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猛毒のドレスに身をまとい...死のドレスを着て埋葬された女性。インカの儀式の生贄か? : カラパイア

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 チリにある600年以上前の墓から見つかった2体の女性ミイラが、現代の考古学者を危険にさらしている。

 ミイラが身に着けている衣服が、水銀鉱石から発生する高濃度の毒素である辰砂(硫化水銀)で赤く染められていたのだ。
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硫化水銀で染められたドレスを着たミイラ


 1970年代にミイラが発見されたときに、この危険な赤い粉も初めて見つかった。

 硫化水銀(辰砂)の特徴的な色は、これまでいたるところでインカ文化と結びついてきたが、このミイラが発見された地域では、こうした文化的背景は見られたことはなかったという。

 最近になって、ミイラの墓から出た細かい赤い色素を分析したところ、実はこれは硫化水銀であることが判明した。チリ北部の古代人によって儀式に使われた鉱物の初めての物的証拠となった。

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硫化水銀。天然では辰砂として存在する鮮やかな赤色の鉱物。水銀を含み、熱っすると高濃度の有毒ガスを放出することがある。
image credit:commons.wikimedia

インカ儀式の生贄か?2人の少女のミイラ


 1976年、紀元1399〜1475年頃のものと思われるセロ・エスメラルダの埋葬地から、豪華に着飾ったこの2体のミイラが発掘された。

 二人は9歳の少女と、18から20歳の女性で、胎児のように体を抱えるような格好で葬られていて、一緒に出てきた副葬品は104点にものぼった。

 二人はインカの儀式の生贄になって埋葬されたと考えられ、遺体と共に埋められた品物の質から、この儀式はかなり重要なものだったようだと、ミイラの事前分析で報告されている。

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image credit:Museo Regional de lquique

 ミイラが身に着けていた織物は、鮮やかな赤い色素で染められていて、彼女たちが生きていた(死んだ)当時は、この色合いはアンデスでは一般的にヘマタイト(赤鉄鉱)で作られていた。

 だが、化学分析と電子顕微鏡で調べてみると、辰砂の色の元は硫化水銀であることが特定された。

 「新たな化学分析によって、セロ・エスメラルダのミイラたちの服には硫化水銀が付着していることがわかりました。この有毒物質がチリ北部の埋葬地で出てくることは特殊なことで珍しい」

 水銀を主成分とする辰砂は、一般的には以前からあった岩の破片でできた堆積岩や火山岩に生じる軟質鉱物で、火山や温泉の近くで見られるという。

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image credit:Museo Regional de lquique

硫化水銀をどうやって調達したのか?


 これまでの研究から、硫化水銀はインカの社会的地位の高い人々の間で儀式的に使われたようだ。

 それがミイラの衣服についていたことは、彼女たちの命を奪った儀式が文化的にとても重要なものであったことを暗示している。

 だが、硫化水銀をどこから調達したのか、それが儀式や社会で果たした正確な役割はなにかは、まだわかっていない。

 何百年も前に使われたものとはいえ、硫化水銀を含む古代の遺物を扱うのは、現在でも実際に危険が伴う可能性がある。吸い込めば致命的な結果になるかもしれないのだ。

神経や筋肉系統、胃腸など消化管の健康に影響が出る可能性があります。なにより、極度にさらされると死に至ることさえあるのです。

インカの人々が、硫化水銀を吸い込むと危険であることをよく知っていた可能性はあります。それでいて、盗掘を防ぐために、儀式的な埋葬地にわざと硫化水銀を仕込んだのかもしれません

 この発見は『Archaeometry』誌のオンライン版に発表された。

References:onlinelibrary / livescience/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 20:57
  • ID:Sd8u.GAb0 #

Wikiには辰砂は毒性は低いとされてますね。
日本でも昔から赤色の顔料に使われてましたし。

2

2. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 21:19
  • ID:TREqMyXr0 #

そんなことしていインカ?

3

3. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 21:44
  • ID:Z4fETNAk0 #

この子たちが大人に言いくるめられて死んだのだと思うと切ない。年功序列で年配のものが毒のドレスを身にまとって生贄になればいいのに。

4

4. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 21:50
  • ID:KtSC7vl70 #

てっきりトップ画像がミイラかと勘違い!
違うよね⁈ 生きてるモデルだよね⁈

5

5. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 21:58
  • ID:.OMUg1zJ0 #

生贄はインカは文化。日常的に近隣から生贄の子供達を大量にかっさらって生贄してたんだね。

6

6. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 22:08
  • ID:zRnSXRTl0 #

日本画などで使う辰砂と同じやつ?
そんな危険なものだったのか。

7

7. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 22:10
  • ID:Uj9Aka0w0 #

東洋の丹と同じものだし
色から宗教的装飾か殺菌作用による防腐目的の可能性が高そうに思えます

8

8. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 22:25
  • ID:MEIfblB40 #

たしか辰砂は毒性が弱いはずでは?
というか厳密には水銀ではないよね。昔でいう錬丹術で振り分け?とかをして水銀を取り出さなければ複雑な不純物なので問題ないはずじゃ?

9

9. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 22:28
  • ID:qiVLyCDK0 #

ツタンカーメン「ひどいことをするもんだねぇ」

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10. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 22:47
  • ID:VMKoXal00 #

記事タイトルが何を言ってるのかわからん

11

11. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 22:54
  • ID:Dt8y4.Mh0 #

字面だけでいい加減な事言ってる人いるけどインカの生贄文化をちょっとは調べようともしないのか
切支丹の物差しが常に正しく絶対とは思うなよ

12

12. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 23:13
  • ID:0QYAGy6C0 #

知らずに盗掘したら呪いで死んだという事になる、という事かな

13

13. 匿名処理班

  • 2018年08月05日 23:21
  • ID:F5N5zi2d0 #

金属(イオン)による毒性は一般的に金属イオンが体に吸収される必要がある。
その場合、金属イオンは水とかない溶けている状態である。
けれども、硫化水銀は水に滅茶苦茶溶けない物質なので毒性は低い。

硫化水銀が水に滅茶苦茶溶けないことを利用して水溶液中の
水銀イオンを硫化水銀にすることで水中の水銀の有無を
確認する方法がある(今は大学の実験の授業レベルでしか行っていない)。

吸いこんだ場合の危険性というのは石の粉を吸い込むのと同じ。


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