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もっと近くに!NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」がついに打ち上げられる : カラパイア

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 2018年8月12日午前3時31分、使い捨てロケット「デルタIVヘビー」がアメリカ・フロリダ州、ケープカナベラルから轟音を上げて飛び立った。

 そこに搭載されていたのは「パーカー・ソーラー・プローブ」である。それは太陽の外部コロナを観測する為、史上最も太陽の近くを通過する太陽探査機だ。

 同日午前5時33分、デルタIVヘビーは正常な飛行を続けていることを確認した。

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Parker Solar Probe Mission Launches to Touch the Sun

太陽系の母、太陽の秘密を解き明かす為に


 地球に最も近い恒星で、かつ地球を動かすエネルギー源でありながら、太陽は秘密のベールに包まれている。

 その数多くの謎に挑むのがパーカー・ソーラー・プローブだ。

 「これまでは無謀だとされていた、恒星のコロナの中に行くのです」とアメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学のニッキー・フォックス氏は説明する。

「宇宙旅行は困難です。極端な場所に行こうというのだからさらに困難です。ですが、もしこの世界に起きていることやその影響を本当に理解しようとするなら、フロンティアに挑戦を続けねばなりません」と話すのは、応用物理学研究所のラルフ・マクナット氏だ。

 太陽が放つさまざまなプラズマの物理が、まず水星の軌道へ向かい、さらに遠くへ伝わるにつれてどのように変化するのか、それはあらゆる点で未開の地である。

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image credit:Bill Ingalls/NASA

未知の領域へ


 パーカー・ソーラー・プローブはその未知の領域を探索しながら、磁場・プラズマ・エネルギー粒子・太陽のコロナと太陽風の性質を計測する。

 太陽の表面温度は摂氏5600度に達するが、かすみのようなコロナはさらに百万度も熱い。これもまたパーカー・ソーラー・プローブが探る謎の1つだ。

 しかし恒星に接近するのは容易ではない。宇宙船を熱シールドで探査機を常に守らねばならない。

 カーボン複合素材とカーボン発泡体で作られた10センチ以上の熱シールドのために、探査機の直径は2.4メートル近くもある。

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image credit: APL/NASA GSFC

想像を絶する高温世界


 鋼すら溶ける1300度の熱であっても宇宙船本体を室温に保つ革新的な熱シールドがあるとはいえ、太陽の近くにあまり長く留まることはできない。

 かわりにパーカー・ソーラー・プローブは金星を利用して今後7年間で7回のフライバイを行い、水星と太陽の間に24回接近する。

 やがて太陽の表面からわずか610万キロの距離まで近寄る。

 最初の接近は11月のことだが、パーカーがどんな宇宙船もたどり着いたことのない距離まで太陽に近づくのはそれよりずっと前だ。


太陽風の測定


 パーカーは太陽風をも測定し、宇宙の天気に影響する粒子や太陽物質の定期的な流れや不規則な噴出を追跡する。

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 太陽風は目に見えないが、極圏をおおう美しいオーロラとして見ることができる。それは膨大な量のエネルギーと粒子が地球の大気圏に流れ込んでいる証拠となる。

 太陽風は太陽からずっと離れた他の宇宙船でも観測できるが、パーカーは高エネルギー粒子が時速290万キロまで加速している源をこれまでにない近距離から観測する。

 宇宙の天気はコロナガスの噴出があった際、いっそう激しいものとなる。これは太陽が宇宙へ吐き出す粒子の雲で、パーカーが接近した時にこれが起きれば破壊的な影響をもたらす恐れがある。

 波乱にとんだドライブとなるだろうが、嵐を乗り越えるためにバックアップにバックアップを重ねるという。


太陽の磁場調査


 太陽の磁場も調査対象だ。閉じたループと開いた吹き流しの乱気流のようなもので、コロナが熱い理由にも関係があるかもしれない。

 パーカーはミッション中常時これを観察するのだが、そのハイライトは2021年から始まるコロナ突入の最中だろう。

 パーカーはアルヴェーンポイント(粒子が音速を超えて加速し、太陽の表面から自由に離れるポイント)を横切る。

 太陽の重力井戸の奥深くで、パーカーはあっという間に最速の宇宙船となり、2024年に大きく接近する際には地球に対して時速692,000キロにまで加速している。これはパリからシドニーまで2分もかからない速度だ。
 

Why Won't it Melt? How NASA's Solar Probe will Survive the Sun


パーカー・ソーラー・プローブの名前


 じつはパーカー・ソーラー・プローブの名は、史上初めて生きている人間からもらったものである。パーカーの名は1958年に太陽風の存在を初めて予言したユージン・ニューマン・パーカーにちなんでいる。

パーカー・ソーラー・プローブの発射の様子を見守るユージン・パーカー氏

Dr. Eugene Parker Reacts To Parker Solar Probe Launch 
References:nasa.gov/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2018年08月14日 20:39
  • ID:tS6O6.xM0 #

興味深い、是非とも成功させて欲しいな。

2

2. 匿名処理班

  • 2018年08月14日 20:55
  • ID:IAGiKHuV0 #

パーカー氏が生きてる間に打ち上げられて良かったね
「こういう理由かもしれない!衛星や探査船を打ち上げて調べよう!」って言うと
開発と打ち上げに時間が掛かって発起人とか発案者とか一番最初の論を提案した人は亡くなってたりするし

3

3. 匿名処理班

  • 2018年08月14日 21:29
  • ID:T.kIO6Cn0 #

パリからシドニー2分で行けるとしたらすげえ爆音と
衝撃波で通過する周辺40キロ周辺は土煙で土砂の山になり
生きた生物は細菌も含めて消滅しちゃうかも

4

4. 匿名処理班

  • 2018年08月14日 22:57
  • ID:1JcM09yk0 #

こいつは私の名前を載せてくれている
燃え尽きるのは仕方ないけどそれまでいい旅を

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