驚きの光景が撮影された。1匹の小さなカエルの体内がピコンピコンピコ〜ン!と光を発しているのだ。
もしかしてウルトマン的なカラータイマー?
実際それは必死の救命信号だったのかもしれない。
カラータイマー側から見たら...
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Wow! Tree Frog Swallows a Lightning Bug!!!
カエルがホタルを飲み込んでいた!
このカラータイマーの正体はホタルである。
撮影者のベヴァリー・マッコードさんによると、カエルは6月11日の明け方、米フロリダ州の窓に張り付いていたそうだ。
ホタルを飲み込んだあと、カエルは特に変調があったようには見えなかったという。
専門家によると、ホタルの仲間の多くがたいていの捕食者にとって有害な化学物質を分泌することを考えると、これは驚きであるという。
カエルはおそらくアメリカアマガエルで、マッコードさんの家の庭には普通にいるそうだ。ほぼ毎晩のように、ドアや窓のガラスにへばり付いているカエルが1匹はおり、家の灯りに引き寄せられた昆虫を食べているという。
そんなマッコードさんにとっても、カエルの体内で光るホタルは初めてだったそうだ。
マッコードさんはカエルがホタルを食べたとき、すぐそばにいたというが、体内で光るところを見て軽いショックを受けたという。10分から15分くらい光っていたそうだが、その間に少しずつ光は弱まっていったそうだ。
アメリカ、テネシー州ナッシュビルでも同じような光景が目撃されていた。
Firefly Lights Up From Within Frog's Stomach
ホタルの発光
ホタルの生体発光は腹部の近くにある発光器官で作られる。発光器官には、ルシフェリンという化学物質、ルシフェラーゼという酵素、エネルギーを持つ分子であるアデノシン三リン酸が含まれている。そこに酸素が流れ込むと、化学反応が起こり発光する。
ホタルの光は、その種特有の発光パターンを持ち、交尾の相手を求めるサインである。だが他にも、捕食者に自分が毒を持つことを知らせる警告という重要な機能があると言う。
ホタルの系統発生(進化の歴史)を見ると、発光が最初に警告のシグナルとして進化した可能性が高いそうだ。
ホタルは捕食者にとって猛毒
ホタルには2000種ほどがおり、北アメリカに生息するホタルのほとんどは、ルシブファジン(lucibufagin)という防衛ステロイドを産生する。
これは鳥類、爬虫類、両生類といった背骨を持つ捕食者のほとんどにとって猛毒だ。ルシブファジンは細胞膜にあるナトリウムポンプ(電荷を帯びたイオンを出入りさせるポンプ)の受容体と結合する。
ルシブファジンは鬱血性心疾患の治療に使われるジギタリスと同じ部類の物質だが、ジギタリスは少量なら心臓を刺激するが、大量に使うと心筋を麻痺させる代物だ。
実際、ペットのトカゲがホタルで中毒死した事例が報告されている。アゴヒゲトカゲ属の仲間が1匹のホタルを食べて1時間もすると、口を開け舌を噛むようになった。やがて皮膚がタンから黒へ変色し、2時間後に死んだと1999年の研究では報告されている。
また、ホタルはストレスが加わると、毒を関節から反射出血するそうで、偶然それが人間ですら影響を受けることがある。
ホタルはストレスが加わると、毒を関節から反射出血する。フロリダ大学のマーク・ブラナム氏は、偶然それが人間ですら影響を受けることを発見した。
20年ほど前、ブラナム氏が屋外でホタル採集をしていた際、小瓶を開けようとして1匹のホタルを唇で咥えて、手を自由にした。優しく咥えたつもりだったが、ホタルにとってはそうでなかったようで、直ちに化学兵器が発動された。
「すぐに唇がヒリヒリしてビックリしました。だんだん感覚がなくなり、喉も締め付けられるような感じがしました」。この感覚は30分ほど続いたという。
猛毒であるはずのホタルを飲み込んでなぜカエルは平気だったのか?
これほどまでにホタルの毒が強力なのであれば、フロリダのカエルはなぜ平気だったのだろうか。一つの可能性としては、そのときのホタルが毒を持たないタイプだったことが考えられる。
あるいはアマガエルの仲間には、ホタルの毒に対して耐性を持つものがいるのかもしれない。
また毒を持つホタルであっても、その産生量や体外に排出する量が個体によって大きく異なる可能性もある。
別の可能性としては、映像を撮影していた時はまだ毒が回っていなかったのかもしれない。1時間以上観察を続ければ、あるいはまた違う結果が見られたのかもしれない。
カエルのカラータイマーは、ホタルが発したカラータイマーだったのかもしれない。
References:Watch This Frog Light Up After It Swallows a Firefly/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ホタルのカラータイマーがホタルのピンチを伝えてますやんか
2. 匿名処理班
自然界は驚きに満ちている
3. 匿名処理班
ホタルが猛毒をもっている事のほうが驚き
4. 匿名処理班
カラータイマーが点滅してるじゃん
早くしないと変身が解けてしまう
5. 匿名処理班
この時はまだカエルが蛍を飲みこんだ直後だったのかもね
消化が始まるとカエルにとっては苦しみが待ってるんだろうけど
それまでのつかの間の光の瞬き
6. 匿名処理班
高校の文化祭でルシフェリンを発光させたときは大変だった...
塩化ニトリルきつい。
7. 匿名処理班
蛍とはいえ手を開ける為に昆虫を加える発想に驚き
8. 匿名処理班
きれいなバラには棘がある、きれいな蛍には猛毒がある・・・か
9. 匿名処理班
ホタルって、息吸うときに光るんだよね。死にかけのやつは、飛ばずに速く、弱く、光る。
10.
11. 匿名処理班
※4 変身が解ける……王子になるのか!
12. 匿名処理班
>小瓶を開けようとして1匹のホタルを唇で咥えて
ひぇぇぇぇぇぇぇ
13.
14. 匿名処理班
これがウルトラマンルーブですか・・・
15. 匿名処理班
電球おじさんだ。昔、豆電球を飲み込んでお腹を光らすという芸があった。
16. 匿名処理班
ホタルが強力な毒をもつ、というのであれば・・・
このカラータイマーは、どちらかの命火だったといえるかもしれない。
蛍の命が尽きるのが先か、それとも蛙なのかの、カウントの・・・・・・
17.
18. 匿名処理班
カエルさんはケロッとしていたと…
19. 匿名処理班
光をはなつ化学物質の名がルシフェリンとかルシフェラーゼとかいうのは、魔王ルシファーに関わる名前であろうか?
20. 匿名処理班
ホタルを唇で加えたってシチュエーションが分からなさ過ぎて草
21. 匿名処理班
日本のホタルが幼虫時代食すのはカワニナとかタニシだけど、海外じゃ
ホタルの幼虫ほとんど陸棲で食べるのカタツムリのはずだし 毒持ってても納得
22. 匿名処理班
一般的なカラータイマーというより、
ネクストやネクサスのエナジーコアっぽい色合いと光り方だ
23. 匿名処理班
蛍が商品として流通していた時代、蛍採りの名人は捕まえた蛍を一々虫かごに入れるというようなことはせずに自分の口に溜め込んでまとめてカゴに吐き出していた。日本のゲンジボタルは毒がないのかな。
24. 匿名処理班
蛍常食にいていると毒に耐性ついているのかな
25. 匿名処理班
ホタル、素手で触ってたよね…。よね?
26. ナパチャット
結局わからないことだらけ
27. 匿名処理班
おもちゃのLEDライトを何かの手違いで飲み込んでしまったのかと思った
害のなさそうな結果でよかったよ
28. 匿名処理班
最初の動画の鳥の声が綺麗過ぎて思わず聴き入ってしまった