE LINE」という深夜帯の報道番組があった。

これは当日に発生したニュースの最終版を放送する目的に作られた番組で、キャスターはフジテレビアナウンサーの露木茂、現在は女優としても活躍している山村美智子（現：山村美智）という布陣で当時の若者に絶大な人気があった。

さて、そんな「FNN DATE LINE」だが、フジテレビ史上に残る伝説的な放送事故が発生した番組としても知られている。

人生を変えたたった一つの「クシャミ」

1987年11月13日、この日の「FNN DATE LINE」は当時のラテ欄によると来年に向けての手帳特集などが行われていた。

キャスターはお馴染みの露木茂と山村美智子で淡々と行われていたのだが、生放送中にスタッフのひとりが大きなクシャミをしてしまった。

スタッフのクシャミは相当に大きい音だったようで共演者全員が思わずビックリするほどだったという。すると今度はニュースを読んでいた山村美智子アナへクシャミが「伝染」。山村含め共演者・スタッフも思わず頬が緩んでしまった。

このまま、スッと別の話題へ移行できれば良かったのだが、山村アナはスタッフから自分へのクシャミの伝染が「笑いのツボ」に入ってしまったようで、「クックックッ」と笑ってしまいまともに喋れずにニュースは一時中断。隣にいた露木茂キャスターに代理で原稿を読んでもらう始末だった。

なお、番組のラストには山村はくしゃみをしたスタッフをカメラ前に連れてきて一緒に視聴者へ頭を下げたという。

「人間味」と取るか「プロ失格」と取るか

この模様は全国区の生放送だったことから大きな話題となり、フジテレビおよび新聞への投書が殺到した。

11月22日には読売新聞のラテ欄に掲載される「放送塔」にて「アナにも〝伝染〟する笑い」というタイトルで東京都在住37歳の主婦の感想が掲載されている。

この37歳主婦は「（クシャミの伝線は）自分にも経験がある」とし「あれは仕方のないこと。むしろ人間味があると思いたい」と擁護する声がある一方、11月28日の読売新聞の同じく放送塔では、ほかの視聴者より「謝る姿勢は良いが、笑いながらスタッフに謝罪させる姿に強い違和感を持った」、「はじめのうちは許せたが、だんだんと腹が立ってきた。あれではプロ失格だと思う」、「お笑い番組ではないのだからけじめのある態度がとられるべきだった」との意見が殺到。たったひとつのクシャミが大事件へと発展してしまったのだ。
（「お笑い番組ではない」という意見は山村アナは『オレたちひょうきん族』にも出演していたことを踏まえた発言と思われる）

番組降板へ…

さて、意外な大事件へと発展してしまった山村アナのクシャミ事件だが、実はこれら投書が掲載された最中の11月25日付で「FNN DATE LINE」の出演を降板している。

降板の理由は「クシャミ事件が視聴者から大きな批判を受けたことへの責任をとって」、と11月27日の読売新聞に掲載されているが、後日山村本人は「日刊ゲンダイ」のインタビューで答えたところによると、クシャミ事件は3日後に発生した伊豆大島の三原山噴火での発言が問題視されて降板したと答えている。

真相はどうあれ、この事件以降、山村がニュースキャスターとして復帰することはなかった。

なお、山村美智子はその後、山村美智と名前を改め、映画や舞台で活躍する女優となり、現在は日本国外でも知られる国際的な女優となり精力的な活動を行っている。

参照：読売新聞縮刷版

文：穂積昭雪（昭和ロマンライター / 山口敏太郎タートルカンパニー / Atlas編集部）

【Atlas関連リンク】
【放送事故】昭和のTVではカースタント死亡事故が放送されていた！
http://mnsatlas.com/?p=2254

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