689 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2017/01/06(金)20:45:33 ID:P8L
私は転勤族で、父の仕事の関係で国内外色々なところへ引っ越した。
海外転勤の中で一番長く住んだのはドイツだったんだが、ドイツ人は無愛想な人が結構多くて最初馴染むのに苦労した。
特にお向かいのおじちゃんは、外国人が嫌いらしくて「お前らの事なんて信頼してねえぞ!」っていう眼差しでにらんでくる。
まぁでもよそもんだから信頼されないのもしょうがないか、と転勤慣れしている私は気にしないでいた。

そんなある日、おじちゃんが家の前で若いにーちゃんと揉めているのを見た。
後からその場にいたドイツ語堪能な父に聞いたが、にーちゃんは「お前の車が邪魔で俺の車がぶつかって傷がついた!」とわめいていたらしい。
というのは、ドイツでは家の前の道に車をとめる事が多いから、我が家もおじちゃんも家の前の道に車とめていたんだよね。
でも道が若干狭くてちょっと通りずらい道ではあった。
だからおじちゃんも私達も車の止め方は人一倍気にしているし、迷惑にならないような止め方してる。
おじちゃんの車見たけど、全然ぶつかりそうな止め方してなかった。
どう見てもにーちゃんの八つ当たり、というか詐欺だった。
にーちゃんは「ほら俺の車見ろ!ここに傷があるだろ!お前の車の傷と位置が一致する!賠償金払え!」って叫んでたらしいけど、おじちゃんの車オンボロでその傷昔からあるんだよね。
私はその時はまだドイツ語がよくわからなくて何をもめているんだろう??ってぽかーんとしていたけど、父はすたすたとおじちゃん達の元へ向かっていった。
父は、「どう見てもこの人は迷惑にならない止め方をしていますし、交通違反でもありません。そしてこの傷は今できたものではなく昔からあるのを私は知っています。多分鑑定したらすぐにわかります。どうしますか?警察を呼びますか?」とにーちゃんに言ったらしい。
携帯を握りしめている父を見てにーちゃんはビビったのか暴言吐きながら逃げていった。
おじちゃんはすごく父に感謝していた。
あのおじちゃんから感謝の言葉をもらう日が来ようなんて想像もできなかった。

それからおじちゃんは私達にとっても優しくなった。
私が玄関先で自転車の空気入れに苦戦していたら、どこからともなく空気入れと共にやってきて「よしよし、おじちゃんがやってやろうか!」と空気を入れてくれたり、
なでしこジャパンが勝つと、次の日玄関には赤いクレヨンでぐるぐる日の丸をかいたA4の紙がはってあって、そこには「おめでとう!!」と書いてあったり、
3.11の時は朝から何度もピンポン鳴らして慌ててきてくれて「お前の親戚や友達は無事か!?お前はどこの出身か!!東北じゃないよな!?」と心配してくれたり・・・
日本に行った事もなくて私達しか日本人の知り合いいないのに本気で日本の事を心配してくれて泣いた。
おじちゃんだけじゃない。ドイツ人の多くは最初は警戒心向けてくるけど、ちょっとしたきっかけで打ち解けると本気で気にかけてくれる。
そんなドイツに住めてよかったなと思う。

今はもう引っ越して日本に戻ってきたけど、おじちゃん元気かなぁ。
いつかまたドイツに住んでみたいなーと思う。

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