共同体の本、助言の本という意味のマヤの歴史書『ポポル・ヴフ 』は、グアテマラのマヤ人キチェ族の神話、伝説、歴史物語を集めた古代の文学作品だ。マヤ族の宗教を知る上での貴重な資料の一つである。
偉大な歴史書であり、精神的価値のあるこの本は、多くの作家たちから神聖なる本、マヤの聖書と呼ばれてきた。
だがこの本は、不思議と謎と不条理に満ち溢れており、時系列も飛んでおり、文脈を読み取るのが難しく、長年研究者らを悩ませているのも事実だ。
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The Creation Story of the Maya
マヤ唯一の歴史書であり文学書
世界、文明、さまざまな自然現象の起源について説明する一連の話から成り、天地創造、先祖、歴史、宇宙論などのさまざまな話題を網羅しているマヤ唯一の本と言われている。
また、人類がどのように作られたかという創生神話が細かく調べてあって、大洪水についてもふれている。
これが、『ポポル・ヴフ』がマヤ族によって書かれ、現存しているもっとも重要な古文書であることは間違いないと言われる所以なのだ。
image credit:youtube
極めて膨大な歴史と神話の内容だけでなく、ヒンドゥーの『ラーマヤナ』やギリシャの『イーリアス』や『オデュッセイア』のような壮大な叙事詩に引けを取らない文学的な質をもつという点でも卓越している。
『ポポル・ヴフ』は、18世紀初頭、スペイン人の神父フレイ・フランシスコ・ヒメネスによって発見されたラテン文字表記によるキチェ語本である。
原本は後に失われてしまうのだが、神父が筆写した写本が保存されている。
彼は自分のことを、マヤのキチュ語版書記で、古文書の翻訳者と称している。グアテマラの作家、エイドリアン・レチーノスは説明する。
「オリジナルの写本(ポポル・ヴフ)は、細かい章には分かれていない。文章は最初から最後まで途切れることなく書き連ねられている」
とはいえ、『ポポル・ヴフ』の内容は、次のような"話題"で展開していくという。
・創生
・フンアフプーとイシュパランケーの歴史
・トウモロコシの粉からの人類創生
・Hacauitzで夜明けと永久を待つ
・移住の物語
・Gumarcahの創設と世代リスト
創生
『ポポル・ヴフ』に書かれている創生の物語を見て見よう。
この神聖なマヤの書は、人類を創造した"存在"についてふれていることがわかる。
この存在は、『ポポル・ヴフ』の中で「創造主、形成者、支配者、翼の生えたヘビ、生み出す者、存在を与える者、夜明けの光の如く水の上を舞うもの」として表現されている。
『ポポル・ヴフ』の最初では、神々がいかに原始の海から谷と山を作り、植物や動物を作ったかについて書かれている。
なにかが足りないと気づいた神々は、自分たちを崇め供物を捧げる者を創造し続けた。だが、最初の三度の試みは失敗した。
まず最初は、四足の動物と鳥を作ったが、彼らは話すことができなかったため、神々はもう一度やってみようと決めた。
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我々の努力はその目的を果たし、地球はさまざまな形態の生き物であふれた。創造者であり形成者は、動物たちに言った。"わたしたちの名を言え!"と。
しかし、動物たちは人間のように話すことができなかった。創造主たちは言った。"我々の栄光はまだ完全ではない。
おまえたちが我々を崇めることができないからだ。棲み処と食べ物は与えよう。だが、おまえたちの肉体は食べられてしまうだろう。それがおまえたちの運命なのだ
二度目の試みで、神々は泥から生き物を生み出したが、それは濡れると溶けてしまった。
再び天から勧告があった。"再度挑戦してみよ。我々の媒介者となる者、我々に望みを抱く者を作れ"と。
そこで創造主たちは赤土から人型を作ることにしたが、出来上がったものを見て満足がいかなかった。
水分が多くて脆く、失敗作だった。話す能力は与えられたものの、知性がなく、まっすぐ立っていられずに水の中に入れるとすぐに崩れてしまった
三度目の試みでは、神々は木から人間を作ったが、これは神を崇めることはできないと気づいた。
だから、神々は人間の傲慢さを大嵐で罰することに決め、動物、道具、家の土台を人間にはむかわせた。『ポポル・ヴフ』はサルは木でできた人間の子孫だと説明している。
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またしても神々は勧告を受けた。キハダの木から男を作り、ヤナギから女を作ろうとした。だがその結果はあまり賢明なものとはいえなかった。
彼らはただの木のマネキンで、地表に住んでどんどん繁殖していいったが、心も知性も自分たちの創造主の記憶もなかった。無意味な人生を送り、獣のように生きるだけ。だが、彼らは人類への試みの一歩だった
四度目の挑戦で、神々は目的を果たし、マヤにとって必需品である神聖な食べ物トウモロコシの粉から人間を作った。神イツァムナーは暦や文字の生みの親として記されている。
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再度、神々は一緒に話し合い、四度目の正直で完璧な人間を作った。黄色と白のトウモロコシの粉だけでその肉体はできている。
最初の人間の名は、バラム=キツェー、二番目はバラム=アガブ、三番目がマフクタフ、四番目はイキ=バラムという。
人類は奇跡により誕生した
『ポポル・ヴブ』には興味深い箇所がある。
人類には父も母もなく、通常の代理人の創造という仕事において作られたのではない。人類が存在するようになったのは、創造主の特殊な仲介による異例の奇跡だったということだ。
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ついに神々は、まさしく人類の起源としてふさわしい生き物を目の当たりにした
これら人間は、自分たちの創造主に対する義務を果たす方法を知っていて、時間や宇宙におけるすべてを理解することができる。
だから、神々は彼らの視野を曇らせることにした。これが、現在地球に住んでいる人類というものである。
その結果、わたしたちは『ポポル・ヴフ』の中で、創造主、形成者、支配者、翼の生えたヘビ、生み出す者、存在を与える者が何度か話し合って、試行錯誤を重ね、"彼ら"が人類を創造したことがわかるのだ。
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さて、理解できただろうか?
マヤ神話「ポポル・ヴフ 」は日本語翻訳版も発売されているので興味を持った人は読んでみるといいかもしれない。突如文明が発達したりとか、いろいろ不条理に満ち溢れていて面白い。いやもしかしたら、やはりエイリアンとせっ...おっと今日も誰かが来たようだ。
References:The Creation Story of the Maya/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
人類創生に神様失敗しすぎてワロタ
大昔から人って複雑だよね 神様も作る時苦労したんだろうなーとか思ってたんかな
2. 匿名処理班
日本神話のようにバラバラの功績や失敗が一つにまとめられたり、その逆であったり。
複数箇所の民話が融合したりと色々紆余曲折があるのだろうと思う。
これは聖書から何からその成り立ちは同じだと思う。
どうしたって口伝の時期がかなりあってからのまとめられた物であろうから。
3. 匿名処理班
エイリアンと接見・・・・ ううむ、想像が膨らむ
4.
5. 匿名処理班
エイリアンと切磋琢磨して文明を発展させたんだろうなぁ…
6. 匿名処理班
多神教の神様は全能じゃないからね、失敗もするし感情的になったり嘘ついたりもするんだ。
アステカの創造神話でも4度作って4度滅びてる。テスカトリポカとケツァルコアトルの確執でいつも滅びてる。
黒いテスカトリポカが支配した時代はジャガーに襲われ全滅。
ケツァルコアトルが支配した時代は台風で全滅。生き残った人間が猿になった。
トラロクが支配した時代は火の雨で全滅。生き残った人間は七面鳥になった。
チャルチウトリクエが支配した時代は洪水で全滅。生き残った人間は魚になった。
次の5番目が今の世界です。
南米の神話・民話は北米インディアンのものやっぱり似ていておもしろいです。なんというか、日本みたいに「先祖代々のこの土地」を大事にしてる感があって。
ちな関係ないけど同名のドイツのプログレバンドもいいぞ。
7. 匿名処理班
神々に勧告した「天」って何者よ? 気になるわぁ・・
8. 匿名処理班
科学者さん、トウモロコシで人類が作れるのか試して。
9. 匿名処理班
※1
途中でドロドロの人間が出来るとこなんて、アジア圏に共通してある逸話なのかな
10. 匿名処理班
ポポル・ブフと聞くとフローリアン・フリッケを思い出す。
Hosianna Mantraは今も時々聞きたくなる。R.I.P.
11. 匿名処理班
次のネトメシのお題はトウモロコシからの人間の作り方
12. 匿名処理班
うーん、このスペイン人の神父さんは大丈夫なのかね?
自分の事を「マヤのキチュ語版書記で、古文書の翻訳者」だって張り切った人が
筆写した写本でしょ?
写本だっていうのに本来章に分かれてない文を勝手に章に分けたりしてるし
この神父さんの考えた物語とか勝手な解釈も入っちゃってないかね?
13. 匿名処理班
神様がこんなに試行錯誤してるの初めて見たわ
面白いなぁ