塩見周子「何かが始まる予感」
お題メーカー的なものを使ったら思いついたので。
次から投稿していきます。
最初は何とも思っていなかった。
家出して途方にくれる中に出会った時も。
その流れでアイドルにスカウトされた時も。
実情を話しその日の宿がないと言った時も。
『ホテルがどこも空いてないから』という理由で家に泊めてもらった時も。
そして本当にアイドルになれた時も。
『スカウトしたから』という単純な理由であたしのプロデューサーになってくれた時も。
無事にデビューが出来て褒めてくれた時も。
お礼を言ったら「周子は元が良いからな、流石だよ」と褒めてくれた時も。
別に何とも思っていなかった。
家出娘と社会人。
アイドルとプロデューサー。
仲の良いビジネスパートナー。
お互いの関係をそんな風に思ってた。
でもいつからだろう?
そんな関係じゃ嫌だと思い始めてきたのは。
『何とも思っていなかった』なんて言いたくなくなってきたのは。
貴方がくれたお仕事が徐々に増えていって。
貴方といる時間が徐々に増えていって。
貴方との思い出が徐々に増えていって。
その『徐々に』が積もり積もって、いつの間にか、一日中貴方の事ばかり考えるようになってしまった。
今日会ったらまず何を話そう。
今日はいつ一緒に居られるかな?
ふと気づくと貴方の事を目で追ってる。
他の誰よりも貴方と一緒の時間が嬉しい。
ある感情がこんなあたしにさせたのだ。
だけどあたしと貴方は、アイドルとプロデューサー。
今は結ばれない、結ばれちゃいけない。
そんな事は浮かれた自分でも分かってた。
だからずっと我慢した。
先人達と肩を並べる程の大きなライブが成功した時も。
2人の努力が実って栄えあるシンデレラガールに選ばれた時も。
貴方がこっそり誕生日を祝ってくれた時も。
ずっとずっと、ずっーと我慢した。
でも今日はあたしの引退ライブ。
これが終ればアイドルのあたしは終わり。
明日からはただの一般人。
どこにでもいる、恋する1人の女の子。
そしたらあたしと貴方は、アイドルとプロデューサーじゃない。
1人の女の子と1人の男。
ずっとずっと我慢してきたんだからね?
その分、本気を出して一気にいくよ。
覚悟しててよねPさん?
「そろそろ引退ライブ始まるぞ。大丈夫か?」
「任せといてよ!あたしを誰だと思ってるの?」
「そうだったな、信頼してるよ周子」
「信頼に絶対答えてみせるからさ……だから一番近くで見守っててよ」
「あぁ……見守ってるよ。今まで通りな」
貴方が傍にいるならあたしは大丈夫。
今までは大丈夫だった。
今日もきっと大丈夫だろう。
出来れば明日からもそうであってほしいな。
そんな事を思ってると出番が間近になった。
その残り少ない貴重な時間を未来のために使わせてもらう。
「そういやPさん、明日の予定空けといてね。大事な話があるからさ」
「奇遇だな、俺も周子に話したい事があったんだ」
「奇遇やね。以心伝心やん」
「長ーい付き合いだからな。でもやっぱり口にして話したい事だっていくらでもあるさ」
「あたしも沢山話したい事があるんだ。これからもいっぱい話していこうよ」
「そうだな。でも、まずは今日のことを終わらせてからだな」
「そうだね。それじゃあ、バシッと一つ決めてきますか!」
そうしてあたしは舞台に向かっていく。
これから何かが始まる予感がした。
書き出しと終わりの言葉と文字数を指定してくれるお題メーカー的なものからネタを拝借して書きました。
こんな関係だったらいいなと思って書きました。
少しでも魅力が伝わって、もっともっと周子SSが増えてくれたらいいなぁ…(希望願望)
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コメント一覧
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- 2018年08月16日 23:19
- 八ヶ岳いいよね
-
- 2018年08月16日 23:22
- そういやコイツたまに4代目だった事を思い出すわ
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