お決まりのフレーズだが、「人生楽ありゃ苦もあるさ」だ。
光あるところに影はできるものだ。だが、あまりにもひどい悲しみゆえに、日の当たる場所になかなか抜け出せないこともある。
特に愛するものの死は、誰にとっても耐え難い出来事だ。
自分が悲しみの渦中にどっぷりつかっていると、克服するのはなかなか難しい。とても振り払うことなどできないと思った絶望がほんの一時途切れて、少しでも大丈夫そうだと思えるまでは、とにかく落ち込みまくるばかりだ。
インターネットで見知らぬ誰かと接触して助けを求めるのは、悲しみを封じ込めて、ためこんでしまうよりいい方法かもしれない。
数年前、ある海外掲示板ユーザーがこの方法をとった。
彼女はネットで、親友の死に向き合うための最適な方法を訊ねたのだ。
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さまざまな人たちが彼女の為にアドバイスを寄せたが、中でもまさに核心をついていると誰もが認めたのが、Gスノウ(GSnow)の言葉だった。
高齢者を名乗る彼は、悲しみとはなにか、その受けとめ方、切り抜け方を語っているが、それはまさに素晴らしいアドバイスだった。
それじゃあ、始めようか。わたしは年寄りだ。
ということは、わたしはずいぶん長く生きながらえたが、わたしの知りあい、愛した人たちの多くはこんなに長く生きなかったということだ。
友人、親友、知り合い、同僚、祖父母、母、親戚、先生、師匠、学生、隣人、その他大勢の人たちはもういない。わたしには子どもはいないから、子供を亡くしたときの悲しみは想像できない。だが、些細な意見ならある。
人の死に慣れるということはない
人間は人の死に慣れるものだと言えたらどんなに楽だろうか。わたしにはとてもできなかったし、そうしたいとも思わない。
どんな状況であろうと、愛する人の死には、いつもぽっかり空いた穴を引き裂かれそうになる。それを"なんの問題もない"ものにしたくないし、ただ通り過ぎていく過去のものにもしたくない。
わたしの心の傷は、愛する者、わたしが関わっていた人たちとの関係の証となるもの。傷が深いほど、愛も深い。そういうものだ。
心の傷は生きてきたことの証
傷は生きてきたことの証。自分が深く愛し、生きることができ、傷つき、胸をえぐられるような思いをしても、それを癒し、生き続け、愛し続けることができる、その証拠なのだ。
傷ついた箇所の組織は、再生すればそれまでの組織よりもずっと強いものになる。傷は人生の証、それがわからない人にとっては、ただの醜い傷にしか見えないもの。
悲しみは波のようなもの
悲しみというものは、波のようにやってくることがわかるだろう。
船が難破して、投げ出されたあなたは波間で溺れそうになっている。まわりには船の残骸が漂流している。
それらはすべて、船が美しかったこと、立派だったこと、でも今はもうないことを思い出させる。あなたはただ、波に身をまかせて浮いているだけ。
残骸のかけらを見つけて、しばらくはそれにすがりついているが、おそらくその残骸が唯一残された実体のあるもの。幸せな記憶や写真、あるいは、やはり同じように浮いている人間かもしれない。
あなたができることといったら、ただひたすら波間に浮いて漂っていることだけ。そして生き続けることだけ。
最初、波は30メートルもの高さで、容赦なくあなたに襲いかかってくる。それが10秒ごとにやってくるので、あなたは息つく暇もない。
それでもとにかくなにかにつかまり、沈まないように必死になる。しばらくして、そう、数週間か、数ヶ月たっても、波はまだ30メートルもあるが、押し寄せてくる間隔が長くなっていることに気づくだろう。
波の合間に生がある
相変わらず、あなたを押し流そうとするほど力強いが、波が襲ってくる間に息をつき、なにかほかのことができるようになる。
なにが悲しみの引き金になるかは、まったくわからない。歌かもしれないし、絵、通りの交差点、コーヒーの香りかもしれない。
なんでも、きっかけになる可能性はある。そして波は変わらず襲ってくる。でも、波が押し寄せる合間合間に生がある。
いつ、どこであるかは、人によって違うが、あなたは波が24メートル、あるいは15メートルと低くなっているのに気づくだろう。
やがて波がくる感覚がながくなり、受け止める準備ができる
相変わらず、襲ってはくるけれど、その間隔がさらにあくようになる。あなたには波がやってくるのが見える。
記念日、誕生日、クリスマス、オヘア空港への着陸と。それがやってくるのが見え、ほとんどの場合、受け止める心の準備ができている。
波に流されそうになっても、別の方向へとなんとか切り抜けることができる。びしょぬれになって、水を吐き出しながらも、まだ小さな残骸のかけらを放さない。でも、きっとあなたは切り抜けることができるだろう。
波と共に生き延びることを学ぶ
老人のたわごとだが、ぜひ聞いて欲しい。
波は途絶えることはない。だがどういうわけか、あなたも途絶えて欲しくないと思っている。そして、波に負けずを生き延びることを学ぶ。
また別の波がやって来るが、それも乗り越えられる。あなたの人生が幸運なら、あなたはたくさんの愛する人から、つまり難破船のたくさんの残骸から多くの傷を受けることになるだろう。
このコメントを読んだ人たちから、こんな共感の声が上がった。
taterbizkit:References:reddit/ written by konohazuku / edited by parumo
なんて人なんだ。まさにそのとおりだ。
わたしの父は2年前に亡くなった。その痛手はまだ癒えない。でも、父は自分が死ぬことがわかっていた(咽頭ガンだった)。
死ぬ3日前にあえて治療をやめたので、頭はしっかりしていて明瞭だった。わたしはどれほと父を愛していたかを話した。父もわたしを含め、家族全員に同じことを言った。これはすばらしい体験だった。
2日後、わたしは母に腕を回し、母は父の手を握り、わたしの妻がもう片方の手を握った。そして、父は最後の息をついた。
死がこれほどまでに美しいものであることに、わたしは驚いた。父は死ぬ必要などないのではないかと思ったくらい、父の死はこの上なく美しいものだった。
46年の人生で初めてこんな美しい場面に立ち会った。人間であることを光栄に思う。悲しみでさえ、これほど美しいのだから。
demolisher71:
大切な人を亡くしたことがないので、こうした思いは本当の意味ではわからないが、この人の類推的なものの考え方が好きだ。いつか、自分もこんな風にして切り抜けられるかもしれない。(類推するのが好きなので)
辛い悲しみの影響がどのように出るのかは人によって違う。たったひとつの方法がすべてに効果があるわけではない。
絶望的に思える状況を乗り切る戦う力を得るために、あなたができることはいくつかある。
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コメント
1. 匿名処理班
大事な人の死に直面している時はどんな素晴らしい考え方も思い浮かばず
結局のところ時間だけが癒すんだが
2. 匿名処理班
仲が良過ぎるのも考えものだな。
片方が倒れたら、もう片方も調子を崩す。
例外もあるけど、それは、相手に対して依存していないからかな。仲良し度と依存度が比例してしまうと、どうも良くない。
3. 匿名処理班
ななななんだカラパイアらしくないぞ
おじさんちょっとウルっときちゃったぞ
4. 匿名処理班
私は5年たっても、その波の大きさも頻度もかわらない。
でもここ最近、少しだけ息がつけるようになってきた。
悲しみは時が癒すというけれど、私にはそれはなかった。大切な人を失った、その時のまま時間はとまっていた。
時間が進み始めたのは、人とのつながり、だと思う。
人を癒すのは、やはり人。
辛さをもたらすのも人とのつながりだけれど、優しさをもたらすのもまた人とのつながりだと感じた。
時間が進み始めて、あの瞬間から私の時間はとまっていたのだ、と初めて自覚できた。
悲しみや辛さ、痛みを忘れ去ることは私が生きている限りないと思う。それでも時間が進むようにはなれた。
5. 匿名処理班
自分は友人知人仕事仲間とかに言わず
以前と変わらない日常空間を残してる事で普段は忘れることができてるなぁ
皆んなに全てを話して乗り越える人もいるし人それぞれだね
6. 匿名処理班
難破の例えが逸材だな
アイデンティティの喪失を上手く表現してる
7. 匿名処理班
※1
それを、GSnow氏は海の嵐と沈む船、波の高さで表してる。
大事な人の死を癒す時間を「波」に表してるんだろうね。
海は時間(人生)、嵐は死、砕かれた船は故人。
船の破片は故人との大事な思い出。
波の大きさが悲しみや辛さで、それは最初大きく激しく
何も出来ないほどの勢いだけど、それは少しづつ穏やかになって
行くことで、故人の記憶である船の破片を静かに見つめられるようになる。
8. 匿名処理班
深い言葉が。
いつか来る別れの為に、心に刻む。
9. 匿名処理班
生きるという事は辛い事ですなぁ…
宗教が生まれるのも分かる。極楽浄土でも妄想せんとやってられんわ
10. 匿名処理班
大切な人との別れを経験すると、少しだけ死が怖くなくなる。
もしかしたら、また逢えるかもって思うから。
11.
12. 匿名処理班
父親はまだ生きているのか!
13. 匿名処理班
なんだかんだでこの悲しみは一生の病なんだな
寒い日に関節が痛むように、何かのきっかけで胸を掻きまわす
痛みに慣れることはできても完全になくすことはできない
14. 匿名処理班
お腹の子どもをなくしたことがある。
動かない小さな赤ちゃんをうんだ。
立ち直れと言われるし自分もそうしようとは思ったが、
立ち直るなんて無理だと知る。
だから、そのまま身を任せることでやっと楽になった。
15. 匿名処理班
時間が経って
懐かしくて寂しくなっても
それでも戻ってこないものは戻ってこない
残された側が同じところに立ち直ることなんてないと思う
足りないまま生きていくしかないし、結局のところこの書き込みをした人みたいに、あれだけたくさんのものを失ってもそれでも人生は続くし自分も誰かを残して先にいくんだと思うわ
1日でも半日でも、完璧だった時代に戻ってやり直せたらどんなにいいことか
って有史以来すべての人が願っただろうけど、誰一人としてやり直せていない
だからしかたない
16. 匿名処理班
※12
最初から居なかったのかも知れないぞ
17. 匿名処理班
ペットロスになっているので読んでみました。
頭が難しい言葉を拒否していて、全部は理解できなかったけど、そういうものなのかと思う文章もありました。
慣れることはない、そうだと思います。
苦しいのはそれが愛した証拠、そうかもしれないです。
他者に無関心だった自分が誰かを思ってこんなに泣くのかとびっくりしました。
18. 匿名処理班
※17
私も今まさにあなたと同じペットロスです
愛した証拠、胸に刺さる言葉ですね