607 名前:おさかなくわえた名無しさん[] 投稿日:04/05/22 20:02 ID:vTcsibyD
知ってる人は知ってるだろうけど、癌で入院して、末期になるとモルヒネを
打たれる。で、その副作用で幻覚が見える。親父も癌で亡くなったが、最後は
半分くらい夢の世界で、いつも小さなヘリコプターと遊んでいた。

去年、叔父さんを見舞いに行ったとき、隅のベッドに寝ていた人がその状態
だった。普通、末期なら個室に入れられるんだが、満室なのかなとか思いつつ、
夢の世界に行っているその人を何となく見ていた。

「よせよ・・・くすぐったい・・・可愛いな、おまえたちは」とか言いながら何かを
抱いている仕草をしていた。森で小動物にでも囲まれている幻覚を見ていたの
だろうか。その人は「ほら、おまえ達にも見えるだろ?可愛いだろ?」と、
ベッドの周りの家族に向かって言っているようだったが、ベッドの周りには
誰もいなかった。

2週間くらいしてまた見舞いに行ったら、そのベッドは空で、あのあとすぐに
亡くなったと叔父が言っていた。モルヒネが切れると痛みに苦しんでいたが、
モルヒネが効くと、幻想の動物と家族に囲まれて幸せそうだったらしい。
臨終直前には個室に移されるので最後は分からないが、同室のときは、
雇われたらしい人が世話をしていたが、家族らしき人は誰も来なかったと
言っていた。誰かが入院費を払っていたんだろうけど、最後まで幻覚の家族に
囲まれていたその人の人生を勝手に考えて、何だかせつなくなった。


613 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:04/05/23(日) 01:58 ID:uedGX6nR
>>607を見て、俺のおじさんのことを思い出した
俺のおじさんも癌で死んだ 

おじさんは婿養子で、向こうの家族関係がよくないことも重なり
かなり窮屈な思いをしていると周りの人に思われていた
でも、彼は周りに愚痴一つもいうこともなかったし、
俺の家に遊びにきたときもいつも笑顔だった

そんなおじさんの葬式の日、天気予報では雨だった
しかし、朝から天気もよく、葬式も滞りなく行うことができた
一通り事がすむと、ぽつぽつと雨が降り始めた
俺が外でぼーっとしていると、おじさんの姉と妹の話が聞こえてきた
「あいつは優しいやつだったから、 みんなが困らないように
 葬式の間は雨が降らないようにしていたのかもね」
俺は葬式の間泣くことはなかったのだけど、
その会話を聞いた瞬間おじさんの笑顔が頭に浮かび、泣いてしまった