image credit:youtube
人は日々、様々な判断を下しながら生きている。この色の服は私に似合うだろうか?怪しそうに見えるあの人物は危険なのだろうか?とか、小さなことから大きなものまで、数多くの判断を無意識のうちに決めているのだ。
だが、最新の研究によると、人の判断は思っているほど当てにはならないという。厳格なルールに基づいているわけではないのかもしれない。
例えば、与えられたテーマに従い2つの選択をする場合、どちらか一方の割合を減らしていくと、最初は正確に選べていたにもかかわらず、割合を減らした方を多めに選んでしまうというのだ。
それを実証するために、青と紫を見分ける実験、危険人物の顔を見分ける実験が行われた。
スポンサードリンク
青と紫を見分ける実験で起きた判断の変化
色覚異常のない参加者に”かなり青い”ものから”かなり紫”までの色の範囲を持つ1000個の点を見せて、それが青かどうか答えてもらうという実験だ。
image credit:youtube
最初の200回目までは、同じ割合で青と紫が提示されたが、それ以降は徐々に青の割合を減らしていった。
すると参加者の判断が変化し、「最初に紫と考えられていた点が青に分類」されるようになったという。つまり、青という色の概念が拡大し、紫を含むようになったのである。
実験の開始前に、青い点が徐々に少なくなることを知らせ、さらに一貫した判断ができれば金一封が渡されると伝えたケースでさえも、同様の判断の変化が生じた。
つまり数が少なくなった方(この場合は青)を多く見積もってしまうのだ。あらかじめ少なくなることがわかっていてもだ。
危険度や倫理度を見分ける実験でも少なくなった方を多く見積もる
image credit:youtube
さらに、危険な顔かどうかやある研究の目的が倫理的なものかどうかといった、より複雑な実験課題でも似たような結果が得られた。
危険な顔や非倫理的な研究目的の割合が減ると、それまで危険ではない顔や倫理的な研究目的とされたものまでが、危険あるいは非倫理的と判断されるようになった。
image credit:youtube
人は小さい問題を大きな問題としてとらえがち
この結果は、人が世界情勢に悲観的になる傾向について説明するかもしれない。人類は貧困削減や識字率の向上に大きな進展を見せている。
しかし問題があまり一般的でなくなってくると、それまで小さな問題だったはずのものが、大きな問題として捉えられるようになってくるのである。
だがこれは、もしかしたら人類が存続する上で、防衛本能的なある種の遺伝子に刻まれたメカニズムなのかもしれない。
Are these dots purple or blue? Your answer might not be as reliable as you think
References:image credit:youtube / sciencemag
あわせて読みたい
我々の偏見(バイアス)は思った以上に強固。事実ですら完全に無視をする(フランス研究)
無意識の偏見(バイアス)があなたを騙し、信じてはいけない人を信じてしまう。その回避策は?【ライフハック】
あなたの記憶があなたを欺く。誰もが起こりうる、脳によって捻じ曲げられた記憶の改ざん
わざと誤った情報を流し人を混乱に陥れる心理的攻撃「ガスライティング」を仕掛けるひとが使う11の方法
我々が認識している現実は脳が描いた虚像である。過去の経験や知識で判断するでっちあげの世界(ドイツ研究)
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「料理・健康・暮らし」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 11714 points | ペルー・ナスカで発見された3本指のミイラ、DNA解析の結果、ヒトの新種である可能性が浮上 | |
2位 2306 points | 遺伝子組み換えしたオスと交尾させて子孫を殺す。ビル・ゲイツが蚊の開発に4億3600万円相当の資金を提供 | |
3位 1898 points | 火星が地球に大接近。2018年7月31日に最接近し裸眼で見えるレベルに。 | |
4位 1775 points | こう暑くっちゃよ〜、よし、道路まるごと白く塗っちゃえ!で、実際に効果があった件(アメリカ・ロサンゼルス) | |
5位 1600 points | 2018年6月28日夜、満月(ストロベリームーン)に土星が大接近!夢の競演を見逃すな! |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
某お笑い芸人決死隊
「え?今噛みましたよね?噛みましたよね?」
これでトークの流れが5分止まるのが
マジで時間の無駄で無駄で…
2.
3. 匿名処理班
最初、危険を楽観してるより悲観してる方が、種の生存には有利なのか?ってとらえて、個人的には鬱とかあるしこれは逆じゃね?って不思議に感じたけど、
単に、危険の正確な割合をきっちり把握するより、ある程度雑でも危険があるって前提にして大目でどんぶり勘定処理する方が、解決方法考えるのに省エネで済んで対処が間に合って、結果生存には有利になったのが現代人にも残ってるだけだったりして。
うまく表現できないんだけど、時間のかかる正確性より拙速でも迅速な問題解決を選んできた結果の積み重ね、みたいな感じで。
4. 匿名処理班
ワールドカップとかで、ごく一部のバカッターの投稿がその国を代表するかの如く捉えてしまうのって危険だよね
5. 匿名処理班
例えば日本は危険な国と考えてる日本人が多いのがこれかな。
戦後の不安定な時期は逆に安全だと思える。
それが希望につながってた面がある。
今みたいに安全になりすぎると疑心暗鬼で、今まで恐れる必要を感じてなかったものまで疑うようになる。それが争いを求める心を生む。
人類は基本的に安全な環境というものに慣れていない。だから、ある程度危険がないと精神を保てないんだろう。生物としてはそっちの方がいいんだけど、釈然としないなぁ。
6. 匿名処理班
つまりどういうことだってばよ……?
7. 匿名処理班
視力検査でも右がこんなに続くわけがないとか思うと下とかに見えてきたりする
8.